IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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今回からシャルロット編ですが、双刃のお陰でこの小説の一夏は、原作よりある程度鋭いのです。

恋愛に関しては、気付きにくいだけで鈍感ではございません。




KARTE. 3 シャルロット・デュノア
episode. 1


クラス対抗戦があの乱入者の所為で中止になり、特にイベントが起こるわけでもなくそのまま週末となった。

 

休日は、何処かで身体を休めた方が身の為って双刃さんから言われたので、箒達との練習を取りやめて休日を満喫している。

 

「所で一夏。どうなんだ?」

 

「いや、何がだよ弾」

 

自分の家に帰っても良かったんだが、久しぶりに親友との時間も悪くないと思い、中学の時に鈴と一緒につるんで遊んでいた五反田弾(ごたんだだん)の所に遊びに来ている。

 

「IS学園の事だよ。お前のメール見てわかるぐらいの楽園じゃねぇか」

 

「其れは、実際に体験していないからだろ?実際に体験したら色々とくるもんがあるぜ。主に精神に」

 

「マジか」

 

そんな話しをしながら、俺が今使っているゲームキャラの技を使って、弾にトドメを刺す。

 

「ぐわっ!負けたー!」

 

「危なかったー」

 

取り敢えず、一戦終えて一息ついて他愛ない話しを続ける。

そうしていたら、ドタドタと階段を駆け上がってくる音が聞こえた。

 

「お兄! さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!」

 

扉を蹴破って入って来たのは、弾とおんなじ赤い髪にバンダナを巻いた弾の妹の五反田蘭だった。

 

「さっさと食べに来なさ――」

 

「あ、蘭。久しぶり。邪魔してる」

 

取り敢えず声を掛けておく。

 

「え、い、一夏……さんっ!?」

 

なんか、スゲェ驚いてるな。そんなに俺が居るのが、珍しいか?

 

「あの、一夏さん、いや、その……来てたんですか……? 全寮制の学校に通っているって聞きましたけど……」

 

「ああ、まあな。でも今日は休日だしちょっと外出と思ってな」

 

「そ、そうなんですか」

 

俺の言葉に何処か戸惑って居る様な雰囲気の蘭。何かあったのかな?

 

「……お兄。ちょっとこっち来て」

 

するとだんを呼びつけて、奥の方で何か会話をして居る。

気になるが、何か嫌な予感がするから辞めとこう。

 

「あ、あの、よかったら一夏さんもお昼どうぞ。まだ、ですよね?」

 

「ああ、其れに元から此処で取ろうと思ってたから」

 

「い、いえ‥‥そ、それじゃ!」

 

バタンッとまた勢い良く出て行った蘭を見て少し考える。

 

「なぁ、弾」

 

「ん?どうしたんだよ」

 

「蘭ちゃんって、何か俺に思うことでもあるのか?」

 

「はぁ?はあぁぁ!!!!???」

 

「な、何だよ。そんなに驚いて」

 

失敬な奴だ。何で、こんな事だけで驚くんだよ。

 

「い、いや。おま、お前。ほ、ホントに一夏か?」

 

「何言ってんだよ。俺は一夏だぜ」

 

「そ、そうだよな。あははは」

 

驚愕の様な雰囲気の弾は、乾いた声で笑う。不思議に思っていたが、取り敢えず厳さんが待ってるだろうから、さっさとお店の方へと降りる。

 

「おう、久しぶりだな一夏」

 

「此方こそお久しぶりです。厳さん。相変わらず元気そうですね」

 

「はっはっは!当たり前だ!って、どうしたんだ弾。惚けた顔しやがって」

 

「い、いや何でもないよ。いや、あるか。後で話すよ」

 

「お、おう」

 

お店の方に降りる。因みに、このお店の名前は『五反田食堂』と言い、この辺りに居る人の中ではかなり名の知れた食堂だ。

経営して居るのは、勿論弾の家族なんだが、弾と蘭の祖父の五反田厳さんは、八十は超えている筈なのだが筋骨隆々とした腕を使って、豪快に中華鍋を振るって居る。

 

俺と弾と、服装を変えた蘭で一つのテーブルを囲んで座って、定食の余りを食べていた。

 

「そういや、一夏の他にも男の人が居たよな」

 

「ああ、双刃さんの事か」

 

「そうそう、その人。どんな人なんだ?」

 

昼食を食べ終わった後、弾が双刃さんの事を聞いて来た。

 

「簡単に言うと、多分天才の部類に入る一つだと思う」

 

「そんな凄い人なんですか?」

 

「そういや、その人高校卒業後に見つかったんだっけ」

 

「ああ、頭良いし。優しいし。運動も出来る。ISでの模擬戦とか何回かやった事あるけど、全敗中だぜ」

 

俺に勝つのは分かる。俺と同じ素人の筈なんだが、代表候補生にセシリアや鈴にも勝ち越しているのだから、驚きだよ。

 

「ああ、後鈴が来てたぞ。代表候補生で」

 

「マジかよ。彼奴、何時のまにエリートになりやがったんだ?」

 

「俺らを見返す為だったりしてな」

 

「あいつならあり得るなぁー」

 

その後もそんな話しをしながら、お昼時を終えた俺は弾と一緒にベランダで風にあたりながら、黄昏て居た。

 

「そういや。何で、あん時に蘭の反応に気になったんだ?」

 

「?ああ、その事か」

 

そんな時に弾にそう聞かれて、双刃さんのあの言葉を思い出す。

 

「双刃さんがさ、こう言ったんだよ。「様々な事に疑問を持て」ってさ。今までは、気にして居なかった事に疑問を持ったら、色々と気付く物があったんだよ」

 

「マジかよ。その人に会って見たいわ」

 

「じゃあ、夏休み辺りに誘ってみるぜ」

 

「おう。それと一夏頑張れな。一親友として応援してるぜ」

 

「?お、おう」

 

何か含みのある言葉だったが、どうせこいつの事だ。誤魔化して言わないに決まってる。

さてと、来週からまた頑張りますか。

 


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