それでは最後までお楽しみください!!
マグノリアに帰る途中、システィはベスネルクという街に立ち寄っていた。そこは魔法具の製造や売買が盛んな街として賑わっており、フィオーレ王国の中でも有名な観光スポットにもなっている場所だ。
システィとシェリルは、そこへお土産を買いに来ていた。
「何か面白い
「誰かにあげるの?」
「ナツにね。ほら、どうせ私がギルドを離れるって言ったら怒ってくるだろうから機嫌直しにね」
そう言って、至るところの魔法具を物色する。しかし、イマイチなものばっかりでどれがいいのか迷ってしまう。
「もうこれでいいんじゃない?スイッチを押すと電気が流れるドッキリ用
「それ、逆に怒られそうだよね…」
そうやって色んな店を回っているうちに空が暗くなり始めてしまい、仕方なくシスティはこの街に一泊することにした。
夜も更けて街の明かりも少なくなった頃になっても、システィは未だに寝られずにいた。
外の空気を吸うために、シェリルを起こさないよう静かにベランダへ出ると、外の空気は冷たく、心地いいものだった。
「…ウェンディ…」
システィは静かにその名を口にする。
眠れないのは、彼女の事が原因だった。
今まで、最悪のことも有り得るため意識的に考えずにいたが、ミストガンからギルドに保護されていると知って、居ても立ってもいられなくなっていた。
「ちょっと頭冷やさないとなぁ…」
システィはベランダから街を眺める。
この宿は少し宿泊代か高い代わりに眺めがいいと評判の宿だ。二階ともあって、その眺めは素晴らしい。
すると、近くの裏路地に全身黒衣でフードを深く被った集団が目に入った。人数はだいたい二十人程度。キョロキョロと辺りを見渡し、何かを探している雰囲気だった。
「何だか一悶着有りそうね…」
システィはニヤリと笑うと、ベランダから宿の屋根に飛び乗り、上から尾行を始めた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
少女は裏路地の影にしゃがみ込み、追っ手から身を隠していた。
バタバタと足音が近づき、自分を血眼になって探しているのが嫌でも分かる。
そして、足音は結構近い所で止まった。
「おい、いたか?」
「いや、こっちじゃない」
「クソッ、どこに行きやがった…!?」
コツコツと二人の足音が離れていく。同時に肩の力が抜け、その場からゆっくり離れようとしたその時、足元にあった空き缶を倒してしまった。
カラカランという音が裏路地に響き渡る。不味いと思った時には既に少女は走り始めていた。後ろから「居たぞ!!」という声があがるが、気にせず少女は走り続ける。
そしてそのまま走り続け、街の中心にある広場に出た。広場には別の路地に繋がる道が五本もある。これでまた時間が稼げるだろう。
しかし、それが奴らの作戦だった。
「しまった…」
広場から別の路地に入る道から次々と奴らが出てきて、道が完全に塞がれてしまった。
「随分手間かけさせてくれたなぁ、この小娘が…」
後ろを振り向けば、さっきから追いかけてきた二人組が後ろの道を塞いでいる。
これで逃げ場は完全に無くなり、少女は止む無く臨戦態勢に入る。
「さあ、もう逃げ場はない。大人しく渡せ!!」
「嫌!!これは父さんから預かった大切な物よ。あんた達になんか渡すもんか!!」
少女は叫びながら敵の数を確認する。
大丈夫。五人程度ならなんとか…。
しかし、そんな希望は即座に裏切られた。
「ならば仕方ない…」
塞がれていた道からゾロゾロと仲間が出てきて、少女を取り囲む。これでは隙をついて路地に逃げ込むこともままならない。
「くっ…」
「…十分痛みを与えてから奪い取れ」
リーダー格と思われる男の指示で、一斉に奴らが少女に向けて飛びかかる。
やるしかない…。
少女もやむを得なず魔力を解放し、首から掛けられた牙のような飾りに軽く触れた。すると、ほんの一瞬だけその首飾りが光った。
「テンペスト!!」
暴風を生み出し、一番近くにいた三人を上空に吹き飛ばす。次に懐から小太刀を抜き取り斬撃を防御、股下を潜り抜けて 距離をとる。
捌ききれない…。
ほんの数秒で、そう実感させられた。
少女自身の実力不足もあるが、圧倒的な数の差の前にどうすることも出来ない。
さっき吹き飛ばした三人も、何事も無かったかのように立ち上がり、少女を壁へと追い込んでいく。
「くはっ…」
壁に叩きつけられ、堪らず膝をつく。
奴らはまるでいたぶるようにゆっくりと近づいてくる。
もう、駄目だ……。
少女はまるで縋るように首飾りを強く握り締めた。
すると、戦闘を歩いていた奴らのうちの一人が急に振り返り、仲間を殴り飛ばした。
「え……」
「くっ…何しやがる!?」
「てめぇ裏切るのか!?」
仲間達からさまざまな怒号が放たれるが、その一切に応じずに刀を構えた。その行動を見て仲間達もそいつを完全に敵と見なし、全員で襲いかかった。
少女はその戦闘を眺めながら、その一方的な状況に目を見張った。
さっきの自分と同様に、一人で何人も相手してしているにも関わらず、攻撃を全て回避している。逆に、カウンターとして放たれる攻撃を誰も回避できず、一人また一人と意識を刈り取られていく。
結局、数の利を完全に覆して全員を倒してしまった。
「ふぅ…あんまり手応えなかったなぁ…」
そう言って被っていたフードを取り去る。すると、隠されていた白銀の髪が月光を反射して美しく輝いた。
「…ねぇ、大丈夫?」
「あ、はい…」
「そ、よかった」
そう言うと、彼女は少女に向かって微笑んだ。
それが、少女と
最後までお付き合いありがとうございます!!
やっぱりというか、オリジナルストーリーって文字にするのが大変ですね…。そのせいで書いたり消したりの繰り返しです。
次話は少し時間が空いて来週になると思います。
それでは次回もどうかよろしくお願いします!!