けど、今回では決着は付きません!すいません!
「あら、逃げずに来ましたのね」
フィールドに出ると、オルコットの奴が、ふん、と鼻を鳴らし腰に手を当てたまま俺の事を見下す。
けど、そんなオルコットの言葉を無視して、俺は目を瞑りイメージを固める。
「最後のチャンスをあげますわ」
反応の無い俺に構わず、オルコットは言葉を続ける。
因みに、試合開始の鐘は既に鳴っている、
「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげないことも……って聞いていますの!?」
反応を見せない俺に、痺れを切らしたのか、ツッコンで来るオルコット。
仕方ない。
「‥‥一つ言わせて貰うぞ、オルコット」
「っ!な、何ですの!」
何故か、言葉を詰まらせるオルコット。
だが、今度は俺が其れを気にせず続け、両手にグレネードランチャーを呼び出す。
「戦闘において、無駄口叩いていたら、お前“死ぬぜ”?」
「っ!?」
発言を終えると同時に、右手のランチャーの発射させる。だが、勿論、其れを避けるオルコット。
けど、そんな単純な先手を取るようじゃ、相手を倒せるわけが無い。
間髪入れずに、左手のランチャーをオルコットが居る場所からすこしズレた場所に打ち込む。
普通に考えれば、当たる訳が無い攻撃だが‥‥‥
「まさかっ!?」
どうやら、オルコットは気付いたのか、寸で進行方向を変えると、両手に抱えたライフルを俺に構える。
けど、既に俺の両手には、グレネードランチャーではなく、自動装填式のショットガンが構えられて居る。
「時に、オルコット。お前、射撃戦闘何時からやってやがる?余裕があるんだろ?」
「くっ!好き勝手、言わないで下さいまし!」
俺の質問に、顔を軽く歪めながら、ショットガンの弾丸を両手のライフルで撃ち落とす。
レーザー?いや、光学兵器と見た方が無難か。
「因みに、俺は小六の頃から、やって居る。時間にするなら、四万はあるぜ」
「くっ!貴方こそ、そんな無駄口叩いてよろしいんですの?!」
「無駄口は、無駄な事を言うから無駄口だ。其れに、俺が言いたいのは、お前はどれだけ、射撃をして来たんだよ?」
まぁ、射撃って言っても、ゲームのガンシューティングゲーだけだけどな。
けど、ゲームだからと侮ったらいかん。オープンワールドのガンシューティングゲームのプレイヤーの中には、600m先の敵を狙撃したり、殆んど見えない起爆機に弾丸を撃ち込む何て、バケモノじみた事をする人が居るのだ。
人間慣れれば、簡単だ。人を助けるのも。‥‥‥殺すのも。
「此れでは、埒があきませんわ!ブルー・ティアーズ!」
俺とオルコットの射撃が、対抗して、決め手に欠けて居たが、オルコットが叫ぶと、バックパックの幾つかの部分が、四つに分離し、其々が、別の起動をしながら、俺に向けて攻撃を仕掛けて来た。
俺は咄嗟に、ショットガンを収納しシールドを二つ展開する。
「(ビット?!いや、確かBT兵器だったか!成る程、厄介だ!)」
頼りたくなかった博斗から得た、ISの武装情報を頭から捻り出し、内心悪態を吐く。
厄介だと、思っていたが、まさか此れほどとはな。
「どうしましたの!?先程の威勢は!」
さっきまでの拮抗した対戦とは、打って変わって、オルコットに追い詰められる形となった。
今は、シールドで防いでいるが、後どんくらい持つかは知らない。
「(いや待てよ!確か、シールドは、四つ入れて居た筈。だったら、やるしかねぇ!)」
シールドの持ち手を変え、ブーメランの様に持つと、そのままオルコットの方へと投げつける。
突然の行動だったが、オルコットは一瞬だけ対応に遅れたぐらいだったが、飛んで来たシールドを軽々躱す。だが、俺の本来の目的は、当てる事じゃねぇ。
「チェック!」
BT兵器が、ファングの様に遠隔操作式で、あるならば、一瞬だけでも操縦者の意識が、自分の事に集中できれば、止まる。
その結果に至った俺は、さっきのシールドを投げる行為をした。俺の思惑通り、BTは動きを止めた。
その先に、アサルトライフルを展開し、四つのBT全てに当て、爆散させる。
「ブルー・ティアーズが!?」
「さてと、次はお前だ。オルコット」
シールドを片手に呼び出し、もう一方の片手には、装填済みのアサルトライフルを展開する。
「さぁ、第二ラウンドと行こうか」