「そういえば、何故この日にIS学園に行くんだろう?」
「確かにな。それで統真さんは聞かされているらしいから、聞いて見たんだけどはぐらかされた」
「海斗さんもですか。私もです」
上空の雲よりも高い場所を飛行する未だに見慣れない飛行船の甲板で、加奈さんと海斗さんと会話をしながら博斗さんからの指示を待つ。
博斗さんたちと出会って一ヶ月が経って、色んな事を知ることが出来た。
死ぬしかなかった自分に役目を与えてくれた。戦える力を与えてくれた。
まだ分かり合えていないし少ないけど、友達も出来た。
私は私が大切に思えるものを守ってみたい。利用されたり命令に従うしかなかった今までだったけど、一回ぐらいは自分の意思でやりたい事を成し遂げてみたい。
そう思い、そう告げた時の海斗さんの顔はどこか呆れている様な雰囲気でしたが、その後に静かに強く頷いてくれた。
昔の事を思い出しながら私は、二人へと視線を向ける。
そして、作戦を伝えようとした時加奈さんによって塞がれてしまった。
「それじゃあ四郎!作戦とかどうなのよ?!」
「いや、なんでちょっとキレ気味なんだよ。落ち着けよ」
「ははは、まぁ加奈さんのそれは何時もの事なのでスルーでいきます」
「ちょっと、何窘めちゃってるのよー?!」
わーっ!と抗議をする加奈さんを海斗さんと一緒に無視しながら、冷静に作戦を伝える。
作戦立案が、私がこの二人から任せられた事だ。しっかりとやってみせる。
「では、作戦を伝えます。加奈さん。ちゃんと聞いて下さいよ?」
「いつもちゃんと聞いているわよー?!」
またも反論する加奈さんを海斗さんと二人笑いながら何時もの様に会話を始める。
これから戦うかも知れない亡霊たちの情報を伝えながら。
「彼らは張り切っているみたいだね」
「当たり前だろ。全員が利用されるだけの人生だったんだ。それが誰かから頼りされているんだ。張り切らない訳が無いだろ?」
「まぁ確かにそうだね。それより、試合の方はどう?」
甲板で真剣に話し合いをする四郎たちを見やり、頑張りを認める風に言う博斗にモニターの前に座りながら四郎たちの今までを思い出す。
けど、その後の博斗からの質問に答えるべくIS学園のカメラを映し出す。
「どうやら、試合はまだ始まって無いみたいだな」
「そうみたいだね。今の速度だと7、8分程で着くけど相手方がどう動くかで変わるからアリアと統真は目的地から少し離れたところで降りてくれる?」
「あぁ、任せろ。それに今日のメインは彼奴らだしな。アリア、サポートよろしくな」
「了解しました」
四郎たちの作戦会議が終わった所で、俺たちの内容も粗方終わった。でも、やっぱこう言うのはヤブ医者のアホの方がすっきりした考えが出せるな。
まぁ、あいつは自分の信念やら目的やらで候補にすら挙げんかったんだけどな。
そう内心でため息を吐きながら考えていたら、博斗が唐突に「あっ!」と声を挙げる。
「新しいオートマタ。アリアの妹型が出来たから君たちの所に送ってもいいかい?」
「新型ですか?」
「まぁそうだね。でも、アリアの妹だよ」
どこか心配そうに呟くアリアに対して、博斗は何時もの態度を崩さず話す。
まぁ旧型になっているアリアからしたら、主人に捨てられるとでも思ってるんだろうな。
博斗の奴が自分の生み出したものを簡単に捨てる訳ないから大丈夫だがな。
それから時間は進み、IS学園の付近まで辿り着いた所でそれが起きた。
「統真!敵さんが来たよ!手筈通りに頼むよ!」
「了解。行くぞアリア!」
「Yes.」
この日俺たちは、世界的なテロリストに喧嘩を売った。
四郎、海斗、加奈
誘拐されて人体実験やら何やらをやらされた国籍を消された少年少女。
実力的にはラウラと同じか少し劣る。