多々改変しているところもあるので分かりにくい箇所があると思いますが、最後までお付き合い、どうぞよろしくお願いします!!
イシュガル大陸の西端に位置する永世中立国フィオーレ王国。その港町ハルジオンにシスティは立ち寄っていた。
「うう…まだ気持ち悪い…」
「大丈夫、システィ?」
道中で乗った電車のせいでシスティは気分を害していた。
滅竜魔導士はなぜか皆乗り物に弱い。酔い止めを飲もうが関係なく酔ってしまう。
まだ覚束ない足取りで街を彷徨っていると、不意に微かな魔法の気配を感じ取る。そして、それて同時に後ろから大勢の女性達がシスティーを追い抜いていった。
「キャーッ、
「な、なに?今の……」
まるで嵐のように通り過ぎていった光景にシスティは思わず唖然とする。それに、女性達が叫んでいたことが凄く気になる。
「ねぇシェリル、あの人達さっき火竜って言ってなかった?」
「言ってたね」
「ナツ…だよね?」
「多分……」
二人の間に微妙な空気が流れる。
女の子達にキャーキャー言われているナツなんて想像できない。
とりあえず確かめてみるべく、システィは小走りで先を急いだ。
「キャーッ!!火竜様~!!」
「あそこか~」
遠目で人だかりを見つけ、そこに向かって走っていく。そして、すぐ近くまで近寄ると今度は鮮明に魔法の気配を感じた。
危険レベルは低い。攻撃性もない。この魔法は……
人だかりの隙間から覗き込んで中心人物を確認すると、案の定ナツではなかった。
「なんだ、なりすましか」
「みたいだね」
「どっかご飯でも行こっか、シェリル」
小さくため息をつくと、システィは街の表通りの方に向けて歩き出した。
その時にはもうご飯のことしか考えていなかったため、システィは後ろで起こっている騒ぎに全く気付かなかった。
◇
ハルジオンのとあるレストランにて、桜色の髪に銀色の鱗のようなマフラーをした少年ナツと青毛の猫ハッピーが、旅をしているというルーシィにご飯を奢ってもらっていた。
「あんふぁ、ちょういひやつだな」
「あい!ありがと、ルーシィ」
「そんな急いで食べなくていいから。これはお礼なんだから」
もの凄い勢いで食べるナツにルーシィは苦笑いする。
「さっきのやつ、魅了って魔法使ってたの。それ、人の心を惹きつける魔法でね、もう何年か前に発売禁止になったはずだったんだけど…。そこまでモテたいのかな?」
「…魔法詳しいんだな」
「こー見えてもあたし、魔導士なんだ。まだギルドには入ってないけどね。いや、入りたいギルドは決まってるんだけど、そのギルド有名だし凄い魔導士が一杯いるからさぁ。あ~あ、入りたいけど厳しいんだろーなぁ…」
「お、おう…」
「ルーシィってよく喋るね」
ルーシィのあまりの熱弁にナツ達は圧倒されていた。
「じゃ、あたしはそろそろ行くから。ゆっくり食べなさいよ」
ルーシィは立ち上がると食事代をテーブルの上に置いた。
それを見てナツとハッピーは互いに頷くとルーシィに向かって土下座をした。
「ご馳走様でした!!!!」
「でした!!」
「キャー!ちょ、ちょっとナツ、恥ずかしいからやめて~!!」
そうやって店内で騒ぎたてる三人を、同じ店内から眺めている二人がいた。
「相変わらずだね…ナツは」
性格は全然変わっていないが、雰囲気から彼の成長を感じ、思わず笑みを溢すのだった。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます!!
実の所書き溜めはそこそこあるのですが、一気に投稿しすぎると書く気が無くなるという自分勝手な理由で投稿を遅らせています。本当にスミマセン…<(_ _)>
最低でも一週間に一話は投稿できるように頑張るので、今後ともどうかよろしくお願いします!!