では、どうぞ!
episode. 1
「今日の放課後の練習に付き合ってほしい?」
「はい。それに色々と言いたい事が‥‥‥‥」
「ふぅん。まぁ、やる事ないし良いぜ」
「ありがとうございます!」
シャルとの一件から数日後、色々と落ち着き始めてシャルと双刃さんが馴染みだした時に最近は参加して貰えなかった放課後の練習に付き合ってもらう事にした。
「貴様ら席に着け」
「皆さん席に着いてくださーい」
そんな事をしていたら千冬姉と山田先生が教室に入ってきたので、俺たちは自分たちの席に着いて授業を受ける。
「双刃さん!是非わたくしに、射撃の指南を!」
「指南ってお前なぁー。何事も経験だぜ?それにそんな事をして欲しいなら、俺に連勝しろよな」
「それだと指南しなくても良いな。って言うに決まってますわ!」
「お?分かってるじゃねぇか。つまり、やだね」
「そんな仰らずに!お願いいたします!」
放課後になって双刃さんと約束した第2アリーナに着くと、双刃さんが参加すると聞いた瞬間に、物凄く詰め寄って射撃指南をしてもらおうとするセシリアと其れを軽く嗜める双刃さんと言う光景が出来上がった。
「ねぇ、鉄さんってそんなに強いの?」
「強いわよ。私やセシリアは勝てるけど連勝はした事ないわね。しかも、大抵勝てるのは一番最初の模擬戦が多いわね」
「そ、そんなになんだ」
「もう一人の転入生がどんなかは知らないけど、少なくとも一年現行トップって所ね」
セシリアと双刃さんの光景を見ていたシャルが、隣にいた鈴に疑問を投げかける。
鈴も呆れた感じにストレートに答える。
それにしても双刃さん訓練機で、専用機持ちの俺や鈴、セシリアの三人に勝ち越してるんだな。
俺は仕方ないけど、鈴やセシリアは経験も技術も凄いから本当ビックリだな。
「へい一夏」
「うわぁ!な、なんスカ双刃さん」
三人で話してたらセシリアから離れた双刃さんが、豪快に割り込んで来た。
「俺を誘った理由は‥‥‥」
慌てた俺らとは反対に双刃さんは、平然とした顔で話しを変えて来た。
そして、言葉を途中で途切らすと視線をそのままシャルの方を向く。
「へえ?」
「やっぱりね。そう言う事」
「‥‥えっと、まぁそう言う事です」
その動作でシャル以外の俺と鈴は分かったので、白状する。何となくだったがやっぱり鈴も気付いてたみたいだ。
「織斑先生にも伝えるつもりなんでしょ?如何すんのよ?」
「そっちは俺が口裏合わせとくよ。一夏だけじゃキツイだろ?」
「ま、まぁ、そうですね。頼みます」
双刃さんの言葉に苦笑いを抑えきれなかったが、本当の事なので潔く認めて双刃さんに頼む事にする。
その後は、セシリア達と一緒に自主練を始めた。
「ええとね、一夏がセシリアや鈴に勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ」
「やっぱり、そうか?分かってはいるんだけどな‥‥」
「分かってても、対応出来なければ意味ないだろが」
銃火器相手が苦手な俺にシャルが、数分前に終わったセシリアとの模擬戦を見ての感想を述べた。
横でセシリアからの指導の懇願を軽くあしらっている双刃さんも、シャルの言葉に乗っかってくる。
「銃火器が白式に無いからって使って見なきゃ分からない事もあるだろう。シャルル貸してみたらどうだ?」
「最初からそのつもりでしたよ?其れじゃあ、一夏此れを使ってみて?」
双刃さんのアドバイスにシャルは、自分も同じ事を考えていたと賛同すると銃火器を呼び出して、何か操作をした後、其れを俺に渡してきた。
シャルから渡された俺は、的に向かって銃を構えて引き金を弾く。
ダァーンッ!
「如何?何か、思ったことはある?」
「えっと、とても速いって感じだな」
「そう、速いんだ。ISの
「はは、まぁ、分かってはいるつもりなんだけどな」
瞬時加速は、クラス代表戦の時に千冬姉に教えて貰った技術で、俺が零落白夜以外に持っている武器だ。
「僕も基本銃撃戦を主にしているけど、教えて貰うなら双刃さんが良いんじゃないかな?」
「まぁ、俺もそう思って何度か教えて貰おうと思ったけど、軽く流されてるのさ」
「はん。何のことだか」
「あはは、じゃあ、セシリアの動きを参考にしてみたら?バランス重視の僕の機体や鈴の遠近併用型の機体と違って銃戦重視のセシリアの機体はとても良い見本だよ」
シャルから此れからの事を言われていた時、アリーナが騒がしくなった。
「‥‥‥‥」
後ろを振り返って見たら、其処にはISを展開したボーデヴィッヒが、無言の形相で立っていた。