勇者「えい、えい」魔王「…」   作:めんぼー

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旅に出よう

時は遥か昔!

 

人類と魔族が存在する戦乱の世!

 

人類は魔王軍の猛攻に疲弊し窮地に陥っていた!

 

だがそこに一筋の光… 【救世主】 が現れた!!!

 

 

―始まりの国・謁見の間―

 

 

王様「…」

大臣「…」

神父「…」

王様「…わしの聞き間違いか?」

 

 

神父「いえ、王様聞き間違いではありません」

王様「おちょくっておるのか?」

神父「滅相もございません。人でなしと呼ばれ、この首飛ぶ覚悟で参りました故」

王様「この者が…神より天啓を受けし勇者だと…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者「おーさま~おひげかっこいい~!」チマ~ン

王様「オーマイゴッド」

 

 

神父「先日神のお告げにより…その…この子が勇者だと…」

大臣「…まだ10もいっておらぬような子供ではないか…」

王様「これこれ、おヒゲを引っ張ってはならんぞホッホッホ」

勇者「わ~い!」キャッキャッ

 

 

王様「ぼうや、歳はいくつじゃ?」

勇者「としってなに?」

王様「あ~…今何歳なのかな?」

勇者「ななさい!」にぱっ

王様(はい、エンジェル。恐ろしく可愛い笑顔。わしじゃなきゃ見逃しちゃうね。)

 

 

王様「仮にこの子が勇者だとしよう」

神父「はぁ…」

王様「送り出せると思うのか?」

神父「いえ、しかし…」

王様「送り出せると思うのか?」

 

勇者「おもうのか~!しんぷさま~!おーさまの椅子柔らかいよ!」

 

王様「この笑顔の前にお主は送り出せるのか?」

神父「無理ですな」

王様「この子に何かあったらと思うと…わしは…わしは…」

大臣「おぉ…民を相手になんと慈悲深い…」グスッ

神父「王様…」ホロリ

 

 

 

王様「王道RPGなんぞクソくらえみたいに他国と連携して魔王軍を数で圧倒して 大臣「王様ァー!!!!!それ以上はなりませぬ!!!!!」

勇者「おうどうあ~る…なに?」

神父「王道アスパラガスだよ、野菜の名前だ」

勇者「やさいきらい」

神父「好き嫌いはいけません」

 

 

 

神父「神よ…貴方は何故この子を…」

王様「ううむ…これでは国は…いや…」

大臣「しかし王様、魔王を倒せるのは勇者の一太刀のみと…」

 

勇者「おーさま」

 

王様「なんじゃ?」

勇者「ゆうしゃは勇者だから大丈夫!だってゆうしゃだから!」

王様「あーもう可愛いなぁ、孫にならない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~魔王城・魔王の間~

 

 

 

側近「報告します」

魔王「うむ」

 

 

側近「勇者が人間の国に誕生した模様、現在旅立ちに向けて準備をしているとのことです」

魔王「まじか」

側近「まじです」

 

 

魔王「闇あれば光あり…時代は変わっても世界の本質は変わらぬ」

側近「如何致しましょう」

魔王「先代達は勇者を甘く見て旅立たせてしまい、最期には討ち取られていた」

側近「はい」

 

 

魔王「勇者が旅立つ前に殺せ、事故に見せかけよ」

側近「仰せのままに」

魔王「では、その役を担う者であるが」

側近「四天王の水の魔神に行かせてはどうでしょう」

魔王「ほう、旅立つ前とはいえ相手は勇者だ。大丈夫なのか?」

側近「水の魔法に長けておりますし、水難事故に見せかけることも可能かと」

魔王「よい、ならば側近に一任する。吉報を待っているぞ。」

側近「失礼します」ガチャッバタン

 

 

魔王「…行ったか?」

??「はい」

魔王「そうか」

??「続きをご覧になりますか?」

魔王「無論だ」

 

水晶が 輝きだし 人間の国が 映し出される !

 

魔王「…」

 

 

側近「ということだ、頼めるな?」

水魔「いいのですか?私がその役を仰せつかっても」

側近「万が一負傷しても治癒魔法を持つお前だから頼むんだよ。人間には化けられるな?」

水魔「わかりました、そういう事でしたら。…ふふっ♪勇者の御命頂戴してきますわ♪」

側近「これで勇者も終わりだなぁ、はっはっはっは!」

 

 

 

 

~始まりの国・噴水広場~

 

 

僧侶(水の魔神)「さて…」(聞けば勇者とは子供のようですね。どうやって探しま…ん?)

 

 

勇者「わーい!」タタタタタ み゛------------ん゛!!!!!!!!!!!

大臣「勇者どのォーーー!!!!!!!」ドドドドド

兵士「それはクワガタじゃございません!!アブラゼミです!!!」ダダダダダ

 

 

僧侶「いたよ」

 

 

勇者「あ、そうりょさんだー!」ん゛み゛ーーーー!!!

僧侶「ひぃっ!虫ぃ!!」

勇者「こんにちわー!見てみてークワガター!」み゛み゛ん゛み゛ん゛み゛---wwwwwwww

僧侶「むっむっ虫っ!虫を遠ざけて下さいまし勇者様ァ!!」

 

 

大臣「勇者どの、女性に虫を向けてはなりませぬ」

勇者「え?なんで?」

兵士「女性は虫を嫌うからです、触れないのですよ」

僧侶「できれば視界からも無くして頂けると…」

 

勇者「おかーさん…おかーさんじゃなかったんだ…おとーさんだったんだね」

 

大臣「えっ」

兵士「えっ」

僧侶「えっ」

 

勇者「おかーさん家に出てきたゴキブリを手で潰してたんだ…男の人だからなんだね」

 

大臣「いやあのえっと」

兵士「それはなんというか…」

僧侶(虫を素手で…?流石は勇者の母親といったところですわね…)

 

 

大臣「例外もあります故、あまり気にしないでもよろしいかと…」

勇者「れーがい?」

大臣「あー…つまり…」

僧侶「女性でも触れる人は少しだけいるという事です、勇者様」

 

 

勇者「そうなんだ…よかった…」

僧侶  クルリ(ちょろいですね、さてこの後勇者様には死んでいただk 勇者「そうりょさんっ!」

 

僧侶「なんですか?」クルッ

 

勇者「ありがとう、そうりょさん!」にぱっ☆

 

僧侶「」ズキューン

 

兵士「落ちましたな」

大臣「あぁ、間違いない…即落ち一行だ」

 

僧侶「…」(え?なんですかこの可愛い生物、小悪魔?プチデビル?こんな可愛い子を殺せと仰るのですか魔王様?あぁそれにしてもや~ん…かわいい…持って帰りたい…勇者としての使命忘れさせて一生一緒にいてくれや~してもいいのでは?)

 

大臣(ふむ…勇者どのについて行くと言って聞かぬ輩が多いからどうしようと考えていたが…これは)

 

 

僧侶(今すぐ連れて帰ろう)ピラメキーン

大臣(今すぐ僧侶に仲間となって旅立ってもらおう)ヒラメキーン

 

 

僧侶「あの、勇者様」

勇者「なに~?」

大臣「待たれよ僧侶殿」

僧侶「はい?」(まずい、ばれましたか…!)

 

 

大臣「いきなりの不躾な物言い許されよ、勇者殿の仲間となり、共に旅に出てくれぬか?」

僧侶「はい勿論、喜んで」

兵士(はやっ)

 

 

僧侶「かの憎き悪逆非道な魔王を討ち滅ぼすべく私もお供いたします」

大臣「すまんな、急な話で」

僧侶「こうしている間にもきっと多くの方々が苦しんでいらっしゃいます…」

大臣「では…」

 

 

僧侶「はい、『今すぐに』旅立ちます」

大臣「よし、その言葉待っておった!兵士ィ!!」

兵士「馬車なら既に城の門前に待機させております!!」

大臣「善は急げだ!勇者どのぉ!!参りますぞ!!」

勇者「どこいくの~?」

 

 

僧侶「魔王退治ですわ、勇者様」

勇者「まおーたいじ?!いくー!!」

 

兵士(可愛すぎか)

王様(そうじゃろうそうじゃろう)

兵士「はい…って王様ァ!?」

 

 

大臣「チィッ!気づかれたか!」

王様「大臣貴様ァ!!!」

大臣「ここは私に任せてお前達は早く行け!手遅れになっても知らんぞーーー!」コブラツイスト 

王様「ぬわーーーーーっ!!!」ガシィッ

 

 

僧侶「勇者様、こちらです!」グイッ

勇者「おーさまいってきまーす!」

 

 

王様「勇者ァァァァァー!!!」グイグイ

勇者「おみやげ買ってくるねー!」

王様「いい子じゃなぁぁぁあああ!!!!」ダバーッ

大臣「王様…お許しを」パッ

 

 

王様「大臣…よくもわしの可愛い勇者を…」

兵士(ねぇ今さらっと『わしの』って)

大臣「ここを通りたければ私と兵士を倒してからにしてもらいましょうか」

兵士「え、ちょっ」

 

 

王様「ぐぬぬぬ…兵士長!!」

兵士長「はい」

兵士「!?」ブッー

王様「お主はそこの兵士を頼む!」

兵士長「わかりました」チャキッ

兵士「兵士長…」チャキ

 

 

兵士「え?俺も?」

 

 

王様「当たり前じゃろ!!王様悲しませ罪で2日間黒板を爪でギィーの刑じゃ!!」

大臣「うわきっついわ」

兵士「めちゃくちゃ嫌な拷問じゃないですか」

 

 

王様「そういえばお主は元兵士長だったな」

大臣「先代といえどまだまだ若いものには負けませんぞ」

王様「わしも老いたが武の国の王じゃ、引き下がれぬ」

大臣「何を、昔訓練で一度も私に勝てなかったではありませんか」

王様「キィィーーーーーー!!昔は関係ないじゃろうがァー!!」

大臣「すぐそうやってお怒りになられるところ、変わりませんな、ふふっw」

 

 

王様「おだまれっしゃい!」

大臣「王様キャラぶれすぎです」

 

 

王様「 行 く ぞ ォ !!!!」

大臣「お覚悟!」

兵士長「来い!兵士!」

兵士「やだぁぁぁ!!やあああだあああああやめてええええ!!!」ブンブン

 

~なぜか始まりの国で勇者をかけたよくわからない戦いが幕を開けた~

 

 

 

 

 

 




5/25追記:誤字報告いただいたので修正しました、ありがとうございます。

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