其れと今回は、双刃と博斗の二重視点に挑戦しました。読みにくかったらすいません。
「きゃあああぁぁぁ!!!!」
不気味な姿を見せた乱入者の登場に、観覧席が一気に騒がしくなる。そんな中横のセシリアにアイコンタクトをして、織斑先生と通信を繋げる。
「織斑先生!今、どう言う状況ですの!?」
『オルコットか。分からん。唯一つ言えることは、今アリーナに乱入してきたやつが敵だと言う事だけだ』
「わ、私達もそちらに!」
『無理だ。観覧席のシールドレベルが4になって扉が開かない。現在、三年の精鋭がクラッキングを行なっている』
織斑先生がそう言うと同時に、乱入者が現れてすぐさま扉から出ようとした学徒達の嘆きの声が聞こえた。
ちっ、面倒な事をしやがるぜ。
「セキュリティ掌握とか巫山戯んなよ自己中博士が!」
アリアのサポートに回ろうとして、IS学園のデータベースやセキュリティシステムやらを除いたら、アリーナに進入した無人機によってハッキングされていた。
「何処までも自分中心かよ!気にいらねぇ!」
アリーナの観覧席には、刃も居る。もし、刃を狙いでもしたらタダじゃおかねぇ。
『なに?!システムが、復帰した?!分かった!オルコット!鉄も居るのだろ?序でに篠ノ之も連れて、管制室に来い!』
「りょ、了解ですわ!」
織斑先生の動揺を見る限り、多分三年の精鋭達って奴らが苦戦して居るはずのクラッキングが、知らずのうちに完了されていたって所だろ。
相手を篠ノ之束と仮定して、ハッキングが確認してされてからのクラッキングまでの時間は僅か数十秒。
それが可能な奴。可能性のある奴は、博斗の馬鹿野郎しか居ない。
「‥‥‥あの馬鹿野郎。見てやがるな」ボソッ
周りが騒がしく、俺の小さな呟きは誰の耳にも入らなかった。
その後、三人で急いで管制室に着くと沢山のモニターを前に沢山の人が、慌ただしく動き回って居た。
「先生! わたくしにIS使用許可を! すぐに出撃できますわ!」
管制室に入り、セシリアは開口一番にそんな言葉を吐く。
「却下だ」
だが、当然の如く織斑先生に却下される。
そして、これ又当然の如く反論するセシリアだったが、天才型のそれも世界チャンピオンという地位に座していた織斑先生のダメ出しを含めた問いかけにしな垂れる。
こればっかりは、しょうがない。
「戦況は先生?」
「‥‥二対一だが、織斑達が不利だ」
「そうですか」
一夏と鈴は、多分山田先生に退くように言われたんだろうが、無視して戦闘をしているんだろうな。
さっきから、山田先生の慌てっぷりが半端じゃない。
「あれ?そう言えば、箒さんは何処へ行ったのでしょう?」
不意に呟かれたセシリアの言葉に、俺と織斑先生は顔を見合わせて、アイコンタクトを取る。
「山田先生!篠ノ之を見つけろ!」
「俺探して来ます!」
「まて!これを持っていけ!」
山田先生に指示を飛ばす織斑先生を見やり、管制室から出て探しだそうと思ったらそう織斑先生がインカムを渡して来た。
投げ渡されたインカムをキャッチして、片耳に着けて管制室から飛び出す。
「(多分、苦戦している一夏を見て激励の言葉でも送るつもりなんだろう。それなら、考えられるのは放送室かピットだろう)」
『鉄!篠ノ之が、ピット方面に走るのを見つけた!急げ!』
「了解!」
箒の行き先を考えていたら、織斑先生からの通信で行き先が決まり、スピードを上げるとピットの中に篠ノ之が入っていくのを見つけた。
直ぐに開けて、箒を捕まえようとしたが扉が一向に開かない。
「クソが!どうなってやがる!」
バンバンと叩くが、開く気配のしない扉に拳を突き立てていたら、バチッと静電気の様な物を感じ咄嗟に手を離すと、扉に電流が流れる。
「此処までやるか。クソシスコン自己中博士が!」
口調が崩れているが気にしない。
すぐさま扉のシステムにハッキングして、通常のシステム以外全て破壊する。
「アリア!無人機が、あのピットに砲撃したら片腕消し飛ばせ!」
『承知しました。マイマイスター』
「統真!動ける?!」
『ああ、通常通りにはな』
「それじゃあ、アリアが片腕消し飛ばすから。粉微塵に斬り刻んで!」
『あいよ!』
覚えとけよ篠ノ之博士。何れあんたの最高傑作を超えてやる。そして、見返してやる。
「!?電流が止まった?はっ!博斗の奴か。助かった!」
電流が流れたと思ったら、直ぐに止まった事に博斗の奴がこの状況を見ている事を再確認するが、今はそんな事を置いといて、ピットの中に入る。
そんな時だった。
「一夏ぁ!!男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」
箒の大声が聞こえた。
「(あのバカ!後先考えず行動し過ぎだ!)」
人外のアホでも後先考えず行動し過ぎるが、彼奴はその後どうなっても対応できる能力がある。けど、残念だが箒にそんな能力は無い。
箒の背後まで近付いた所で、乱入者の黒いISが此方に砲撃を放った腕を向けている。
だが、箒は全く動こうとしない。
「何したんだバカが!」
「ひゃうっ!」
光りが放たれた瞬間、箒の手を掴み右に投げる。
そうしたおかげで、此方には当たらずに済んだ。
「あ、ありがとーー」
「このアホンダラ!」
「むぎゃあ!」
俺に礼を言おうとした箒の言葉を遮り、頭突きを当てて気絶させる。
「織斑先生。箒を無事確保しました」
『そうか。なら、お前も篠ノ之を連れて此方に』
「いや、必要ありません。敵はもう負けて居ますから」
そう呟きながら、フィールドを見ると謎の兵器に片腕を消し飛ばされた乱入者。
そして、次の瞬間には突然現れた人影に料理の千切りの様に斬り刻まれた。
爆散する乱入者を他所に、乱入者にトドメを刺した謎の兵器と人影は、此方を一瞥するとその場から霧の様に消えて行った。
「統真のアホ。やり過ぎだ」
こうしてクラス対抗戦は、波乱を巻き起こし終わりを告げた。