このきっと素晴らしい世界で美遊に祝福を   作:録音ソラ

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さて、これからカズマさんが冒険者として働く日々が始まるのです。

クズマさん書けない


10話 パーティ

 あの夢を見てから二週間。

 あの日以降、あの夢を見ることはなかったし、特に変わったこともなく、いつも通りウィズの店の手伝いをしていた。

 

「なぁ、ウィズ。これ爆発ポーションなんじゃ」

「ち、違います、違います!ああっ、ミユさん、違いますから捨てようとしないでください〜…!」

「お兄ちゃん、返品」

「またか…」

 

 本当にいつも通りの変わらない日々。

 朝からめぐみんはギルドへ、俺と美遊はウィズの店へ、ウィズは要らないものばかりを買って、ダクネスは何をしているかは知らないが、クリスは時折家にやってきて、何かと金目のものを取ろうとする。

 そんな日常だった。

 

「あ、シロウさん。今日は配達もありませんから、それを…返…品…してもらえれば…自由にしてもらって構いませんよ」

 

 明らかに返品と言った時、落ち込んでいた。

 そんなに返品したくないのか…

 赤字の原因を。

 

「あのなぁ、ウィズ。そろそろこういう要らないものを買おうとするな」

「親切な方がお安く売ってくださったので」

「あっちの在庫処分に付き合わされてるだけだな…」

 

 あっちもあっちで返品されることを学んでくれ。

 

「じゃあ、返品してくる。ウィズを頼むぞ、美遊」

「うん、行ってらっしゃい。お兄ちゃん」

「お願いします、シロウさん……」

 

 二人に見送られ、店を出た。

 

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 その後、いつも通り商人を見つけ、返品する。

 あちらも商売が大変なのもわかるが、ウィズに売り付けるのはやめてくれ。

 たまたまギルドのすぐ近くだったので、少し中を覗いてみたがめぐみんの姿はなかった。

 いつもなら落ち込んでる姿を見かけたりするのだが、今日はパーティが見つかったのだろうか。

 

 ギルドを後にし、家に帰る。

 そろそろ昼だったので、家で昼飯を作って食べる。

 

 この世界はどうも、キャベツとかレタスとかの野菜が少ない気がする。

 栄養はこれで取れてる、よな?

 なんて、思いながら昼食を終えた。

 

 その後、再びギルドへと行ってみたが、特にクエストを受けるでもなく買い物をして帰ることにした。

 どうも、専門職でのクエストが増えた気がする。

 剣の指導や魔法薬の実験台なんてものも多く、受ける気にはならなかった。

 というより、受けようにもアーチャーのクエストがない。

 だから渋々買い物をして帰ることにした。

 

「今日は何を作ろうか」

 

 食材にゲテモノがあったりするが、向こうとあまり変わりがないため、困ることは特になかった。

 食材が足りないことの方が困る。

 あと、カエルの肉が多すぎる。

 そんなこんなで買い物も終え、家に帰る。

 途中、ウィズの店を覗くと誰かが商品を買っていた。

 前より買ってくれる客も増え、赤字でも前よりマシなものになっている。

 ウィズと美遊の美人仲良し親子が人気だそうだ。

 

 特に何の変哲もない、日常。

 

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「そろそろ美遊が帰ってくるな」

 

 家に帰って少しのんびりしていると夕方になっていたので、エプロンを着けて夕飯を作ろうとしていた時、玄関の扉が開く音がした。

 

 美遊だろうか?

 

 それにして早すぎる気もするが。

 気になって玄関に行くと

 

「あ、シロウ。すぐにお風呂入れますか?」

 

 粘液まみれのめぐみんとたまに見かける何時ぞやの女神がいた。

 

「流石にこんな時間にそんな格好で帰ってくるなんて思ってなかったから少し待ってろ」

 

 あの格好のまま家に入って来られても困る。

 タオルを持って二人の元に。

 

「シロウ、ついでに洗濯もお願いします」

「分かってるよ。飯も食べていくか?」

「勿論です」

 

 とりあえずめぐみんの帽子を取って、軽く拭いてやる。

 もう一人の方にもタオルを渡しておく。

 受け取りつつ、じーっと俺の顔を見たあと

 

「あ、あの時の!」

「そんなに見ないと分からないのか?めがむぐぅ⁉︎」

「アクアよ。アクア。女神なんかじゃないけど、神々しいオーラが滲み出てしまっているだけのアークプリーストのアクア様よ」

 

 多分、女神ということは秘密なんだろう。

 誰も信じないだろうけど。

 とりあえず、手を離してくれないだろうか。

 鼻ごと塞がれてそろそろ息苦しい。

 

「ぷはっ…分かった。アクア」

「アクア様と呼んでもいいのよ」

「呼ばない」

 

 顔がなんかぬめぬめする。

 よく見れば二人とも全身粘液まみれだった。

 あとで顔洗おう…

 

「じゃあ、風呂沸かしてくるから、もう少し待っててくれ」

「あ、手伝いますよ」

「粘液まみれのまま動き回られる方が後々面倒になるんだから大人しくしててくれ。あと何を手伝う気なんだ」

 

 粘液まみれのめぐみんが動こうとしたので、制止する。

 掃除する範囲を広げないでくれ。

 

 中世風の雰囲気が溢れるこの世界なのだが、魔法だけではなく、ある程度は科学も発展していたようだ。

 いちいち薪でどうのとする必要はないらしい。

 薪を集めておく場所とかもあるが、何に使うんだ。

 

 風呂が沸くまでの間のんびりしていると、二人の話し声が聞こえた。

 

「めぐみんはどうしてこんなところに来たの?大衆浴場の方がすぐ入れるわよ?」

 

 こんなところって。

 まぁ、単なる一軒家で別段大きいってわけじゃないが…

 

「ここならタダですから」

 

 食費以外にもめぐみんから金取った方がいいかもしれない。

 食費が一番かかるのはめぐみんだ。

 あの体で意外と食べるから、食費が…

 

「なるほどねぇ、それ以外にも理由あったりするんじゃないの?」

「他の理由ですか?まぁ、ここ私の家でもありますし」

 

 めぐみんの帰ってくる家ではあるが、その言い方だと家主がめぐみんにならないか?

 一応家主は俺だと思うんだが…

 

「じゃあ、あの人は?」

「私の元パーティメンバー兼ここの大家さんです」

 

 言いたい放題言われている気がする。

 あとで家賃滞納について話し合った方がいいと思う。

 

「元、ねぇ。なんで元パーティメンバーなの?パーティに入ってくれたのは嬉しいけど、カズマのパーティより元パーティメンバーのなんたらさんの方が絶対いいわ」

 

 名前は完全に忘れられていたようだ。

 

「いえ、彼は彼で忙しいそうなので。クエストでは確かにカズマよりかは圧倒的に役に立ってくれますが」

「助けてくれたのは嬉しいけど、そうなる前に何とかして欲しいわね!」

「そうですね。カズマのおかげでカエルに食べられるなんて経験をしてしまいましたから」

 

 言いたい放題言われてるな。

 多分、あの時会った奴のことだろう。

 しかし、他力本願過ぎないか、君たち。

 多分そのパーティで一番戦い慣れてるのはめぐみんのはずなんだが。

 

「色々と大変でしょうけど、これからよろしくお願いします。アクア」

「ええ、こちらこそ。あなたの爆裂道、応援しているわ!」

 

 この二人仲良いな…

 アクアは簡単に仲良くなれそうではあるが、美遊に口で負けそうな気がするのは気のせいだろうか。

 

「あ、ここ私たちの拠点にしない?」

「いいですね。賛成です」

「…毎月家賃払ってもらうからな」

 

 拠点になる話は無しになった。

 

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「やっぱりここを拠点にしましょう!」

 

 風呂から上がった二人は、報酬の受け取りをしているカズマという男の元へと走っていった。

 その後、カズマを連れて来た。

 まぁ、飯を食べていくかって聞いたのは俺だし、食べてもらえるなら作り甲斐もある。

 ウィズの店に少し顔を出したが、何かまだ忙しいらしいのでとりあえず先に食べてもらうことにした。

 

 で、食べ終わったと同時にまたここを拠点にしようなんて話になっていた。

 

「さっきも言ったが、そうなった場合、家賃払ってもらうからな。部屋もそんなに空いてないんだ」

「や、家賃っていくらなんだ?」

 

 そう聞いてくるのは連れてこられた男。

 佐藤和真。

 黒のジャージを着ていて、どうやら少し違うが日本のことも知っている。

 名前や顔からしても日本人だと言える。

 

「特に決めてないが、この二人の食費がどれだけかかるかにもよるな。あと、酒代が一番かかりそうなんだが」

「日に何本も開けそうだからな、あいつ。あ、おいこら、バカ!それ俺のだぞ!」

「いいじゃない!ちょっとぐらい!」

「…賑やかなのは構わないんだ。ちょっと賑やかすぎるけど」

「いや、ほんと、うちのバカと俺が迷惑かけてすいません」

 

 アクアが酒を振り回しながら、どんどん食べていく。

 和真はそのアクアを抑えつつ、酒を飲んだり。

 めぐみんは無言で食べている。

 

「今日は静かに食うんだな」

「私までいつものノリで食べてしまうと、流石に迷惑でしょう」

 

 めぐみんはいつも美味そうに食ってくれている。

 初めて食べた時も突然立ち上がったりなんだで、賑やかだった。

 美遊は引いていたが。

 

「アレだけ暴れられると少し迷惑だけどな。めぐみんはリアクションが大きいってだけで、美味そうに食ってくれているから俺は嬉しいぞ」

「…そうでしたか」

 

 そう言ってまた無言で食べていく。

 今日のは口に合わなかったか、とも思ったがそんなことはなく、結構食べていた。

 

「ここで故郷の料理が食えるとは思ってなかったなぁ」

「食材は似たようなものがあるし、作ろうと思えば作れるもんだぞ?」

「これだけ美味しくは作れないだろ」

「料理スキルでも取ってるのかしら。あれさえ習得すればどんな料理でも作れるはずよ!」

 

 当たってるでしょ!と言いたそうな顔で俺の方を見てくるアクア。

 隣の和真はスキルという言葉に食いついたようだが。

 

「スキルはここに来てから一つも取ってないぞ。元からスキルが色々あったし。料理もずっと前から作ってたしな」

「最初からスキル持ち?そんなことあり得るのかよ、アクア」

「料理スキル無しでこれほどの料理を作ってしまうなんて…才能よ。これはとんでもない才能よ!」

 

 和真の言葉など無視して一人盛り上がるアクア。

 めぐみんはその間もずっと食べてる。

 …食べ過ぎじゃないか?

 

「もう料亭とかレストランとか開いても大丈夫よ!それぐらいのレベルよ!」

「アクアー、スキルって最初から持ってるもんなのか?」

「シロウの料理は絶品ですからね。ワフウだとかヨウフウだとか出来るそうですよ」

 

 和真の言葉などガン無視の二人である。

 

「家事をする為にしていることだから、そういう商売とかは興味ない。でも、そうやって料理を評価してくれるのは嬉しい」

「シロウの料理は毎日食べてても飽きませんからね。毎日食べたいです」

「もう毎日食べてるだろ…」

 

 そう言いながら食べ続けているめぐみん。

 和真はようやくアクアに聞けたらしい。

 

「前の才能がこうやってスキルになることあるんだな…」

「多分ね、詳しいことは知らないわ!まぁ、お礼としてから貰っておくわ」

「ああっ!おまっ、最後の最後に食べようとしてたものを!」

「残してるあんたがいひゃいいひゃいいひゃい!」

 

 この二人は仲がいいのか悪いのか…

 わいわいと騒ぎながら食べていても意外とすぐに料理は無くなるものだ。

 気がついた時には平らげられていた。

 

「久々に食べるといいもんだな、和食とかも」

「これを食べてしまうと、あれね。ギルドのご飯なんて食べれたもんじゃないわね」

「いつも美味そうに食ってた奴が言うな」

 

 食べ終わった後もアクアと和真はすぐに騒ぐ。

 賑やかと言うより騒がしいんだな、この二人は。

 そう思いながら、皿を洗っていると

 

「シロウ。今週の食費です。これで今週もお願いします」

「毎回言ってるが、これだけ渡すなら朝も昼も食いに来ていいんだぞ?というか、これ以上は払わなくても作ってやるから…」

「いえ、夜だけで構いません。お世話になってるのでこれぐらい渡すんですから」

 

 正直、金銭的には困ってはいない。

 だが、毎度毎度ただ飯を食わせるわけにはいかないということで、食費をある程度払ってもらっている。

 夜だけでいいというから、あまり貰わないようにしているが、毎回多めに渡される。

 

「カズマさん、カズマさん。食費を払えば、毎日このご飯が食べれるわよ!」

「いや、毎日食べにくるのは流石に迷惑だろ。毎日食べられるのは魅力的だが」

 

 …なんだか食材を多めに買っておかないといけない気がして来た。

 

「朝とか昼に来られても困るが、夜ならいつでもいいぞ。食費は取る」

「「お願いします」」

 

 食材を多めに買うことが決定した。

 

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「お兄ちゃん、ただいま」

 

 和真が玄関の方へと勢いよく振り向いた。

 

「カズマはヒキニートでロリコンだから、ああいう台詞で振り向いちゃうのね!」

「ロリコンじゃない。子供が好きなだけだ」

 

 口でそうは言っていたが、なぜだがそれが全く信用ならなかった。

 目は口ほどに物を言う。

 和真の目がそれを物語っていた。

 

「お前だけ食費倍払いだな」

「ちがっ、本当に子供が好きなだけだから!ロリコンじゃないっ!」




カズマはロリコン

本来この回でカズマにスキルをと考えていたというより、原作ここら辺でスキルを手に入れるんだよね。
うん、失敗した。

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