昨日書き始めて書き終えてしまったよ。
幕間の物語がなんかいっぱい来ましたね。アストルフォきゅんが超強くなってしまった。最弱とはもう呼ばせない。
今回はオリジナリティ溢れさせようとした感じの話。細かい内容はまた別のお話で書きやす。
では、第18話、楽しんでもらえたら嬉しいです
「シロウさん。今日はこれを八百屋のおじいさんのところまで配達お願いします」
「分かった。っと、意外と重いな」
「おじいさんが何故かポーション系統を買ってくれた。黒字になるならって思って売ったけど…」
買った理由が検討つかないからか、不安げにしている。確かにあそこの爺さんはもう家の中を歩くだけで精一杯だった筈だ。不思議に思うのも無理はない。
「理由はそれとなく聞いてみる。美遊はウィズが変なもの買わないように見張っててくれ」
そう言いながら頭を撫でる。
美遊は突然撫でられたからか、表情をコロコロと変えていたが最後には笑ってくれた。
「それじゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい、お兄ちゃん」
笑顔で見送ってくれる美遊。
店の外に出て持ちやすいよう荷物を持ち直す。
持ち直しながら、あることを考えていた。
「さっきの美遊の表情…」
確か「変なものを買わないように」と言っていたあたりか。あの時の美遊の表情。あれは---
「ウィズは何を買ったんだ?」
不安だ。
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「八百屋の爺さん、いるかー?注文したポーション持って来たんだが」
シーンと静まり返っている八百屋。この時間帯なら商売している時間だと思うんだが。
「留守なのか?とりあえず置いておかないと腕が…」
何も置いてない場所に箱詰めされたポーションを置く。爺さんが帰ってくるまで待っておいた方がいいのか、と悩んでいるとき、ふと後ろから
「ここの爺さんなら二、三時間は戻らねぇぜ。今は仕入れ中だ」
「おわっ⁉︎」
唐突に声をかけられた。
慌てて振り返るとそこには青髪のアロハシャツを着た長身の男がいた。配達に行く際、色々な人の顔を見てきたが目の前の男は見たことのない顔だった。他所から来たのだろうか?
「親切に教えてくれるのは有難いんだが、あんた見ない顔だけどここの爺さんとは知り合いなのか?」
「今はこの店で世話になってるんでね。オレのことは…あー、気軽にランサーとでも呼んでくれや」
「ランサーって…偽名だろそれ」
「細けぇこと気にしてるとモテねぇぞ、坊主」
ランサーと名乗る目の前の男は、とても話しやすい男だが、なんというかどこか知っている雰囲気がある。だが、見たことは無い。
「ま、のんびりしていけよ、坊主。なんなら茶でも出してやろうか?」
「いや、また後で代金取りに来るよ。二、三時間もここにお邪魔するのもあれだろ?」
「おう、邪魔だな。ナンパした時に女連れ込めねぇじゃねぇか」
「そのナンパ、成功するとは思えないんだけどな」
「違いねぇ」と笑うランサー。ランサーが来たのはつい最近なのだろうか?こんな男が来たのならギルドや街で少しは話題にもなりそうなものだが。
「そういや、名前聞いてなかったな。覚える気はないが名乗らないってのは不公平だろ」
「不公平って、覚えないなら公平もあるかよ。でも、名乗らないのは失礼だな。俺は衛宮士郎」
「ん?…どっかで聞いたことのあるような名前だな。ま、思い出せねぇからその程度の奴だったんだろうよ」
「何気に失礼だよな。お前」
俺が睨むもランサーは笑って済ませる。
ふと「おー、そういや」と部屋の奥へと歩いて行く。
すぐに戻って来たかと思うと、エプロンをつけて戻って来た。
「何してるんだ、あんた」
「何って店番だ、店番。ここで世話になる分は働かねぇとな。で、だ。何か買って行くか?安くはしていかないが、安いぜ?」
「あー、そうだな。今日の夕飯の食材買ってないんだった」
「ん?なんだ、坊主が作んのか?」
「そうだよ。悪いか?」
「悪かねぇよ」
話しながら色々と買っていく。
む、意外と質のいい野菜を選んで渡してくれるんだな。
ついつい買いすぎてしまったが、数日で使いきれるだろうか。
「む?そこにいるのはシロウ」
「めぐみんか、珍しいな。こんなところにいるなんて」
いつも通りの黒ローブにとんがり帽子なめぐみんが店前でかっこいい(?)ポーズを取っていた。
「ええ、シロウらしき声が聞こえたので寄ってみました。最近食事時しか会えないのでたまにはこうしてお昼間に会おうかと」
「そういえばそうだな。クエストも行かなくなってきたからな…たまには顔出すよ」
「そうしてください。ところでそちらは……あっ、あなたは⁉︎」
めぐみんがランサーの顔を見るやいなや後ろへと下がる。
「ん?おお、何時ぞやの頭のおかしな嬢ちゃんじゃねぇか!今日もぽんぽこ撃ってんのか?」
「頭のおかしなと失礼ですね。爆裂魔法撃ち込みますよ」
「街中でそんな物騒なもの撃つんじゃねぇよ。だから、頭のおかしな爆裂娘って呼ばれてるんだぜ?嬢ちゃんよ」
ランサーはどうやらめぐみんのことをある程度知っているようだ。
「もしかしてナンパしようとしたのか?」
「あー、いや。オレでもこれには声かけねぇよ。美人っちゃ美人だが、中身がこれじゃあ、なぁ…?」
「それも、そうだな」
確かに声はかけないか。めぐみんだし。
なら、どこで出会ったというのだろうか?
「働く先でこの嬢ちゃんとはよく会うんだわ。何の因果かは知らねぇが、行く先々で会うんじゃ色々あるんだよ」
「成る程なぁ、因みにここの前はどんなところに行ってたんだ?」
「飲食店」
懐にある程度余裕のあるめぐみんなら色んな飲食店に行ってても不思議ではないか。この男にも運がなかったのか。
「何か失礼なことを考えてないですか」
「いや、何も」
じっと睨んでくるめぐみんの視線が俺の手にある野菜の入った袋に。
「シロウ、それは何でしょうか?」
「何って、今日の夕飯の食材。買いすぎたんだけどな」
大量に野菜の入った袋を両手に合わせて4袋。買い過ぎたとしても本来なら問題ないのだが、こちらの冷蔵庫は向こうと違って性能が悪いらしく、長く鮮度を保つことが難しいので買い過ぎは少し問題なのだ。
「あ?なんだ?買い過ぎなのか?色んな献立考えてたじゃねぇか」
「1週間分の献立を考えようと思えば考えられるんだけどな。鮮度が持たないんだよ」
「そりゃいけねぇな。なんなら、ここで少し使っていくか?そして食わせろ」
ランサーからのまさかの提案。多分最後のが一番言いたかったことだろうけど。
めぐみんがさっき言っていたがもう昼飯時だからな。台所借りてもいいなら使わさせてもらおう。
「時間帯的にも丁度いいし、台所借りるぞ?」
「おう、手伝いが必要なら手伝ってやろうか?細けぇことは苦手だがよ」
「細かいことはほとんど無いけど、手伝う必要はないぞ。ランサー。野菜だけならさっと作れるものも限られてくるし」
「そうかよ。なら、のんびり待たせてもらうぜ」
「私も待ってますから、三人分よろしくお願いします」
めぐみんとランサーは居間へと向かう。
今更ながらここは一応めぐみんにとって赤の他人の家なんだが、なんでそう簡単に入っていくんだ。
「まぁ、いいか」
俺も知り合い程度の相手の家の台所借りるんだし、言えた立場じゃ無いからな。
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「おーい、出来たぞ」
両手に皿を持って居間へと向かう。
そこにはだらけきっためぐみんとランサーがいた。まるで自分の家のような過ごし方だ。
「お、待ってたぜ。坊主」
「待ちわびましたよ、シロウ」
「ダラダラと寝てただけだろ」
文句を言ってくる二人を無視して皿を置いていく。
作ったものは野菜炒めと野菜スープのみ。野菜しかないのとこの家の台所に何があるのかも把握してなかったから、すぐに見つかるような場所にあった調味料とで作ることにした結果がこの二つだ。
「見事に野菜のみだな」
「肉を所望します」
「文句があるなら食うなよ」
なんだかんだ言いつつ食べ始める。
二人とも表情が分かりやすくていいな。
「ほう、うめぇじゃねぇか、坊主」
「シロウの作るものはやっぱり美味しいですね」
表情通り好評だったようだ。作った側としてはこれ以上に嬉しいことはないな。
「けど、アレだな。主食が欲しくなるな、これは。米無いのか?」
「あっても時間かかるし、流石にそれを使うのはどうかと思うぞ…」
流石に米まで使うのはどうかと思うので諦めてもらう。とは言え、やっぱり主食は大事だな。うん。
「あ、そろそろ私はクエストがあるので。晩御飯期待してますよ」
そう言って立ち上がるとそそくさと出ていく。クエストがあるなら初めから言ってくれればいいんだが…。
ランサーは残った野菜炒めと野菜スープを一人食べていた。俺の分まで
「おいおい」
「食われたくなきゃさっさと坊主も食うこったな」
それもそうだ。言葉を返す前に自分の分だけは食べる。思ったよりランサーが食っていたので少なく感じたが。
「美味い飯はいい!また頼むわ!」
「また会った時にな。今度はもう少し凝ったものにするよ」
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「で、いつまでいるんだよ。坊主」
「爺さん戻ってくるまで帰れないんだが」
あれから五、六時間ほど経っただろうか。まだ帰ってこない。そろそろ帰った方がいいんだが、代金もらわない限り流石に帰れない。
「なぁ、ランサー」
「何度も言ってるだろ、坊主。俺からは払える金がねぇよ」
このランサーが金欠で店番の為、待つしかできないのだ。
誰か来てくれれば動けるようになるかもしれないんだが…
「おお、ランサーや、かえったぞぉ…」
何か今にも死んでしまいそうなよぼよぼの爺さんが帰ってきた。ここの爺さんこんなに死にかけだったか?
「お、ようやく帰ってきたか。ポーションは届いてるんだが、代金支払ってこの坊主がよ」
「そうじゃった。わざわざ持ってきてもらってすまんの…」
代金を受け取る。
しかし、と考える。流石に老化をポーションで治すことはできない。ならば、何故この爺さんはポーションを……?
「それについてはオレから話してやるよ」
代金を支払い終えて「もう、むりぃ、立てんー、ランサー」と言っている爺さんを居間へと運び込むランサーがそう言う。
つまり、あの爺さんにポーションを買うよう言ったのはランサーってことなのか…
爺さんを居間へと運び込み寝かしつけたランサーが戻って来る。
「あのポーションを買い込んだ理由は簡単だ。どの規模になるかは知らねぇが戦になる。それだけは確実だ」
「戦?なんだってそんなものに…」
「ほう、まだわからねぇか?つまりな---」
俺はその次に言われる言葉がなんとなくわかった気がした。そして、それを聞いては戻れない、聞かなくても戻れない。
「————」
その一言は忘れかけていたものを思い出す。
それは幸せへの弊害。
逃れることが出来ない
「それで…あんたはどうするんだ」
「オレは見てるだけだな。何せ、マスターが不在ときた。戦う気は起きねぇよ」
「マスター…?」
「ああ、そうか。坊主は坊主でもオレの知る坊主とは違うんだったな。軽く説明しておいてやるよ」
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その後、俺は帰路へとついていた。
話の内容はわかった。何が起きているのかも、そして何が起きるのかも。
「いや、それもそうか。よく考えれば不思議なことはないじゃないか…」
スキルと化して消えていない彼女の能力。
それが残っているならば、不思議なことはない。
「情報が少ないのと、今はまだ始まっていないのか、何も起きていない。後手に回ることになるが、動き出しては意味がない」
今はとりあえず普通に過ごしていこう。
始まってしまったなら…。
そんなことを考えながら歩いていると、大通りに大きな檻に入れられてドナドナされているアクアを見かけた。その周りにはいつものメンバーが。また何かやったのか、と近づいていく。
「女神様⁉︎女神様じゃないですか!」
他に近づいていた奴もいた。見たことがあるようなないような。
ああ、また面倒なことに巻き込まれてるんだな。
そう思いながらも和真達の方へと歩みを進める。その後のことはまた別のお話。
はい、と言うわけでオリジナリティ溢れる?溢れろ。なお話でした。
考えるの疲れた。次回更新も早いんじゃないかな?と言うわけで次回は美遊の表情7変化の原因が…?ウィズは何を買ってしまったのか。