「ふぃー」
オルコットとの勝負に決着を付けた俺は、怠い身体に鞭を払いながら、ピットへ戻り、一息吐く。
「やっぱ、戦うのは怠い。てか、頭がガンガンする‥‥」
試合中ずっと、頭を動かしていた所為か、身体が怠いのと頭の頭痛が、酷い。
ああ、何でこんな事に本気になったんだか。
「けど、この後如何なるんだ?まさか、もう一試合する訳じゃ無いよな?」
一抹に不安を抱きながら、ラファールを解除して近くの壁にもたれかかる様に、地面に座る。
そうした所で、織斑先生から通信が入った。
『鉄。時間あるか?』
「え?あ、えと、はい。疲れて、動けませんけど」
『そうか。今回は、次のオルコットと織斑の試合を終えたら終わりだ。明日、やれるか?』
「えと、遠慮します。代表には、なりたく無いですけど、一々戦って、こんな状態になるんなら、やりたく無いっすね」
『そうか。分かった。なら動ける様になったら、寮の自室で休む様に』
「了解です」
織斑先生との通信を終えた俺は、身体が動ける様になるまで、念のために持ってきていた医学書を読みながら、ピットに常設されたモニターに映されているオルコットと一夏の戦いを眺めていた。
「雪片弐型ねぇ‥‥」
ISに、全く興味の無い俺でも分かるのは、織斑先生が、現役の頃使っていた武装と同じ名前と言う事。
そして、弐型と言う事は、原型を改良して作られたと考えられる。
「はっ!結局は、何処かで見ている
面白くねぇなぁ。
次の日。
「……という訳で、一年一組のクラス委員は織斑一夏君に決まりました。あ、一繋がりで丁度良いですね」
わぁーと盛り上がる教室の中に混じり、俺は睡魔と戦っていた。
余り褒められた事じゃ無いが、俺の居る一年一組は、かなり五月蝿いイメージがある。
だが、そんな五月蝿い中に居ても全く眠気が取れない。昨日は、疲れで、其処まで遅くまで起きて無かった気がするが、まさか、まだ疲れが取れて居ないのか?
「あの、質問良いですか?」
「はい!何ですか、織斑君」
騒がしいクラスを眺めて居たら、今の一組の騒がしさの原因である一夏が、手を挙げ質問をする。
「あの何で、俺がクラス代表になってるんですか?俺は、試合に負けたのに。なるなら、双刃さんやセシリアじゃ無いですか?」
ああ、その事については、俺も気になってた。
最後まで見た訳じゃ無いが、あの後織斑先生から聞いた限りでは、一夏はオルコットに負けた筈だ。
それに、俺は代表を辞退した。だから、オルコットが代表になる筈なのだが、まぁ、また何かあったんだろうな。
「それは‥‥‥」
「それはわたくしが辞退して、一夏さんを推薦したからですわ!」
「うぅ‥‥」
一夏の質問に答えようとした山田先生の言葉を遮り、オルコットが勢いよく立ち上がり、大きな声で宣言する。
そして、自分のセリフを遮られた山田先生は、涙目で落ち込んでいる。
それにしても、一夏“さん”か。青春だねぇ〜
「其れと、一週間前の発言で皆様の気持ちを不快にさせてしまい、すいませんでした!」
立ち上がったオルコットは、他の生徒たちの方を向くと、腰を90度曲げて、一週間前の事を謝罪した。
誠意を
「まあ確かにあなたは負けましたが、それは考えてみれば当然のこと。このセシリア・オルコットが相手だったのですから仕方のないことですわ」
「双刃さんには、負けたのに」ボソッ
「何か言いまして?」(黒笑)
「い、いえ、何でも無いです」
余計な事を口走った一夏に対して、黒い笑みを見せるオルコット。そして、その笑みにに気圧され一夏はオルコットから顔を背ける。
「それで・・・・まあ私も大人気なく怒ったことを反省しまして、一夏さんにクラス代表を譲ることにしました。IS操縦には実践が何よりの糧。代表となれば戦いには事欠きませんし」
オルコットの説明を聞いて、諦めたのか机に突っ伏する一夏。
「いや~、セシリアわかってるー」
「だよね~!せっかく男子がいるんだから持ち上げないと!」
「私たちは貴重な経験を積める!他のクラスの子に情報が売れる!一粒で二度おいしいね織斑くんは!」
「クラスメイトを売るなよ‥‥」
顔を挙げた一夏はがっくりと頭を垂れた。流石に気の毒とは思うがもうどうしようもないな。
「そ、それでですわね。私のように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば一夏さんもみるみる・・・・・」
バンッ!
山田先生の言葉を遮ったオルコットを今度は、机を叩いて遮る奴が出た。
「・・・・・生憎だが一夏の教官は私一人で足りているのでな。必要ない」
「あら?あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aの私に何かご用かしら?」
「なっ?!ランクは、関係ない!」
そうして、言い争いをする篠ノ之とオルコット。だが、余りにも騒がしくした所為か織斑先生から、制裁の餌食となった。ドンマイ。
「ともかく、クラス代表は織斑一夏に決定だ。依存はないな」
この織斑先生の言葉で、朝の騒がしい時間は終わった。
そして、時間は進み放課後となった。