IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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この小説の一夏は、原作よりも本能が鋭いです。


episode. 6

「とうとう来たなぁ」

 

「そうですねぇ」

 

週を開け、とうとうクラス対抗戦の日にちとなった。

俺は、一夏や箒、セシリア達と一緒に対戦表を見に並んで歩いていた。

対戦表が張り出されている所までは、此処から少しだけ長いので四人で世間話をしながら歩く。

 

「それで、調子はどうだ?」

 

「上々ですかね。それに箒やセシリア達と頑張って来たんだ。二人の為にも頑張らないといけませんよ」

 

「其れは、良い心構えだな」

 

「ありがとうございます」

 

漫画の主人公みたいなセリフを言った一夏に、後ろの二人が顔を赤くするが一夏は其れに気付かず進む。

交流して分かった事だが、一夏の奴は所謂鈍感の類いなのか分からんが、異性の恋愛的感情に疎い様だ。他の事には、勘が鋭い癖にな。

 

そして、暫く歩いていたら少し人だかりになっている場所を見つけ、人を掻き分けながら、対戦表の紙の前に立つ。

其処には、こう乗せられていた。

 

1-1 織斑一夏

VS

1-2 凰鈴音

 

どうやら、最初っからクライマックスの様だ。

 

 

 

「もう一度聞くが調子は、どうだ?」

 

「大丈夫ですよ。全く持って問題無しです」

 

鈴との対戦が決まって、ピットで白式を纏った俺の激励の為に来ていた双刃さんの返しに答える。

鈴とは、中学の頃から何度か口喧嘩したり殴りあったりもした。

鈴とは、良い意味でも悪い意味でも沢山の思い出がある。

 

「鈴は、どのくらい強いでしょうか」

 

「そうだな。お前と別れて転校していったのは、一年ほど前何だろ?そして、僅か一年足らずで代表候補生になって専用機を持っているんから、セシリアと同レベかそれ以上かもな」

 

「そうですわね。悔しいですが、代表候補生になるのも一朝一夕で成れる物ではありませんが、鈴さんの才能は凄まじい物だと思って下さいませ」

 

「そうか」

 

そうだな。

セシリアは、血のにじむ様な努力の上に今の地位を確立している。其れは、代表決定戦で十二分に理解している。

其れだからこそ、鈴の凄さが分かりやすい。

 

『1年の部。第一回戦を開始します。対戦する人は準備して下さい』

 

「呼ばれたな。行ってきな」

 

「はい!其れじゃあ、行ってくる!」

 

「うむ!」

 

「頑張って下さいませ!」

 

三人の激励を受けて、ピットからアリーナのフィールドに飛び出る。

 

「よう鈴。お前とまたぶつかるとはな」

 

「ええ、そうね。でも、今回はISよ。力の有利はこっちにあるわよ」

 

「そんなの関係ねぇだろ」

 

「それもそうね」

 

フィールドに出ると丁度、鈴もフィールドに出ていた。

カウントが始まるまでの間、俺と鈴は少し会話をしながら戦う準備を整えていた。

 

「そうだ一夏」

 

「ん?なんだ」

 

カウントが始まると何かを思い出したように聞く鈴に言葉を返す。

 

「この勝負、勝った方が負けた方に何か命令出来るってのはどう?」

 

「良いぜ!乗った!」

 

鈴の提案を受けたと同時に、試合開始の合図が鳴り響く。

試合が始まったと同時に俺は、鈴との距離を一気に詰めて雪片を振るうが、鈴の持っていた青龍刀で防ぐ。

 

「流石ね一夏!あんた、本当に素人?」

 

「お生憎様、初心者のペーペーだよ!」

 

軽口や皮肉を言いつつ、接近戦を繰り広げる俺たち。

俺は全力だが、鈴は多分まだ余力を残している。

 

「俺は皆んなからスタート位置が遠いからな!俺は、人一倍頑張らなきゃいけねぇんだよな!だから!」

 

「強くなってなきゃ意味ないって事かしら?!」

 

「そう言うことだ!」

 

ガキンッ!と音を立てて、青龍刀ごと吹き飛ばす。

吹き飛ばされた鈴の顔は、獰猛に口角を上げて笑っていた。その顔を見た瞬間に、俺はその場から反射的に飛び退いた。

 

「へぇ。今の分かるんだ」

 

「何かは知らんが、受けたら駄目な気がしたんだよ」

 

鈴が何かをしようとしたのは分かった。けど、そのままあの場所にいたら確実にヤバいのは分かった。

 

「其れじゃあ一夏。さっき打ち損じたから、今度は当たるわよ」

 

「ッ!」ゾクッ!

 

そんな鈴のセリフと一緒に悪寒が、全身に走った。

そして、さっき同じように全力でその場から飛び退くが‥‥‥

 

「此れは、ジャブだからね!」

 

「ガハッ!!!」

 

突然、背後から衝撃が俺を襲った。

 


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