IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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episode. 9

 一週間後の日曜日。

 

 とうとう、クラス代表決定戦が始まる前日となった。

 そんな中俺は、織斑先生と一緒に整備室に来ていた。

 

「いや〜、すいませんね。面倒なお願い聞いて貰って」

 

「そう思うんなら、私が、納得する結果を残すんだな」

 

「まぁ、やるだけやってやりますよ」

 

 明日の決定戦。専用機持ちで、イギリス代表候補生のオルコットと戦うのだが、一夏には専用機が渡される。

 別に不満も文句も無い。一夏の奴が、俺よりも早く見つかっていて、俺が遅くに見つかったのだから、仕方がない。それに、コアは、世界に500とない貴重な物。

 其れをポンポン、人に渡すのはバカがやる事だ。

 

「さて、チェックを始めますかなー」

 

「少し待て、聞きたいことがある」

 

「ん?何ですか?」

 

 目の前に佇むフランス製IS『ラファール・リヴァイヴ』の内容を確認しようとしたら、後ろで仁王立ちしている織斑先生に呼び止められた。

 其れに、聞きたい事とは?

 

「二つだけ、聞かせろ。クラス代表になりたく無いと言いながら、こんな願いをした?」

 

「そうですね‥‥‥」

 

 そう言って、数瞬考える。

 一番の理由は、負けるのが嫌だから。けど、そんな理由じゃ納得しないだろうな。

 

「先生には、俺の夢を話しましたっけ?」

 

「‥‥‥君の両親から聞いている」

 

「そうですか。俺の夢は、“人を救う”けど、今の俺には、人を救う技術も知識も経験も無い。でも、ISは、凄いですよね。操縦者を守る為の機能が、沢山ある。生命維持装置なんて、一番良いですね」

 

 でも、と一呼吸置いて、続きを言う。

 

「でも、それじゃあ、ダメなんです。人の身で、救い。人の手で、救い。人の心で、救う。俺は、精神的にも肉体的にも弱いんです。だから、見栄でも建前でも、靡かない力が必要なんです」

 

 勿論、全ての命を救うなんて事は出来ない。けど、こんな俺でもこんな俺だからこそ、救える命があるとするならば、俺はその命の為に強くありたい。

 三年前に、()()に初めて会った時の誓いを思い出す。

 

「そうか。お前は、医者志望だったな」

 

「ええ、まぁ、その夢も少し難しくなりましたけどね」

 

 皮肉混じりの笑みを見せると、織斑先生が苦い顔をする。あれ?何か、ダメなこと言ったかな?

 

「それじゃあ、あと一つとは?」

 

「ああ、最後に聞かせろ。お前の信念は、何だ?」

 

 

 

 

 

 

 ワーワーと、騒がしい観客席を見ながら、今回限りのパートナーをチェックする。

 

「よし。準備オーケー」

 

『おい、鉄』

 

「ん?」

 

 準備を終えた所で、織斑先生から通信が入る。どうやら、一夏の専用機が届いて無いらしい。其処で、準備が終わっているのなら、俺に出てくれないかと言う事らしい。

 うーん。本当に、胡散臭い。

 

「あー、大丈夫ですよ。丁度、終わったので」

 

『そうか。すまないが、出てくれ。オルコットは、既に準備を終えて、フィールドに出ている』

 

「了解です」

 

 織斑先生との通話を終えた俺は、ラファールを起動し、身に纏う。

 そして、そのまま、ピットに立ち、フィールドへと飛び立つ。

 

 そして、試合の舞台へと、入り込んだ。

 


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