「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
チャイムが鳴ったから、気持ちを切り替えようと思ったが、チャイムが鳴って間もないのに担任の織斑先生と山田先生が既に教室にいた。
早くないすか?
其れと、この時間は、一限目と違って山田先生じゃなくて、織斑先生が教壇に立っている。この人が教壇に立つのは何か大事な事なんだろうか、山田先生までノートを手に持っていた。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
そう言う織斑先生の言葉に、教室が少し色めき出す。なんか、嫌な予感がするな。
そして、一夏は相変わらず分からない顔をしているが。
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点で大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで」
いや、そんな事、言わなくても分かる‥‥‥ああ、一夏の為ですね。流石は、織斑先生。こんな、小学生でも分かる事を分からない一夏の為に、説明する。
何と、弟想いの姉なのだろうか。
はっ!もしや、織斑先生ってば、ブラ‥‥!!
バシッ!
「鉄。お前、失礼な事を考えていなかったか?」
「いいえ?そんな事は、ありませんが?」
殺気を感じて、意識を現実に戻すと、織斑先生の出席簿が飛んで来ていたので、白刃取りの様に掴む。
そして、俺の事を睨む織斑先生。いや、別にそんぐらいで、殺気飛ばさないで下さいよ。彼奴じゃ、あるまいし。
「さて、鉄のせいで話の腰が折れてしまったが、誰が代表者になる?」
勿論、誰もクラス委員長に成ろうと、立候補する者は居ない。当然だろうな。
花も恥じらう高校生だ(実際どうかは、知らないがな)。友人達と遊んだり、部活に精を出したりして、楽しみたいのに、クラス委員長になんかなったら、その時間が無くなるから、しょうがない。
まぁ、かと言って俺もやる気は無いがな。
「自薦他薦問わないぞ」
「はいっ。織斑くんを推薦します!」
「私も!」
「え?えぇ!?」
他薦しても良いと言われた女子達が、直ぐさま一夏を推薦する。うん、何と無く予想してたわ。後、多分だが、俺も他薦されるな。
そうなったら、直談判と行こうか?
「はい!私は、鉄さんを推薦します!」
「私も!」
「はぁ、やっぱり‥‥‥」
その後も、俺と一夏以外に推薦される者は居らず、時間は進んで行った。
「では、候補生は織斑と鉄の二人だな」
「ちょ、ちょっと、待ってくれよ!俺は、やらな」
織斑先生は、そのまま話しを続けるようとするが、一夏が其れを止めようとする。
だが‥‥‥
「自薦他薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ」
デスヨネー。シッテタ。
そうやって、俺と一夏の二人で、決戦投票しようとなった時、誰かが其れに待ったをかけた。
「待ってください! 納得がいきませんわ!」
机をバンッ!と叩いて立ち上がった生徒は、さっきの時間に俺と一夏に絡んで来たセシリア・オルコットだった。