FAIRY TAIL 妖精の戦姫   作:春葵

22 / 30
なるべく頑張ったのですが、やっぱり時間が空いてしまいましたね…。
この章もラストスパート、頑張って行こうと思います!!

それでは最後までお付き合いお願いします!!


22. 決着

「さあ、蹂躙の始まりよ…っ!!」

「クククッ…待っていましたぞ、戦姫(ヴァルキリー)!!」

 

互いに睨み合い、両者とも相手の隙を窺う。

 

「喰らえ!デッドウェイブ‼︎」

 

最初に動いたのはジョゼだった。ジョゼはシスティに向かって魔法を放つ。

対してシスティは、風を刀に纏わせて構える。

 

旋風(つむじかぜ)‼︎」

 

システィは一閃でジョゼの魔法を両断する。

 

「ふむ…やはり、聖十大魔道に招待されるだけはある…。素晴らしい力だ……。だが、それでは私には勝てんよ…」

 

ニヤッと笑うジョゼを見て、システィも笑い返す。

 

「アンタこそ、それで聖十大魔道に選ばれたの?弱すぎて話にならないんだけど?」

「クハハハッ!これが私の本気なわけがないでしょう…小娘が……」

 

ジョゼが手をかざすと不穏な魔力が集まり出す。

 

「吹き飛べ、戦姫!!」

 

 

ドォオオオン!!!!

 

 

放たれた魔法はシスティに命中する前に弾け、大きな音と爆炎をあげた。

 

「システィ…っ!?」

「エルザ待って!」

「っ!?シェリル!?お前もここに…」

 

立ち上がろうとしたエルザを寸でのところでシェリルが止める。

 

「ここはシスティを信じて!!お願い…」

 

爆炎が立ち上る中、エルザとシェリルはただそれを見守る。

 

 

「…それで?これで終わりなの?」

 

すると、そんなシスティの声が爆炎の中から聞こえる。

 

「なに…!?」

 

爆炎の中から現れたシスティには一切怪我が無く、それどころか、システィの立っていた床だけヒビ一つ入っていない。

ジョゼはその光景に目を見張る。

 

「貴様何故…!?」

「この程度の攻撃で私がやられるとでも?

それに言ったよね?これは戦いじゃない。ただの“蹂躙”だって…」

 

 

システィは表情を消すと、一瞬でジョゼの目の前から姿を消す。

 

「なっ!?どこに…」

 

システィを見失ったジョゼは辺りを見渡すが、システィは嘲笑うかのように背後から刀を脇腹に突き刺す。

 

「ぐっ!?」

 

悲鳴を上げるジョゼに、システィは更に攻撃を仕掛ける。

ジョゼがどんなに反撃しようとシスティは全て躱し、接近したところを刀や手足でじわじわとダメージを与える。

そう。システィはこの戦いにおいて、刀への付与を除いて魔法を一切使っていないのだ。

 

「ふざけて…いるのか…!?」

「なぜ?私は至って真面目よ?

これは一方的な殲滅。たった一発の魔法で死ねると思った?」

「ぐふっ!!」

 

強烈な蹴りを喰らってジョゼは吹き飛び、壁に叩きつけられる。

システィはジョゼの方へ歩み寄ると、刀の切っ先をジョゼの鼻先に向けた。

 

「早く立ちなさい。まだまだこんなものじゃないわよ」

 

その光景にエルザは驚く。

 

「システィ………こんなに強かったのか…?」

「…システィ…」

 

シェリルはシスティが負けるなど露にも思っていなかったが、システィは今すぐ倒れてもおかしくないほどの重症を負っているため、気が気でなかった。

 

 

「ぐ……グハハハハハ………。やはり強いなぁ…戦姫………」

 

ジョゼは立ち上がると、システィを睨みつける。

 

「クククッ…後悔するんだな、戦姫…。……私に力を使わせることになるとは…ネェ!!!!」

 

ゴォオオ!!!!

 

「っ!?」

 

ジョゼの魔力が爆発的に高まる。

その風圧はエルザやシェリルの方まで届き、二人は思わず顔を歪める。

 

「ぐっ!この魔力は…!!」

「な、なにこれ…!?」

「…地獄ヲ見ルガイイ…戦姫ィ!!」

 

 

ドォオオオ!!

 

 

邪悪なエネルギーが再びシスティに向けて放たれる。当たれば怪我くらいでは済まないだろう。

システィは刀を鞘に収め、それが迫り来るのを静かに待ち構える。

 

 

「……朧月(おぼろづき)…」

 

キンッという微かな音が響き、ジョゼの魔法は真っ二つに切断された。しかし、ジョゼはそれ見越してシスティの後ろに回り込んでいた。

 

「シネェ…小娘ェ!!!!」

 

しかしシスティは振り返ることも刀を抜こうともしない。

しかし、それは勝負を諦めたのではなく、その必要がないからだ。

 

 

「グハッ…!?」

 

突然、ジョゼの左肩から右脇腹までの所から血が吹き出した。

 

「な、なぜ……いつの間に…」

「…二連撃抜刀術、『朧月』。

二刀目は音速を超えるわ。見えないなら貴方はまだまだって事ね」

「ばか…な…」

 

バタリとジョゼは崩れ落ちた。

一瞬の空白の後、今度はシスティが膝をつく。

 

「ゼッ……は………はァ……はっ…」

「システィっ!!」

 

倒れ、白目を向くジョゼを前にエルザとシェリルはシスティの元へと駆け寄る。

限界を超えたシスティは息を荒らげたまま近くの壁にもたれる。

 

「ギリギリセーフ……」

 

システィはさっきの技で砕け散ってしまった刀を眺める。システィの剣技と風の付与は刀に負荷をかけすぎる。決着まで刀がもつかどうかは正直賭けだった。

 

「システィ、体は大丈夫なのか?」

「まあ何とか……。ギリギリ…かな」

 

回復し切っていない魔力を振り絞って戦っていたため、システィの体は限界がきていた。すると突然、システィの目の前が揺らぎ、人の姿が顕になる。その瞬間、エルザの背筋に嫌な寒気が再び走った。

 

「っ!!システィっ!!」

 

システィの目の前に現れたのは、エルザが倒したはずのエレメント4の1人、アリア。

システィは起き上がることすらできず、苦しい表情でアリアを弱々しく睨む。

 

 

「悲しいなぁ…。マスター・マカロフに続き戦姫まで私の手によって……!!」

 

涙を流しながら、アリアはシスティへ魔法を放つ。

エルザはなんとか止めようとするが、体が言うことを聞かず膝をついてしまう。

 

「システィっ!!!!」

 

 

ドゴォオオオ!!!!

 

 

「ぐはぁっ!?」

 

しかしその魔法は突然現れた巨大な手によってアリアごと吹き飛ばされた。

 

「………もう終わったんじゃ、ギルド同士のケジメはつけた。もし、これ以上を望むのなら…貴様らを跡形も無く消すぞ。

ジョゼを連れて去れ………」

 

巨大な手が開けた穴から現れたのは、魔力を全て奪われて戦闘不能に陥っていたマカロフだった。

 

「「マスター!!」」

「心配かけたの、主ら。システィも、よく…やってくれた。お疲れ様じゃ」

「…マス…ター…」

 

朦朧とする意識のせいで視界がボヤけていたが、システィはマカロフの魔力を感じ取っていた。

そして、フワッと優しく頭を撫でられる感覚がシスティを包み込み、その優しさに触れ、システィの意識は途絶えた。




最後までお付き合いありがとうございます!!
この章もようやく次で終わりを迎えます。
話は長くないのにここまで長かった…。

次の章は予定通りオリジナルストーリーです。
なるべくペースは上げていこうと思っているので次回もどうかよろしくお願いします!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。