週明けの月曜日。朝の眠気に打ち勝ちながら女子達の賑やかな会話を聞き流しして居た。
「諸君。おはよう」
何事も無く過ぎる時間を満喫していたら、教室の扉が開き織斑先生と山田先生が入ってきた。
「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように」
ISの使用、という織斑先生の言葉に反応する生徒たち。
「各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うことを忘れないようにな。忘れたものは代わりに学校指定の水着を訓練を受けてもらう。それもないものは、下着で構わんだろう」
因みに俺や一夏のは、もう既に届いて居る。
それより水着だろうが下着だろうが言い訳ないでしょ。俺や一夏といった男子が居るのですから。
「では山田先生、HRを」
「は、はい。突然ですが、皆さんに転校生を紹介します! しかも二名です!」
やけにテンションの高い山田先生の言葉によって、さらにざわつく生徒たち。しかし、二名か。しかもこんな時期にか。
珍しいなぁ、何かあるとしか思えないなぁ。
「それでは、入ってきて下さい!」
「失礼します」
「‥‥‥」
教室に入ってきたのは、シルバーとブロンドの二人。その内のブロンドの姿を見た瞬間、教室は驚きに包まれた。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
鮮やかな金髪。人懐っこそうな顔。礼儀正しく頭を下げる華奢な姿。金髪の転校生の「男子」は、にこやかに笑って言った。
「お、男?」
「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国から入国を……」
「き‥‥‥」
そう、デュノアが言い掛けた所で女子達の一人が小さく呟く。一度体験した俺と一夏は、この後の事に想定して耳を塞ぐ。
だが、デュノアは何か分からないと言う様な表情を浮かべて居る。アーメン。お前の骨は拾ってやる。まぁ、死なせる気ないけど。
「「「「「きゃあああああああああああああーーーー!!」」」」」
耳を劈く様な女子達の黄色い叫び声。耳を塞いでいたにも関わらず、キーンッ!と耳鳴りが酷い。
「男子! 三人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形! 守ってあげたくなる系の!」
「地球にうまれてよかった~~!」
それぞれ喜びの声を上げる女子達。いや、男子が好きなら何故IS学園に来たのだろう。
「あー、騒ぐな。静かにしろ」
騒がしくなる一組の教室。だが、我らが織斑先生の一言により、一瞬で静かになるクラスメイトたち。この切り替えの早さはもはや名物と呼んでいいのではなかろうか。
「み、皆さんお静かに。自己紹介はまだ終わってませんよ」
そんな山田先生の言葉に生徒達は、もう一人の転校生に方を向く。
その少女は輝かしい銀髪を流し、ただただ立っていた。目には眼帯が添えられている。放つ雰囲気は、明らかに普通の高校生の冷たさではなかった。恐らく軍人だろう。クラスメイトたちはこちらの生徒を不気味な存在なように感じているのか、少し震えて居る子が何人か居た。
だが、俺はその少女に途轍もない嫌悪感を感じた。何故だ?
「‥‥‥‥‥」
沢山の視線が集中するなか、そいつは何も言わなかった。
「‥‥‥ラウラ挨拶しろ」
「はい教官」
そんな時間に堪らず織斑先生が指示すると、ラウラと呼ばれた銀髪の少女は、間髪置かずに返事をした。
にしても教官か。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「え、あ、あの以上ですか?」
「以上だ」
愛想ない言葉に困惑した山田先生が質問を投げかけるが、それにも愛想無く答えるボーデヴィッヒ。
「貴様が――!」
そんな時に一夏の顔を見ると激昂した様に声を上げて、平手打ちしようとするが一夏は咄嗟に身体を引いて其れを避ける。
「何しやがる!」
「私は認めない。貴様があの人の弟であることなど、認めるものか」
意味不明な言葉を残して、自分の席に座る。
暫く気まずい時間が流れるが、織斑先生によって次の準備を促され動き出す。
まぁ、流石は織斑先生と言いたいが
「それと、織斑、鉄。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」
此れは無いでしょ?
デュノアどう見たって彼奴“男”じゃなくて、“女”でしょ?
双刃は、親友の二人と来夏それとギリ千冬は大丈夫ですけど、束の様な人外や原作読者がいるのでラウラの様な人工的な人間の事を、本能的に毛嫌いしています。
慣れれば、大体大丈夫です。