IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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episode. 12

「ふぃー」

 

オルコットとの勝負に決着を付けた俺は、怠い身体に鞭を払いながら、ピットへ戻り、一息吐く。

 

「やっぱ、戦うのは怠い。てか、頭がガンガンする‥‥」

 

試合中ずっと、頭を動かしていた所為か、身体が怠いのと頭の頭痛が、酷い。

ああ、何でこんな事に本気になったんだか。

 

「けど、この後如何なるんだ?まさか、もう一試合する訳じゃ無いよな?」

 

一抹に不安を抱きながら、ラファールを解除して近くの壁にもたれかかる様に、地面に座る。

そうした所で、織斑先生から通信が入った。

 

『鉄。時間あるか?』

 

「え?あ、えと、はい。疲れて、動けませんけど」

 

『そうか。今回は、次のオルコットと織斑の試合を終えたら終わりだ。明日、やれるか?』

 

「えと、遠慮します。代表には、なりたく無いですけど、一々戦って、こんな状態になるんなら、やりたく無いっすね」

 

『そうか。分かった。なら動ける様になったら、寮の自室で休む様に』

 

「了解です」

 

織斑先生との通信を終えた俺は、身体が動ける様になるまで、念のために持ってきていた医学書を読みながら、ピットに常設されたモニターに映されているオルコットと一夏の戦いを眺めていた。

 

「雪片弐型ねぇ‥‥」

 

ISに、全く興味の無い俺でも分かるのは、織斑先生が、現役の頃使っていた武装と同じ名前と言う事。

そして、弐型と言う事は、原型を改良して作られたと考えられる。

最強の武器(姉の剣)新型の武器(弟の剣)として、持たすのは、側から見れば、面白い物だが、裏から考えれば、絶対に何かあるに違いない。

 

「はっ!結局は、何処かで見ている天才(バカ)の掌の上ってか‥‥‥」

 

面白くねぇなぁ。

 

 

 

次の日。

 

 

 

「……という訳で、一年一組のクラス委員は織斑一夏君に決まりました。あ、一繋がりで丁度良いですね」

 

わぁーと盛り上がる教室の中に混じり、俺は睡魔と戦っていた。

余り褒められた事じゃ無いが、俺の居る一年一組は、かなり五月蝿いイメージがある。

だが、そんな五月蝿い中に居ても全く眠気が取れない。昨日は、疲れで、其処まで遅くまで起きて無かった気がするが、まさか、まだ疲れが取れて居ないのか?

 

「あの、質問良いですか?」

 

「はい!何ですか、織斑君」

 

騒がしいクラスを眺めて居たら、今の一組の騒がしさの原因である一夏が、手を挙げ質問をする。

 

「あの何で、俺がクラス代表になってるんですか?俺は、試合に負けたのに。なるなら、双刃さんやセシリアじゃ無いですか?」

 

ああ、その事については、俺も気になってた。

最後まで見た訳じゃ無いが、あの後織斑先生から聞いた限りでは、一夏はオルコットに負けた筈だ。

それに、俺は代表を辞退した。だから、オルコットが代表になる筈なのだが、まぁ、また何かあったんだろうな。

 

「それは‥‥‥」

 

「それはわたくしが辞退して、一夏さんを推薦したからですわ!」

 

「うぅ‥‥」

 

一夏の質問に答えようとした山田先生の言葉を遮り、オルコットが勢いよく立ち上がり、大きな声で宣言する。

そして、自分のセリフを遮られた山田先生は、涙目で落ち込んでいる。

それにしても、一夏“さん”か。青春だねぇ〜

 

「其れと、一週間前の発言で皆様の気持ちを不快にさせてしまい、すいませんでした!」

 

立ち上がったオルコットは、他の生徒たちの方を向くと、腰を90度曲げて、一週間前の事を謝罪した。

誠意を

 

「まあ確かにあなたは負けましたが、それは考えてみれば当然のこと。このセシリア・オルコットが相手だったのですから仕方のないことですわ」

 

「双刃さんには、負けたのに」ボソッ

 

「何か言いまして?」(黒笑)

 

「い、いえ、何でも無いです」

 

余計な事を口走った一夏に対して、黒い笑みを見せるオルコット。そして、その笑みにに気圧され一夏はオルコットから顔を背ける。

 

「それで・・・・まあ私も大人気なく怒ったことを反省しまして、一夏さんにクラス代表を譲ることにしました。IS操縦には実践が何よりの糧。代表となれば戦いには事欠きませんし」

 

オルコットの説明を聞いて、諦めたのか机に突っ伏する一夏。

 

「いや~、セシリアわかってるー」

 

「だよね~!せっかく男子がいるんだから持ち上げないと!」

 

「私たちは貴重な経験を積める!他のクラスの子に情報が売れる!一粒で二度おいしいね織斑くんは!」

 

「クラスメイトを売るなよ‥‥」

 

顔を挙げた一夏はがっくりと頭を垂れた。流石に気の毒とは思うがもうどうしようもないな。

 

「そ、それでですわね。私のように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば一夏さんもみるみる・・・・・」

 

バンッ!

 

山田先生の言葉を遮ったオルコットを今度は、机を叩いて遮る奴が出た。

 

「・・・・・生憎だが一夏の教官は私一人で足りているのでな。必要ない」

 

「あら?あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aの私に何かご用かしら?」

 

「なっ?!ランクは、関係ない!」

 

そうして、言い争いをする篠ノ之とオルコット。だが、余りにも騒がしくした所為か織斑先生から、制裁の餌食となった。ドンマイ。

 

「ともかく、クラス代表は織斑一夏に決定だ。依存はないな」

 

この織斑先生の言葉で、朝の騒がしい時間は終わった。

 

そして、時間は進み放課後となった。

 


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