episode.1
「はぁ、何でこんな事になったんだよ」
ため息を付く俺は、もう一度周りを見渡して、またため息を吐く。
俺の周りにいるのは、女、女、女、女。見渡す限りの女に、今にも姿を隠したくなるが、逃げ場なんて無いのは知っているので、諦め、何度目か分からないため息が漏れる。
と、自己紹介がまだだったな。
俺は、
「(それにしても、何でISなんて動かせたんだ?まぁ、大方俺の知り得ない事なんだろうけどなぁ)」
インフィニット・ストラトス。通称“IS”とは、宇宙空間での活動を想定されたマルチファーム・スーツだ。
だが製作者の意図とは別に宇宙進出は一向に進まなく、とんでもないスペックを持っている機械は兵器へと変わってしまった。戦略兵器と呼ばれるほどに。だがそれは各国の思惑によりスポーツへと落ち着いた飛行パワードスーツとなっている。俺から言わせれば表向きの口上だがな。
最強の起動兵器として名を挙げたISだが、たった一つだけ、欠点が存在した。
ISは、女性にしか扱えない。
最強の起動兵器を女性にしか扱えないと言う事実は、世界を一気に変えた。
国際連合は、ISを動かせる女性を優先する制度を作り、ISを作った開発者が日本人だった事から、日本にISについて学ぶ学園が作り挙げた。
まぁ、そんな事はこの際どうでも良いが、女性が優先される世の中で、女尊男卑なんて俺ら男性には生きづらい世の中になった。
「(まぁ、俺が此処にいる元凶の
そして、俺が今いる場所は、そのIS学園だ。
何故、男である俺が、ISを学ぶ場所に居るのか。理由は簡単だ。
ISを動かせる男が現れた。
名前は、忘れたが、俺より3歳下だったな。いや、この学年の学徒は、全員3歳下だったな。
世界初の男性IS操縦者が、現れた事で、全国の15から18歳の男子を対象にした一切、適正調査が行われた。
其れで、見つかったのがこの俺。
まぁ、見つかった時は、キレたね。調査が行われた時期は、大学や専門学校を受けた奴らが、合格通知だったり、何だったりと自分の道を進んで行く最初の時期だ。
俺も、先生や俺が希望していた大学の知り合いの人とかに、勉強を教えて貰いながら、やっとの事で手に入れた合格通知が、適正が見つかった事で、無くなって、卒業した高校生活をもう一度、送らなければならなくなったのだ。
まぁ、俺の事をニュースで知った
「皆さーん!入学おめでとうございます!私は、この一年一組の副担任の山田真耶です。一年間ですが、宜しくお願いしますね!」
「(おっと、考えに浸っていたら、先生が来たことに気付かなかったみたいだな。それにしても、かなり幼い感じの先生だな)」
元気な女性の声が聞こえ、考える事を一先ずやめて、前を向くと眼鏡を掛けた緑髮の先生らしき女性が立っていた。
雰囲気から、先生何だと思ったが、身長と顔が幼い所為か、中学生が、無理して専門学校して居るようにも見える。
本人に言ったら、落ち込むか怒られるだろうな。
「あ、あれ?」
「(おっと、女子の皆さん方は、前方のファーストに夢中の様だ。て、泣かないで下さいよ。余計、幼く見えますぜ)」
男子に目がいっている女子達は、山田先生の言葉に反応を返さず、山田先生は、予想していたのと違っていたのだろう。惚けた顔して、慌てている。それと、涙目になっている。
「うぅ、其れでは窓際の席から自己紹介をして下さい」
涙目の山田先生は、何とか進行しようとして、自己紹介を始めさせる。
俺の席は、真ん中の列の後ろ側だ。
自分の番になるのを、自己紹介している女子達の顔と名前を覚えていく。
そして、真ん中の列の奴の番となり、真ん中のど真ん前にいるファーストの番になった。
けど、ファーストは、何か考え事をしているのか、山田先生の言葉の反応を示さない。
「織斑くん?織斑くん?織斑くん!」
「は、はい!」
何回か、山田先生が呼ぶと漸く気づいた様で、声を挙げて立ち上がった。
にしても、織斑か。んー、下はなんて名前だったっけ?
その後は、織斑一夏の名前だけ言って、終わったファーストこと一夏の自己紹介と、その自己紹介に異議(物理)を唱えて、入って来たこのクラスの担任であり、一夏の姉の織斑千冬の登場とかで、騒がしくなったが、織斑先生の鶴の一声で、何とか静かになった。
はぁ、先が思いやられるぜ。