IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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episode. 12

「死ねぇ!!!」

 

「だらっしゃあ!!!」

 

雄叫びを上げ何度目か分からない剣戟の交わりの中、俺の心はあの時の様に滾っていた。

 

 

十分前‥‥‥

 

 

「お姉さん方、何やってんのー?」

 

「「「?!」」」

 

アリスのサポートのお陰で無駄な労力を使わずに、俺たちの目的である世界的テロリスト亡国機業(ファントム・タスク)の構成員の連中と出会う事が出来た。

 

あいつらは、突然の俺の登場に一瞬だけ焦ったがその後にはISを展開してこちらに武器を向けている。

 

成る程、腐ってもエリート達。対応はバッチリと言う訳か。

 

「てめぇ、ガキ!何者だ?!」

 

「いつからそこに居やがった!?」

 

銃口を向けながら俺の事を脅す。そんな構成員たちの目はいつでも俺の事を殺せると思わせる様な雰囲気を纏っていた。

まぁ、普通ならその脅しに反応して逃げたりするかもしれないが、俺は生憎と普通の感性を持ち合わせていないので力には力で答える事にする。

 

「さぁ、何者なんだろう‥‥‥なっ!」

 

抜刀の仕草をすると同時に虚空から神楽を呼び出し接続せずに刀身を抜き、構成員たちの銃火器を粉微塵に斬り刻む。

 

「くっ!距離を取って展開しろ!」

 

「「了解!」」

 

リーダー格の女が、他の構成員たちに指示を出すと俺から数メートル程離れてからISを展開した。

リーダー格はラファールのカスタム機。他の二人は普通の打鉄。打鉄の方はどうにか出来るが、リーダー格の方はちょっと苦戦するかもな。

 

『アリア。隙を見て分断するぞ。俺はリーダー格をやる。お前は他の二人をやれ。出来るか?』

 

『YES.只今私、非常に昂ぶっています。戦闘形態・移行』

 

「はは、ノってんな」

 

通信での指示を受けてのアリアの言葉に少し引きながら、俺は相手がISを展開したので神楽と接続する。

 

抜き身になった刀身を三人に向け高らかに語る。

 

「さぁ、始めようか。IS(ヒト)人外(ヒト)の喧嘩を」

 

俺の言葉を受けた三人は、先ほどまで俺の事を警戒はしていても殺気は感じられなかったが、言葉の後は常人が臆する程の濃密な殺気が受けた。

はは、こりゃ凄いな。でも

 

ヤブ医者(あいつ)に比べれりゃ小せぇな」

 

 

 

 

『二人は交戦したよ。それより自分達のやる事は大丈夫かい?』

 

「問題ありません」

 

四郎の言葉を聞きながら僕は、彼らが動きやすい様に周りの目を自分の力を使って最大限に誤魔化す。

でも、僕自身が得意としているのは隠密よりも破壊だ。バレる可能性は十分にあると四郎くん達に伝えて彼らの頑張りを見る。

 

「AUWの攻撃と耐久のある四郎の『笹目叢雨』を戦闘にして、攻防何方にも対応の取れると言った感じかな」

 

今回三人に頼んだのは、今IS学園で行われているタッグマッチトーナメントに乗じて忍び込んでいる亡国の連中の排除または殲滅だ。

 

「相手にダメージを与えられたら最高。撃破まで行ったら御の字だね」

 

彼らに期待はしている。でも、期待したところで彼らが必ず答えてくれるとは限らない。

なにせ、期待せずともやり遂げてくれるあの人外(統真)大天才()の二人とは彼ら三人は全く違うのだから。

 

 

 

 

「見つけた‥‥」

 

博斗さんの予想通り学園の中は何故か混乱の雰囲気が見られた。出入り口を見張りながら、博斗さんから渡された小型モニターを眺めながら明らかに他の観客とは別の行動をしている人物を見つけ、二人に指示を出して出てくるのを待つ。

 

「あら、あなたたち何者かしら?」

 

三人で陣形を崩さずに待っているとその人物が俺たちを見て、明らかにさっきまでの雰囲気とは別の空気を醸し出していた。

 

「早速で悪いが手負いで帰ってもらうぜ!」

 

「あら、それは困るわね?!」

 

海斗さんが手甲型のAUW『忌切宝華』を展開して突貫する。

金髪の女性はそんな海斗さんの攻撃に対して、周りに炎を撒き散らして防ぐ。

炎が晴れた頃には金髪の女性は金色のISを身に纏っていた。

 

「ゴールデン・ドーンですか‥‥‥」

 

「ええ、そうよ。それにしても知っていたのね」

 

「情報は大事ですから」

 

俺の言葉に口角を上げる女性を相手に俺たち二人は、AUWを展開する。

 

「あなたたち面白い物を持っているわね?如何かしら私に着いて行く気は‥‥」

 

「生憎だが、今の所属で十分何でな。遠慮させてもらうぜ!四郎!」

 

「接続開始!」

 

「無駄よ!」

 

海斗さんの攻撃を防いだ様に炎を此方に放つが、俺の『笹目叢雨』にはその攻撃は相性最悪である。

 

「水態変化!」

 

空気中の水分を吸収、放出して炎を消す。

 

「ほんと面白そうな物ね。余計欲しくなったわ」

 

「そりゃ良かったよ!」

 

未だに余裕を見せる女性に海斗さんの拳撃が放たれる。

そんな攻撃も女性は想定していた様に尻尾の様な物で防ぐが、海斗さんのAUWの能力を相手にその程度は無意味だ。

 

ダアァン!!!

 

「くっ!」

 

「俺の攻撃はぶつかった瞬間に爆裂が起こる!」

 

「加奈さん!」

 

「任せて!」

 

海斗さんの攻撃で少しだけ怯んだ女性に対して、さっきまで隠れて準備をしてもらっていた加奈さんに指示を出す。

 

「くっ!しくじったわね!」

 

「海斗さん!合わせますよ!」

 

「おう!」

 

加奈さんのAUW『土塊形無』の能力で、ゴールデン・ドーンを拘束すると海斗さんと前後からの攻撃を当てた瞬間爆発が起こる。

 

『皆んな無事かい?』

 

「博斗さん?!」

 

『無事みたいだね。相手はさっきの爆発で逃げちゃったけど、作戦は成功したよ。統真とアリアはもう帰ってるから君たちも早く帰ってき‥‥乱入者の登場だね。時間を稼ぎな。統真たちを向かわせる』

 

「あなたたち何者かしら?」

 

突然の博斗さんからの通信驚くが、それよりも先ほどまで戦っていた場所にはゴールデン・ドーンの姿は無く。

代わりに水色の髪を靡かせながら此方を威嚇するIS学園生徒会長にして現ロシア代表が立っていた。

 

 




此れで博斗たちサイドも終わりです。
この後、如何なったかは次話で説明したいと思います。

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