急いだので誤字脱字等あるかもしれません…。
それでは、最後までお付き合いお願いします!!
「う、うぷっ……気持ち悪い…」
「すまんシスティ…。だが今は気遣っておれん」
「あぁぁ揺れる…。気持ち悪い…」
エルザはすまなそうに言うが、今のシスティの耳には入ってこない。ただただ自分のことで一杯一杯だった。
エルザは先を急ぐあまり一直線にクローバーの街を目指しているため、道無き道を突き進み、車体は激しく揺らされる。システィにとってはかつて経験したことないほどの地獄だった。
地獄のような時間がどれほど続いたのか、ようやく先行していたナツに追いついた。
勝敗は既に決しており、ナツの足元でエリゴールは気絶していた。
「おう!遅かったな、みんな」
「エリゴールを倒したのか。ナツ、よくやった」
「楽勝だったぜ」
「その割にボロボロだな」
「んだとゴルァ!!」
「やんのか!?」
そんな調子でワイワイしている中、システィだけ何か嫌な予感がしていた。どこかこのままでは終わらない気が。
「っ!?ハッピー、後ろ!!」
システィが気づいた時にはもう遅かった。
いつの間にいたのか、エリゴールの部下の一人がハッピーからララバイを奪い取り、システィ達が乗ってきた魔導四輪車も奪って走り去っていく。
「ハハハッ!!ララバイは頂いて行くぜぇ」
「しまった!!」
「不味い、早く奴を追うぞ!!」
エルザの指示とともにシスティ達は急いでクローバーの街に向かった。
そして数十分後、定例会場近くにある森の中で逃げた男と我らがマスター、マカロフを見つけた。
エルザ達が急いで止めにはいろうとするとが、寸でのところで止められる。
「しっー!今いいところなんだから、黙って見てなさい」
「あ、あなたは…!」
「
「あらー、エルザちゃんにシスティちゃんじゃない!!二人ともすごく綺麗になっちゃってー…いいわねぇ!」
「…何なの?この人」
ルーシィがシスティに呆れた口調で尋ねる。
「あれでも青い天馬のマスターのボブだよ」
「へ、へぇ…」
「どうした?早くせんか」
突然現れた青い天馬のマスターに忘れていたが、マカロフの声が聞こえ、目的を思い出す。
「い、いかん!」
慌ててエルザが止めに入ろうとするが、またもや止められる。
「静かに見てろ」
今度はサングラスをかけた男、
よく見るとゴールドマインの後ろにも定例会に出ていたギルドマスターがおり、マカロフの様子を伺っていた。
辺りに少し静けさが戻った今、マカロフの言葉が鮮明に響き渡る。
「何も変わらんよ…」
「っ!?」
「弱い人間はいつまで経っても弱いまま…。しかし弱さの全てが悪ではない…。
元々、人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安になる。だから、ギルドがある、仲間がいる。強く生きるため、寄り添いあって歩いていく。
不器用な者は人より多くの壁にぶつかるし、遠回りをするやもしれん…。しかし、明日を信じて踏み出せば、自ずと力は沸いてくる。 強く生きようと笑っていける。そんな笛に頼らなくても…な」
「……参り…ました…」
マカロフの言葉が胸に響いたのか、男はすっとララバイを手放し、俯いて涙を流した。
事が解決するとエルザ達が一斉にマカロフの下へ駆け寄っていく。
「「マスター!!」」
「じっちゃん!!」
「じーさん!!」
「ぬお!?お、お主ら、何故ここに!?」
突然現れたエルザ達にマカロフは驚愕する。
「流石です!マスターのお言葉、胸が熱くなりました!!」
ガツッ!
「いたぁい!!」
感動のあまりエルザは勢いよくマカロフを抱きしめるが、マカロフは鎧に頭を打ち付け、鈍い音が響く。
「じっちゃんすっげぇなぁ!」
ナツはマカロフの頭を叩きながらそう言う。
「すごいと思うのなら頭を叩くでないわ!!」
「これで一件落着だな!」
「そうね!」
「あい!!」
グレイやルーシィ達がお互いに顔を見合わせ、笑みを浮かべ喜んでいるなか、システィは冷静に周囲を見る。
「………まだだよ」
システィの目線の先には地面に転がったララバイ。
ギロッ!!とララバイの目が怪しく光ったと思うと笛がいきなり喋り出す。
『カカカッ どいつもこいつも情けねぇ魔導士共だ…!!もう我慢出来ん…。我が自ら、喰らってやろう………!!貴様らの、魂をなァアアッ!!!!』
するとララバイは巨大な怪物へと姿を変えた。
「な…こ、これは…!?」
「ゼレフ書の悪魔…」
「本性を現しやがったな」
ナツが叫び、システィはマカロフとアイコンタクトを取る。
「一体どうなっているの…?」
ルーシィが戸惑いの声を上げる。
「ララバイとはつまり、あの怪物そのものの事を言うのさ。ララバイ…生きた魔法…。それが、ゼレフ書の悪魔さ」
答えたのはゴールドマイン。
「ゼレフだと!?ゼレフって確か大昔の…」
「そう。黒魔導士ゼレフ、魔法界の歴史上最も凶悪だった魔導士…」
そして……今もどこかで……
『さぁて、どいつの魂から頂こうか…。いや…全員まとめて喰ってやる!!』
ララバイの言葉に慌てるギルドマスター達だが、マカロフは余裕の笑みを浮かべる。
「行くぞ!!」
「「おぉっ!!」」
そして、エルザ、グレイ、ナツの三人が動き出す。システィはギルドマスター達の護衛としてその場に残るが、しっかり三人をサポートする。
「いくよ、三人とも!!イルバーニア、イルアームズ」
システィの付加魔法により移動速度、攻撃力をともに倍加させる。
「換装、天輪の鎧!!」
その声と共に鎧を変え、複数の武器を手にララバイを斬り裂くエルザ。
「うぉりゃぁ!!火竜の鉄拳」
エルザに続きナツがララバイの体をよじ登ると、その顔面を炎でぶん殴る。
「何じゃ、あれは!?あれも魔法なのか!?」
鬱陶しく感じたララバイがナツとエルザに向け攻撃を出すが、イルバーニアによって加速した二人はいとも容易く避け続ける。
時折流れ弾がギルドマスター達の元に飛んでくるが、待ち構えていたグレイが魔法で防ぐ。
「アイスメイク………“
ギィイイインッ!!!!
グレイの魔法は瞬時に氷の盾を作り出し、ギルドマスター達の身を守る。
「おお、一瞬でこれだけの造形魔法を!!」
「造形魔法?」
「魔力に“形”を与える魔法だよ。そして、形を奪う魔法でもある…」
ハッピーの言葉に思わずルーシィは息を呑む。
「アイスメイク………“
今度はグレイの魔法がララバイの下半身を吹き飛ばす。
「す、すごい!!」
「流石だねぇみんな。さて、私もそろそろ行こうかな」
ルーシィが感嘆の声を上げるなか、遂にシスティも動き出す。
「天竜の牙は空をも切り裂く…。天竜の砕牙!!」
システィの腕から放たれる牙にも似た風はララバイの両腕に突き刺さり切断する。
下半身も両腕も無くなったララバイにはもう抵抗する手段はない。
「決めるよ!!天竜のぉ……
竜巻はララバイを貫通し、やがて静かに塵となって消滅した。
「かーかっかっか!!どーじゃ、凄いじゃろー!!」
マカロフの甲高い笑い声が一同を現実に引き戻し、全身で喜びを顕にする。
「すっごーい!!」
「これが
「見たか!!これが俺たち妖精の尻尾だぁ!!」
「………あ」
突然、システィがなにかに気付いたような声を漏らす。
「む?システィ、どうかした…か…」
システィの視線の先には本来あるはずの定例会の会場が消え去っていた。
結局、この後システィ達はショックのあまり気絶したマカロフを抱え、逃げるようにギルドへと帰還した。
最後までお付き合いありがとうございます!!
鉄の森編が今回で終わりましたので、次はデリオラの話になります。
そろそろ原作通りじゃなくて、オリジナルストーリーも考えようかなとも考えてます。
それでは次回もよろしくお願いします!!