気まぐれすぎてすいません(汗)。
「はい、マスター♪どーぞ」
カドケウスが熱いコーヒーを差し出す。
「ああ。ありがとう、カドケ」
マスターはこぼさないようにそれを両手で受けとった。
そしてマスターは床の絨毯にあぐらをかき、美味しそうにそのコーヒーをすすっている。
日時は5月の10日。
この日はヘルメスの杖の姫達の誕生日で、その夜もだいぶ更け初めている。
そしてこの場所はケーリュケイオンの寮の自室で、今この部屋にいるのはケーリュケイオンとカドケウス、あとは彼女達のマスターの3人だけであった。
ケーリュケイオンはベッドに腰をかけた姿勢で、そのマスターの様子をじっと眺めながら考えていた。
〈……はぁ。相変わらず格好いいわね。ウチのマスターは。顔も良くて背も高くてスマートで。それに私達を率いて奏官の激務をこなしながら、この学園の臨時講師まで務めるって、この人はどれだけの才能を持っていると言うの?更には、ホント多忙なはずなのに、こうやって来てくれる優しさまでも持ち合わせているなんて。でもなぁ……〉
ケーリュケイオンは小さくため息をつく。
目の前ではコーヒーを差し出したカドケウスが、そのままマスターのすぐ隣に座って、その身を擦り寄せようとしているのだが、マスターは毅然とした態度で、ずっとそれを拒否をするかのように体を横にずらし続けている。
その内にマスターがそんなカドケウスをたしなめるように言い出した。
「こら。あまりくっつくな。カドケ。こんな感じの風紀の乱れが、その内の大きな隊紀の乱れに繋がるんだぞ。……って言うかなぁ、こんな事しているとアルテミスとかシェキナーに怒られるからな」
カドケウスが不満そうに言い返す。
「むー。今はいないからいいじゃん」
「そう言う問題じゃない。いいか、そもそも……」
マスターの説教が始まってしまった。
〈……ホントお堅いんだから〉
ケーリュケイオンは肩をすくめた。
マスターとその者に従うキル姫達がイチャコラするのは、世間一般では別に悪い事とはされていない。
それは、隊のリーダーであるマスターの考え方一つで大きく変わるものなのであった。
例えば、隊の全部のキル姫と肉体関係を持つような絶倫マスターもいれば、秘書姫といった制度を作って、その姫とだけ関係を持つ誠実で一途なマスターもいる。
だがほとんどは、適度に姫達とスキンシップをとって隊の親密度を高めるマスターが大多数を占めているものなのだった。
それ故、このカドケウスとケーリュケイオンのマスターのようにかなりストイックで真面目なマスターは、実はとても珍しい部類なのである。
だからこのマスターに付き従うキル姫達は、何とかこの堅物のマスターの気を引こうと、色々と色気のある策を練ってはいるのだが、どれもあまり上手いこといかずに皆でヤキモキとした日々を送っていたのであった。
ケーリュケイオンはマスターの説教が終わるのを待って、可愛い包装紙でラッピングした包みをマスターに差し出した。
「はい。マスター、これ。ちょっと食べてみて。この前隊の皆で作ったクッキーなの。けっこう美味しいって皆で言い合ってるんだよ」
「ほう」
マスターは包みを解いてハート型のクッキーを手に取った。
「ふむ。ハートの形のクッキーか。味はシンプルなやつかな。では、いただきます」
マスターは一口かじって、残りも口の中に放り込んでもぐもぐと食べている。
横にいるカドケウスがじっとマスターを見つめて訊ねた。
「どうかな?美味しい?」
彼女のその瞳には何故か不思議な期待の光が灯っている。
マスターは頷いて答える。
「ああ。美味しいよ。でも……何か変わった風味があるクッキーだな」
マスターは若干首をひねっている。
それを見たカドケウスは、慌てたように姉のケーリュケイオンに目をやった。
だがケーリュケイオンは落ち着いてそれに答えるのだった。
「ふふ♪そうでしょ。実はそれって普通のクッキーじゃないんだ」
〈ええっ!〉
カドケウスはマスターの横で、姉が一体何を言い出すのかとハラハラしているような感じだ。
「ほう。と言うと?」
マスターは興味深げな視線をケーリュケイオンに向ける。
ケーリュケイオンは得意そうな表情で話し始めた。
「ふふ♪ただの普通のクッキーを作っても何かつまらないでしょ?だから私達が戦闘時に食べる用として試しに作ってみたのよ。それを食べると精神を高揚させる事が出来て、更には少し精がつくような感じにしてみたの」
「ああ、なるほど。だからか。うっすら体が熱くなってきた感じがするからな」
マスターはそう言いながらも、またクッキーを口に運んでいる。どうやらお気に召したようだ。
ケーリュケイオンはマスターを観察しながら、マスターの隣に座るカドケウスに念話を送ってみた。
【カドケ……たぶんもうヘルメスルの効き目は出ているはずよ……試しにもう一度マスターにすり寄ってみて】
カドケウスは自信なさげに姉に応える。
【うん、分かった……でも、そんなに変わって無さそうに見えるけどなぁ】
カドケウスはためらいがちにマスターに身を寄せる。
彼女とマスターの体の側面同士がピタリと触れ合った。
だがマスターはチラリとカドケウスを見たが特に何も言わない。それに何の動きもしなかった。
いつものマスターなら避けるはずの体勢なのだが。
マスターはあまり普段見かけない変な表情でモジモジしているように見え、更には何となく顔を赤らめているようにも見える。
ケーリュケイオンは明らかなマスターの態度の変化を見極めて、今度は自分が仕掛ける事にした。
ケーリュケイオンは飲み物を取るために一度立ち上がってから今度はベッドに浅く座り直し、その時にわざとスカートをずらして自分のパンティが見えるようにしてみた。
ケーリュケイオンは飲み物をゆっくり飲みながら、素知らぬ顔でマスターをコッソリと観察する。
あのマスターの位置なら自分の太ももの隙間からバッチリとパンティが見えるはずであった。
マスターは少し挙動不審な動きをしながらも、チラチラとケーリュケイオンのほうを見ている。
もちろんその視線の先はケーリュケイオンの股間に見える下着へと向けられていた。
ケーリュケイオンは身体の奥底がゾクゾクとしてきた。
好きな人にエッチな視線で見られるのがこんなにも気持ちが良いとは。
カドケウスはマスターの隣に寄り添って、とろける笑顔ですり寄り始めている。
「んふふ~♪」
ケーリュケイオンも負けじとマスターの隣に座った。
そしてマスターの耳元でささやく。
「ねぇマスター。ひたいに少し汗かいてない?暑いなら少し脱げばいいのに」
「ええっ!?」
マスターはどぎまぎしながら応える。
ケーリュケイオンはマスターを可愛く見つめて言う。
「私達って、本当は部屋ではもっと薄着なんだよ」
「ねぇ?カドケ」とケーリュケイオンはカドケウスに同意を求めた。
「え?……あ!うん!そうっ、そうなんだよ」
カドケウスは見事に空気を読み話を合わせると、素早く服を脱ぎ出した。
マスターが制止する暇すらない。
カドケウスはあっと言う間に、ピンクのブラとパンティだけのエロ可愛い半裸姿になってしまった。
「ちょ、お前、何てカッコ……」
マスターは慌てた様子で、カドケウスをチラチラと何度も盗み見ている。
ケーリュケイオンはマスターの意識がカドケウスに向いている間に服を脱ぎ捨てた。
彼女は紫のベビードールの下着を身に付けていて、可愛らしさの中にもエロさがある妖艶な半裸姿になっていた。
「えいっ♪」
ケーリュケイオンはよそ見をしているマスターの腕を胸の谷間に押し当てるようにかき抱いた。
マスターは腕にフニュっとした柔らかな感触を感じケーリュケイオンのほうを振り向いたが、彼女のその下着姿を見て声も出ないようだった。
マスターは両方からエロ可愛い少女に迫られて、身動きが取れずに固まってしまっていた。
もちろんマスターのある部分のほうもすでにカチカチである。
「マスターの汗、拭いてあげるね♪」
ケーリュケイオンがかいがいしく身を乗り出して、必要以上にマスターに触れながら、マスターのひたいの汗をぬぐう。
「あ、ああ。すまない……」
マスターはもうされるがままだ。
「あん。マスター。汗でシャツが湿っちゃうよ。脱ぎ脱ぎさせてあげる♪」
カドケウスがマスターのシャツのボタンに手をかける。
「ええっ?あ、ありがとう……」
マスターはもう断らなかった。
「……ねえ、マスター……」とケーリュケイオンがマスターの耳元で囁く。
「あっちでお話ししよう♪」とカドケウスがマスターの手を引く。
マスターは下着姿の二人に手を引かれ、ふわふわとした足取りで部屋の片隅にあるベッドへと導かれていったのであった。
{続け}
この後どうなったかはプチえろ方面でご想像下さい(笑)。
このヘルメスルの媚薬でこのマスターのキル姫達がこれからどうするのかはまだ未定です。
読む人が多ければ続くかもですが、とにかく読んで下さってありがとうございました!
(^^)/