IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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日常回だけど、書き終わって何を書きたかったのか分からなくなりました。



episode. 7

トーナメント前日

 

IS学園の屋上で、二つの人影がそれぞれ柵にもたれかかって、風に当たっていた。

 

 

「良かったんですかー?前日とは言え、いきなり休日にして。幾ら、織斑先生とは言え発言力は其処まででしょう?」

 

「ふっ、心配要らない。この事を考えたのは、学園長だからな」

 

「成る程、其れなら納得です」

 

柵にもたれて、風に当たっていた俺は、隣に居る織斑先生に急遽休日となった今日の日の事について聞くと、この学園の学園長自ら考えた事の様だ。

何とも、裏がありそうな内容だ事だ。

 

「其れより、お前はこんな所で何をして居るんだ?トーナメントに出ないとは言え、一夏やその他の連中に教える事ぐらいは出来るだろ?」

 

「教えるって、俺は先生みたいには出来ませんよ。一緒にやって相手になるなら未だしも師事するなんて、俺では技量が足りませんよ」

 

「ふっ、何を言うか。この前やらした山田くんとの模擬戦も勝ったでは、無いか。皮肉か?」

 

「違いますよ。アレは、山田先生のミスですよ。俺の実力じゃあ、単純な戦闘だったら完敗ですよ。あの時だって、辛勝でしたから」

 

「其れこそ、皮肉であろう。戦いに置いて単純なモノが何処に有るか。様々な事を戦いと言う枠に当てはめて相手を屈服させるのが戦いだ。過程はどうであれ、大事なのは勝ったのか負けたのかだ。そして、お前は山田くんに」

 

「勝った。そんな事わかってますよ。でも、俺は、自分が認められる様に出来なきゃダメなんすよ」

 

「面倒だな」

 

「親友達にも言われましたよ」

 

他愛ない話しをしながら俺は、隣に居る織斑先生や話題に出た山田先生の事を考える。

織斑先生は兎も角、山田先生はクラスメイトの連中にかなりの頻度で、舐められて居る。

 

けど、戦った俺は山田先生がどれほど凄いのか分かる。

両方が乗ったのは、同じ装備のラファールだ。そして、俺は何時も通りに模擬戦やらをやる時と同じ様に戦った。

 

山田先生の行動パターンを幾多も考えて、その全てのパターンに対する対応策を考えて、行動した。

でも、実質アレは負けだ。

 

「自分が優れて居る何て、一度も思った事はない。でも、目指し続けるのは、何時も最善を尽くせる自分だ。か」

 

「ん?誰の言葉だ?」

 

「ん?あ〜えと、俺の親父の言葉です。親父は、外交官であんまり会いませんけど、会えた時は何時も色んな事を教えてくれるんです。其れで、勉強で行き詰ってたり、色々と上手くいかなかった時には、良くこの親父の言葉を思い出すんです」

 

「‥‥良い父親だな」

 

「ええ、親父の所為で、医者か外交官どっちなろうか悩みましたよ」

 

そう答えるが、織斑先生の顔に何処か影が見えた。

其処まで、考えてシャルルの事を解決した時の事を思い出す。

 

「(そうだった。一夏達織斑姉弟には、親が居ないんだったな‥‥)」

 

人間誰しも居るはずの親が織斑姉弟には、居ない。いつだったかは知らないと一夏は言って居たが、まぁ、多分十年前以降の一~二年だろうな。

まぁ、でも親が居ないっていう共通点としては、ボーデヴィッヒの野郎も含まれるな。

けど、織斑姉弟は捨てられて彼奴は造られたって言う違いがあるがな。

 

「鉄。お前は、何故強いのかと聞かれて何と答える?」

 

「また唐突に何ですか?まぁ、そうですね。俺だったら、強く居られるモノがあるからですね。いつだか言いましたよね?医者になって、救いたい奴が居るって」

 

「ああ、だからお前は此処に居ようとも医者になると言う事を諦めなかったからな」

 

「ええ、其れと織斑先生にもあるんじゃ無いですか?強く居られるモノが」

 

「‥‥ふっ、そんな事勘のいいお前なら分かるだろ?」

 

「こりゃ、愚問でしたね。じゃあ、今度は俺から。強さって、何だと思いますか?」

 

「‥‥‥」

 

今度は、織斑先生の質問に答えた俺が質問しする。

そして、俺の質問に織斑先生は押し黙る。

 

「‥‥鉄、お前はどう思うんだ?」

 

「俺ですか?そーですねー」

 

質問しているのに質問を返してくるが、何故そうするのか分かっているから。

 

「心の在り方。過去。言葉ですね。力が強さなんてそんな訳が無い。強い心の在り方の人は、どんな物にも屈しない。過去は、その人の成し遂げた事、やり遂げた事を語る。言葉には、その人の今までの重さが乗る。まぁ、何が言いたいか完結しますと、人其々が持っているモノで、強弱は無く。その人の持っている今までがその人の強さなんだと思います」

 

「‥‥‥‥」

 

長々と語る俺に、何も言わない織斑先生にため息を吐いて、聞く。

 

「‥‥織斑先生。貴女は自分がして来た今までの事をどう思っているんですか?」

 

「‥‥‥‥」

 

問い掛けに対しても無視。けど、柵を握る拳には力瘤が浮かぶ。

鉄柵がミシミシ言ってる何て、俺は知らない。

 

「‥‥私は‥‥‥分からないのだ。今までやって来た全てが良いことでは無い事や悪い事ではない事は分かる。だが、其れが果たして自分にとって正解だったのかわな‥‥」

 

「‥‥‥はぁ」

 

ようやっと吐き出された織斑先生の言葉に、思わず呆れの溜め息が出てしまう。

 

「何を当たり前の事を言っているんですか織斑先生」

 

「‥‥‥何?」

 

「自分がやって来た事が、果たして自分にとって良かった事なんて誰も分かる訳が無いんですよ。人間は間違う生き物です。何度も間違いをし、何度も失敗をする。けど、其れと同時に進化出来るんです。貴女が、此れまでに何をして来たのかは知らないですけど、人生の半分も生きて居ない人が、自分の今までが正解だったのかなんかで、悩まないでくださいよ」

 

そんな言葉を残して、俺は屋上を去っていく。

あれ以上、()3()()()()()()()カッコつけたくねぇからな。

 

「当日まで、後半日かぁー。はぁ、憂鬱だぜ‥‥」

 

今回、お前らが何をしようとするかは知らんが、見逃してやるよ。

精々、良い結果を出せる様に頑張れよ。博斗、統真。

 

 


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