このきっと素晴らしい世界で美遊に祝福を   作:録音ソラ

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彼ですよ、彼

UA10000越えには驚きです。
ありがとうございます。
泣きます。

読んでいただけていると分かるのでとても嬉しいですね。
これからも頑張って書いていきます。

というか、士郎ってこんな話し方だっけ


7話 彼との出会い

 拠点を購入した一軒家にしてから数日後。

 

 俺は今、荷物運びをしている。

 

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 あの後すぐに俺は仕事を探した。

 意外とこの街では、人が足りていたらしく、あまりいい仕事がなかった。

 俺一人で働く分にはいいが、美遊も一緒に働くとなると別だ。

 

 最初は俺一人で働くつもりだったのだが、美遊を置いて家を出ると必ずめぐみんと美遊が外で爆裂魔法を撃って帰って来る。

 何でも、こうやって爆裂魔法を撃ちに行くことで、めぐみんは不調にならず美遊と仲良くなれるとのことらしい。

 仲良くしてくれるのは正直嬉しい。

 嬉しいが。

 いつもカエルを爆発音で起こしているらしく、逃げ遅れでもすれば危険すぎる。

 前衛のいないパーティで行くべきではない。

 昼間にめぐみんが一人になれば行かないだろうということで美遊と働ける場所を探していた。

 

 しかし、見つからなかった。

 なので、最近仲良くなったウィズ魔道具店の店主、ウィズに話を聞いてもらった。

 

「この街で俺と美遊が働ける場所はどこかないか?」

「それでしたら、ここで働いてみませんか?お給料もちゃんとお支払いしますから…!」

 

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 ということで、現在は美遊とともにウィズの店で手伝いをしている。

 商品運びのために、今はこれを運んでいるんだが…

 

「こんなもの何に使うんだ?」

 

 基本、何かと爆発するポーションばかり仕入れている気がする。

 それにこの街ではほとんどの人が必要としないアイテムばかり仕入れるから赤字になるんだと思う。

 美遊が今もウィズに必要なものと必要ないものについて話してくれているとは思うが、それだけでどうにかなってくれるのだろうか?

 

 こうして、働いて変わったことがある。

 

 一つは美遊と仲良くなのかはわからないが、話相手になってくれる相手が出来たこと。

 ウィズといつもこの商品はいらない、この商品は買うべきなんて商売の話ばかりな気がするが、それでも二人は仲良くしているように見える。

 時折、店に来て何も買わずに帰る客や、外から眺めてる奴がいるが…

 もう一つは、めぐみんとのことだ。

 彼女とはパーティを解消することにした。

 昼間は俺と美遊は働くことになった。

 そうするとめぐみんとクエストを受けるということができなくなる。

 とは言え、めぐみんはクエストを受ける気しかないようなので、渋々パーティを解消した。

 家にはめぐみん用の部屋もあるので、いつでも家に遊びに来ていいとは言ってある。

 まぁ、本当に毎日のように遊びに来ている。

 晩飯の時から賑やかで美遊もよく笑うようになった。

 めぐみんは今でもパーティを探しているらしい。

 

 そして、あと一つ。

 仕事を終え、美遊が寝たことを確認したあとに俺とめぐみんでクエストを受けることにした。

 パーティは解消している状態だが、だからと言って同じクエストを受けてはいけない、なんてことはなかったので夜に受けることにした。

 めぐみんは爆裂魔法を放つ為、俺はこの身体が鈍ることのないようにする為に、という理由でだ。

 ただ、このクエストもそろそろやめた方がいい気がしてきてはいた。

 俺はスキルで夜だろうとしっかりと敵が見える。

 しかし、めぐみんの方は何も見えていないらしい。

 めぐみんを危険な目にいつ合わせてしまうかわからない。

 なので、一先ずめぐみんがパーティを見つけるまでは続けることにした。

 そういうことでクエストも一応こなしている。

 そして、めぐみんのレベルは9まで上がった。

 しかし、何故か俺は未だに2で止まっている。

 美遊の聖杯だけが理由ではないと思うが、ここまでレベルが上がらないと多少の不安を覚える。

 

 というように、少しずつ変化が起きていた。

 

 ここの生活にも慣れてきているという証拠であり、俺の願いが順調に叶い始めているということだと思う。

 そして、この街に親しみを持ったからこそ衛宮士郎の正義も少しずつだが、憧れた正義に戻り始めてもいた。

 切嗣が目指した十を救う正義に。

 自分が目指す一を救う正義も混ざりながら。

 

「おーい、ウィズ。これ持ってきたぞ」

「お兄ちゃん、それ返品してきて」

「すみません、シロウさん。美遊がもうそんなもの必要ないと…」

「………」

 

 これで大丈夫なのか、この店は。

 冒険者としてやっていく方が安泰なんじゃないか?

 

 ------

 

「辛いでしょうがあなたの人生は終わったのです」

 

「情けなく死んだあなたには、いくつかの選択肢があります」

 

「なんかもー適当に選んじゃってー。はやくしてーはやくしてー」

 

「じゃあ、あんた」

 

 この日、再び新たな転生者が現れる。

 その男は平々凡々ですらないような人間だった。

 その男が何を成すか。

 今はまだ誰も知らない…

 

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「返品の交渉するのは俺なんだぞ…」

 

 店長(自分の妹)と副店長(真店長)に返品してきてくれと言われたので、返品しに先程の商人を探している。

 色々な人に聞きながら探すも、未だに見当たらない。

 

「返品するものがまさか二種類もあったなんて聞いてもいなかったんだが…」

 

 追加で渡された返品する商品。

 これも爆発するものらしい。

 この世界の人間は爆発させないと気が済まないのだろうか。

 それよりまともなマジックアイテムとか売ってないのか。

 疑問しか出てこない。

 そうこうしているうちに商人を見つけた。

 交渉は何とかなったし、金も戻ってきたがこれを果たしてウィズの元に返して大丈夫なのだろうか。

 

「また無駄遣いしそうだ」

 

 美遊に渡しておいたら何とかなるだろうけど、気がついた時にはウィズ魔道具店から美遊魔道具店に変わってるんじゃないだろうか。

 それにしても、ウィズは俺よりも、当然ながら美遊よりも年上だというのにあまりにも商売を知らなさすぎないかと思う。

 それと、騙されやすい。

 よく赤字止まりで潰れないなと感心する。

 多分借金とかもあるんだろうが、流石にそこは知らない。

 あっても流石にそれは手伝えない。

 

 返品も終わり、少し暇が出来たので昼食と夕食分の食材を買いに行くことにした。

 資金面ではまだ困る程にはなっていないが、夕食分だけ三人分になるから食費が意外とかかる。

 三人分になっている理由の人物が朝と昼を食べずにいるせいで夜にがっつり食べるからだ。

 アレだけ美味しそうに食べてもらえるから、飯を作っている俺としてはとても嬉しい。

 嬉しいがタダ飯ばかり食いに来るなとは思う。

 

 今日は何を作るかな、と考えながら食材を選ぶ。

 物価もそこまで極端に高過ぎると言うことがないため、色々な食材を買えるのだが、キャベツのようなものとかが無いため栄養価的には心配だったりする。

 色々と食材を見ている時、ふと後ろで

 

「おいおい、本気で異世界だ。え、本当に? 本当に、俺ってこれから冒険者とか?」

「あ……ああ……ああああああああ」

 

 驚いてる一人の男の声と何かとても絶望しているような声が聞こえた。

 しかし、とりあえず買うものは買っておこう。

 特に大変そうというわけでも無い。

 片方は。

 

「これとこれで」

「あいよ、500エリスだ。毎度あり」

 

 ここで買うものは買ったので移動しようかと思ったが

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 なんて叫ぶ声が聞こえた。

 流石にこれは無視出来ない。

 俺はとりあえず声のする方へと振り向く。

 

 そこには、黒のジャージを着た一人の男と、何処かで見たことあるような女性が頭を抱えていた。

 叫び終えたと同時に男に掴みかかっている。

 

「帰ってくれて構わないから、もういいよ。後は自分で何とかするから」

「帰れないから困ってるんでしょ!私これからどうしたらいい⁉︎」

 

 とりあえず事情でも聞いてみよう。

 俺は二人の元へと近づく。

 

「何やってるんだ、こんな時間に」

「あー、いや、俺は何もしてない。ただこいつが勝手に泣き叫んでるだけだ」

「はぁ⁉︎何言ってるのよ!あんたのせいで私は帰れないって言ってるでしょ!」

「仮にも女神名乗ってるなら帰れるだろ!」

「女神の力の殆ど無いわよ!だから、帰れないって言ってるんでしょ!ねぇ、バカなの!あなたバカなの⁉︎」

 

 …話に混ざらない方が良かったかもしれないな、これは。

 でも、聞いたからには最後まで話を聞こう。

 

「とりあえず二人とも落ち着いてくれ。昼前の大通りで叫んでたら変な目で見られるぞ」

「お、おう。その目で見られるのは勘弁して欲しいところだな」

「あんた元の世界で散々変な目で見られてた可哀想なニートですものね、プークスクス」

「また騒ぐならもう放っておいて帰るぞ」

 

 困っていそうでこうして声をかけたが、こうも話が進まないなら聞かなくてもいい気がしてきた。

 

「待ってくれ。じゃあ、一つだけ教えてくれ。冒険者のギルド的なものは何処にあるかを」

「それならすぐ近くだ。俺が案内する。騒がれると周りに迷惑だろ」

「あ、ああ。案内してくれるなら助かる。こいつと二人きりだと何を言われるか」

「そういうこと言うからだろ」

「うっ…」

「プークスクス。初めて会った人にまでこんなこと言われるなんて」

「あんたもだ。少し静かに出来ないのか?」

「はい、すみません」

 

 とりあえず二人を静かにさせ、冒険者ギルドへ案内する。

 

「あ、こんにちは。シロウさん。お昼に顔を出すなんて珍しいですね。今日はどうかされました?」

「後ろの二人がここを探してたみたいだから、案内していただけだ」

「ウィズさんのお店のお手伝いはいいんですか?」

「返品後で今はやることがないんだ」

「また返品ですか、大変ですね」

 

 全くだ。

 ここ最近、運んでは返品というのが多い気がする。

 

「では、後ろのお二人が登録するということでいいんですね?」

「はい、田舎から来たばかりでよく分からなかったので…」

「そうですか。登録には手数料がかかりますが大丈夫ですか?」

「おい、アクア。金持ってる?」

「持ってるわけないでしょ」

 

 どうやら、金に困っているらしい。

 こういう面で助けるのはあまり良くないのは分かっている。

 しかし、放って置くわけにもいかない。

 

「登録手数料なら、今回は俺が出すよ」

「もう、ほんと何から何までありがとうございます。いつか返しますんで、ほんとありがとうございます」

 

 頭をひたすら下げる男と、こちらをじっと見る女性。

 この女性何処かで…?

 

「あ、思い出したわ。この間、ここに送ったばかりの!」

「とすると、あんたはあの時の女神か」

 

 胸ぐらを突然掴まれた。

 なんでさ。

 

「いや、本当なんでさ⁉︎」

「あんたのせいでお説教されたじゃない!あの後!渡しすぎだって!」

「それは確認しなかったあんたの責任だろっ…!」

 

 とりあえず解放された。

 というより、筋力強くないか、この女神。

 

「そ、そうね。確認ミスね」

「理解したなら何よりだ。それと、ほら。二千エリス」

 

 表彰状でも貰うかのように受け取る女神。

 

「じゃあ、俺はこれで」

「ああ。この借りは何かで返すよ」

「別に返さなくてもいい。冒険者として頑張れよ」

 

 俺はその場を後にし、食材を買いに戻った。

 

 ------

 

 その日の仕事も終わり、家に帰る。

 そこには、リビングでダラけているめぐみんの姿があった。

 

「あ、おかえりなさい。シロウ、ミユ」

「ただいま、めぐみん」

「ただいま、めぐみん。何してるんだ?」

「今日新しく冒険者になった人がいるらしいんですが、凄いアークプリーストが現れた。という話題で盛り上がっていたんです」

 

 多分彼らのことだろう。

 まぁ、女神がいるならそれもそうだろうな。

 

「だからと言って、めぐみんがごろごろすることはないと思うんだが」

「あれなんですかね、アークプリーストって意外と誰にでもなれるんですかね」

「えっ…」

 

 美遊が驚いていた。

 今の話からすると多分女神がアークプリーストだったんだろう。

 いや、まぁ、女神なんだからそれが普通か。

 

「爆裂魔法を覚えようとするものが全く現れなくて落ち込んでます」

「そこだったのか…」

 

 爆裂魔法は普通は覚えたがらないだろう…

 

「まぁ、それはいいが、めぐみんはパーティ見つかりそうか?」

「まだ見つかりませんね」

 

 意外と難航しているらしい。

 やっぱり爆裂魔法だけの魔法使いは…

 

「明日も探してみますね」

「ああ」

 

 食事を終え、美遊が寝た後、クエストへ。

 そして、また今日が終わる。

 

 明日は

 また、少し変わり始める。




かじゅまさぁぁぁぁん

とのことで遭遇しました。
これからこのすばがはじまる…!

ある程度無理なく書いていきます。よろしくお願いします

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