FAIRY TAIL 妖精の戦姫   作:春葵

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週七投稿達成です!!
もう頭が疲れました…。

それでは最後までお付き合いお願いします!!


17.妖精の反撃

フィオーレ王国にある、オークの街。

そこに、ギルド“幽鬼の支配者(ファントムロード)”のギルドホームがあった。

そこでは、現在妖精の尻尾(フェアリーテイル)についての話題で持ちきりだった。

 

「だっはっはっー!!サイッコーだぜこりゃぁ!!」

「妖精のケツの奴らはボロボロだってよぉ!」

「その上ガジルのやつァ、三人もやってきたって」

「ヒュゥー!!流石だぜ!」

 

男達は盛大に酒を飲み、大騒ぎする。

 

 

「そういやぁ、マスターが何か言ってなかったかァ?」

「さぁ?知らねーな」

「どうでもいいさ!それより惨めな妖精に乾杯だぜ!」

「おぉーよ!!」

 

 

酒を更に注ぎ、大笑いするファントムの魔導士達。

互いにグラスを打ち鳴らし、ゲラゲラと笑っていると―

 

 

ドッゴォオオオオオオオオオンッ!!!!

 

 

大きな爆発音を立て、ギルドの扉が吹っ飛ぶ。

 

「妖精の尻尾じゃぁああああああっ!!!!」

 

殴り込んできたのは怒りに揺れる妖精。

マスター・マカロフのその怒声と共に一斉に妖精の魔導士達がファントムの魔導士達を攻撃していく。

 

「誰でもいぃ!!かかってこいやゴラァあああああ!!!!」

 

ドォオオオオン!!!!

 

「ぎゃああああああっ!!」

「こ、こいつ!!妖精の尻尾の火竜(サラマンダー)だっ!!」

 

ナツに続き他のメンバーも次々と襲撃していく。

 

「こ、こいつ!!氷の造形魔導士のグレイだっ!!」

妖精女王(ティターニア)のエルザもっ…!!」

 

 

皆がファントムの魔導士達に容赦のない攻撃をし、圧倒していく。

そして、一番最後に乗り込んだシスティは状況を冷静に観察し、二階部分に狙いを定める。

 

「あんたら…妖精の尻尾に手ぇ出しといてタダで済むと思うなよっ!!

天竜の…咆哮ォ!!」

 

「「「ぎゃああああああっ!!!!」」」

 

システィの放ったブレスは建物を貫通し、一階で乱闘をしていた連中に瓦礫の雨を降らせる。

 

「こ、こいつ……まさか妖精の戦姫(ヴァルキリー)…。システィ・トワイライト!?」

「ちくしょぉおおおおお!!!!」

 

システィに向かって四方八方から一斉に突撃してくる。

だが、システィは周囲を一瞥すると、両手に風を纏わせる。

 

「天竜の翼撃ィ!!」

 

システィは周囲の敵を一撃でなぎ払う。

 

「ぐがぁあああ!!!!」

「ちぃ!!マスターだ!!マスターを狙えぇ!!」

 

 

やけになった数人が、突っ立っているマカロフに魔法を展開するが、それはこれ以上ない愚策だ。

 

「………カァーーーーー!!!!」

 

一瞬で巨人化したマカロフは、その拳でファントムのヤツらを殴り潰す。

 

「ひ、ひぃ…!?ば…化け物………」

「貴様らはそのバケモンのガキに手ェだしたんだ…。人間の法律で自分を守れるなど…夢々思うなよ!あァ!?」

 

「や、やめ…」

 

マカロフの威圧にファントムの魔導士達は腰を抜かすが、蹂躙は終わらない。

 

 

「つ…強えぇ…」

「兵隊共もハンパじゃねぇぞ!!」

「こいつら、メチャクチャだろ…!?」

 

圧倒していく妖精にファントムの奴らも徐々に引き下がっていく。

 

 

「ジョゼェーーー!!出てこんかぁっ!!」

「どこだ!?ガジルとエレメント4はどこにいるっ!!」

 

マカロフとエルザの叫び声が響く。

 

そして、それを上の方で鑑賞している影が一つ。

 

 

「けっ…。あれがマスター・マカロフに妖精女王のエルザに妖精の戦姫のシスティかァ…。凄まじいな。どの兵隊よりも頭一つ二つ抜けてやがる…」

 

ギヒッと不思議な笑い方をする黒髪の男。

 

「ギルダーツにラクサス、ミストガンは参戦せずか…。舐めやがって」

 

男は腰を上げ、立ち上がり更に笑みを深める。

 

「ギヒッ…。しかし、これほどまでマスター・ジョゼの計画通りに事が進むとはなぁ……。せいぜい暴れ回れや…クズどもが…」

 

 

 

 

システィ達がファントムを襲撃している頃、一人置いていかれたルーシィはレビィ達の見舞い品を買い、三人の眠る病室に戻るところだった。

 

 

「もぉ…。皆あたしを置いて行っちゃうんだから………」

 

あたしってそんな弱く見えるかなぁ?と一人ぶつぶつ呟きながら裏道を歩いていると、ぽつりとルーシィの頬に水が落ちる。そして、ザァーとものの数分で雨が降り始めた。

 

「ん?何?…通り雨?」

「………しんしんと」

「……っ!?」

 

雨空を見上げるルーシィの耳に誰かの声が届く。

ルーシィの目の前に傘をさした女が歩いてくる。そして、ルーシィと目が合うと、その女は足を止め瞬き一つせずに見つめる。

 

「え?な…なに?」

「………それでは、ご機嫌よう…しんしんと」

「はぁ!?」

 

何なの、この人…とルーシィは呆然とその様子を見つめる。

次は女の後ろ、地面から帽子とメガネを掛けた男が現れる。

 

「ノンノンノン。ノンノンノン。ノンノンノンノンノンノンノン。三・三・七のNOでボンジュール?」

「ま、また変なのが出た!!」

「ジュビア様…。ダメですなぁ、仕事放棄は…」

「………ムッシュ・ソル」

 

女は“ジュビア”、男は“ソル”という名のようだ。

 

「私の眼鏡がささやいておりますぞぉ…。そのマドモアゼルこそが愛しのシブルだとねぇ…」

「え……シブル…標的………?」

「あら……この娘だったの?」

「え…?何なの?」

 

ルーシィには二人が何を言ってるのかわからなかった。

 

 

「申し遅れました…私の名はソル。ムッシュ・ソルとお呼びください。

偉大なる幽鬼の支配者より、お呼びにあがりました」

「ジュビアはエレメント4の一人にして…雨女」

「ファントム!? あ、あんたたちがレビィちゃん達を!!」

 

目の前の2人がファントムの魔導士だと知ると、ルーシィは即座に身構える。

 

 

「ノンノンノン。三つのNOで誤解を解きたい…。ギルドを壊したのも、レビィ様を襲ったのもら全てはガジル様」

 

ソルがそう言い、目を細めた瞬間、ルーシィは突然現れた水の玉に包まれ、その拍子に鍵を落としてしまった。

 

「っ!?うぐぐぁ!?」

「まぁ、我々ギルドの総意である事には変わりありませんがねぇ」

 

水の玉はルーシィを取り込み、遂には完全に玉の中に閉じ込められてしまう。

 

「んっ!?ふ…ぷ、ばっ! う……うぐ……!?」

 

ルーシィはどうにかして水面から顔を出そうとするが水は意志を持ったかのように動き、ルーシィを逃さない。

 

「ジュビアの“水流拘束(ウォーターロック)”は決して破れない」

 

ジュビアが手を動かすと水球は大きさを増し、ルーシィを拘束する。そして、ついにルーシィは息が続かずに気絶させられ、ファントムに囚われてしまった。

 

 

「大丈夫……。ジュビアはあなたを殺さない…。あなたを連れて帰る事がジュビアの任務だから……。

ルーシィ…“ハートフィリア”様」

 

 

 

 

一方その頃、ファントムのギルド内では未だに乱闘が続いていた。

 

 

「エルザ、システィ!!ここはお前達に任せる!

わしは、ジョゼの息の根を止めてくる…!!」

 

マカロフが前で戦闘を続けるエルザとシスティに叫ぶ。

 

 

「マスター…!お気をつけて…」

 

……また…嫌な予感がする…

 

ジョゼがいるであろう最上階へ消えていくマカロフのその背を見て、システィは顔を歪める。

 

「………気をつけて…マスター…」

 

 

 

そして、マカロフがいなくなったのを見て、ようやく一つの影が動き出す。

 

「ギヒッ!厄介なのがようやくいなくなったぜ…。こっから暴れるぜぇ……」

 

 

そう呟くと、男は乱闘する場へ飛び降りる。

 

「ギヒッ!!来いやクズどもぉ!!」

「あいつは…!黒鉄のガジル!!」

 

その男は、幽鬼の支配者に所属する鉄の滅竜魔導士“黒鉄のガジル”その者だった。

 

 

「鉄竜棍!!」

 

ガジルの狙いは完全に背を向けていたシスティ。

だが、システィは振り向き様に、

 

「月竜の鉄拳!!」

 

システィの拳が迎え撃ち、ガジルをいとも簡単に吹き飛ばす。

 

「…ギヒヒッ…最高だぜ、妖精の戦姫…。殺りあおうや…」

「黒鉄のガジル…。ギルドのみんなを傷つけた罪は重いぞ!!」

 

システィが濃厚な殺気を放ち、一触即発の雰囲気が漂う。

しかし、

 

「ガジルゥウウウウウウウウウ!!!!」

 

ナツの突然の乱入によって緊張が解ける。

 

「は!!火竜がやるってかぁ!?」

 

飛びかかってきたナツの拳をガジルは鉄化した手で受け止める。

そこから幾度か二人の攻防が続くが、それよりも激しい戦いが建物を揺らす。

 

 

ゴゴゴゴゴォ!!

 

 

「やべぇな、こりゃあ…」

「これはマスターの…マスター・マカロフの怒りだよ!!」

「マスターがいる限りお前達に勝ち目はない!!!!」

 

妖精の尻尾の魔導士達はその振動と魔力に士気が上がり、逆にファントムの魔導士達は恐怖に震え始める。

妖精の総攻撃が再び開始される。そう誰もがそう思った時、

 

 

……!!…何か…降ってくる…!?

 

 

システィが何かを感じ、上を見上げた時、

 

 

ズッドォオオオン!!!!

 

 

何かが落ちてきた。

巻き上がった煙が晴れると、そこには魔力が全く無くなってしまったマカロフの姿があった。

 

「っ!!マスターっ!!!!」

 

すぐにシスティが駆け寄り、その身体を抱え上げる。

 

「わ、わしの…魔力が……」

「マスター!!」

「じっちゃん!!」

「おいおい…何が起きたんだ!?じーさんから魔力を全然感じねぇぞ!?」

「マスター!!しっかりして!!」

 

必死にシスティが呼びかけるが、マカロフは、それに苦しげに呻くだけである。

 

マカロフがやられたことにより、今度は妖精の尻尾の士気が下がり始め、ファントムの士気が上がり始める。

 

 

「くっ……。撤退だ!!全員、ギルドへ戻れ!!!!」

 

これ以上は不味いと判断したエルザは大声で指示を出す。

 

「何!?俺はまだやれるぞ!」

「ここで逃げてちゃ漢じゃねぇ!!」

 

エルザの指示に納得いかないナツとエルフマンだが、エルザが無理にでも撤退させる。

 

 

「ギヒッ!もう終わりか…つまんねぇなぁ…」

 

撤退する姿を再び上から見下ろすガジル。

 

そして、その背後に巨体の男が現れる。

 

「…アリアか………」

「全てはマスター・ジョゼの計画通り…素晴らしい!!」

 

そう叫び泣き始める男…“アリア”。

 

「いちいち泣くんじゃねぇよ…うぜぇな…。で?…ルーシィとやらは捕まえたのか?」

「「っ!?」」

 

ナツとシスティの驚異的な聴力が遠くにいるガジルの言葉を確かに聞き取る。

 

「計画通り、今は本部に幽閉している…」

「なん…だと!?」

「…ルーシィが?」

 

ナツとシスティの声が聞こえたのか、ガジルは二人を見下ろし、ギヒッと笑う。

 

「ガ、ガジル!!どういうことだァ!?」

「待ちなさいっ!!ルーシィを…ルーシィをどこにっ!?」

 

二人の止める声を他所に、ガジルはアリアと共に姿を消した。

 

 

「くそ!!ルーシィが捕まっちまった…」

「……ナツ、まだいけるよね?」

「あ?ああ、もちろんだ!!」

 

ナツの頷く姿を見てシスティはニッと微笑み、背中を押す。

 

「ここは任せて。ルーシィのこと、頼んだわよ」

 

そう言うと、撤退する妖精の尻尾の魔導士達に向けた魔法陣を展開するファントムの前に立ち塞がる。

 

 

「っ!?システィ、何をしている!!」

「エル姉、私が時間を稼ぐからその内に…」

「よせ!!無茶だ、システィ!!」

 

ザッと見て戦力差は一対二百ぐらいだろうか。正直、一度にこれだけを相手にするのはシスティでも流石にきつい。

だけど、仲間のためにもやるしかない。

 

 

「大丈夫!!すぐ追いつくから。ナツも……ルーシィをお願い」

「………おう!!」

 

システィの、言葉でナツはルーシィを助けるために駆けていく。

 

そして、エルザも苦々しい表情を浮かべ、システィに背を向ける。

 

「…すまん、システィ………」

「謝らないで、エル姉。…そっちは任せるね」

 

 

 

「………さて……と」

 

エルザも走り去っていく姿を確認し、システィはファントムの魔導士を前に立ち向かう。

これだけの数を相手にするのだ。システィも本気のギアを一段階上げる。

 

「悪いけど、流石に手加減なんて、出来ないからね」

 

 

 

「エアロ・ドライブ」

 

システィの体を吹き荒れる風が包み込み、身体能力を向上させるとともに、向かってくる魔法を全て弾き飛ばす。

 

「天竜の羅貫」

 

「「「ぎゃああああああああ!!!?」」」

 

右手から圧縮された竜巻か、まるでブレスのように放たれ敵陣に突き刺さる。

だが、ブレスと違うのは、薙ぎ払いが出来るところだ。

 

「う…りやぁああ…!!!!」

「ぐああああああっ!!!!」

 

吹き飛ばされるファントムの魔導士達。

何とかその攻撃を回避した奴らも魔法で反撃するが、風に阻まれてかすり傷すら付けられない。

 

「てめぇえええええ!!!!」

「調子乗ってんじゃねぇぞォ!!!!」

 

魔法攻撃が通じないと判断すると、今度は武器を取って近接戦を挑んでくる。だが、魔法ですら勝てないのに肉体戦で勝てるはずもない。システィは確実に攻撃を避け、カウンターで全員の顔面に強烈なパンチを放ち、意識を刈り取っていく。

 

 

「そろそろだね…。ルーシィも救出出来ただろうし、早くしないとエル姉に怒られちゃう…」

 

ルーシィの魔力に集中して感じ取ると、発信源は妖精の尻尾の方へ向かっているのが感じられた。どうやらナツは無事救出出来たようだ。

これで一応システィの役目は終了だ。

 

 

「貴方達、これで終わりだと思わないことね。必ず、私達がぶっ飛ばすから」

 

 

ここで、妖精と幽鬼の戦いが一時休戦となった。

だが、ここで終わるはずもなく、幽鬼の壮絶な反撃がまもなくはじまる―




最後までお付き合いありがとうございます!!

今回はバトルシーン多めで大変でした…。
この章は何かとバトルが多いので骨が折れそうですね。

それでは、次回もよろしくお願いします!!

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