「何のようだ」
「釣れねぇな。今日はお前と同じ理由で来てんだぜ?」
「ぶちのめすぞ?」
「今日は何時も以上に辛辣だな」
偶に会って居るとはいえ、中高の友人との会話とは思えない会話をしながら、統真と双刃の二人の顔は笑っていた。
「当たり前だろ?お前みたいな危険人物が、居るんだからなぁ?」
「はっ!言うじゃねぇかヤブ医者が」
ピリピリとした空気に周りにいた少数の人々は、二人から距離を取る。
それは、有能な判断だ。
「死ねぇ!」
「消えろぉ!」
触れ合って居る片手を離し、両者捻りを加えた左ストレートを相手の顔面目掛けて振り抜き‥‥‥
ガーン!
「イッテ!」
「ーっ!?」
何故か鋼鉄の鉄板を叩きつけた。
そして、二人の拳の間に鉄板を挟んだ第三者は恨みがましい視線を二人に送る。
「君ら、ここがショッピングモールだって事忘れてない?喧嘩するなら、他所でやりなよ。危ないじゃん」
「「一番の危険人物が何言うか!?」」
二人からの理不尽な言葉を受け、第三者ーー博斗はただただ引きつった笑いしか出せなかった。
「自己紹介をしようか。僕は海原博斗。それで、こっちが武神統真。刃の友人さ。よろしくね」
先程の騒動から小一時間ほど経った後、なにやら騒がしくなり始めたと思って三人が振り向いた所には、ショッピングモールに来ていたIS学園の専用機持ち組と1組担任、副担任がなんとも言えない表情で立っていた。
なんやかんやあって今は、学生組で近くのファーストフード店で自己紹介も含めた会合をする事にした。
「よ、よろしくお願いします。俺は‥‥」
「織斑一夏くんだろ?知ってるよ」
「え?」
「金髪ロングの子はセシリア・オルコット。茶髪ツインテの子は鳳鈴音。金髪ショートの子がシャルロット・デュノア。それで銀髪眼帯の子がラウラ・ボーデヴィッヒ。皆んな知ってるよ」
自己紹介をされ、自分もしようとした一夏の言葉を先回りした博斗の言葉に遮られ、ほかの 4名を順に言われる。
一夏たちは最初こそ、不思議に思ったが双刃の友人ならば双刃経由で、自分たちの事を知っていてもおかしくないなと、自己完結して話しを終える。
「あ、あのお二人は今何をして居るんですか?」
「んー?まぁ、今は統真とかの知り合い数人で、放浪の旅みたいに世界中を旅行してるよ」
「え?大学行ってないんでか?」
双刃と同い年という事は、高校は卒業している筈だ。
統真は第1印象から何となく分かるが、博斗に関しては双刃と似たような雰囲気を持っているから、頭は良いのだろうと思っていたシャルロットは少し予想外の答えに疑問を感じた。
「統真は兎も角こいつに大学は無理だな。ちゃんとすれば俺より頭良いから」
「まじそれなー。てか、俺は兎も角ってどう言う意味だ?ああん?」
「そのまんまだ。分かれバカ」
「君たちバカなの?死ぬの?バカやってないと死んじゃうの?」
自分たちが見ていた双刃は、何処か大人びた感じのクールな感じだったが、今目の前にいる双刃は中学の時の自分に似ていて何処か安心したような一夏を尻目に博斗は言葉を続ける。
「今日はたまたま通りがかったから、寄ってみたら刃に会ったって訳。まぁ、すぐに出るんだけどね」
「今度は何処行くんだよ?」
「うーん、後で決めようかなーって」
「ほんと、無計画だな。お前は」
その後、和やかに会話を楽しみ数時間ほど時間を潰した後、博斗と統真は双刃たちと別れ、離れて貰った海斗たちと合流する。
「帰りますか?」
「うん、そうだね。今日は久々に楽しめたよ」
そう言って、前に進む博斗を見やり海斗はとなりにいた統真に声をかける。
「博斗さん。双刃さん?に会って楽しんでましたね。あれが心友って訳なんですね」
「いや、それはちょっと違う」
「え?」
自分が思っていた答えと違う答えが返ってきて、海斗は疑問の声を上げる。
「確かに、あいつと博斗は小学校からの付き合いでお互いのことをよく知っているが、共感や同調はしてもあいつらが互いの考えが一致した事は俺は
そう確かに呟かれた言葉に、海斗はただただ呆然とする事しか出来なかった。
双刃と博斗の考えかたを簡単に言いますと
双刃は人類賛歌を土台にした、人を成すのも人を討つのも人でありそれ以外の存在からの救済も討伐も否定する考え。つまり、進化し成長し続ける人こそが最高。
博斗は無限に広がる可能性を持った機械こそが、全てを超える存在である。つまり、双刃とは逆の機械こそが最高。
という感じです。