子供とはいえここにいる以上敵かもしれない。警戒しておかなくちゃだな。
「初対面に向かって子供だなんて、失礼ね。良いわ自己紹介をしてあげる。」
いやいや見た目が子供だから子供と言って何が悪いんだ。それとも子供のごっこ遊びか何かか?
「私はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主にして吸血鬼の最高の貴族である。」
吸血鬼?俺が知ってるのはスーツ着てマントしているやつとか石で出来た仮面を付けたら吸血鬼になるあれと同じ吸血鬼なのか?しかもこんな子供が主だって?
「私だけ名乗るなんておかしいじゃない。貴方の名前は何よ。」
「…桜庭叶夢だ。悪いんだけどこの霧を消してくれないかな。」
「それは出来ない相談ね。貴方も知っているでしょう?吸血鬼は日の光に弱いの。だからこうして空を覆いつくせば外でいつでも動けるってわけよ。」
「そんなの夜に動いていれば良いじゃないか。わざわざこんな事しなくたって…。」
そこまで言うとレミリアは鋭く睨み殺気を放った。さっきまでの気品のある佇まいから獲物を狙う肉食獣のような雰囲気に変わった。
「…分からないの?私は気高き吸血鬼の貴族なのよ。それなのになぜコソコソと夜に動かなきゃいけないの。私は幻想郷の人間を支配するのよ。」
「…ッ!」
いままでの妖怪とは比べ物にならないくらいの妖力の多さと殺気を放っている。ライオンとウサギが対峙しているように力の差が歴然としているのがはっきり分かる。
(ダメだ。負けるのが目に見えている…。どうしよう。)
ー霊夢sideー
いきなり叶夢に飛んでいくナイフを落として叶夢を助けたは良かったけどさっきのは何よ。気付けばあのメイドも違う場所へ移動しているし何が起こったのよ。
「逃がしてしまったか、まぁいいわ貴女を倒してすぐ追いかければ間に合うわ。」
「あまり博麗の巫女をナメないでほしいものね。」
そう言いお祓い棒と札を手にし構える。相手はナイフを持っているけど構えてこないのはなぜかしらね。
「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私は十六夜咲夜。この紅魔館のメイド長を務めているわ。」
「ご丁寧にどうも。知っての通り私は博麗の巫女をやっている霊夢よ。悪いけどあんたを倒してこの異変を終わらせてもらうわ。」
そう言ってまずは手始めに札を飛ばし攻撃してみる。放たれたお札は咲夜目掛けて真っ直ぐ飛んでいく。被弾したと確信した瞬間咲夜の姿が消えていた。
「な…!どこいったのよ!?」
消えるなんてどうなってんのよ!あれがあいつの能力なの?あんなのとどうやって戦えばいいのよ。
「私がそんな札だけで倒せると思ってるの?素敵な巫女って頭まで素敵なのね。」
「なんで私があんたに罵られなきゃいけないのよ。」
ったく、私の周りはこういうヤツばっかなのかしら。疲れるこっちの身にもなってほしいわね。
「さっさと貴女を倒してお嬢様の下へ行かせてもらうわ。」
そう言い咲夜はナイフを私に投げてきた。そんな少ないナイフで私を倒せると思ってるのかしらね。お祓い棒を構えて避ける準備をしていると気が付くと目の前に大量のナイフが迫ってきていた。
「ッ!?」
数十本ある大量のナイフを避けたりお祓い棒で弾いたりして全てを避けきった。何よあれ聞いてないわよ!
「あれを全て避けるなんてやるわね。流石素敵な巫女ね。」
「褒めてるのか貶してるのかどっちなのよ。」
「さぁ、貴女にまかせるわ。」
「まぁいいわ。それよりあんたの能力が分かったわ。あんた、時間を止める能力とかそういう系の能力でしょ?」
「…根拠は?」
「私の勘はよく当たるのよ。」
これで時間に関係する能力だったら一つ策があるけど。
「…えぇそうよ、貴女の言う通り時間を操る程度の能力よ。まぁ、知ったところで貴女は何も出来ないでしょうけどね。」
ビンゴね、よくやったわ私の勘。でもこの策は一発勝負だから決めなきゃ負けるかもしれないわね。とりあえず攻撃を仕掛けなきゃ何も始まらないわ!
「いけぇ!」
私は札の量を増やして咲夜目掛けて飛ばす。はっきの量より何倍の札を放つ。
「そんなもの無駄よ。」
気付けばまた咲夜の姿が消えている。さっきの札も全て避けられるなんて時間を操るなんて厄介ね。
「これで終わりにするわ!」
また大量のナイフが来る!この後が勝負の決め手になるわね、集中!!
「貴女の時間も私のモノ。人間から忌み嫌われてきたこの能力本気でふるえば、貴女は何も理解出来ぬまま死ぬ。解除!」
「…ぁ。」
乾いた声の後に私目掛けて飛んでいったナイフは次々と突き刺さっていく。…が私の体は札となり咲夜に飛んでいった。
「ッ!?」
「結界『拡散結界』!!」
私が発動させたスペルカードが咲夜を囲むように結界が張られていく。これが私の残した勝てる策よ。相手の行動を封じればこっちのものよ。
「これで終わりよ!!」
懐から取り出した陰陽玉を咲夜に当て霊気を注ぎ込み大きくし咲夜に放つ。相手が人間でも十分なダメージを与えることが出来るため咲夜にちょうど良い。
「はあぁぁぁぁ!」
「かはっ!」
放った陰陽玉は咲夜を巻き込みながら吹っ飛び豪快な音をたてて消えていった。確認したらちゃんと息してるし死んではいないようね。はぁ、厄介な相手だったわ。
「待ってなさい叶夢!」
今は早く叶夢の所に行かなきゃ。かなり遅くなったけど叶夢の後を全速力で追いかけた。
戦闘シーンってムズい
次は早めに更新できるように頑張ります。