このきっと素晴らしい世界で美遊に祝福を   作:録音ソラ

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評価をしてもらえたり、お気に入りが50を超えたり、UAが3000超えたり感想が少しずつもらえたりと、正直驚いてます。ありがたやぁ…ありがたやぁ…

この物語は出来る限り、このすばの原作に沿っていきます


4話 クエスト

 若干の不安を抱きつつ、街を出た。

 

 聞いた話によると、街からそこまで離れているわけではない場所に生息しているらしい。

 しかし、レベル1の冒険者が受けるようなクエストではないとのこと。

 今更ながら、美遊を連れて来て良かったのだろうか。

 ギルドに置いていくことは不安で出来ないが、かと言って危険な目に合うかもしれない場所に連れて来るべきでは…

 

「さぁ、行きましょう!我が最強かつ唯一の魔法をお見せしましょう!」

 

 そんな気も知らず、どんどん先へと進んでいくめぐみん。

 ん、待て。

 今とても不安になるようなこと言わなかったか?

 唯一の魔法…?

 

「待て、めぐみん。唯一の魔法ってどういう…」

「私は爆裂魔法を愛し、爆裂魔法のみを極めし者…!」

 

 カッコいい風に言っているが、駄目な気がする。

 先程のスキル選びの時、そう言えば彼女は爆裂魔法のことをずっと言っていた。

 強力なため多くの魔力を消費すると。

 私の魔力容量を超えた魔力を使用して放つ最強の魔法だと。

 

 つまり、だ。

 それしかないということは、この少女、めぐみんは一回爆裂魔法を使うと何も出来なくなるのではないのだろうか?

 

「ひとつ聞いておきたいが、まさかパーティでないとクエストが受けられないっていうのは…」

「はい。魔法を放ったあと私1人では動けませんので」

 

 もしかしなくても、これは1人で美遊とめぐみんを守らなければならないことになるのか…

 どんな相手か分からないが、美遊だけなら守れるがめぐみんまで…いや、流石に見殺しには出来ない。

 爆裂魔法を撃たせないようにしつつ、なんとかしなければ。

 

「わかった。とりあえず、魔法は使わないようにしてだな」

「お断りします。紅魔族は1日一回爆裂魔法を放たなければならないのです」

「嘘だろ…」

「マジですよ。ですので、帰りはお願いします」

 

 美遊が残念なものを見る目でめぐみんを見ている。

 その目で見たくなる気も分かる。

 俺だってそういう目でしか見れなくなる。

 

「文句があるなら聞こうじゃないか」

「文句はないけど呆れてる。一応討伐クエストなんだろ。殺すか殺されるかだっていうのになんだってそんな…」

「浪漫です」

「浪漫で死なれてたまるかっ!全くどうやって生き延びて来たんだ、君は…」

 

 本当に呆れるしかない。

 そんな奴をパーティに、共に戦う仲間にしようなんて奴が現れないのは当然だ。

 戦いの中では邪魔でしかない。

 

「そんな博打みたいな戦い方しか出来ないあなたは邪魔…」

「美遊っ!」

 

 流石に邪魔だと口にしてはダメだ。

 それを言ってしまってはいけない。

 

「邪魔……ですよね」

「…確かに戦っている最中に倒れたりされたら迷惑がる奴だっている。しかも、それが魔力切れなんてことなら尚更だ」

「………」

 

 めぐみんが黙り込む。

 先程までの威勢なんてかけらもない。

 それどころか、どんよりとしたオーラが目に見えるような感じだ。

 

「けど、今はパーティなんだ。俺が何とかするよ」

「…っ!」

「お兄ちゃんっ…!」

 

 美遊はどうも反対のようだ。

 それもそうだろう。

 何かあった場合、俺も美遊も巻き込まれて死ぬかもしれない。

 危険な目に合わないようにするには、めぐみんにパーティから抜けてもらうのが1番だ。

 

「大丈夫だ、美遊。何があっても俺が守る。俺はお兄ちゃんだからな」

 

 この衛宮士郎という男は(美遊)の為に(人類)を捨てたものだ。

 何があろうとも美遊を救う。

 それだけが今の彼であり、彼の正義だ。

 それも今では少し変わろうとしていることに、彼は気がついてはいない。

 本来なら彼は美遊のみを守る者になっていた。

 しかし、今の彼が守るのは美遊であり、美遊の幸せだ。

 彼の正義は知らない間に、自身により置換されていた。

 

「兄妹仲睦まじいですね」

 

 めぐみんが少し引いたような目で見ている。

 待ってくれ。

 

「これぐらい普通だろ?」

「いや、普通じゃありませんから。仲良すぎませんか?普通そのぐらいの歳でしたら兄離れとかあると思いますよ」

「そこは家庭の事情だ。色々あったんだ」

 

 まぁ、いいです。とめぐみんは此方を見つめ

 

「改めてパーティとしてよろしくお願いしますね、シロウ」

 

 とびきり可愛い笑顔で告げられた。

 

 ------

 

 今は木に登ったあと、枝の上に座り、目の前の平原を見渡している。

 平原の真ん中に大きなカエルがいる。

 あれがジャイアントトードのようだ。

 しかし、一匹しかいない。

 ある程度、距離がある為此方には気がついていないようだが。

 

 とりあえず、この俺を挟んで睨み合った二人は何とかならないのだろうか。

 

「あなたがいてもお兄ちゃんの邪魔になるだけ」

「私は駆け出しプリーストよりかは役に立ちます」

 

 さっきからこの調子だ。

 さっきので俺とめぐみんとでは話が終わっていた。

 が、美遊はそれでも納得がいかないみたいだ。

 そろそろ、クエストを進めたいんだが…

 

「そろそろ、クエストを進めないか?あのカエルはさっきから動かないし、早めにだな…」

「仕方ありませんね。我が爆裂魔法を見せる時!」

 

 唐突に勢いよく立ち上がっためぐみん。

 枝が折れることはなかったが、めぐみんが落ちかけていた。

 危ないなぁ…

 

「我が最強の爆裂魔法!その一撃は山をも崩す!あの程度の敵であれば一匹や二匹、十匹でもすぐに消し飛ばしてしまうでしょう!」

「分かったから、早く撃たないのか?」

「詠唱がどうしても長くなりますので、もう少し待ってください」

 

 高位の魔法ともなれば詠唱も長いのか…

 というか、先程のはどう考えても詠唱じゃない。

 いつ詠唱しているんだ。

 それにさっきからめぐみんが落ちそうで怖いんだが…

 

「喰らうがいい!『エクスプロージョン』ッ!!!」

 

 杖の先から光が放たれる。

 それは確実にあのカエルへと。

 カエルに触れたと同時に爆発が起きる。

 カエルは、ほぼ跡形も残らず、そして平原には半径十メートル以上のクレーターが出来上がっていた。

 最強の魔法というだけあって相当な威力だ。

 と、感心していると

 

「あっ」

 

 という声が聞こえた。

 声のする方を見るとめぐみんが木から落ちかけていた。

 

「めぐみんっ!」

「っ!」

 

 腕を引っ張り、抱きとめる。

 めぐみんが真横にいたことですぐに助けることができた。

 杖は落ちてしまったが。

 

「大丈夫か?」

「な、なんとか落ちずに済みましたので、無傷です」

 

 引き寄せた時に怪我をさせたかもしれないと思ったが無事なようだ。

 しかし、どうするか…

 このままだと、クエストが全く進まない。

 それに先程の爆裂魔法が原因なのか、地面からカエルが出てきた。大きいあのカエルが

 

「めぐみん、座っていられるか?」

「ふふふ、魔力を完全に使い切りましたので、もうどこにも力が入りません…」

 

 さて、どうしたものか。

 とりあえずこの状態だと俺も何も出来ない。

 とりあえず背負うことにしよう。

 

「頑張ってしがみついててくれ」

「あ、今手を離されると落ちます落ちます」

「やっぱり邪魔…」

 

 美遊がめぐみんを睨んでいる。

 今はそんな状況じゃないんだが…

 

「もう離すぞ。いいな?」

「はい、もう大丈夫です。数分程度なら掴まってられます」

 

 それを聞いて俺はその場で立ち上がる。

 

 カエルが数匹此方へ向かってきている。

 

 俺はただ一言、この一詠唱を告げる。

 

「---投影、開始(トレース・オン)

 

 手に現れたのは黒い弓。

 もう片方の手に現れたのは螺旋状の剣。

 

 その剣は徐々に、それは矢のように、細くなっていく。

 細く、それでいてとても鋭く。

 

 そして、構える。

 矢は先ほどの剣。

 ゆっくりとだが近づくカエルに狙いを定める。

 

「---I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)

 

 まだ引き付ける。

 確実に貫き、出てきたカエルをまとめて片付ける。

 ---今だ

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)

 

 矢を放つ。

 それは確実に、吸い込まれるかのように、カエル目掛け飛ぶ。

 飛来するものを見たカエルは動きを止める。

 しかし、もう遅い。

 

 その矢はカエルへと突き刺さる。

 それと同時に中の魔力を爆発させるーー!

 

 先程の爆裂魔法と似た爆発が起きる。

 矢が突き刺さったカエルはすぐに跡形もなくなり、周囲のカエルも巻き込み、平原にもう1つのクレーターが生まれた。

 

「ふぅ…ちゃんと使えるみたいだな」

「「………」」

 

 その光景を見た二人は驚いた表情で、俺を、そしてカエルがいた場所を見る。

 何が起きたのか、分からないという顔だ。

 

「そう言えば、美遊に実際見せるのは初めてだったな。俺の投影魔術」

「投影魔術は、ここまで長く残らないもののはず…お兄ちゃん、いつの間にこんな…」

「美遊を助けに行っただろ、その時にな」

 

 美遊は目の前の魔術が信じられないみたいだ。

 まぁ、投影魔術は本来すぐに消えて無くなるもの。

 殆どの場合は儀式で使うものの代用に使われる。

 しかし、この魔術回路を、この特性を持つ彼は例外だった。

 投影したものは修復不可能なまでに破壊されるか、自らの意思で無ければ消えることはない。

 そんな投影魔術だったのだ。

 

「なんですか!今の!爆裂魔法ですか!いえ、私の爆裂魔法には少し及びませんが、とは言え炸裂魔法よりかは遥かに上のものですよ!」

「爆裂魔法なんて取ってない。ただ、矢に乗せた魔力を爆発させただけだ」

「どれだけの量の魔力を乗せていたんですか…」

 

 背負われているめぐみんは顔の真横から話しかけてくる。

 別にそれは気にしないのだが、少し息が当たってくすぐったい。

 というか、少し鼻息荒くないか…?

 

「まぁ、これでクエストも終わりだろうからそろそろ戻ろう」

 

 そう言って美遊を抱え、木から降りる。

 降りてから気がついた。

 クレーターの一部が盛り上がっている。

 そして、そこからもう一匹のカエルが現れた。

 

「まだいたのか!」

「土に潜ってますからね。普段はどこにいるかはさっぱりですが、地面削ったりすれば出てきたりしますよ」

 

 なんて傍迷惑なカエルだ。

 だが、此方の方も鈍っていないか、確認する必要がある。

 丁度いい。

 俺はめぐみんを木のそばに寝かせ、両手に投影した剣を持つ。

 

 干将・莫耶。

 彼が愛用していた夫婦剣。

 

 さて、どこまでやれるか…

 

 俺はカエル目掛け、駆け出した。

 

 ------

 

 思いの外すぐに終わってしまった。

 結論から言うと鈍ってはいなかった。

 

 俺が突っ込んできていることを視認したカエルはすぐに舌を伸ばしてきた。

 しかし、それも遅い。

 すぐにその舌を飛んで回避した後、その舌目掛け上から斬りかかる。

 すんなりと斬れた。

 投影された模造品とは言え、剣。

 自身との相性はいいと言うことも彼を通して知った。

 が、あまりにもすんなりと斬れたことに驚きは隠せない。だが、これならと。

 俺はすぐに駆け出し、懐まで入り込みひたすら斬りつけた。

 

 一瞬にしてバラバラになった。

 

 あまりにも呆気ない終わりに、消化不良だと言わざるを得なかった。

 しかし、これ以上出てくることはないため、俺はめぐみんを背負い、美遊と街に戻ることにした。

 

「…なんで、アーチャーが剣を振って戦っているんですか?あとなんで強いんですか?」

「お兄ちゃん、アーチャーは弓兵だよ?近距離ではなく、遠距離から弓を放って敵を討つ戦い方が基本だと、思うよ?」

 

 二人からごもっともな言葉をもらった。

 今更だが、俺の方が聞きたい。

 なんで、アーチャーなのに双剣使いなんだ、と。

 弓で戦ったことより剣で戦った方が多いし、なんと言うか此方の方がしっくりきてしまうのは、アーチャーとしてどうかと思う。

 

 そんなこんなで俺たちは1日目で、ジャイアントトードの5体討伐という初クエストをクリアした。

 街へ戻る時の帰り道が1番疲れるクエストってなんなんだ…




なんでアーチャーなのに前衛やってるんですか?

アーチャーは前衛職。モーション変更後のアーチャーがおかしいだけ。

ということでクエストクリアした一行。この後どうしていくのだろうか。というより、カズマさんまだですかー?出番そろそろですよー?たぶんですけどー

また、変なところとかがあれば容赦無く感想等で言ってください。
普通の感想頂くと泣いて喜びます。

気がつけばルーキー日間だと14位とかになってました。
ありがとうございます。
こんな下手な文しか書けない人ですが、良ければ見てください、これからも

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