このきっと素晴らしい世界で美遊に祝福を   作:録音ソラ

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通信量がそろそろ限界だ。
誰だ、外で動画見たの。

というわけで13話です。討伐の続き。
出来る限り原作寄りのまま進んでいきます


13話

「アレは士郎が倒してくれたが、他にもあるんだろ。敵探知スキルで見つけた方がいいよな?」

 

 何とか立ち直った和真が提案する。

 あれ一匹では三万にしかならないから、俺としては賛成だ。

 それにまだまだいるなら放置ということはできない。

 しかし、アクアは嫌そうな顔をしている。

 

「自分で持ってきたクエストだけど、またあんなの相手にするの?というより、あんな見た目とか聞いてないわよ!無理、怖い、キモい。それに、攻撃手段はカズマとシロウだけで、ダクネスは単なる壁でめぐみんは一発撃っただけでお荷物よ?その状態でこれ以上相手するの?あと、威力的には文句無しなんだけど、吹き飛ぶ瞬間なんてもう見たくないんですけど。他に弱点とかないの?」

 

 正直、俺も吹き飛ぶ瞬間なんて見たくない。

 なんか中身から色々と飛び出してきたし。

 汁とか。

 

「寄生系のモンスターは水が弱点ですよ?私は水なんて持ってませんし、魔法でも出せませんが」

 

 と、めぐみんが答えている。

 流石にそれは俺にも出来ない。

 誰か出来る奴は…

 

「なら、俺の出番だな。ふふふ、この間のキャベツのお陰でレベルも上がって、更には初級魔法も教えてもらった俺に抜かりはない。『クリエイト・ウォーター』!」

 

 見せびらかすように。

 その魔法を大声で叫び、空中に大量の水を出現させる。

 アクアの真上に。

 

「おいクソニート。私に何か言うことはあるかしら?」

 

 唐突に真上に現れた水を避けることなんて出来ないアクアはびしょ濡れだった。

 

「……水も滴るアクアさん。今日はとびきりいい女ですね……」

「ううっ……。普段の私への扱いの酷さの所為で、そんなあからさまな懐柔のお世辞でもちょっと嬉しい自分が悔しいっ!」

 

 半泣きで羽衣の裾を絞るアクアとぺこぺこ謝る和真を尻目に周囲に意識を向ける。

 ここまで大声を上げているんだ。

 近づいてこないとも限らない。

 まぁ、普通は近づく。

 格好の獲物だと思って、一斉に襲いかかってきてもおかしくなんてない。

 

「俺がその服乾かしてやる!『ウインドブレスト』!」

 

 和真が叫ぶと突風が巻き起こった。

 それは、アクアに直撃し

 

 アクアの下着が目に入った。

 

 あと、俺の目に指が突き刺さった。

 なんでさ。

 それとすごく痛い。

 

「必殺のゴッドブローを食らわせてやるから、あんたちょっとそこになおりなさい」

 

 アクアの怒った声が聞こえた。

 

「何見てるんですか。そんなにアクアの下着が見たかったんですか」

 

 あとめぐみんの怒った声も聞こえた。

 耳元で。

 

「た、たまたま目に入っただけなんだ…!あと、目が、目がぁぁぁ…!」

 

 両手で目を覆いながら、痛みのあまり転がる。

 そんな時

 

「悪かった!悪気はなかったんだ!……ん?おい、近くに敵がいるぞ!」

 

 と、和真が声を上げる。

 敵感知に反応があったのだろう。

 痛みが引くまで俺は何も出来ない。

 見えないしな。

 

「またあのキモいの⁉︎」

 

 アクアが嫌そうに叫んだ時、近くの茂みから音がした。

 どうやら、そこにいるようだ。

 そこから離れるためにめぐみんの肩を借りて歩く。

 目が開けられないぐらいの痛みなんだが、おふざけレベルではないんだが?

 

「そこにいるな!家畜じゃない!さっきの冬牛夏虫だ!めぐみんとアクアと士郎は下がれ!ダクネス、アレはご主人様でもないからな!血迷うなよ!」

「私はモンスターをご主人様なんて呼んだりしない」

「お前さっきジェスター様とか呼んでただろ」

「……言ってない」

「言ったろ」

「言ってない……来るぞ」

 

 めぐみんに肩を借りながら急いで下がる。

 下がったあと、アクアにヒールをかけてもらった。

 あとゴッドブロー(弱)も食らうことになった。

 なんでさ。

 

「先手必勝!『クリエイト・ウォーター』!」

 

 和真は茂みに狙いを定め、水を出す。

 敵が出て来るまで待つと確実に面倒なことになるからな。

 ようやく目が見えるようになった俺は周囲を確認する。

 

「ヒギイイイイイイイイイイイイイイ! ギイイイイイイイイイッ!」

 

 と、茂みから叫び声が聞こえる。

 冬牛夏虫の叫び声だろう。

 痛みに悶えながら、茂みから出て来る。

 それと同時に少し離れた茂みが動いたように見えた。

 どうやら、この叫び声に引き寄せられたモノがいるのだろう。

 

「おおっ!最弱クラスのカズマが活躍しているわ!クソニートのくせに生意気ね!」

「うっせ!アークプリーストなら支援魔法の一つでも…めぐみん?」

 

 和真の視線につられ、めぐみんの方を見る。

 なんだか涙目になってる。

 

「べ、別にカズマが初級魔法を覚えてしまったので、シロウだけでもわたしの存在意義を奪いつつあるのに更に奪われたとか思ってませんから!……我が爆裂魔法こそ最強ですから……!」

 

 多分、俺と和真の思ったことは同じだろう。

 

 なら、他のスキル取ろうか。

 

 和真はすぐに冬牛夏虫の方へと意識と視線を向ける。

 俺もそちらへと意識を向ける。

 すると

 

「キイイイイイイイイイイイイイイイイイイ! キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」

 

 と、突然叫び出す。

 叫びだしただけで動く気配はない。

 そしてそれと同時に、先程より周囲から聞こえる茂みの音が大きくなってきた。

 

「何故動かないか知らないが、今なら私でも攻撃が当たられる。今のうちに袋叩きだ」

 

 ダクネスはそういうと剣を抜く。

 和真は何かを察したのか

 

「おい、待て。こういう時は何かあるぞ……ん、何か聞こえないか?」

 

 ようやく和真にも聞こえてきたようだ。

 そう、茂みを掻き分ける音とともに聞こえる、この目の前のモンスターと同じ声が…!

 

「「「キイイイイイイイイイイイイイイイイイイ! キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」」」

 

 敵感知なんてスキルは持ってないので聞こえるだけの数しか分かっていなかったが、目の前に現れたのはそれよりも多い数の家畜の群れ。

 

「「いっぱい来たぁぁぁ!」」

 

 アクアとめぐみんの叫び声。

 和真の何かもう諦めた顔。

 ダクネスの喜びに満ちた顔。

 

 最後なんかおかしくないか?

 

 なんて思っているとダクネスは和真より前に出る。

 そして、先ほど抜いた大剣を地面へと突き立てる。

 その剣の柄に両手を置き、仁王立ちをしたまま叫ぶ。

 

「かかってこおおおおおい!! 『デコイ』ッッッッッ!」

 

 クルセイダーの囮となるスキル。

 こちらへと敵意を向けていたはずの家畜までもがダクネスへと敵意を向ける。

 そして、その敵意を一身に受けても微動だにしないダクネス。

 

 先程の顔と性格を知らなければかっこいいと純粋に思えたんだけどなぁ…

 ただ単に、自分のためにしているだけだからなぁ…

 かっこつかない…

 

 その姿を弓を構えながら見ていると

 

「めぐみん!めぐみーん!魔法の準備しとけ!爆裂魔法で吹き飛ばすぞ!アクアは支援魔法!ダクネスの防御を固めさせろ!その間に士郎は援護射撃を頼む!」

 

 和真の指揮により、アクアとめぐみんが少し冷静になる。

 

「ふ、ふふふ…アークウィザードとして頼られたとあっては…引き下がれません!あ、ちょ、シロウ!お願いですからそんなにいっぱい破裂させないでくださいっ!集中できません!」

「し、支援魔法ね!防御を高める魔法と…芸達者になる魔法って」

「んなもんいいからお前ら早くしろやぁぁぁぁ!」

 

 頼むから早くしてくれ。

 そうでないと

 

「ダクネス、俺はただ援護射撃しているだけだからな」

「一発ぐらい誤射しても構わん。むしろ、当ててくれ」

「味方に当てる援護なんてあるか!」

 

 手元が狂ってダクネスに当ててしまう可能性がある。

 

 当てなくてもこれだけの数、何故か捌いても捌いても出て来る。

 それに早くしないと色々と不味い。

 

「っ…!」

 

 腹部から焼けるような痛み。

 投影の力を使うたびにほんの少しずつだが、置換されていく。

 その影響だ。

 

 和真が何か思い付いたのか

 

「ダクネス!ちょっと我慢しろよ!」

 

 そう叫ぶと、ダクネスへと手を向ける。

 

「『クリエイト・ウォーター』!」

 

 全力で叫ぶ和真。

 それに比例するかのように先程より広範囲で大量の水が現れた。

 

「…不意打ちでこのようなことを…!この火照った体をどうしてくれる!」

「「お前ちょっと黙ってろ!!」」

 

 和真と声を揃え叫んでしまった。

 ダクネスはさらに恍惚な表情へと。

 

「色々台無しだ!こんちくしょう!『フリーズ』!」

 

 成る程、考えたな。

 足元の大量の水を凍らせ、動きを鈍くさせるつもりか。

 そして、それと同時にダクネスが淡く光る。

 魔法が発動したのだろう。

 つまりは

 

「爆裂魔法の詠唱終わりました!いつでもいけますよ!」

 

 決めポーズ取ってるめぐみんがそう告げる。

 俺と和真はそこから少し離れる。

 

「ところで、ダクネスまで範囲に入ってますが…」

「高レベルの魔法耐性スキルを取っている。構わん、ドンと来い!」

 

 なかなかかっこいい感じだが、頼むからその顔をどうにかしろ。

 

「体さえ残っていたら蘇生してあげるから!気合い入れなさい!」

 

 アクアが何か叫んでいた。

 蘇生も出来るのか。

 というより、気合いで耐えれるものなのか?

 

 めぐみんが爆裂魔法を放つ少し前に気がついた。

 おそらく範囲外のところにまだ多く残っていることを…

 

「---I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)

 

 気付いたと同時に投影し、構える。

 威力は低くてもいい。

 数は少ない。

 速く速く、ただ速く。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)

 

 爆裂魔法の範囲内の冬牛夏虫の間をすり抜け、範囲外へと。

 

「『エクスプロージョン』ッッッッ!!!」

 

 めぐみんの爆裂魔法と同時に宝具を爆破させた。

 

 ------

 

 俺はダクネスを担いで街へと向かっていた。

 

「意外と重いんだが…」

 

 あまり言いたくないんだが、プレートメイルの分があるにしても重い。

 それに気を失っているというか、寝ているというかと言った状態で俺の背中で背負われている。

 爆裂魔法の威力の一撃を耐え切ったもののプレートメイルは使い物にならなくなり、ダクネス自体はボロボロだった。

 因みにめぐみんはレベルも上がり、倒れることがなくなったそうだ。

 ただし、一発しか撃てないことには変わりがないとのこと。

 背負う必要がなくなった分は戦闘が楽になるだろう。

 

「やー、しかし何匹だっけ?めぐみんとシロウの冒険者カード、もっかい見せて!……シロウとめぐみんの分を合わせて六十匹!えーと、一匹三万だったから…百八十万エリスよ!冒険者なんてちょろいわねー」

「ダクネスのフルプレート代と食費で殆ど飛ぶんだが…」

「儲け殆どないじゃない!お肉は!カズマさん!お肉は!」

「あんな肉食べたいか?」

「……やっぱりいらない」

 

 しかし

 

「ダクネスの耐久力は凄いな。冬牛夏虫は何も残ることなかった威力なのに、それをアクアの支援魔法があったとしても耐えれるなんて思いもしなかったぞ」

 

 アクアの回復魔法を使ったとはいえ、体の一部が吹き飛ぶなんてこともなく耐え切った。

 偽・螺旋剣ほどの威力を誇る爆裂魔法を耐え切るなんて、まるであのセイバーのようだ。

 とはいえ、あれは執念で耐えたという面も大きい。

 至近距離だったから、あまり威力を出せなかったこともある。

 だとしても、あれに近い威力を受けてなお耐えたセイバー。

 アーサー王の防具とダクネスの硬さはほぼ同じだということだ。

 

 英霊ほどのものになり得ることも可能なのか…。

 

 正直この世界は色々とおかしいとは思ったが、これほどまでにおかしいと思ったことはない。

 俺もうかうかしていると和真やめぐみんにあっさり抜かれてしまうかもしれない。

 

「様々な防御系スキルのみを取っているのでしょう。そうでなければ耐えられるとは思えませんし………我の存在意義がなくなりそう…」

 

 めぐみんが落ち込んではいるが、死ななくてよかったと言う嬉しい気持ちが混ざり合った複雑な顔をしている。

 

「それにしても、上がらないわね。レベル」

 

 アクアが俺の冒険者カードを見ながら言う。

 そう、あれだけ倒したと言うのにまだレベル4である。

 

 このチーム内最下位を独走中だ。

 あまりにも上がらない。

 呪いでもかかってるじゃないかと思うほどに。

 

「ん……ここは?」

 

 どうやらダクネスが目を覚ましたようだ。

 

「起きたか、ダクネス。お前のおかげで誰も死ぬことなくクエストを終わったぞ。囮にしたり、魔法叩き込んで悪いな」

 和真のその言葉に

「ん…そうか、皆無事でよかった。……シロウも背負ってもらって悪い。……ありがとう」

 

 もしかしたら、ダクネスの認識を変えた方がいいかもしれない。

 ただの変態っていうわけではないってことは今回のクエストで理解した。

 

 なんて考えながら、街の前まで着くとそこには見たことのある顔があった。

 

 クリスだ。

 

「ダクネスがなんでそんなことになってるの!」

 

 ボロボロのダクネスを見れば、クリスのことだから心配するに決まっている。

 そしてたまたま、クリスのパーティと遭遇してしまった。

 

「クリス、私はただ彼らとクエストに行っていただけだ。その際、カズマに罵倒されたり、頭から水をかけられたり、モンスターもろとも爆裂魔法で吹っ飛ばされたぐらいだ。…うん、楽しかった」

「あんたわたしの相方に何してくれんのよぉぉぉぉ!このぱんつ脱がせ魔がぁぁぁぁぁ!」

「ダクネスの言ってことは大体合ってるが、大体違う!」

 

 和真がクリスに殴られていた。

 ついでに俺も叩かれた。

 なんでさ。




宝島編飛ばしていいですか()

大事なのは知ってるけど、ベルティアまでの気力が持ちそうにない。
だって、あれ二部だし?今まだ一部の中身だし?
というより、宝島って彼ら儲けるだけだし?

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