薔薇の騎士   作:ヘイ!タクシー!

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アポクリファ面白い。正直言って、物語的にしっかり構成されてるアポさん書きたい。アニメ見て、アポクリファの発想がポンポン出てきますね。ぶっちゃけ物語中盤まで書けるヨ。
でも物語的にGOの方終わらせないとそっちに行けない悲しみ。つらい。

ついでにフィオレ可愛い。声優さんがドンピシャです。








この慟哭を聞かせたくない。それでは彼女は救われないから

「……なるほど。よく、わかりました。まさか世界そのものが焼却されているとは。私の悩みなど小さなことでしたね」

 

「……お願いジャンヌ。私達に協力して欲しいんだ」

 

 ジャンヌにカルデア側の事情を話した立香は、改めてジャンヌに協力を求めた。それを拒否する理由など聖女にはあるわけがない。

 

「ええ。私なんかで良ければ助太刀しますとも。むしろ、私だけで魔女であるジャンヌ()を倒そうとしていたのです。こんなにも心強い味方がいるのなら、私としても嬉しい」

 

『やった! 『救国の聖女』が共に戦ってくれるなんて凄くツイてるぞ! 凄い人が僕達の味方になってくれたもんだ!』

 

「…………」

 

 ロマニがテンション上がったように言った直後、ジャンヌの顔に影が射した。それに目敏く気付いた立香が不安そうに声を掛ける。

 

「どうしたのジャンヌ? 何処か体調悪い?」

 

「あ、いえ違いますよ。大丈夫です」

 

 そのいつもの微笑みを向けられた立香は何か言いたそうな表情だったが、彼女に迫るわけもいかず、引き下がった。

 

「では今日はもう休みましょう。私はサーヴァントなので睡眠は必要ありませんが、マスターである立香さんはそうはいかないでしょう?」

 

「そうですね。先輩が休めるようすぐ準備しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 __________

 

 

「立香さんは…………どうやら眠ったようですね」

 

 夜、即席のキャンプで休む彼等を起こさないよう、ジャンヌは外に出て、少し離れた小川の近くに腰を下ろした。

 

 その表情は何処か浮かない。

 

「リィル………私は、どうすれば良いのでしょうか…………」

 

 

 

「ジャンヌさん?」

 

 ジャンヌが小さな声で呟くと、いつの間にか外に出ていたマシュがジャンヌの後ろから声を掛けた。

 マシュの声に反応したジャンヌがビクリと肩を震わせる。

 

「あ………マシュ」

 

「すいませんジャンヌさん。貴女の声が聴こえたもので」

 

「いえ………少しだけ驚きましたが、大丈夫ですよ」

 

 ジャンヌがそう声を掛けると、マシュは安堵したのか彼女の隣に腰を下ろした。

 

 しん、と静まりかえる夜の森。川のせせらぎが二人の間で静かに聞こえる中、マシュが意を決したようにジャンヌに話しかけた

 

「あの………もしかしてですが、ジャンヌさんは私達に何か言ってないことがありますか?」

 

「………………」

 

「詮索するつもりは無いのですが………」

 

「………そう、ですね。この際、告白しましょう」

 

 少しだけ躊躇いを見せたジャンヌだったが、何かを決意した表情で言った。

 

「私はルーラーとして正式に呼ばれました。ですが、私が死んですぐの時代だからでしょうか。なんと言うか………今の私はサーヴァントとして、新人のような感覚なんです」

 

「新人、ですか?」

 

「はい。私がこの時代に二人いるせいなのか、聖杯からの知識も、英霊の座にある記録も触れることが出来ない………まるで初陣に向かうような気分なんです。…………先程、夢見勝ちな魔術師さんが私を『救国の聖女』だと言いましたが、私にはその言葉に相応しい力があるかどうかもわからない…………それに」

 

 ジャンヌは膝を腕に抱え込むと、弱々しそうに呟いた。

 

「私はあの子の…………リィルの最後の泣き顔が頭から離れないのです。フランスを救う、その為に頑張ってきた私ですが、やはり後悔している」

 

「リィル、と言う方はもしかして………」

 

「ローズリィ・ゲール。とても優しい、リィルの名前…………

―――私が処刑される時、あの子は自分の方が酷い状態だったのに、泣き叫んで私の助命を願っていました………火で炙られる事なんかより、あの子の悲痛な叫び声の方がずっと苦しかったッ………」

 

 苦しそうに、自分を責めるように、彼女は小さな声で叫んでいた。

 

「私は確かにフランスを救いたいと思っていた………でも、本当は………あの子が安心して暮らせるように、ただそれだけ願って私は立ち上がった筈なのに……! 私は、彼女を殺してしまったッ!」

 

「ジャンヌさん………」

 

「私は弱い。弱いんですよマシュ……… 私があの子のように強ければ、一緒に戦えたのに。私が弱かったからあの子を殺してしまった……… こんな、一人の大切な人も守れない私が、救国の聖女なんて……… 笑ってしまいますよ。 一人では何も出来ないくせにッ」

 

 ジャンヌは自嘲するように鼻で己を嗤う。心底自分を侮蔑するかのように、ただ自分の存在を呪う。

 

「私を憎んでくれたら、どれだけ良かったか……! 私のせいで自分は殺されるのだと罵倒してくれたら、どれ程救われたかッ!

――――それでも優しいリィルは、私なんかを最後まで想ってくれた! 自分の方がツラい筈なのに、血ヘドを吐きながらジャンヌ()を助けてと訴えていた! 

胸が張り裂けそうだったッ……… 私はあの子に何もしてあげられなかったのに! あの子はずっとずっとッ! いつだって無価値な私の為に尽くしてくれた!! 愛してくれた!!」

 

 顔を覆っていた掌の隙間からは涙が零れ、堪えるように悔しむように嗚咽の音が漏れる。

 

 その叫びは生前彼女が一度として口にしなかった慟哭であり後悔であった

 

 自分が彼女を連れてきてしまったから。自分が彼女の足手まといだったから。自分が彼女に己の罪を着せてしまったから。だから彼女を殺した。

 ジャンヌの心の中で自分がどれほど愚かであったかと、己を責めずにはいられなかった。

 

「私がッ、私が殺した! あの子の優しさに甘えて、あの子の心地好さに依存した私が殺したんだ!」

 

「どうして死ぬ気で止めなかった!? あの子に嫌われてもいいと、悲しまれてもいいと、心を凍らせてリィルを拒絶しなかった!」

 

「何が聖人だ! 何が救国の聖女だ! 何も成しえて無いではないか! 何も救えて無いじゃないか!! 大切なリィルを殺した罪人が、付けられて良い名前なんかじゃ無い!!」

 

 一度決壊した彼女の負の感情は止まらなかった。自分がローズリィを殺したのだと、ジャンヌは叫ばずにはいられなかった。

 この溢れた感情が、誰かのせいにしてしまいそうになる。流れる涙が、何かに責任を押し付けそうになる。

 それだけは、彼女の最後の理性が赦さなかった。だから彼女は叫び続けた。

 

「ごめんなさいッ、ごめんなさいリィルっ……。 貴方が命を張ってまで助けようとした私が、貴方の行いを否定しようとしている。 それだけは何があっても赦されないのに………… でも、今だけは。今だけは愚かな私を赦して……」

 

「………」

 

 それ以降、ジャンヌは時折嗚咽を漏らすだけとなった。

 彼女の独白を黙って聞き続けたマシュは、彼女が落ち着くのをただ黙って待ち続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 ジャンヌが落ち着き始めた頃。

うっすらと涙の跡が残るジャンヌに、マシュは労わる様に口を開く。

 

「……ごめんなさい、ジャンヌさん。貴方に辛い思いをさせてしまいました」

 

「いえ、いいんです…………すいませんマシュ。子供みたいに泣き叫んで、恥ずかしいものを見せてしまった」

 

「そんなことはありませんよマドモアゼル・ジャンヌ。貴女はとても美しい心を持っている………そう、強く感じました。その心も、貴方達の固く結ばれた絆も………… 少しだけ、羨ましいと思ってしまいました。とても信頼し合い、お互いを大切に思い合ったその絆が。私はまだ、『好き』と言う感情がわかりませんから………」

 

「……そう言って貰えるだけで、私は救われます。ありがとう、マシュ。それにマスターも」

 

 ジャンヌが川を向きながらそう後ろの草むらに声をかけた瞬間、ガサリと音が響く。慌ててマシュが後ろを向けば、そこには隠れていたらしい立香とフォウがいた。

 

「先輩……いつからそこに?」

 

「いや~あはは……」

 

居心地悪そうに立香は頭を掻いて、隠れていた事を誤魔化そうとするが、まったく誤魔化せていない。マシュの白い目に晒された彼女は脂汗がダラダラと流れる。

そんな彼女にジャンヌは助け船を出した。

 

「最初からですよマシュ。まあ私は立香さんにも聞いて欲しかったので、敢えて知らん振りしていましたが。盗み聞きは感心しませんよマスター?」

 

「はい……反省します」

 

「フォウ……」

 

 一人と一匹は申し訳なさそうに頷いたのだった。

 

 




どうでも良いけど、この作品の主役二人が情緒不安定なくらい叫んでる気がする。
ジャンヌさん、だいぶ病んでたわ
ちょっと持ってきた感拭えないか

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