このきっと素晴らしい世界で美遊に祝福を   作:録音ソラ

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お久しぶりです。バイト探しが忙しい

遅れた割には字数は少ないですが、次を早く書くつもりなのでお許しを………


15話

 和真達がアクアをスルーしてこちらまで来る。

 せめて拾ってやれとは思うが、射った本人が言うことではないから何も言わず来るのを待つ。

 

「おや、シロウではないですか。隣にいるのはウィズですか?」

 第一声を放ったのはめぐみんだった。

 こちらからは見えていたが、彼方からはよく見えてなかったようだ。ある程度近付かないと分からなかったらしい。

 

「ああ。ウィズとここに用事があったからな。他のアンデットとかも気にしなくていい」

「シロウが言うのでしたら大丈夫でしょう。しかし、ウィズは単なる商人ではないと思ってはいましたが…」

「…ん。ウィズはアークウィザードではなかったのか?クリスからはそう聞いていたが…」

 ウィズに対して色々と疑問があったりするだけのようで、別に敵視していることはなかった。一安心だ。

 ただ、これが起きた後はどうしようか。

 

 女神としてのアクアにとってリッチーは許しがたい存在だろう。

 何せ、神からすれば自然の摂理から逃れたもの、許されざる者だ。

 このアクアにそんな認識があるかどうかはさておき、リッチーと言いながらこちらへ突っ込んできたのだから敵視しているのだろう。

 どう説明するか考えていると

 

「三人とも知り合いなのか?その、リッチーでいいのか?」

 

 一人、全く面識のない和真が状況を掴めていないようだった。

「そういえば、アクアがリッチーと言ってましたね。ウィズは商人の皮を被ったリッチーだったのですか」

「はい。一応リッチーです。商人の皮は被ってはいませんが、リッチーのウィズと申します」

 和真に敵意はないと微笑みかけるウィズ。

 和真よりめぐみんが警戒している気もするんだが…

 

「えっと、ウィズ。ここで何をしてたんだ?見るからに…アンデットとかを浄化しているようにしか思えないが。リッチーってアンデットの王だろ?親玉が手下を浄化するとは思えないんだが」

「私はノーライフキングなんてやってますから、迷える魂たちの声が聞こえるんです。お金がなくここで彷徨う魂たちをアンデットの王として、私がこの墓場の魂たちを天に還してあげているんです」

 

 アンデットの王なんて呼ばれているのが本当か怪しくなるぐらいにウィズは優しい。

 自分の店が赤字だというのに仕事に困ってる俺たちを雇う時点で相当なお人好しでもある。

 

「そんなお人好しなウィズをそこまで警戒しなくてもいいだろ。めぐみん」

「分かってはいますが、リッチーはとても強いですからね。警戒もしますよ。アクアがあの状態ですし。わ、我が爆裂魔法の前では手も足も出ないと思いますがっ!」

 自分に言い聞かせるように声を上げるめぐみん。杖の先はウィズに向けたままで。

 しかし、めぐみんの爆裂魔法でさえ倒せないとなると、リッチーは相当な強さも誇っているようだ。

 アンデットの王で魔王軍幹部なんてものだから強いだろうとは思っていたが、そこまで強いとは思ってもいなかった。

 ダクネス以上の魔法抵抗力に、多分物理は通じないだろう。何せノーライフキング、不死の王。死なない王ではなく殺さない王といったところなんだろう。

 

「立派なことだし、良いことだとは思うんだが…。そう言うのって普通はプリーストの仕事じゃないのか?」

 和真が未だに倒れてるアクアを見ながら聞いていた。

 

「この街のプリーストさん達は、その…拝金主義の方が多くて、貧しい人たちは後回しに……」

 

 未だに倒れたままのアクアに視線が集まる。

 というか、アクアさんや、さっきからいびきかいてないか?

「それなら仕方ない。けど、ゾンビを呼び起こすのはどうにかならないか?俺たちがここに来たのはゾンビメーカーを討伐してくれってクエストを受けたからなんだが」

 昼間に言っていたクエストのことか。

「あ……そうでしたか……。その、呼び起こしている訳じゃなく、私がここに来ると、まだ形が残っている死体は私の魔力で勝手に目覚めちゃうんです。……その、私としてはこの墓場に埋葬される人達が、迷わず天に還ってくれればここに来る理由も無くなるんですが……。…………えっと、どうしましょうか?」

 

 その言葉を聞いた和真はいびきをかきながら腹を出して寝ている駄女神に全てを押し付けることにした。

 

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「あの、みなさんをこのまま返しても良かったのでしょうか…?」

「どういう意味だ?」

 和真達はウィズを討伐なんて出来ないと言って、アクアを引きずりながら帰っていった。

 それを見送った後、何かを思い出したように少し慌ててウィズが言ってきた。

 

「いえ、その……ゾンビメーカーはどんなに弱い人でも倒せてしまうようなものでして…。上級職ばかりのパーティが失敗したなんてことになったら…笑いものに」

「明日から数日間、パーティのことは忘れることにしよう」

 

 和真達が笑いものにされるとなるとパーティメンバーの俺や美遊にまで被害が来そうだったので、数日間はウィズの店の仕事に専念しようと心に決めた。

 心優しいウィズによって、その決心が無駄なものになってしまったが。




次回、和真さんがパーティを貸し出す。ハーレムなんてどこにあるだぁ!許さん、の巻

その濁った目玉に何が映っているのか…

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