勇者「えい、えい」魔王「…」   作:めんぼー

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短いですが、色々ストーリーを考えながら書くので
文章力は無かったり、ありきたりな話等ありますが、よろしくおねがいします。


中間の国の戦い

~東門上部~

 

集結した四天王により、勇者と土魔の危機は去り、形勢は逆転した。

 

敵は、側近。今の側近には、四天王全員と飛龍を相手取る事は不可能に近かった。絶好の機会ーー

 

「貴様ら…同じ魔王軍であるくせに裏切るのか!」

 

側近は切断された片腕を止血するために回復魔法をかけ続け、対する四天王達に罵倒を浴びせる。

それに対し風魔は――

 

「よく言うわ、先に仲間である陸戦姫を裏切ったのはあなたじゃない」

「あの女はいずれ魔王様に仇なす敵となりえた!早い内に芽を潰して何が悪い!」

 

「それで殺したのかしら?魔王の側近が聞いて呆れるわ。それに本当のところ、彼女を殺したのは自分のためだったのでしょう?」

「なんだと…?」

 

返答するも、幼稚且つ嘘に塗れた側近の回答に、風魔は呆れる。

風魔は全てを知っているような様子だった。

 

「側近、あなた…先代魔王の息子なんですってね」

「なぜそれを…っ!」

 

知ってるのだといわんばかりに側近は驚愕した。

 

「先代魔王の息子だと!?」

「初耳なんですけど…」

 

火魔と水魔は気絶した勇者の傍にいながらも、話を聞き驚く。

 

当然よね――

風魔はそう言い、抱いていた土魔を離し立ち上がる。

 

「勇者に敗北した魔王の息子だなんて知られたら、反感を食らうに決まってるもの。実際、過去に魔王城で反乱を起こしたのでしょう?やり場のない怒りを持った魔族達が」

 

「チィッ!……そこまで…!だったらなんだ!」

 

「哀れね、側近」

「私が…?哀れ…だと…?」

 

眉間に深い皺を作り、わなわなと身体を震わせる側近。

怒りが今にも爆発せんとしているのが見てとれた。

 

「魔界を統治しようとしたけど、あなたにはその力が無かった。次の魔王の座を狙う反逆者達を前に、やむ無く逃げたのよね?」

 

「黙れ…黙れっ!貴様に何がわかる!父上を失った後、残った家族と住む地を奪われ、泥水をすすって生きてきた気持ちが…貴様なんぞにわかってたまるか!!」

 

とうとう我慢の限界と言わんばかりに側近が怒号を飛ばした。

回復を終え、片腕だが戦闘を継続することは恐らく可能。だがまともにやりあえば側近の敗北は目に見えている。

 

撤退

 

普通ならここでその発想が生まれる。しかし、頭に血が上っていた側近は、そんな事を考える節も見せなかった。

 

(かかったわね…。もう少し冷静な男かと思ってたけど、杞憂だったかしら)

 

思考する風魔。これまでの発言は全て挑発であった。少し安っぽい内容だったかと不安もあったが、上手くいった。あとはーー

 

(絶対に逃がさないわ。なぜ陸姫を殺したのか、本当の理由をその身体に聞いてあげる)

 

一部始終を見ていた他の四天王。皆、唖然といった表情であった。

 

「事情はよくわかんねぇけどよ…」

 

そう言いながら火魔は横たわっている勇者の傍から離れ、風魔の隣へ並び立つ。

そして――

 

「側近、テメェが実はどこの誰だったかなんて、そんな事はどうだっていい。だがな――」

 

火魔は炎の剣を側近に向けて構えた!

 

 

「勇者を傷つけた、土魔を殺そうとした。…テメェは許さねぇ、許されねぇよ。」

 

「……。」

 

押し黙る側近。

しばらく沈黙が続いたが、次に口を開いたのは風魔であった。

 

「黙っていても何にもならないわよ?とにかく側近、貴方は陸姫を殺した張本人としてこれから魔王軍の軍法会議にかけられる、詳しい話はそこで聞かせてもらうわ。」

 

「ふっ……。」

 

不意に沈黙を破り、側近は笑い出した。

 

「ふははははっはっはっは!!!!!」

 

突如として笑い出した側近を見た風魔と火魔は、側近を警戒する。

 

「何がおかしいの?」

 

怪訝な顔をして側近を問い詰めようとする風魔に、火魔が呼びかけた。

 

「風魔!!上だ!!」

 

「上…!?あれはっ…!!」

 

 

中間の国の国土全てを覆いつくす程の巨大な魔方陣が、空に展開されていた。

 

 

「ゲームオーバーだ、諸君。」

 

冷たく、ただ淡々と側近は言い放った。

 

 

 


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