この小説の鈴は、乙女と言うよりも悪友ポジです。
episode. 1
週を開けた月曜日。
土日に色々と大変だった俺は、今朝方帰って来たばっかなので、未だに眠気が取れて居なかった。
けど、他の皆んなはそんな事御構い無しに騒いでいる。
元気なのは良い事だが、元気過ぎるのも考え物だな。
「あ、そう言えば鉄さんは、聞きました?」
「ん?何をだ?」
「二組に転校生が来るそうですよー」
「へぇ、転校生ねぇ‥‥‥」
まだ4月も終わっていないっていうのに転校生か。
事情があって入学に間に合わなかってのだろうか。というか、そもそもIS学園って転入条件が、かなり厳しいはずだった。
それに試験自体国の推薦がないとできないし。となると転校生は・・・・
そんな事を考えていたら、前の方で同じ事を聞かれていた一夏や一夏ラヴァーズの二人が、また賑やかな事を話していた。
そして、クラスの誰かが、専用機の事を言うと教室に扉が勢いよく開かれた。
「その情報古いわよ!」
扉の所には、背の低いツインテールの女生徒が、腰に手を当ててポーズを決めて居た。
「彼の娘が、転校生みたいだねー」
「しかも、一夏の知り合いみたいだな」
転校生の顔を見て、親しそうに話す一夏を見て、周りにいるクラスメイト達と話しを広げる。
にしても、仲が良さそうだ。けど、箒達みたいな感じがしない。親友なだけか?
「それじゃあね一夏」
「おう」
颯爽と去っていくツインテ。そして、一夏に詰め寄る箒とセシリアの二人。
恋は盲目。命短し恋せよ乙女なんて、色々言うけど、たかだか好きな異性が見も知らぬ同性と居るだけで、何もあそこまで血眼になる必要が、あるんだよ。
杏奈が、男子と話してる時も俺は、あそこまで気にしなかったぜ。いざとなれば、そいつよりも告白すれば済む事だからな。
「「一夏(さん)!!!!」」
「五月蝿い!」
「ヘブッ!」
「「ひゃあ!」」
SHRの開始の鐘が鳴ったのに一夏に詰め寄っていた為か、教室に入って来た織斑先生の一撃で沈められた。
それと、一夏もとばっちりで一撃貰っていた。
「お前の所為だ!」
「貴方の所為ですわ!」
「いや、自分らの所為だろ」
午前の授業を終えてお昼時になると、一夏が一緒に食堂に行かないかと聞いて来たので特に用事は無かったので着いていくと、転校生の事で頭が一杯になっていて織斑先生からの一撃を沢山貰っていた箒とセシリアが文句を言ってきた。
間接的には、一夏は関わってるが別に一夏だけの所為な訳があるか。
「所で、彼女は誰なんだ?」
「そ、そうだ!まさか、彼女か!?」
「そんな訳無いでしょ。強いて言うなら、悪友よ」
「お、鈴」
「はーい一夏。今朝方ぶりね」
俺が、気になっていた事を一夏に聞くと、箒が慌てたように詰め寄りながら、一夏を問いただすが、その行為は話題の人物に一瞬にして解決される。
「凰・鈴音よ。気軽に鈴で構わないわ」
「そうか。そんじゃ、俺も。鉄双刃だ。鉄でも双刃でも何方でも構わない。あ、因みに歳は18だ」
「ん?年上?」
「大学受験後の全国調査で、見つかたったんだよ」
「それは、災難ね」
フレンドリーに自己紹介する鈴に対して、俺も軽く自己紹介をする。
惚けている箒とセシリアを置いて、一夏と鈴と一緒に注文の列に並ぶ。
「て事は、箒が転校した変わりに鈴が来たのか」
「そうですね。それから、中二の最後まで鈴とは、交流がありました」
「一夏と居たら、殆んど退屈じゃ無かったわね。色々とやってくれたし」
「てか、鈴。双刃さんは、年上だぞ?フレンドリー過ぎないか?」
「ああ、気にすんな。別に何とも思わないからな」
「そうですか?」
注文も終えて、三人で他愛ない話しをしながら、空いてるテーブルに座ると、箒達が遅れてやって来た。
「そう言えば、あんたクラス代表なんだってね」
「まぁ、成り行きでな」
「あ、私二組の代表だから試合で当たった時は、容赦しないわよ」
「はは、お手柔らかに頼むぜ」
それから、世間話をしながら昼食を終えて、午後の授業まで時間を潰した。
にしても、クラス対抗戦か‥‥‥‥。アホどもが、来そうな感じがする。