IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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鈴編はepisode7.8ぐらいで終わると思います。
にしても本当に難し過ぎだ!


episode. 5

「あんた、相変わらず主夫スキルの高さは健在ね」

 

「そ、そうか?俺としては、此れが普通だったんだが」

 

「あんたの家は、普通じゃ無いでしょ」

 

「まぁ、言われてみればそうか」

 

クラス対抗戦を来週に控えた週末。俺は、鈴と一緒に食事を作って学園の屋上で日向ぼっこをしながら、久々に会った友人との時間を満喫していた。

 

「俺の家は、両親が居なかったし、千冬姉も仕事とかで殆んど居なかったからなぁ」

 

「多分、あんたは普通の高校生よりも壮絶な家関係を持ってると思うわね。誘拐もされたんでしょ?」

 

「まぁな。てか、何で代表候補生になった事あん時に言わなかったんだ?」

 

「あんたに言っても、「代表候補生って何だ?」て言葉が返ってくるでしょ」

 

「うっ!」

 

俺の疑問に、まさに一度あった事を的確に返されて言葉を詰まらせる。

 

「てか、あんたセシリアだっけ?彼奴に初めてあった時、そう答えたんでしょ?双刃さんから聞いたわよ」

 

「は、ははは。まぁ、な」

 

「あんたは、口に出す前に頭で考えなさい。それで、一度大変な目に遭ったでしょ?」

 

「やめろ。アレは、思い出したく無い」

 

鈴の言葉で、中学時代のトラウマが蘇りその場で悶え出す。そんな俺を見て、笑いをこらえて居るのか肩を上下に撼わす鈴にムッとなるが、このトラウマの原因は俺にもあるので、何も言い返せない。

 

「確か、家が少し金持ちなだけの顔が残念な奴が高飛車って「私の様な綺麗な存在を観れた事に感謝しなさい」なんて言って、あんたが「何処が?」って言い返したんだったわね」

 

「言うなぁー!!!アレが、何気に一、二番目ぐらいに千冬姉に苦労掛けたんだよ!」

 

「まぁ、呼び出された時の千冬さん何とも言えない顔には、流石に同情したわね」

 

あの後、千冬姉には怒られたが、その時の千冬姉の言葉は何か歯切れの悪い感じだった。

 

「それより、いよいよって感じね」

 

「お前は、大丈夫なのかよ?」

 

「ふん。一年足らずで、代表候補生に選ばれた実力を舐めないで頂戴」

 

「そう言えば、そうだったな。まぁ、お互い頑張ろうぜ」

 

「ええ」

 

そう言い、二人立ち上がり拳を合わせて自分達の練習場所へと向かう。

対抗戦での相手は、その日に発表されるが誰が来ても全力でやるだけだ。

 

 

 

「統真。君には、アリアと一緒に対抗戦に行って貰うよ」

 

木陰で昼寝して居たら、近くに来た博斗が突然そんな事を言ってきた。

 

「そりゃ、突然だな。でも良いのか?あのヤブ医者に見つかったら、どやされるぞ」

 

ヤブ医者とは双刃の事だ。彼奴は、俺の事を人外と呼ぶ。

 

「そうなったら僕が何とかしてみるよ。けど、昨日言った事が本当に起きたら‥‥‥」

 

「その為の対抗策って事か。引き受けた。それで、何処までやって良いんだ?」

 

ISに対抗するんなら、AUWを使うだろう。なら、何処までやって良くてこれ以上はやってはダメの基準がある筈だ。

 

「生徒の人たちに被害が無ければ、好きにやって良いよ」

 

「随分軽いな」

 

「まぁ、その代わりに姿を隠して貰うよ。色々と面倒になるからね」

 

「了解」

 

さてと、そうと決まれば、筋トレでもして来ますかね。

 

 

 

 

「‥‥‥ん、寝てたのか‥‥‥」

 

昨日夜遅くまで考えていたら、いつの間にか寝ていた俺は、窓から入った日光で眼を覚ました。

椅子の背もたれにもたれかかって居た背を起こし、机に置かれたノートに眼を落とす。

 

「この数式だと確率は6割。この部分を4にすると7割9部。どれもこれといった決定的な物では無い」

 

無数に書き連ねられた数式を見て、頭を抱える。首謀者が、普通の人であるならば8割以上は予測出来るが、今回の相手はあの天災博士だ。

俺の頭で測れる訳が無い。

 

「けど、何もやらないだけマシか」

 

クラス対抗戦は来週だ。今日は早く寝よ。それに、何か物凄く嫌な予感がする。

まぁ、それに関しては予想できないでも無いな。

 

望むなら、誰も傷つかない事を願うばかりだ。

 


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