IS〜愛しき貴女へ捧げる我が人生〜   作:TENC

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今回は、織斑先生視点です。

其れと、お気に入り50件突破しました!ありがとうございます!
此れからも、出来る限り頑張るので、読んでいって下さい。


episode. 11

 弾幕の戦場。

 

 今、アリーナで行われている鉄双刃とセシリア・オルコットの戦闘を表すのに、此れほど適した言葉はないだろう。

 モニターには映る戦闘を眺めながら、私は、黒方に感嘆の息を漏らした。

 私は、前日に楽しませてくれと言った。だが、此れほどの事は、期待しては居なかった。

 

「特筆すべき点は‥‥」

 

「鉄くんが、訓練機を使って、専用機を持っているオルコットさんに、有利に戦いを進めている事ですね」

 

「確かに、そうだが」

 

 隣で、モニターを見ている山田先生が、私の言葉の後に続く様に答える。

 確かに、訓練機と言う枷を抱えながら、専用機と言う格上相手に、互角どころか、有利に戦っているのだ。

 だが、見るべき点は、其処では無い。

 

「鉄の戦い方をよく見ろ」

 

「え?‥‥‥まさかっ!?」

 

 私が、ヒントを与えると、モニターをジッと見る山田先生は、数瞬後に気付いたのか、驚きの声を上げる。

 

「特筆すべき点は、鉄の技術だ。だが、其れと同時に戦術も入る。鉄は、スタート地点から5m四方の範囲でしか動いて居ない。そして、攻撃の()()()()()()()()()()()

 

「た、確かに。そ、そうですね」

 

 鉄は、BT兵器の最初の攻撃のみ後手に回ったが、それ以外は、オルコットが行動を起こすよりも早く、攻撃を繰り出している。

 私と彼奴が戦って、何処まで行けるだろうか。負けない事は、無いだろう。いや、彼奴がもし数多ある行動パターンを予測して、()()()()()()()()()()ならば、如何だ?

 良くて、辛勝。悪くて、引き分けか?いや、もしかしたら負けるかも知れない。

 

「末恐ろしいな」

 

「全くです」

 

 こんな戦い慣れした事をするのに、医師にしか興味が無いのだ。勿体無い。

 いや、だからこそか。

 

「そろそろ、決着ですかね」

 

「ああ、そうだな」

 

 フィールドを映したモニターの横にある、二人のSEを示したモニターには、オルコットのSEが0に近くなっているのに対し、3桁も残っている鉄を映す。

 

『おい、オルコット。お前は、あの時年上に何が出来ると言ったな?』

 

 オープン・チャネルで、話す鉄の顔は、信じられないくらい感情が無かった。

 

『コレが、年上に出来る事さ』

 

『っ!?』

 

「なにっ?!」

 

「うそ!?」

 

 そして、次に発せられた言葉と、その後に起きた事に、戦っているオルコットとモニターで、眺めている私と山田先生は、驚きを露わにした。

 

 彼奴が、今手に持っているのは、自動装填式のショットガン。其れは、オルコットの持っている様なスナイパーライフルの様に、狙って撃つよりも散弾して、全体的に攻撃するものだ。

 だが、鉄が先程やったのは、散弾では無く一発の弾丸を銃口から打ち出し、展開されて居なかったオルコットの二基のBT兵器を狙い撃ちし、爆散させる。

 

 あり得ない。あり得る訳が無い。

 

 そうとしか言えない光景に、山田先生だけで無く、私も開いた口が塞がら無かった。

 

フィーネ(終わり)だ。ミス・オルコット。悔やむなら、己の慢心を悔やむんだな』

 

『っ!!!!』

 

 鉄は、ショットガンをアサルトライフルに帰ると、イギリス語で終わりを意味する言葉を放つと、姿がブレた。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 

「知識としては、教えていましたが、まさかやって遂げるなんて」

 

 私達の呟きを他所に、オルコットの懐に潜り混むと、アサルトライフルの銃口を腹に当てると、引き金を引く。

 

『チェックメイト』

 

『きゃあああああぁぁぁ!!!!』

 

『セシリア・オルコット。シールドエネルギーエンプティー。勝者、鉄双刃』

 

 そして、オルコットの悲鳴と爆発音と共に、鉄の勝利が、告げられた。

 


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