長らくお待たせしてしまいました。
それでは最後までお付き合いお願いします!!
システィがまだファントムのギルドへ向かっている頃、エルザは満身創痍の身で
「ぐはぁっ!!」
「ほう…まだ耐えますか。私と戦い、ここまで持ちこたえるとは…もしアリアとのダメージが無ければもっとマシな戦いが出来たでしょうに…」
「くっ…強い…」
痛む体に鞭を打ち立ち上がり、魔法剣を換装するとジョゼに斬り掛かる。
しかし、何度も剣を振るも傷ついた体では本来の速度は出ず、簡単に攻撃は避けられる。さらに、幾度目かの攻撃の際に一瞬隙を見せたエルザを見逃さず、その足首を掴まれ、投げ飛ばされる。
「ぐっ!くっ……」
空中で体勢を立て直し、なんとか床に着地するエルザはジョゼを睨みつける。
「貴様…アリアとの戦闘で魔力を消費しているはず…。なぜまだ動ける?」
「仲間が私の心を強くするんだ…。愛するもの達のためならばこの体など…惜しくない!!」
ジョゼの問いかけに迷いなく、真っ直ぐとした瞳で答えるエルザを見て、ジョゼは笑みを深める。
しかし、その額には僅かに青筋が立っていた。
「クククッ!なんて気丈で美しい……。なんて殺しがいのある小娘でしょう…。
…何故、私がマカロフにトドメをささなかったか…お分かりですか?」
「…なに?」
エルザは剣を構えながらジョゼを見つめる。
「絶望を与えるためですよ。
目が覚めた時、愛するギルドと仲間が全滅していたらどうでしょうか?クククッ悲しむでしょうねぇ……。
あの男には絶望と悲しみを与えてから殺すのです!!ただでは殺さんよぉ…!!苦しんで苦しんで、苦しませてから殺すのだぁ!!!!」
「貴様…下劣な……!!」
ジョゼの語る言葉を聞き、エルザは怒りを顕にする。
「幽鬼の支配者はずっと一番だった…。この国で一番の魔力、一番の人材、一番の金があった。
………だが、ここ数年で妖精の尻尾は急激に力をつけてきた。エルザにラクサス…ミストガン、システィ……。
その名は我が町にまで届き、火竜の噂は国中に広がった。
いつしか“幽鬼の支配者”と“妖精の尻尾”はこの国を代表する二つのギルドとなった……。
気に食わんのだよ…!元々クソみてぇに弱っちぃギルドだったくせにィ!!」
「貴様…まさかこの戦争はその下らん妬みが引き起こしたというのか!?」
「妬みだと?違うなぁ…。我々はものの優劣をハッキリさせたいのだよ……」
ジョゼの言葉を聞き、エルザはさらに顔を歪める。
「そんな…そんな下らん理由で……!!」
ドゴオォオオン!!
不意に、ジョゼの放った魔法がエルザを吹き飛ばし、壁に叩きつける。
「ぐあっ!!!!」
「前々から気にくわんギルドだったが、この戦争の引き金は些細な事だ。ただ、ハートフィリア財閥のお嬢様を連れ戻してくれという依頼さ」
ジョゼの口から出た言葉に目を見開くエルザ。
「う、ル…ルーシィを!?」
「この国有数の資産家の娘が妖精の尻尾にいるだと!?貴様らはどこまで大きくなれば気が済むんだァ!!」
「ぐっ……あぁあ゛……!!」
ジョゼはエルザの首を掴むと壁に叩きつけた。
「ハートフィリアの金を貴様らが自由に使えたとしたら間違いなく我々よりも巨大な力を手に入れる!!
それだけは許してはおけんのだァ!!」
「があああああ゛あ゛あ゛!!!!」
ジョゼが叫び、怒声を上げる度に壁に押し込まれ、エルザを苦しめる。
だが、エルザは苦しみながらふっ…と小さく笑った。
「どっちが上だ下だ…と騒いでいること自体が嘆かわしい……。…が、貴様らの情報収集力のなさにも呆れるな。それでよく一番のギルドなどと言えたものだ…」
「………なん、だと?」
「ル…ルーシィは……家出、してきたんだ……。家の金など…使える…ものか……!!」
エルザの告げる事実にジョゼは目を見開いていく。
「家賃7万の家に住み…私達と共に旅し……共に戦い、共に笑い、共に泣く……。同じギルドの仲間だ!
戦争の引き金だと…?ハートフィリア家の娘…?花が咲く場所を選べないように…子だって親を選べないんだ…。
貴様に…貴様に涙を流すルーシィの何が分かる!!」
エルザはそう叫ぶと、ジョゼの手から逃れようと必死に足掻く。
そんなエルザを見て、ジョゼは不敵な笑みを浮かべる。
「確かに、家出人というのは誤算だった…。だが、何とでもなる。マカロフもシスティもいない今、こちらの勝ちも同然だ。
そして、ハートフィリアの財産は、全て私のものとなるのだ!!」
「っ…貴様ぁ!!」
エルザの怒号が響いたその時…
「そんなこと…させるかァアアア!!!!」
突然の乱入者に不意を突かれ、ジョゼの顔面に拳がクリーンヒットする。
「ぐはっ!?」
不意打ちを食らったジョゼはそのまま壁まで吹っ飛ばされる。
そして、ジョゼの拘束から解かれたエルザは静かに崩れ落ちる。
「お、お前…」
「………ごめん、遅くなって………」
エルザは驚きのあまり思わず目を見開く。
エルザの目の前には、戦闘不能になったはずのシスティが立っていた。
体はボロボロで、服の下には包帯が巻かれており、魔力もほとんど残っていない。
しかし、透き通るような緑色の丸い瞳は、明らかな敵意を倒れるジョゼの方に向けていた。
「……システィ………」
「あとは任せて…」
システィはそう言い、エルザを隅の壁に寄りかからせる。
「クッハハハハッ!!待っていましたぞ、
貴様を……貴様を殺し、妖精を地獄へと落としてやるっ!!」
魔力を荒らげ、叫ぶジョゼをゆっくりと振り返り、システィは刀を構える。
「…随分…派手にやってくれたね………」
システィは刀の柄を強く握り締め、そして、ギロッとジョゼを睨みつける。
「絶対許さない…!!
ここからは慈悲なんて無い…」
幽鬼は妖精の怒りを買った…。
そして今、戦姫から天罰が下される―
最後までお付き合いありがとうございます!!
時間が空いた割に少なくてすみません…。
それに、また次の更新に時間がかかるかも…。
とりあえず、この章だけは早急に仕上げます!!
次回もどうかよろしくお願いします!!