魔界は赤、赤い空、迫り来る赤の世界
二つの色が一つに混ざる
混沌より生まれ出たモノ
天使と呼ばれ
人と魔の身体を食らい、世界を殺し始めた。
~魔王城・正門~
「いいえ、どきません!風魔様でもここは通せません!」
「…どうか、ここは、お戻り、下さい…。」
シールドオーガと死神貴族が、身を挺して風魔の外出を阻んでいた。
鬼気迫る勢いで2人につっかかる風魔。
「ふざけないで!私の…【大事な親友】が今!あの国にいるのよ!」
「ふざけてなどいません!貴女様は気でも触れたのですか!幻覚を見ているのです!土魔様を見て勘違いなさったのでしょう!お戻りください!」
「私は正気よ!」
「…死者は、蘇ったり、など、しません…。」
時と場合ならデスジョークと笑い飛ばせるような死神貴族の洒落は
風魔には煽りにしか聞こえなかった。
「死んでるやつがよく言うわよ…っ!」
「…そういう、種族、ですので…。」
「騒がしい、何をしている。」
城の中から魔王が現れる。
「魔王様!」
「…日々の、お勤め、ご苦労様、です…。」
咄嗟に魔王に向きを変え、敬礼をする2人。
「気持ちは嬉しいが、【ご苦労様】というのは本来、自分より上の立場に使っては失礼に当たるぞ、死神貴族。」
「…申し訳、御座いません。…以後、気をつけ、ます。」
「うむ、それで?この騒ぎは一体何事だ?」
軽く部下を窘めると、魔王は騒ぎの原因を聞きだす。
「現在!側近様より風魔様の魔王城からの外出禁止令!及び!監視命令が出ており!こちらで足止めをしていた次第です!」
「側近が…?何故だ?」
訝しげにシールドオーガの話を聞く魔王。
疑問に思い質問を投げる。
代わりに死神貴族が口を開いた。
「…我々にも、わかりません…。ただ、城外へ、出すなと…。」
「気に入らないわね…。私が何をしたって言うのよ。」
「ふむ。」
納得がいかず、今にも怒りが爆発しそうな風魔に対し
魔王は落ち着いた様子で顎に手を当て、側近の出した命令の意味を考える。
しかし、わからない。なぜ風魔の行動に制限と監視を設けたのか。
(…何を考えている、【先代】の息子よ。)
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【先代】とは、先代魔王の事を指していた。側近はその息子である。
先代が崩御した際、王位を継ぎ、王族としての権力だけで魔王軍の猛者を手中に収めようとした。
しかし、誰も側近に着いて行く者はいなかった。
圧倒的な力を持つ先代魔王がいたが故、崇高、恐怖、敬愛、と様々な忠誠心を保ってきたのだ。
魔王城に押し寄せる魔族を前に王族としての権力などなんの意味も持たなかった。
逃げ延びた側近は、魔界をあてもなくさまようことになる。
およそ、魔界とは実力社会であった。
人間界の王位継承とは異なり、力のある者が次の魔王となる。
崩御から数十年後、現代の魔王と側近は、次期魔王の座を巡り魔界全土から猛者が集まる、【魔界闘乱】にて最後まで闘った者同士であった。
力こそが全て-
己の力を試したい者、魔界を統べようとする者。
女を侍らせ勝手気ままな生活を夢見る者。
様々な者達が集まる。
勝者の命令は絶対―。敗北を喫した相手への絶対服従の呪いをその身に宿す。
それこそが魔界闘乱の参加条件だった。
命であろうと、愛した者であろうと、差し出さなくてはならない。
しかし、魔王が側近に提示したのは、自分に仕え、魔界統一の手助けをしてくれという、なんとも魔王らしからぬ言葉であった。
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考え事をやめ、顎から手を離した魔王は
門を守護する2匹に向きを変え―
「…シールドオーガ、死神貴族。余が許可する、風魔を通せ。」
「…魔王!」
魔王の発言は3人を驚かせた。
「しかし!魔王様!」
「…命に、代えても、門を、守護せよと…。」
「そんな命令守らんでよい、部下の命あっての軍であろう。命を無碍にするな。」
「…失礼ね、私が殺してでもここを通ろうとしたみたいじゃない。」
風魔の方へ向きを変える魔王。その顔は少しだけ笑っていた。
「否定できるのか?」
「…さぁ…どうしてたでしょうね。」
「お主のそういう素直な感情、嫌いではない。さっさと行け、陸戦姫がいるのだろう?」
「ありがとう、行ってくるわ。」
そう話すと同時に、風魔は地を蹴り出し走る。2匹の門番の間を通って正門から出ると、【
魔王軍四天王、集結!
わかる人はそろそろドラゴンクエスト以外にも
ある作品に強く影響されてるのがわかる頃合かもしれません。
ギャグ路線に戻せないのォ…でへぇへぇへへ…どうしよまじで…。