IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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鈴編三話目ですが、物凄く難しいです。
もしかしたら、5、6話目で鈴編が終わるかもしれません。


ハーレム苦手だからって、鈴を外さなければ良かった‥‥‥


episode. 3

「ーーーであるからして、このような事が可能なのです」

 

鈴が転校して来てから、数日が経った。

鈴の事をライバルと思っていた箒とセシリアは、落ち着いたのか通常どおりに戻っていた。

 

そして、今日も普通の授業を受けながら、博斗のアホが言った事を考えていた。

 

「(彼奴は、大抵は事じゃ警告をしない。けど、あの時の彼奴の表情からしてふざけている訳ではないのは、確実)」

 

面白そうな事には積極的にやろうとする性格に博斗は、前にも俺の慌てた姿が見たいと言う理由で、ある事ない事俺に言って大変な目にあったが、一番の付き合いである彼奴の表情一つで、其れが本当か嘘か分からない訳が無い。

 

「(可能性としては、来週辺りにあるクラス対抗戦だが、まさかその時にどっかの武装集団が、襲撃にでもくるのか?)」

 

山田先生に偶に当てられ、目の前の数学の問題を片手間に解きつつ、博斗の言葉の真意を測る。

 

「(空からの光、か。あり得るとしたら、光学兵器を用いた空襲。そして、其れが可能な技術を持つ所となると限られてくるが、此処を狙うメリットが分からない)」

 

第一に挙げられるのは、イギリスの技術の持った組織。この世界で、光学兵器運用に成功しているのは、イギリスだけだ。

そして、第二に統真から聞いた様々な国に根を生やしているテロ組織。

あと考えたくも無いが、全てのISの生みの親である篠ノ之束。

 

「(イギリス関係組織は、有ったとしても自国にメリットになる事をする筈が無い。テロ組織の方は、態々昼に開催されるクラス対抗戦を襲撃した所で、面倒のなるだけだ)」

 

其処まで考えた所で、山田先生に指名されて手元の教科書の内容を読む。

ISを学ぶ学園と言えど、普通の高等学校と同じように普通科目も学ぶ。俺はサボっても良い訳だが、来夏さんに貰った本は、殆んど読み覚えたので、時間が勿体無いので出席している。

 

「(篠ノ之束に関しては、単純的に考えて国が用意した名誉博士達が、幾人挑んでも解析出来なかったISコアを作り上げたんだ態々此処を襲ってまで、知りたい事なんて‥‥‥‥)」

 

其処まで考えた時に、ふと一夏が目に入った。

 

「(いや、待てよ!確か織斑先生は、篠ノ之束と知り合いだった筈!其れなら一夏と篠ノ之束が、知り合っていない訳が無い!)」

 

其処まで考えた俺は、授業がもう少しで終わるのと次の授業を確認して、先生達に気付かれないように荷物を纏める。

そして、終業の鐘が鳴ると同時に教室を飛び出して、寮に自室へ駆け込む。

 

「(もし、もし一夏がISを動かせたのが偶然なかったら!可能性としては、十分にあり得る!)」

 

詳しく知らない。けど、人格が破綻しているような事は、知っている。

少数人しか認識出来ず、常識を知らないのであれば、一夏を巻き込んだのはISを動かせると言う事で、世界中から自分に大切な他人(もの)を一箇所に集め、尚且つ妹である箒が一夏に惚れている事を考えれば!

 

「やり兼ねない。メリットは、一夏の実力を測るためだろうな。アリーナには、シールドが張ってあるが其れを打ち破る兵装を造る事は、可能な筈だ」

 

考えつく考えたくも無い篠ノ之束にとってのメリット。そして、可能性を思いつけば付くほど、頭が痛くなってくる。

 

「対策をしようにも、天才どころか天災である篠ノ之束に対抗できる物がある訳が無い。有った所で、俺には其れを扱う力は無い。はぁ、八方塞がりだなぁ‥‥‥」

 

考える事は出来ても、何も出来ない自分に悪態をつきたくなるが、久しぶりに頭をフル回転させた所為で、疲れて椅子にもたれかかる。

 

「リミットまでは一週間もねぇな。一夏が、やってくれることを祈る事しか出来ねぇなぁ‥‥」

 

その後、体調不良と織斑先生に伝えて、次の日の朝まで眠った俺は、自分の無力を嘆いた。

 

ああ、強く。なりたいなぁ‥‥‥

 


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