竜は2本足に翼を持つ西洋のイメージ
龍は蛇のような身体に4本の手足を持つ東洋のイメージ
今作で【龍】と名がつきますが、【竜】として扱います
~始まりの国・城の屋上~
大臣「…」
―おーい―
王様「なんじゃ、こんなとこにいたのか」
大臣「少し外を見ていました」
王様「勇者に会いたくなったか?」
大臣「一緒にしないでください」
王様「ほっほっほ」
大臣「褒めてませんけど?」
大臣「いつものように勇者殿に会いたいと、駄々をこねないのですか?」
王様「いやなに、その気になればいつでも会えるわい」
大臣「その気になっても、一歩も通れなかったくせによく言いますね」
王様「お主最近、発言にトゲが増してない?一応キングじゃぞ」
大臣「ハリボテキングですな」
王様「そろそろ泣くよ?」
大臣「王様」
王様「なんじゃ」
大臣「毎日毎日、王様を止めるのに疲れてしまいます」
王様「しょうがないじゃろ、勇者に会いたいだけじゃもん」
大臣「もん、て」
大臣「風が出てきました、そろそろ戻りましょう」
王様「のう大臣」
大臣「なんでしょうか」
王様「疲れておるのなら、今日くらいは職務を休んでもよいのだぞ」
大臣「疲労の元凶がよくいいますよ」
王様「ごめんね」
王様「まぁ、とにかくわしは今日、大臣を休ませたからのう。城にはおらぬ」
大臣「今目の前にいる私はなんですか、えぇ?」
王様「わしゃお主なぞ知らん、よく似た誰かじゃろ」
・・・・・・・・
王様「じゃから城の兵に大臣を探したりはさせん、国外へ行こうともやつの好きなようにさせるまでじゃ」
大臣「…(…本当に掴めんお人だ)」
グオオォォォォォ!!
~中間の国・宿屋裏~
魔物「がっ…!うぐっ…!」ガクッ
僧侶「なぜ…こんなところに魔物が…」
戦士「危なかったな、話に夢中になりすぎてたようだ」
僧侶「…」
戦士「中にいるのは…今のやつだけか、他は東側の街道に集まってるな」
僧侶「一匹だけ送り込んで…挑発のつもりですか…索敵してみます…」スゥ
戦士「するだけ無駄だと思うが…数がよ」
―魔王城方面・東側の街道を魔物が覆い尽くす―
僧侶「ちょ、ちょっと!かなりの数なんてもんじゃないですよ!」
戦士「…完全に殺す気で来てるな」
僧侶「で、でも確か土魔は1対1でしか戦わないはずでは?」
戦士「チッ…側近の差し金だな…」
~少し前~
~中間の国・街道・上空~
土魔「わし一人でよいと言ったのが…伝わらなかったようじゃの」
側近「万が一にもだ、お前まで離反されたらかなわん」
土魔「くだらぬ、するわけなかろう」
土魔(…どうしてあの2人は、勇者について行ったんだろう)
土魔(それに勇者、2人と旅するの楽しいって…)
側近「あいつらのところへ一匹だけ送っておいた、直に此方へ来るだろう」
土魔「そうか」
側近「忘れるな、【勇者】はお前の母の仇だと」
土魔「貴様なんぞに言われんでも…わかっておるわ…」
側近「(餓鬼が…)だといいんだがな」
側近「魔物約2万、預けるぞ」
土魔「預ける?わしを監視するの間違いであろう?」
側近「ふん、そう思いたければそう思え。失敗は許されない、わかったな?」
土魔「誰にモノを言っているんじゃ?貴様、調子に乗るなよ」
側近「…活躍を期待している」チラッ
魔物「…」コク
側近「それではな」スゥー
土魔「去ったか」
魔物「土魔様、これから如何致しますか?」
土魔「全軍待機、地上へと向かい地上部隊へ伝えよ。追って飛龍の咆哮で、進軍の合図を送る。」
魔物「はっ!」バサバサ
~現在~
土魔「飛龍」
飛龍「どうした?」
土魔「お願いがあるの…」
飛龍「申してみろ」
土魔「中間の国の上空に行って」
飛龍「心得た、我にしっかり掴まれ」バサァッ
~中間の国・上空~
飛龍「ここでよいか?」バサッバサッ
土魔「うん、ありがとう」スッ
【赤いスライムのアクセサリー】
飛龍「それは確か人間の童子にもらったと」
土魔「私がこれを捨てたら、進軍の合図を」
飛龍「もう、よいのか?」
土魔「…うん」ギュッ
土魔(さよなら…私の、最初で最後の…大切な友達…)
飛龍「グルルルルル…」
土魔「…行こう」スッ
【赤いスライムのアクセサリー】は 静かに地へ落ちていった
飛龍「 ヴ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ! ! ! ! ! 」
魔物「進軍せよ!!!!」
―オオオオオオオオオオオオオ!!!!!!―
~中間の国・宿屋裏~
戦士「あれは!?」
僧侶「飛龍ですね…もうこんなところまで…」
戦士「東に集まってた魔力が動き出した…今のが合図か」
僧侶「向こうへ引き返していきましたが…」
戦士「あぁ、乗ってるだろうな…土魔が」
~中間の国・宿屋~
勇者「まものさんのさけびごえ…」
~賢者『じゃから次に会う【約束】じゃぞ!次に会ったらわしも教える!』~
勇者「まもらなきゃ…ともだちがいるんだ…!」ガチャッ
~宿屋・受付~
宿屋「おぉ坊主、大変だ!」
勇者「おじさん!まものさんがくるよ!」
宿屋「あぁ、今それで町の中が大混乱になってるんだ!」
勇者「おじさんはいそいでにげて!」
ワー キャー にっにげろー!
宿屋「おじさんは…って、坊主何言ってんだ!」
勇者「ぼくは…【勇者】!!だから…まものさんをとめるんだ!!」
宿屋「はぁ!?【勇者】!?」
勇者「ぜったいにみんなをまもるから!」ガチャッ
宿屋「お、おい待て坊主!!死んじまうぞ!!!おい!!!」
~裏口の戸~ ガチャッ
戦士「おい!宿屋の主人!大変だ!」
宿屋「あぁもう知ってるよ魔物だろ!?それよりおたくらのとこの子がよ!」
僧侶「勇者様が…?なんですか!?早く答えなさい!!!」グイッ
宿屋「うっ…ぐっ…はな…」
戦士「僧侶落ち着け!離さないと喋れないだろ!」
僧侶「はぁっ!はぁっ!」パッ
宿屋「げほっ…い、今…あの子…自分は【勇者】だからっつって正面玄関から出ちまったんだよ!」
僧侶「なんですって…!?…くっ!!」
戦士「おい待て!僧侶!…あの馬鹿っ!」
宿屋「待てよ!お前らも逃げ…行っちまった…あの僧侶…なんつー馬鹿力だよ…げほっ」
~中間の国・商店街~
勇者「はぁ…はぁ…っ」
「自警団は何やってんだ!」
「馬鹿野郎!自警団でどうこうなるわけねーだろ!」
「おかーさーん!」
「急いで西門から脱出するんだ!」
勇者「みんなむこうから、はしってくる…むこうにいけば…!」
僧侶「はぁっ…はぁっ…待ちなさい!」ガシッ
勇者「そうりょさん!?」
僧侶「何をしているのですかあなたは!!」
勇者「まものさんが…まものさんがきてるんだよ!」
僧侶「そんな事百も承知です!何をしているのですかと聞いているんです!」
勇者「みんなをまもるんだ!はなして!」
僧侶「魔物とまともに戦えない未熟者が人々を守れるわけないでしょう!犬死にですよ!」
勇者「でもぼくたちしか 僧侶「いい加減にしなさい!!!」
勇者「っ!」ビクッ
僧侶「あなたには魔王を倒すという使命があるのを忘れたんですか!?」
勇者「…でもっ」
僧侶「でもじゃありません!ここは引きますよ!」
勇者「そしたらみんなしんじゃうよ!」
僧侶「【勇者】様の命には代えられません!多少の【犠牲】は『仕方ない』んです!」
勇者「どうして…そんなこというの…」
僧侶「…どうしてもです」
~賢者『あぁ~と…ごはん、ありがとうなのじゃ』~
僧侶「ほら、行きますよ」
勇者「…」
~賢者『あっあとっ!その…次に会ったらっ…あ、遊びに行くのじゃ!』~
~勇者『わかったー!【約束】だよ!』~
~賢者『絶対じゃからなー!』~
勇者「…はなしてよ」
僧侶「まだ言うんですか、いい加減に 勇者「そうりょさんなんてだいっきらい!」バシッ
僧侶「あっ!勇者様!待ちなさ…だいきら…え?」
戦士「だ~~~やっと追いついたと思えば勇者が行っちまったか…」ゼェゼェ
僧侶「…」カハッ
戦士「人が流れてくるもんだから苦労したぜ…お前はなんで口から血を流してんだ?」
僧侶「キラワレタ キラワレタ キラワレタ…」ブツブツ
戦士「はぁ…」
戦士「前に話した、今が『その時』なんじゃねーのか」
僧侶「」ピクッ
戦士「人化魔法を解けばすぐにでも東門の前に行けるぞ、勇者より先に」
僧侶「旅…一緒に出来なくなるかもしれませんよ…」
戦士「だが勇者は守れる…潮時かもな」
僧侶「…行きましょうか」
戦士「楽しかったな…ここまで」
~戦士『いくぞー!戦士号発進ー!』~
~勇者『わーい!はっしーん!』~
僧侶「…」
~勇者『ごめんなさい、そうりょさん…』~
~僧侶『大丈夫です!私も疲れてますので!聖水撒きすぎて腕痛くって!』~
~勇者『ありがとう!せーすいでまもってくれたんだね!』~
~商店街・外れ~
勇者「はぁっ…はぁっ…」タタタタ
ピタッ
勇者(そうりょさんにひどいこといっちゃった…あとであやまらなきゃ…)
グッ
勇者(はやくおわらせてかえらなきゃ)
浅い川が流れている
勇者「かわ…ぬれたらそうりょさんにおこられちゃうけど…」
勇者「はしはとおいから…このままむこうに…もんがあるはずだから…わたらないと…あれ?」
【赤いスライムのアクセサリー】が川上から流れてくる
勇者「あっ!まって!」ザブザブ
勇者「よいしょ…んしょ…」ザブザブ
勇者「なんで、これが」ザバッ
勇者が手にした瞬間、誰かの残留思念が頭に流れる!
もうちっとだけ、この国の話は続くんじゃ
だれるかもしれないけど、シリアス書いたことほとんどないので許して下さいのじゃ