最近、一話辺りの文字数が少なすぎないか不安になることが多いです…。細かく分けすぎなのかな…?
今回は結構多めのつもりなので、最後までお付き合いお願いします!!
ファントムのギルドから戻り、
そんな中、ルーシィはただ一人ギルドの中で椅子に座り、暗い表情をしていた。
「…どーした?まだ不安か?」
俯き暗い表情をするルーシィにグレイは声をかける。
「ううん…そうじゃないんだ…。なんか、ごめん…」
そう謝り、ルーシィはまた俯いてしまう。だが、ファントムの狙いがルーシィだったからといって、ルーシィが責任を感じることではない。
「ルーシィ、誰もこうなったことが貴方のせいだなんて思ってないよ」
「ああ、謝る必要はねぇ」
「しっかし、まさかルーシィがお嬢様だったとはなぁ…」
「オイラもびっくりしたよ…。どうして隠してたの?」
ナツとハッピーの言葉にルーシィは苦しげな表情を浮かべる。
「隠してたわけじゃないんだけど…家出中だし言う気になれなくて……。ごめん…迷惑かけて…。ほんと、ごめんね…」
「ルーシィ…」
「あたしが…家に戻れば済む話なんだよね…。そうすれば皆にも迷惑かけないし……」
「そんなことしなくていい…」
ルーシィが自責の念に押し潰されそうになっているのが見ていられず、システィはルーシィを優しく抱きしめた。
「シ、システィ……」
「それは違うよ、ルーシィ…。
誰も、あなたが悪いなんて思ってないし、誰もルーシィのせいで迷惑かけられてるなんて思ってないよ。
ルーシィ……お願いだからそんなに自分を責めないで?」
ね?とシスティに慰めるように抱きしめられ、ルーシィは思わず涙を流した。
「ルーシィはさ、この汚ねぇ酒場で笑って騒ぎながら冒険してる方が似合ってるしな」
「ナツ…」
システィに続き、言葉をかけてくるナツを見つめるルーシィ。
ナツはルーシィの頭を撫で、ニカッと笑う。
「ここにいてぇんだろ、ルーシィ。戻りたくない場所に戻って何があんだよ?
お前は…“妖精の尻尾”のルーシィだろ?」
「ルーシィ…貴方の本心は?本当に帰りたい…?」
システィの問いかけにルーシィは即座に弱く首を横に振った。
「ううん、…帰りたくない……。私…私は…ここにいたいよぉ………」
ルーシィの答えを聞きシスティはふっと柔らかく微笑みを浮かべ、より一層強く抱きしめた。
「ルーシィ…なら、迷惑なんて思わないで?
私は…ううん、私達は、全力で守るから。だから笑って?ここが、貴方の居場所なんだから」
「うん…うん………」
絶対に守りきるんだ……ルーシィも……みんなも……
大粒の涙を流し続けるルーシィを抱きしめながら、システィは改めて心に強く誓った。
ルーシィが泣き止み、ギルド内の慌ただしい雰囲気も少しは和らいだ頃、それは突然やって来た。
ズン………ズゥン……!ズゥウン…!!
「な、何だァ!?」
「一体、何が…」
「外だー!!!!」
その声を聞いて、みんな一斉にギルドから飛び出すと、外には大きなロボットのようでお城のようでもある建造物が海を歩いてギルドに近づいてきていた。
「な…なんだありゃぁあああああ!?」
「でっ…かくねぇか!?」
「こっちに来てるぅ!?」
ナツ、グレイ、ハッピーが口々に叫んでいる。
「ファントムかっ!?」
「っ…こんな方法で攻めてくるなんて……!?」
ギルドに迫ってくるソレを見上げ、システィは拳をきつく握りしめる。
そして、それは突然動きを止めると、建物の中心にある砲台の先端に大量の魔力を集め始めた。
「なっ…!?ま、まさか…!?」
「あれは…魔法集束砲ジュピターか!?」
「なにィ!?ギルドごと吹っ飛ばす気かぁ!?」
「っく…全員、伏せろぉおお!!ギルドを…やらせるものか!!!!」
エルザは全員の前に立ち塞がる。
「ちょ、エル姉!?」
「まさか…!?エルザ、あれを受け止める気か!?」
「よせエルザ!!いくらお前でも…」
全員が止める中、エルザは魔法鎧を換装させようとする。
だが、それより先にシスティは動いていた。
「天竜の
「っ!?」
エルザを含むギルドメンバー全員を半透明の殻が覆い尽くす。
この殻は一見脆そうだが、竜の鱗並みの硬さと防御力を併せ持っている。しかもそれは双方向で、中からも容易に破れない。
「システィ!早くここから出すんだ!!」
「……ダメだよ、エル姉…。あなたは、倒れちゃいけない……。エル姉は妖精の尻尾を勝利に導く
だから私が…
システィはみんなに背を向け、一人で砲撃を待ち受ける。
「っ……!?システィ……!?」
「やめろ、システィ!!
やめろぉおおおおおお!!!!」
「皆は私が……絶対守ってみせるっ!!!!」
システィは両手を構え、魔力を高める。
「天竜の
構えたシスティの両手から広がるように風の壁が展開される。
「壁…まさか…!?」
「まさかシスティ…ホントにあれを受け止める気でいるの!?」
「システィ!!そんなの…体が持つわけない…!!」
シェリルが涙を流して訴える。
エルザもシスティを止めようと動くが、システィはもう止まれない。
「イルアーマー、イルアームズ、
システィは自身に攻撃力防御力倍加、全身体能力上昇の付加魔法をかける。
まさに、システィの全力全開。システィは全力を持って砲撃を迎え撃つ気なのだ。
「システィっ…!!」
「やめろナツ!!」
今にも殻を壊して外に出ようとするナツをグレイは引き止める。
「ナツ、今はシスティを信じるしかねぇ!!」
「くそ…システィ…」
強くなったつもりだった。それこそ、仲間を守れるくらいに…。
だが、目の前には自分達を守ろうとする少女が立っている。
見た目は自分よりか弱そうな少女なのに、自分の実力は彼女の足元にも及ばない。
俺は、いつも守られてばかりだ…。俺は、まだまだ弱い…。
「くっ…みんな伏せろぉ!!!!」
エルザの声が響いたその瞬間、魔法集束砲が発射された。
ドッ…ゴゴゴゴオオオオオオン!!!!
収束砲から放たれた魔力が一瞬で空を駆け、防壁と接触する。
「うぐぐっ……!!こ、んのぉおお…!!」
防壁の風が威力を外側へ逃がしてはいるが、強力すぎる威力のせいで徐々に押され始める。
ミシ…ミシミシッ………!!
気流が乱れ始め、どんどん押されていく。
「っこんのぉ……!!ま、けて………たまるかぁあ!!」
瞬間的に魔力を上げ、ほんの一瞬だけ押し返す。
その瞬間、風の防壁は霧散し、受けきれなかった魔力がシスティに襲いかかる。
「うおおおおおっ!!!!滅竜奥義…
ドォオオオオオオオオオオオオン!!!!
「ぐあああああああっ!!!!」
「システィーーー!!!!」
システィの魔法と砲撃が衝突し、大爆発を引き起こした。それに加え、相殺し切れなかった残りの威力とともにシスティは吹っ飛ばされた。
砲撃が終了し、鋼殻も消滅する。それと同時にナツは走り出していた。
システィの倒れるところに走り寄り、抱き上げる。
「システィ!!しっかりしろ、システィ!!」
「う……くっ………ナツ…」
二人の下にエルザ達も駆け寄る。
「システィ!!!!しっかりしてっ…!!」
「バカ者!!何故前に出たっ!?」
「無茶し過ぎだよ、システィ!!!!」
ルーシィ達の声にシスティは消えかけている意識を何とか繋ぎとめる。
「みんな…無事…?私…守れた…かな…?」
「うん!うん…!みんな、無事だよ!!」
「そ……よかった…」
安心したようににっこりと微笑むシスティを見てルーシィはまた涙が溢れ出す。
『…マスターマカロフ…次いで戦姫も戦闘不能』
ファントムのギルドから、スピーカー音でジョゼの声が響く。
「っ!やろぉ………!!」
『もう貴様らに…凱歌は上がらん…。大人しくルーシィ・ハートフィリアを渡せ…。今すぐだ』
「誰が渡すかっ!!」
「仲間を差し出すギルドがどこにある!?」
「っ………!」
ジョゼの言葉に反論する妖精の尻尾たちの言葉にルーシィは涙が溢れ、止まらない。
家に帰りたくない…。
その気持ちは本当だけど、自分が家に戻ることで解決するのなら、自分は家に帰った方がいいんじゃないか。
そう思っていると、ルーシィの手を誰かが強く握った。
「…っ!システィ…」
「……だい、じょうぶ、だよ……。…ルー、シィは、私達が…絶対、守る、から…ね?」
システィは苦しげに呼吸をしながらもルーシィに微笑む。
「でも…でもっ!あたし………」
「仲間を売るくらいなら…死んだ方がマシだァ!!」
「っ!!」
ルーシィの言葉を遮るようにエルザの声が響いた。
「そーだそーだ!!」
「ルーシィは仲間だ!!渡すもんか!!」
「みんな………」
エルザの言葉に続き、叫ぶ仲間達を見てルーシィは言葉を失う。
『チィ…ならば、特大の魔法集束砲をくらわせてやる!!今度は防げるなど思うなよ。発動までの15分、恐怖の中であがけ!』
ジョゼの怒り狂う声が響くと、ファントムのギルドから浮遊する無数の兵が飛んでくる。
『地獄を見ろ…妖精の尻尾…。貴様らに残された選択肢は二人だ……。
我が兵に殺されるか、魔法集束砲で死ぬかだ!』
そう言うと、ジョゼの声は途切れた。
「ど、どーすんだよ!?魔法集束砲をどうにかしないと…」
「システィですらあの様だぞ!?」
「おまけにファントムの兵なんざ…ヤバイだろ!?」
どうすればいいか仲間内で混乱が広がる。
そんな中、辛うじて意識を保っていたシスティがギュッと近くにいたナツとエルザの手を握る。
「っ…システィ?」
「は…はぁ……ナツ…エル姉……行って……。私は…大丈夫……。
ナツ、は…あれを……止め、て………」
「システィ……。あぁ、分かった……俺がぜってぇ止めてくる!!」
ナツのニカッとした笑みを見てシスティも微笑み、手を離す。
「エル姉……みんなを…お願い…ね…」
「ああ、承知した」
エルザの返事を聞くと、システィはその瞳を静かに閉じ、気を失った。
「…ルーシィ、システィを頼む………」
ナツは気を失ったシスティをルーシィに預けた。
システィが戦えねぇ今、俺がやんなきゃ誰がやるんだ…!!
ナツは自分で両方の頬を叩き気合を入れる。
「システィとの約束だ…俺は必ずあれを止める!!」
「ナツ…私達も後から追う…。先に行ってくれ」
エルザの言葉にナツは「おう!!」と頷く。
「ハッピー行くぞ!!」
「あいさー!!」
そして、ハッピーとともに魔法集束砲の砲台へと飛び出した。
「頼むぞ………ナツ」
エルザはナツの後ろ姿を見届けると、半壊したギルドを振り返った。
「システィや負傷者を中へ運ぶぞ!!
その他の戦闘のできるものは準備して応戦する!!
行くぞぉ!!!!」
「「「「おぉ!!!!」」」」
エルザの号令により妖精達が動き出す。
今、今度こそ妖精と幽鬼の本当の全面戦争が幕を開ける―
最後までお付き合いありがとうございます!!
幽鬼の支配者編もようやく大体半分くらい終わりました!!
正直ちょっとキツイ……。
予定として、幽鬼の支配者編が終わったらオリジナルストーリーを入れようかな〜と計画中です。
頭をフル回転させて頑張りますので、そこそこ期待しててください!!
今回もありがとうございました!!