艦これの世界に転生したら妖精だった!?   作:あんみつ姫

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お久しぶりの方はお久しぶりです。
初めましての方は初めまして。

不定期更新とはいえ、半年ぶりの更新は遅いですね。

言い訳をさせてもらうなら……
えっ、言い訳するよりも本文見せろって?
それはそうですね……汗

それでは本編どうぞ!



第6話 息抜き

 

さて、綺麗さっぱりになった。あとは食事をするのみだな。時刻はヒトナナサンマルを指している。ふっ、どうだ?俺も中々染まってきただろう?……なに、わかりにくいだと。仕方あるまい、1730になったぞ。

 

「飯、どうする。今からだと少し早くないか?」

 

午後六時前だから特別早いわけではないが、なにぶん腹が減った。昼飯を食べていないし、期待している分も上乗せされてるからかもしれない。

 

「いえ、そこまで早いというわけではないですよ。食べに行きましょうか」

「了解」

 

他の五人とは浴場で別れたため一緒に行動しておらず、二人きりで話している。牛乳を飲むやらマッサージやらボードゲームで遊んでいくそうだ。初霜ももちろん誘われたが、断りを入れて先に出てきたというわけだ。

 

「なぁ、断っても良かったのか?」

「はい、大丈夫です。今日に限っての話でもありませんし」

「たまにはのっても良いと思うが」

「そうね……。考えておくわ」

 

俺のためではないか、と少しだけ期待していたが無駄だったな。べ、べつに悲しくなって泣いているわけじゃないからな!まぁ、少々落ち込んだけど。

 

というかそもそも、こっち側が一方的に相手側を知っていて好意を抱いているだけであり、相手側としてはまだ会って二日目のよくわからない妖精という位置付けだ。

一目惚れという奇跡があるわけでもなく、ニコポナデポというスキルを持っているわけでもない俺は、初霜にとってどう見えていてどの程度認めてもらえているのか。妖精という好感度上昇補正があるとしても、気になってしまったものは仕方あるまい。

 

「もしかして、複数人で何かをするといった事が苦手?」

「はい、少し。艦隊を組んで出撃するなら別ですが」

「なるほど、ね。なら、ご飯食べた後にでも俺と何かしないか?」

「良いですね。そうしましょう!」

 

俺の提案を笑顔で頷いてくれた。他の人が初霜の笑顔を見て少し驚いているぐらいだ、信頼とはいかないまでもそれなりに信用してくれているのだろうか。だとしたら嬉しい。

 

ん、何をするかだって?それはナニに決まっているだろうが。男と女が二人きりになってすることは一つじゃないか。ご想像にお任せするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂上がりという事で気分が良い俺たちは少し混んでいる食堂へとやって来た。食堂はもちろん食べるところでもあるが、艦娘が雑談しながらおやつを食べたりする場所でもある。この時間は待ち合わせついでにお菓子を食べて暇を潰している艦娘が見られる。少々混雑しているが一応艦娘全員が入りきるように設計されているので席が空いていないという困りごとはない。

 

今日のメニューは何にしようか。そういえば、駆逐艦の食事量と戦艦や大型空母の食事量は一緒なのだろうか。券売機で売られているメニュー表っぽいのを見る限りでは食事量に関する記述がない。

 

「食べる量はみんな変わらないのか?流石に違うはずだろ」

「もちろん、違います。そこは受付の方が調整して下さるの」

「へぇ、優秀だね」

 

なるほど、でも確かに。例え人数が百人を超えていようともその全員が固定客ならば誰がどのくらい食べるかぐらいすぐ覚えてしまうか。

 

さて、今日頂くのは初霜の希望により秋刀魚の塩焼き定食となりました。俺と初霜は別々の定食を頼むよりも一緒の方が何かと都合がいいそうでそのようになったと。俺は一つのモノを二人で共有するわけであり、否定するなんてことはあり得ない。

わはは、これからの食事は毎日同じ食事をするというわけか。……ぐふふ。

 

食券を受付の人に渡して待つこと十分、俺たちの番号が呼ばれた。初霜はお盆を取りに行き、俺は机の上に座って待機だ。ここだけの話、魚を使った料理はあまり好きじゃない。なぜか。だって骨が多いじゃん。それに皮がまずい。身が美味しいのは認めるが、それ以外のマイナスの印象の方が大きい。

 

しかし、今回は食べさせて貰えるはずだ。つまり、骨や皮を取り除いた身だけを我に捧げてくれるに違いない。いや、きっとそうだ。そうといってくれええええ。

 

「それでは食べましょうか」

「うん」

「「いただきます」」

 

お盆を静かに机に置き、初霜が席についた上で手をあわせる。ふぅ、落ち着け。初霜がそんな意地悪をするはずがない。信じる心が大切だ、そうすれば報われる。無条件の信頼は世界を救う!・・・はっ、俺は何を。

 

「レオさん、あ~ん」

「あ、すまん」

 

考え事していたら目の前に芳ばしい香りを纏う白い身が差し出されていた。食べやすいように小さく箸で切られており、箸を持たない手は身が落ちないように下で皿の形を作っている。くぅ、その仕草はポイントが高いぞ。

骨の有無は見ただけではなさそうに見えるがはたして・・・。えぇい、ままよ!

 

机の上から初霜の箸を持たない手に飛び乗り、口を開けられるだけ開ける。初霜はキョトンとした顔を見せたがすぐに可笑しそうに笑った。口の中に身が入るのを感じとり、ガブッという表現が似合う勢いで閉じる。箸をすぐに引っ込めることはなく、俺の口の中に刺さったままだ。……表現がいまいちなのは許してくれ。

 

初霜が優しく箸を抜こうとするが、悪戯心が沸いたので歯でガチッと固定して抜けないようにする。何回か抜こうと試した初霜は俺が反抗していることがわかり、笑みを深めた。無理矢理引き抜くのかなっと思っていたが、初霜は俺が乗っている手の親指と小指を使って両側からほっぺをふにふにし始めた。

 

「むー」

「ふふっ」

 

声を出して抗議したが手を止めることはなく、笑い声が聞こえてくるぐらいだ。ずっと箸を噛み続けるのもしんどいわけで、力を緩める。小さな圧力がなくなったのを感じ取った初霜は悪戯したあとでも変わらず優しく箸を引き抜いた。

 

改めて、口の中にある秋刀魚の身を租借する。うん、骨は入っておらず良い感じに塩の味が利いていて素晴らしい。

 

「おいひいな」

「ふぁい」

 

俺の同意を求める声に喜色が溢れる声で頷いてくれる。俺の耳が「はい」ではなく「ふぁい」と聞こえてしまうのは気のせいではないだろう。口がもぐもぐしているからだ。ああもう、可愛すぎか!惚れてしまいそうだ。

ただ、箸を一切の躊躇いなく使われているのを見るとなんだろうな、残念というか悲しいというか。仕方ない・・・か、これからに期待。

 

「へぇ、これが噂の子かい?」

「なんか普通っぽい」

 

白露型駆逐艦の二番艦と四番艦である時雨と夕立がお盆を持って俺たちの向かい側に座る。わんことわんこが俺と初霜の食事会に参戦。もう慣れるよね、うん。

 

「何を期待してたんだよ」

「うーん、戦闘機に乗っている妖精と聞いてたし、もうちょっと貫禄があるかと思ってたっぽい」

「それは悪かったな。あいにく、そんな立派なモノを持ち合わせていなくてな」

「ごめんね、悪気はないんだ」

「別に、自覚してるし気にしてない」

「ごっはん~♪ごっはん~♪」

 

軽くディスるだけディスっておいて本人は食事を食べている。これは流石に気を悪くするわけではないが苦笑いは避けられない。見上げたら初霜も苦笑いしている。

いくら異空間で練習したといっても前世の性格や記憶を引き継いでいる分前世よりに引っ張られるため、そこら辺にいる凡人の雰囲気と変わらないのだろう。

 

「はぁ、夕立。君が言い出した事だよ、初対面の人?には少し失礼じゃないかな」

「んむぅ、ごめんなさい」

「大丈夫だ」

 

時雨は溜め息をつきながら夕立に謝罪を急かし、その指摘を受けた夕立も悪いと思ったのか謝罪した。あぁ、そうか。俺は前世の記憶を持っているため初対面というわけではないが、相手側からしたら初対面なのか。だったら、朝六人、俺を含めたら七人で食べたとき自己紹介するの忘れていたな。また会ったときにしておくか。

 

「レオだ、これからよろしく頼む」

「僕は白露型駆逐艦時雨。これからよろしくね」

「白露型駆逐艦夕立よ。よろしくね」

 

一通り挨拶して食事に戻る。冷めてしまってはせっかくの美味しい料理が台無しだ。口を開けて続きを促すように初霜へ語りかける。初霜は口元を緩めながら運んでくれる。

 

「夕立もやりたいっぽい」

「えぇ、夕立やめなよ」

「くれるならもらうわ」

 

俺と初霜のやり取りを見ていた夕立が自分もやりたさそうにうずうずしていたが、とうとう声に出して主張し出した。時雨は心の何かにひかかったのか夕立に止めるように注意するが、俺が許可を出したため反論しなかった。もともとそれほど拒否感があるわけでもなさそうだった。

 

「ちょっと向こうに行ってくる」

「・・・」コクッ

 

初霜に一言詫びを入れて反対側に歩いていく。俺が着く頃には夕立は既に箸を持って準備していた。その箸にはさまれていたのは野菜だった。

 

「あーんっぽい!」

「あーん」

 

言葉通りに口をあけて野菜を食べる。採れたての野菜を使っているのか、美味しかった。

 

「んふ♪なんかこう、グッとくるっぽい!」

「ふーん、そうなんだ。でも夕立、レオに食べさせたの嫌いな野菜だったよね」

「そ、そんなことないっぽい」

 

夕立にとって妖精に餌付けするのは中々好感触のようだ。これからも時折頼んでみるとしよう。でも、妖精に餌付けするということはその妖精は自分の嫌いな奴を処理してくれる便利な存在だったりするわけだ。はたして、夕立ひいては初霜にとって俺はどのような存在なのか聞きたくなる。

 

それはそうとして、時雨が先ほどから夕立にジト目を向けたあと手元のご飯と俺を交互に見ながらチラチラと視線を寄せてくる。ははーん、時雨も俺に食べさせたいわけだな。ふふふ、俺は優しいからな。その意図を察してあげようではないか。

 

夕立の席から無言で立ち上がり、時雨の方へ歩いていく。

 

「あ、ちょっと待って」

 

夕立の静止の声が後ろで聞こえるが、俺はそこまでお人好しではない。残った苦手なお野菜は自分で食べなさい。健康に良くないのだよ、夕立君。わかったかね?

 

「夕立、自分で食べなよ」

「うぅ~、頑張るっぽい」

「時雨、ちょうだい」

「うん、はい」

 

夕立の悲しさが混じる声をスルーして時雨が目を輝かせながら俺の口に食べ物を運ぶ。これは……ハンバーグだな。ソースはデミグラスソースで外れがない味だ。レトルトハンバーグではなく一からちゃんと作られていてとても美味しい。

メインを食べれば必然と欲しくなるのがご飯。さぁ、米をよこせぇ!

 

「あ~ん」

「もう、しょうがないな」

 

言葉だけを見たときは不満そうな感じが出ているが実際の顔を見てみると明らかに嬉しそうな表情を浮かべている。特に躊躇することなく箸でご飯をつまんでくれる。俺が米を欲していることをわかってくれたようだ。

 

「どれも美味しいな」

「そうだね。他の鎮守府がどうなのかはわからないけど、少なくともここの食堂はどれをとっても美味しいよ」

「最高だな」

「うん」「っぽい」

 

 

 

 

さて、食事と交流には満足したしそろそろ初霜の元に帰ろう。

 

「それじゃ、またな」

「「またね」」

「夕立は好き嫌いせず食べろよ」

「うっ、レオも厳しいタイプだったっぽいー」

「ほら、早く食べないと」

 

二人が仲良い姉妹だということがわかっただけでも充分だったが、交流の機会があったのは幸運だったな。

 

「ただいま」

「おかえりなさい」

 

ちょうど食べ終わったのか水を飲んで口をふいていた。自分のをふき終えた後は俺の口周りもついでとふいてくれる。ふおおおぉぉぉぉ!テンションが急上昇↑↑

拗ねたり不機嫌になったりと特に困ったことはなく、一安心と将来への努力目標に加える。初霜の肩に乗り、わんことわんこに手を振る。

 

「失礼します」

 

初霜が席を立ち、お盆を持って返却へと向かう。わんこ×2は手を振りながら見送ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部屋に戻るのか?」

「いえ、別の場所に行きます」

 

食堂から出た初霜は躊躇うことなく次のところへ足を進める。ふむ、どこに向かうのか。今日の遠征の報告書をまとめるためそういうところに行くのだろうか。いや、初霜の部屋には報告書を書くぐらいの設備は整っているはずだ。

 

俺がうんうん考えているうちに目的地につき、中に入る。そこはかなり大きな娯楽施設だった。大人が遊ぶ物から子ども向けの遊び道具が沢山置いてあった。その規模は浴場と比較したらざっと見た感じ3~4倍はあるぞ。

派手な音楽と眩しいぐらいの光が溢れている。外側にいたときは考え事をしていたこともあるが、全く気付かなかった。防音防光は完璧なようだ。

 

なるほど、俺と仲を深めようと考えてくれていたのか。俺氏、感動。男女がすることといったらデートだよな!デートの中身はおいておくとしてね。

 

「なにをしましょうか……」

「ここに来たのは初めてか?」

「恥ずかしながら///」

 

なんと!わざわざ俺のためにここまで案内してくれようとは・・・。この機会を逃すわけにはいかない!

うーむ、利用したことがないならあまり派手な雰囲気の遊びは無理だな。……派手な雰囲気の遊びとはなんだよ笑

ここは二人零和有限確定完全情報ゲームが最適かな。どう?この言い方格好良くないか?

 

「オセロ・チェス・将棋・囲碁、どれができる?」

「えっと、オセロと将棋ならルールを知っているわ」

「なら今日はオセロをしよっか」

「わかりました」

 

了承の意を示した初霜は受付っぽいところに行き、何かを書き込む。あいにく受付の人は不在だったみたいで誰もいなかった。

書き終えた初霜は奥へと歩いていく。受付の横にあった地図によれば奥には個室があるみたいでそこでやるようだ。

 

個室は四畳ぐらいの大きさで畳になっていた。初霜は入り口で靴を脱いで畳の上にあがる。部屋の真ん中には脚が低い机が置いてあり、壁にはいくつかのボードゲームの台が置いてあった。その中からオセロの台を出してもらい、準備をしてもらう。

 

「ありがとう。さっそく始めるか」

「お手柔らかに」

 

俺のサイズでは反対側に立つことは出来ても盤面を見通すだけの高さはないため、初霜の肩に乗ったままだ。最初は俺が白で後攻だ。8×8の盤面であるため「(縦)3(横)2」といった感じで初霜に伝え、置く・ひっくり返すといった作業は全て初霜任せ。言い出しっぺなのにご迷惑をおかけして申し訳ないです。

 

 

 

 

 

 

最初の結果は黒:白=14:50となった。圧・倒・的・勝・利!!!こう見えても前世では小さい頃にかなりやっていたみたいでな。それなりの自信がある。少し大人げなかったかな・・・?

 

「よし、俺の勝ちだな」

「完全に私の負けね」

「最初は誰もそうだろ」

「レオさんはオセロの経験があるの?」

「おう、まぁな」

 

敗北に何も感じることない、というわけではなくて悔しがっている表情と声のトーンが見て取れた。感情表現はともかく感情は意外と豊かなのかなっと心躍ったり。

 

「でも、不自然だわ。妖精が遊戯の経験をしているなんて」

「うーん、経験というか知識としてあるだけだ。それに、妖精のことを全て知っているわけでもないだろ?」

「それもそうね。もう一回しましょう」

「何回でもかかってこい」

 

たった一回で飽きもせず、再戦を挑んでくるあたりそれなりに楽しんでくれているのかな。俺も楽しむとするか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして勝てないのかしら……」

「ふっ」ドヤァ

 

あれから三十分、勝負は四回した。結果はご覧の通り。

 

二回目 レオ:初霜=52:12

三回目 レオ:初霜=46:18

四回目 レオ:初霜=44:20

五回目 レオ:初霜=50:14

 

全て俺が快勝している。たかが五回したところで俺に勝とうなんて腹が痛いわ!

 

「これから精進するといい」

「今回は初めてでしたから。次は負けません」

「あぁ、期待しているよ」

 

次の約束を初霜の方からしてくれた。内面の喜びを抑えきれず顔がにやける。

 

「なぁ初霜。楽しかったか?」

「うん、とっても♪偶にはこういうことも」

 

そう言って屈託ない笑顔をする。その笑顔を見せられた俺は顔が熱くなるのを感じる。急にその笑顔は反則だっての!

大丈夫だろうか、顔が赤くなってないだろうか。

 

「レオさん、顔が赤いですが大丈夫ですか?」

「い、いや。大丈夫だ。俺も楽しかったよ」

「それは良かった」

 

はい、アウトー!赤くなっていたうえにばれました。異性として意識しているとは思われていないみたいで、純粋に俺の体調を心配してくれている初霜。指摘されてドキッとしたが、心を落ち着けるように深呼吸を繰り返し、会話で指摘内容を受け流す。でも、楽しんでもらえたようでなによりだ

 

「もう少しこうしていたいのですが、報告書をまとめる必要があるので」

「わかった。部屋に戻ろっか」

「はい」

 

初霜が元通りに台を戻し、個室から出る。受付のところまでいき、一言二言書き込んで外に出る。受付の人は不在のままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に戻り一息ついたら、初霜が机で紙に何かを書き始める。俺はその隣で今日乗り回した零戦の目視点検を行う。まずはコクピット内だ。燃料・弾薬ともにMAX値を示しており、不備らしきモノも見当たらず特に問題なかった。次に外装に何か異常はないか確認する。

 

ふと視線を感じて、顔を向けると初霜が筆を止めてこちらを見ていた。

 

「あ、わりぃ。邪魔したか?」

「問題ないですよ」

「横でうろちょろされたら気が散らないか?」

「もう書き終えたので」

「それならいいや」

 

心配事もなくなり、機体の周りをぐるぐるしながら手を触れつつ確かめる。こう見えてもある程度の経験はある。自分が命を預ける機体だ、その調子を把握をする術は身に付けていて当然だ。どのような原理かはわからないが、完璧に仕上がっており、新品のように感じる。……すごいな。

 

「他の妖精もこのようなことをしているの?」

「んー、他の妖精と会ったことないし、わからない。空母の人なら知っているかもしれないが」

「今まで補給をして不具合が出たという事例は出ていませんが、どうして点検を?」

「そりゃあ自分の命を預けるんだ。確認して損することなんてない。万が一の事が起きないようにするのさ」

「……」

 

機体を触りながら話していたが、急に静かになった。不思議に思い振り返ればさっきまで笑顔だった初霜が真剣な顔をしていた。推測するに、さっきの俺の言葉から暗に妖精という存在は死ぬことがあるのか、と疑問を抱いているのかな。……もしかして、機密情報に触れてしまっているのか!?

 

暫くして初霜が目を閉じて顔を左右に数回振り、なんでもなかったような表情を見せる。

 

「そろそろ寝ましょうか」

「そうだな」

 

零戦を格納し、初霜と共にベッドへ向かう。明かりを消して布団に入り、初霜におやすみの挨拶をして自分の世界にダイブ。

 

 

 

二日目は新しい出会いと遠征帰りの不思議な声があった。その声は不思議と頭に残った。他人事とは思えないからだ。前世でいくつか考えた仮説があるが、まだどれも証明できていない。いずれ知る機会が訪れるはずだ。その時に見落とさないようにしないとな。

 

異世界生活二日目は大きなこともなく無事終わった。

 

 

 





楽しい時間となりましたでしょうか。

何気ない日常を書くことがすごく難しいと感じましたね。

ここまで来て下さりありがとうござます。


それでは、また次回の更新で。


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