IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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最終編は、双刃編です。
というか、こっからもうISとは別物のストーリーになる可能性大ですが、それとなく入れていくので、読んでいってください。


KARTE.6 鉄双刃
epilogue. 1


「お久しぶりです。来夏さん」

 

「うん。この前杏奈に会いに来てからかなり期間が会いちゃったからね。それで、準備は大丈夫かい?」

 

夏休みに入り、臨海学校前から誘われていた試験を受けに俺は東都総合病院へ向かうと入り口のところで来夏さんに会った。

そこで軽く談笑しつつ、来夏さんが最終確認をしてくるが返事は決まっている。

 

「えぇ、もちろん。じゃなきゃ来ません」

 

「うん。君ならそういうと思ってたよ。それじゃあ、始めようか」

 

「お願いします」

 

頭を下げた俺は、病院の中に入る来夏さんの後をついて行き、集中力を高めていった。

 

来夏さんについて行くこと約数分、個室に連れられた俺はそこで試験官や監督者の話しを聞きつつ、冷静に情報を整理していった。

杏奈、親父、博斗。お前らに誓った俺の願い。絶対に叶えてみせるからな。

 

 

 

「刃の試験、始まったみたいだね」

 

「まぁ、大丈夫だろ。あいつなら」

 

「そうだと良いけどね。なんせ、人生上手くいかない事の方が多いんだからが、口癖だった刃だからね」

 

「それもそうか」

 

総合病院へ入って行った刃を、小型ナノマシンで追跡しながら試験の開始を確認する。

受かるだろうとは、僕も統真も思っているけど何が起こるか分からない。だから、こうして何かの時の為に僕と博斗が待機しているのだ。

まぁ、無駄足になって欲しいんだけどね。

 

『俺はお前の事が嫌いだ。けど、お前が親友で良かった』

 

「本当、矛盾が好きだね。刃は」

 

何故か、中学の頃一度だけほんの少しだけ刃に手を貸した。

そんときに刃に言われたことを思い出し、思わず呆れ笑が溢れる。

 

僕の事が嫌いな癖に、僕の事を親友と言った。

 

とても臆病な癖に、自ら進んで道を切り拓く。

 

何も出来ないという癖に、何でも出来てしまう。

 

平凡に見えて、僕や統真、織斑千冬(世界最強)篠ノ之束(大天災)のように非凡な才覚を発揮するのに、そんな僕らを嫌っている。

 

言うことと、行動が釣り合わない。

 

でも、それを一々気にしたことは無い。気にする気なんか全くなかった。

刃が、僕らのように自分の信念で動いていたのを知っていたから。

 

「統真。君は刃に会えて良かったと思ってる?」

 

「何を当然の事を言ってんだよ。当たり前だろ?そんな事。今までの俺もこれからの俺には、どこかしらであいつのお陰ってのが絶対にある。あいつのお陰で、お前と一緒に楽しんだり出来てるからな」

 

「僕もだよ。刃のお陰で出来たものはたくさんある。刃のお陰で生まれた事はたくさんある。刃には、かなり感謝している」

 

二人して、刃に対して同じように感謝している。

当たり前だ。歪と言われようと、僕ら三人は今まで互いを良く知りながら過ごして来た。

だから、信用も信頼してるけど、疑っていたりする。

 

「いつか、刃と三人で宇宙を飛んでみたいね」

 

「いいな。それ、嫌がっても連れてくか!?」

 

「はは、殴られる未来が見えるよ」

 

そこから、刃が部屋から出てガッツポーズをするまで、僕と統真の二人は互いに談笑を交わした。

あ、こうなったら人生に頼まれていた奴準備しなくちゃ。

 

 

 

「おめでとう、と言っておくよ。双刃くん」

 

「ありがとうございます」

 

「杏奈ちゃんの手術は、表向きは僕がメインで君はサブだ。ここは分かるね?」

 

「はい。それで、いつになるんですか?」

 

「まぁ、そう焦らないでよ」

 

試験に無事合格し、第1段階を超えた俺は来夏さんにまた案内されて、病院のまた何処かの部屋に案内された。

 

「杏奈ちゃんの症状は、下半身不全に神経遅延、異常。それによる細胞や神経の炎症。特に脚の神経は断裂している。君が考えて僕が練り直した方法ならば、杏奈ちゃんを救える。でも」

 

「でも、俺の経験が少なすぎるんですよね?」

 

杏奈の症状を聞かされ、所々冷静じゃいられなさそうになったが、気合いで持ちこたえる。

そして、来夏さんの言葉を予測して答えると来夏さんは笑みを浮かべて頷きを返してくれた。

 

「手術は一週間後だよ。それまで、僕やほかの医師の人と一緒に君の経験を増やして貰うよ。いいね?」

 

「はい」

 

「よし!じゃあ、始めようか」

 

そこから俺は、死に物狂いで学んだ。

色んな先生の色んな言葉を聞いて、実践して、技術を吸収した。

物覚えは元々良かった方だ。

 

そして、医療について学んでいくといつのまにか手術の前々日になっていた。

 


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