このきっと素晴らしい世界で美遊に祝福を   作:録音ソラ

12 / 21
スティールっ!
以上!

cccコラボは終わりを告げましたね。
メルト引いたけどまだレベル3で放置することしかできない。
新茶とか土方さんとか育てきれてねぇ……!


11話 スキル

 翌日の朝、和真が

 

「なぁ、スキルの習得ってどうやるんだ?」

 

 と、言い出したのが始まりだ。

 

「スキル習得ですか?それなら、冒険者カードに書かれた習得可能なスキルを……あ、そう言えば、カズマは冒険者でしたね。それでしたら、他の人から教えてもらうんです。教えてもらうことによって習得可能なスキルとして出ますので、スキルポイントを使って習得するだけです。それに、習得したスキルは使うほどにスキルレベルが上がりますから、どんどん使って強くなることもできますよ」

 

 めぐみんがカズマにスキルの習得方法を教えていた。

 冒険者は他と違い、教えてもらうことで様々な職のスキルを覚えることが出来る。

 その代わり、消費するスキルポイントが1.5倍ほど多くなっているとか。

 それに職業にはそれに応じたボーナスが付いているらしい。

 それにより、その職業のスキルはさらに特化したものになる。

 しかし、冒険者にはそれが無いため、器用貧乏で終わってしまうそうだ。

 

「つまり、めぐみんに教えて貰えば、俺も爆裂魔法を使えるようになるのか」

「その通り!」

「うおっ!」

 

 めぐみんがその一言に食いついた。

 まぁ、爆裂魔法を覚えるような人がいないと嘆いていたから当然か。

 

「その通り、その通りですよカズマ!スキルポイントはもうバカみたいに使いますが、冒険者はアークウィザードを除き唯一爆裂魔法を覚えるクラス!爆裂魔法なら幾らでも教えてあげよう。というか、それ以外に覚える価値のあるものなんてない!さぁ、供に爆裂道を歩もうじゃないか!」

「落ち着け!つーか、スキルポイントが60しかまだないんだが、これで覚えられるもんなのか?」

「その程度で覚えられるわけないじゃない。冒険者で爆裂魔法を習得するならポイントを使わずにレベル50になれば使えるかもしれないわね」

「待てるかそんなもん」

「!」

 

 和真の一言で机に突っ伏すめぐみん。

 まぁ、何となくそうなんじゃないかと思ったが…

 

「シロウと供に爆裂道を歩むしかないようです」

「俺のは爆裂魔法じゃないんだが…」

 

 元気がないと思ったが、多分結構元気だと思う。

 ショックだったのは確かだと思うが。

 

「なぁ、美遊ちゃんはアークプリーストで色々と覚えてるんだろ?うちの駄女神より」

「悪いけど、ちゃん付けで呼ぶのはやめておいてくれ。美遊が俺の背後に隠れて震えてるから」

「俺はロリコンじゃないのに……」

 

 何を感じたのか知らないが、美遊が本能的に何かを感じ取ったのか、背後に隠れていた。

 あいつ自身は多分悪い奴じゃないとは思うが、子供好きすぎるのが…

 

「じゃあ、アクア。お前もうちのアークプリーストなんだから何か色々覚えてるんだろ。その中で手軽でお得なスキル教えてくれよ」

「うーん。そうね。私のスキルは誰にでも教えるようなものじゃないんだけどね。半端無いわよ?」

 

 そんなスキルを覚えているのか。

 いや、まぁ元々女神らしいからそういうのもあって不思議じゃ無いか。

 なんて、思って見ていたら

 

「まず、この水の入ったコップを頭に乗せる。落ちないようにね」

 

 この時点でもはや期待するべきものじゃ無い気がしてきた。

 

「そしてこの種を指で弾いてコップに入れる。すると、あら不思議。コップの水を吸ってにょきにょきと…」

「誰が宴会芸スキルを教えろっつった!」

「ええっ!」

 

 アクアも机に突っ伏した。

 宴会芸のスキルなんてとったところで何の役に立つんだろうか…

 というより、何でとったんだ、アクアは。

 美遊はアクアの元へと行き、さっきの宴会芸でのことを聞いている。

 最初は嬉しそうに教えようとしたがすぐに縮こまっていく。

 ああ…多分、美遊にさっきの宴会芸の原理を聞かれたが、自分でもさっぱりだったんだろう。

 教えられず、ひたすら聞いてこられて困り果てて、ついには机に再び突っ伏し泣き出した。

 

「美遊、そろそろやめてやらないとアクアがもう限界だ」

「さっきのことが聞ければ、野菜の栽培に活かせるかと思ったのに…」

 

 急成長した野菜をお兄ちゃんは使う気ないぞ。

 栄養とか味が心配でしかない。

 

「あっはっは!面白いね、キミ!スキルが欲しいんだろ?盗賊スキルなんてどうだい?」

 

 背後から声が聞こえた。

 振り向くと当たり前のように玄関から入ってきたクリスの姿があった。

 その後ろから申し訳なさそうにダクネスも入ってくる。

 

「おかしいな、ちゃんと鍵かけてたはずなんだが…」

「あの程度の鍵なら簡単に開けられるよ」

 

 開けられるよ、じゃないんだ。

 開けて入ってくることがおかしいんだと言いたい。

 というより、そろそろ警察に突き出そうか。

 ものは一切盗まれてないが、不法侵入で。

 

「すまない。流石にこれはダメだと言ったのだが…」

「入ってきたのはもう仕方ないから、気にしない。今後不法侵入しないようにしてくれればいい」

 

 その後何度か謝った後、クリスの元へ行くダクネス。

 何か話した後、クリスは和真と話をし始めた。

 

「盗賊スキルはおすすめだよ。かかるスキルポイントは少ないし、敵感知だったり、潜伏に窃盗。鍵開けもお茶の子さいさい。今ならシロウくんの朝ご飯で教えるよ?」

「ということなんだが…士郎さんお願いします」

「はいはい…全員分作るよ。そんなに食材買ってなかったから少なくなるけど我慢してくれ」

 

 机に突っ伏した二人が勢いよく起き上がった。

 飯で元気になるとは、単純だな。

 困らないな、この二人。

 

 ------

 

 食事を終えた後、それぞれ行動を始める。

 和真はクリスとダクネスを連れて何処かへ。

 スキルを教えてもらいに行くのだろう。

 

 アクアは一人ギルドへ。

 何をしに行くのかはさっぱりだが。

 

 美遊と俺とめぐみんはウィズの店へ。

 めぐみんは色々と手伝うと言って付いてきた。

 

 ウィズの店に入ると、何時ぞやの商人と話しているウィズがいた。

 

「あ、シロウさん。おはようございます。今日は少しゆっくりでしたね。あ、聞いてください!この幸運値を上げるポーションがこんなにお安く…あ、あの、ミユさん?目が笑ってない…あ、やめ、やめてください〜!ま、まだ買っていませんから〜!」

「買いませんから帰ってください。もっとこの街に合った品があった時だけ来てください」

 

 美遊が乱暴に取り上げ、商人を追い返す。

 逞しくなったなぁ…

 原因は全てウィズのせいなんだが。

 

「…もう少し早く来るべきだったな」

「うん」

「そうみたいですね」

 

 ウィズを一人にした状態で店を開店させるわけにはいかない、と改めて思った。

 

 その後、俺はめぐみんと配達に行くことになった。

 何でも美遊に教わってる姿を見せたくないとか何とか。

 今更なような気もするが、配達は大事なので行くことにした。

 

「…おかしいな。もう結構教わってるはずなのに、一向に赤字から黒に変わらない…!」

「不思議なものです。次から次へと赤字にしていきますからね、彼女は」

 

 この商品も何か赤字になる理由がありそうな気がする。

 いや、そんなことはないと信じていたい。

 

「それにしても、こうしてシロウと朝から一緒というのは久しぶりですね」

「確かにそうだな。それに夜も、もう一緒にクエストに行くことは無くなるからなぁ…」

 

 こうしてめぐみんと一緒に歩くのも最後かもしれないと、今更ながら思う。

 いや、この街にいる間ならたまにはあるか。

 

「そうですね…パーティも組めたことですし、これで夜のクエストは終わりですね」

 

 そう告げる彼女の顔は、何だか少し寂しそうに見える。

 

「ああ、そうだな。まぁ、今生の別れってわけでもないんだから、そんな顔するなよ。可愛い顔が台無しだぞ」

「…突然何を言っているんですか。それにどんな顔ですか。そんなひどい顔していませんから」

 

 耳を赤くし、俯くめぐみん。

 顔を見ようと覗くも顔を逸らされる。

 覗くのをやめ、再び歩き始める。

 

「クエストに行けなくなったところで、この街にいる間なら会えるだろ。それに家でいつでも会えるだろ?」

「分かってます。ですから、何も思ってないです」

 

 それならいいんだが。

 とりあえず、これ以上はやめておこう。

 

「とりあえず、この配達を終わらせよう」

「…そうですね」

 

 その後、お互い話すことなく歩き続けた。

 時折視線が合うも、すぐに目を逸らす。

 配達を終えた後もそんな感じで、言葉を交わすことなく帰った。

 

 ------

 

「いらっしゃーーお兄ちゃん、おかえりなさい」

「ただいま。美遊、ウィズ」

「おかえりなさい、シロウさん。あれ?めぐみんさんは?」

「途中でギルドに行った。アクアのことを見てくるらしい」

 

 帰り道にギルドの近くを通りかかった時、めぐみんは一人でギルドへと向かって行った。

 実際、何をしに行ったかは知らない。

 

「そうでしたか。めぐみんさんのお手伝いして貰った分のお給料を…」

「後で渡しておく。こっちには戻ってくるだろう」

 

 家の方を見る。

 多分だが、帰ってくると思う。

 

「他にすることないか?」

「ありません。今日の配達はあれだけですから」

「お兄ちゃんは今日の分の食材を買いに行かないと。家にはほとんど残ってなかったから」

「あ」

 

 そう言えばそうだった。

 朝に殆どを使い切っていたんだった。

 

「食材買ってくるよ。美遊はウィズの監視、頼んだぞ」

「うん。いってらっしゃい、お兄ちゃん」

「あの、私って監視されるほどなんですか…?」

 

 ウィズが何か言っていたが、気にせず買いに行くことにした。

 

 いつもの市場へと行く。

 いつもと変わらない市場。

 

「さてと、何を買うかな…」

 

 食材を手に取り、見ていく。

 そうしながらも別のことを考えていた。

 先程のめぐみんのことだ。

 

(求めていたパーティに入れたんだから、これでいいんだよな)

 

 彼女は爆裂魔法のみを使う魔法使い。

 扱いづらいということでパーティに入れず、空腹で倒れるほどお金にも困っていた。

 そんな彼女とともにパーティを組み、初めてのクエストを終えた。

 その後はパーティを解消するも、夜にはまためぐみんとクエストに向かう。

 そんな毎日だった。

 確かに楽しかった。

 だから、少し寂しくもなる。

 だが、いつでも会える。

 あんな顔しなくてもいいじゃないか。

 ーーあんな寂しそうな顔

 

「…とりあえず、食材を買おう」

 

 このことは頭の隅に追いやり、今夜の食材を買う。

 追加で来るのが二人なのか、四人なのか。

 どちらにせよ、多めに買っておかないと。

 

 騒がしいギルドには近寄ることなく帰ることにした。

 

 ------

 

「新たにスキルを覚えてきた、これで冒険者としてもっと何とかなる筈だ!」

 

 和真がダクネスとアクア、めぐみんと供に帰ってきた。

 

「何とかって何でそんなに微妙なんだ」

「覚えたスキルは充分使えると思うんだけど、あとは使い方を考えていかないと意味がないからなぁ」

 

 どう扱おうかと悩む和真。

 

「クリスの下着を剥ぎ取り、有り金全部巻き上げるような使い方ができるならすぐに応用も利くだろう」

 

 ダクネスがとんでもない発言をする。

 

「待て、間違ってないけどちょっと待て」

 

 間違ってないのか。

 それはそれで問題だぞ。

 

「何やってんだよ…」

「スティールを試しに使ってみた結果、手には布切れが…」

 

 クリスならそれの対策もするだろう。

 なぜよりによってそんなことになるんだ。

 

「ということで、新たに覚えたスキル、見せてやるぜ!『スティール』っ!」

 

 ここで、いくつかの偶然が重なってしまった。

 一つ、彼の幸運は俺よりか、いや、この場にいる誰よりも高かったこと。

 一つ、たまたま美遊の帰宅時間だった。

 一つ、狙った相手のめぐみんが玄関のある方にいたこと。

 その三つが偶然重なったことにより、最悪な展開となった。

 

 和真の手には二枚の布切れがあった。

 黒と白の小さな布切れが。

 

 めぐみんと美遊が何かに気がつき、頬を朱に染め、めぐみんはそのまま俯き和真に手を伸ばす。

 美遊はその場で和真を睨む。

 

 和真の手にあったのは二人のパンツだった。

 

「…なんです?レベルが上がって、ステータスが上がったから冒険者から変態にジョブチェンジしたんですか?…すーすーするのでパンツ返してください」

「和真、ちょっとばかりいいか。話がある」

 

 めぐみんと美遊にパンツを返させる。

 めぐみんはそのままパンツを受け取ったが、美遊は受け取ったあと和真から逃げるように距離をとった。

 そして、パンツを返した和真を連れ、俺は路地裏へ向かった。

 

 

 正直これで気が済むことはなかったが、和真が何度目かの土下座をしたところで許すことにした。

 後ろでアクアが和真を指差して腹を抱えて笑っていたからだ。

 

「これ以上は流石に、女の子の前で続けるのも良くないからな」

「ありがとう、アクア!助かった!流石に改心するまで殴るのをやめないって言われながらフルボッコにされていた時はもうダメかと思った…」

「歳下にさえフルボッコにされた挙句土下座してしまうカズマさん、プークスクス!感謝しているっていうなら私の分の食費も払いなさい」

「それいいな」

 

このままただ許すつもりはなかった。

何かしら罰は必要だ。

 

「和真にアクアの分の食費も払って貰う。あと、昨日の倍にさらに倍で、だ。払えない限り、ウィズの店と俺の家があるこの通りに来るのは禁止だ」

「おいおい、それは流石に多すぎないか…?」

「警察に突き出されるか、改心するまで働く。どっちがいい」

「アクアぁ!明日から死ぬほど働くぞ!」

「カズマさんだけ頑張れば?いひゃいいひゃいいひゃい!わらひもはららくからはなひへ!」

「何言ってるかわからんが働くならよし」

 

これで改心しなかったらどうしようか。

最悪、警察に突き出せば何とかなるだろう。

 

 

とある収穫…緊急クエストが迫っていることも知らずにそう考えていた士郎だった。




路地裏へ言って説教しただけです。多少ジャージがボロボロになったけども説教しただけです。物理で説教しただけです。

良い子のみんなはスティールは時と場所を考えて行おう(そうじゃない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。