勇者「えい、えい」魔王「…」   作:めんぼー

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ど、どうしよう…シリアスなんて書いた事ないよぉ…ふえぇ…


のじゃ!

~翌日~

~中間の国・宿屋~

 

勇者「そういえばね!きのう、ともだちができたんだ!」

戦士「ほぉー、もう友達が出来たのか」

勇者「うんっ」

僧侶「お、男の子ですか?女の子ですか?」ハァハァ

戦士(こいつ…)

 

勇者「おんなのこ!」

僧侶「あ、そうですか」スッ

戦士「露骨に興味なさそうな顔すんのやめろ」

 

僧侶「それじゃそろそろ買い物に出かけましょうか」

戦士「あぁ、装備は揃えたし、後は勇者が欲しいもの買ってゆっくりしたら、出発だ」

勇者「うんー!いくのじゃー!」

 

僧侶「ふふっ、王様の真似ですか?」

戦士「まーた変な言葉お前が教えたんだろ」

僧侶「失礼ですね!そんな事しませんよ!」

戦士「はいはい、犯罪係数インフレインフレ」

僧侶「塵も残らず消えろと?」

 

勇者「きのうあった、ぼくとおなじくらいのおんなのこがね、こうやってしゃべってたのじゃ!」

戦士・僧侶「ちょっと待ってその話詳しく」

 

 

 

 

~魔王城・魔王の間~

 

風魔「あの子達は接触したみたいね」

魔王「そうだな、互いの素性を知らぬ故、会話を楽しんでいた」

風魔「違う種族の子供達。笑い合い、手を取り合う未来。見てみたいとは思わない?」

魔王「だが片や人に化けた魔族だ」

 

風魔「そんなの、取るに足らない問題だと思うのだけれど」

魔王「…勇者は拒絶するかもしれぬぞ」

風魔「拒絶するかもしれないし、しないかもしれない。先の事なんて誰にもわからないでしょ?」

魔王「確かに先の事など誰にもわからぬ。だがな…」

 

風魔「魔王のくせに懐が小さいのね、だからアレも小さいのよ。このチャイルド魔王」

魔王「見たことも無いくせに誤解を招くような発言をするな!なんだチャイルド魔王って!」

風魔「何ってそりゃナ 魔王「貴様もう黙れェ!!!!」

 

風魔「それにね」

魔王「今度はなんだ」

風魔「勇者はそんな事で友達を捨てるような子じゃないわ」

魔王「…それはお主が勇者の 風魔「ストップ」

 

風魔「外ならまだしも、魔王城でその話はしないって約束じゃなかったかしら?」

魔王「…そうであったな」

 

風魔「とにかく、私は親友との約束を果たしたいの」

魔王「親友…【龍姫衆(りゅうきしゅう)】の一人、【陸戦姫(りくせんき)】か」

風魔「彼女は『母親として』最期まで土魔の事を心配していたわ、人間に恐れられる相手がよ?信じられる?」

魔王「何度も聞いた…言葉こそ荒々しかったが、慈愛に満ちた、よき将であったな」

 

風魔「まぁ、今の土魔とそう変わらない『どチビ』だったけどね」

魔王「お主まだそんな事を…その発言が元で一時犬猿の仲になったではないか…」

風魔「いやーあの頃は若かったわぁ♪」

魔王「一騎打ちまでしておいて…若かったでは済まされんぞ」

 

風魔「けれど私達は【親友】になった」

魔王「…」

風魔「あの頃があって、今があるの。私の大切な思い出、誰に指図されるいわれはないわ」

魔王「わかったわかった…口ではお主に勝てぬ」

 

風魔「思い出ついでにそういえば」

魔王「なんだ」

風魔「陸姫から伝言を預かっているの」

魔王「奴が死んだのは何年も前だぞ…なんと言っていたのだ?」

 

風魔「『魔王の玉無し野郎』」

魔王「…」ピクッ

風魔(あらあらこめかみに青筋立てちゃってまぁ)

 

風魔「冗談よ」

魔王「あやつならば言いそうでな…」

風魔「(まぁ言ってたんだけど)伝言があるのは本当、でもまだ教えてあげない」

魔王「なんだと…?」

  「…」

 

風魔「『娘が幸せになったら伝えてくれ』だってさ」

魔王「…解せぬ、何故今ではダメなのだ」

風魔「土魔が幸せじゃないから、以上」

魔王「…」

 

魔王「そういえば、よいのか」

風魔「何が?」

魔王「お主の乗っていた【飛龍】のことだ。今は土魔が乗っているのだろう?」

風魔「…飛龍の方からあの子の傍にいてあげたいって言われちゃね。私はそれが嬉しかったけど」

魔王「流石【空戦姫(くうせんき)】と言ったところか。龍の言葉がわかるとは」

 

風魔「『元』でしょ、今の私は風の魔人」

魔王「今一度、龍姫衆を結成するというのはどうなんだ?」

風魔「却下、陸姫がいない龍姫衆なんて私には必要ないの。…話の続きだけど」

魔王「あぁ、すまんな」

 

風魔「あの飛龍は元々、陸姫のところから譲り受けたのよ。陸姫が土魔を乗せて飛んでいた時期もあってね」

魔王「ほう、それは初耳だ」

風魔「だから飛龍は、陸姫の娘である土魔を慕っているの」

魔王「なるほど…合点がいった。およそ龍とは、力を示さぬと従わぬからな」

 

風魔「そうよ~、私の時なんて大変だったんだから」

魔王「お主でも手を焼く龍とはな」

 

 

~回想~

 

風魔「うっ…っく…!」

飛龍「ふん、これしきも避けれぬとはな。その程度の力で我を従わせるなど、片腹痛いわ」

風魔「まだ勝負はついてないでしょ…!」

飛龍「凡愚が、これほどの差をどう埋めると言うのだ」

風魔「チッ…これで…どうよ!」

 

 

 

 

【トグゾーこうら】

飛龍「 な に ぃ ! ? 」

魔王(現代)『ちょっと待て』

~回想終了~

 

魔王「なんで龍が【マルオカート】を」

風魔「結果、バナナを食らった私は12位へ落ちたけど、1位へと返り咲いたわ」

魔王「聞けよ、龍って何なんだよ、おい」

 

風魔「そして私達は、【戦友】になったの」

魔王「いや、いい話っぽくしてるが過程が酷すぎるからな?」

 

風魔「ただ、飛龍の息子はバトルが強かった」

魔王「やっとまともそうなのが」

 

 

風魔「【クラッシュブラザーズ】とか無敗だわね、キャプテン・ハトを使わせたら右に出るものはいないわ」

魔王「もうやだ」

風魔「冗談よ(旅に出て、今頃どこで何をしてるのかしらね…)」

 

~それから~

 

風魔「まぁそれはそれとして」

魔王「ようやく元の話に」

風魔「今、土魔はこれからの人生の分岐点にいるの」

魔王「ほう、というと?」

 

風魔「勇者と共に歩めるか、否か」

魔王「最初に勇者を殺す気で、四天王を放ったのだがな」

風魔「彼らの性格上、絶対に出来ないと踏んだ上で止めなかったの」

魔王「もし読みが外れていたらどうしたのだ」

 

風魔「いいえ、外れることはない。絶対に」

魔王「…」

風魔「本気よ、『元』空戦姫の【先見の明】、舐めないでもらいたいわね」

魔王「いくつもの拠点を単独で掌握したその力…侮るものかよ」

 

 

 

~中間の国・宿屋~

 

勇者「っていうことがあったんだー」

戦士「そうか…」

僧侶(まず間違いないですね…土の魔神ですか)

 

戦士「勇者」

勇者「なに?」

戦士「ちょいと部屋で待っててくれるか?僧侶とこれからの事を話してくる」ガチャッ

勇者「りょうかいなのじゃー!」ビシッ

僧侶(はい天使、添い寝しよ)

 

バタン

 

戦士「…外で話すぞ」

僧侶「はい」

 

~中間の国・宿屋裏~

 

戦士「さて…どうしたもんか」

僧侶「土魔ですか…」

戦士「であれば、まず間違いなく飛龍がいるはずだ」

僧侶「でしょうね、恐らくは街道に陣取っていると思います」

 

戦士「下手に動けば上空から恰好の的か…」

僧侶「魔王城へ向かう街道は平原沿いですからね」

戦士「戦闘になっても、俺達は本気を出せば問題ないが」

僧侶「勇者様…ですね」

戦士「あぁ…正体を晒す事になる」

 

戦士「そういえば土魔は【勇者】っていうモノに執着してたな、なんでだ?」

僧侶「龍姫衆という部隊、ご存知ですか?」

戦士「あぁ、話には聞いたことあるな。龍に乗って戦う戦闘部隊だとか」

僧侶「魔王様直属の部隊ですからね、ほぼ隠密に近い部隊なんですよ」

戦士「ほぉ」

僧侶「彼女の母親がその龍姫衆の陸戦姫だったんですよ」

 

戦士「へぇ…『だった』?」

僧侶「何年か前に亡くなったんです、陸戦姫は」

戦士「それが【勇者】と、どう関係があるんだ?」

 

僧侶「【勇者】の末裔と名乗る者に闇討ちされたらしいです」

戦士「なんだそりゃ?本当なのか?」

僧侶「末裔なのかどうかはわかりませんが、闇討ちされたのは本当みたいですよ」

戦士「龍姫衆がそんな簡単に闇討ちなんぞ…油断しない限りは…待てよ?」

 

僧侶「あなたが考えている通りですよ」

戦士「俺だって元は人間に灰燼(かいじん)と恐れられた火の魔神だ、敵には容赦しなかった。だが…」

僧侶「そう、もし闇討ちしたのが『仲間』だったら話は別なんです」

戦士「…仲間には気を許すからってか」

 

僧侶「確証はないんですけどね」

戦士「勇者に矛先が向くわけだ。親を殺された子供が、手口なんぞ気にかけるわけがねぇ…犯人が【勇者】の末裔だと信じているなら尚更ってとこか」

 

僧侶「誰にぶつければいいかわからない怒り、今の【勇者】である勇者様へ向けてしまうわけですね」

 

僧侶「まぁ、今ここでそんな話をしても仕方がないですから」

戦士「………今後の方針を決めないとな、戻るぞ」

僧侶「はい」スタスタ

 

戦士「…僧侶」チャキ

僧侶「なんです…」クルッ ドスッ

 

 

僧侶「……え?」

 

 

~中間の国・上空~

 

 

飛龍「グルルルルル…」

土魔「…行こう」スッ

 

 

【赤いスライムのアクセサリー】は 静かに地へ落ちていった

 

 

 

 

 

 

 

 

飛龍「 ヴ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ! ! ! ! ! 」 




ともだちのしるしが、あかいなみだとなっておちていく ―



~始まりの国・謁見の間~

大臣「王様!!大変です!!」ガチャッ
王様「なんじゃ騒々しい」
大臣「……オラァ!!」ダダダダダダ ビンタ
王様「なんでこっちに走ってぇばらぁ!」ビターン


王様「なんでじゃ…なんで今わしをぶった…」
大臣「本編で忘れられたので、つい!」
王様「きさま…本編の目を盗んでぶったのか…なぜだ…なぜ今ぶった…?」
大臣「…?それは、人は何ゆえ王様を殴るのかということでしょうか…?」
王様「会話の…ドッヂボールって…知って…る…?」ガクッ

兵士「進撃の大臣(笑)」

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