FAIRY TAIL 妖精の戦姫   作:春葵

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何とか三日連続投稿です!!
実は、密かに週七投稿目指してます!!

今回も最後までお付き合いお願いします!!


13.決断

システィとエルザが島についた翌朝、ようやくグレイが目を覚ました。

 

「……っ…こ、ここは…?」

「起きたか、グレイ」

 

まだ痛む身体をゆっくりと起こしたグレイの視界には気を失う前はいなかったシスティとエルザの姿があった。

 

 

「システィ!?それにエルザも…!!」

「…大体の話はルーシィから聞いたよ。分かってる?これはギルドの掟に反することだよ?」

 

システィの言葉に何も言い返せずにグレイは顔を俯く。

 

「はぁ…呆れてものも言えんぞ」

「っ…ナ、ナツは?」

「ナツはここにはいないわ…。多分どこかで迷子になってるか、もしかしたら遺跡にいるのかも」

 

グレイの質問に答えたルーシィを見て、グレイは「そうか…」と俯く。

 

「とにかく、ナツを見つけ次第お前達を連れ私はギルドへ戻る」

 

エルザのその言葉を聞き、グレイは有り得ないとでも言うような顔をエルザに向ける。

 

 

「な…ギルドに帰るって…お前!この島で何が起きているのかルーシィから聞いたんだろう!?なら…!!」

「あぁ聞いたさ。だがそれがどうした?私の目的はギルドの掟を破った者を連れ戻すこと。ただそれだけだ。

あとはナツを見つけ次第、私達は戻る。それ以外の目的などない」

 

エルザの言葉を聞き、グレイはエルザをきつく睨みつける。その表情は険しく、どこか苦しげだ。

 

 

「この島の人たちの姿を見たんじゃねぇのかよ!?」

「見たが?」

「それを放っておけというのか!?」

「依頼書は各ギルドに発行されている。正式に受理したギルドの魔導士たちに任せるのが筋というものだろう?」

 

口論は完全に二人でヒートアップしているが、システィはなぜエルザがシスティがその依頼を受けたことを言わないのか不思議だった。

 

 

そうこうしているうちにグレイは我慢の限界を超えたのか、拳を強く握り締める。

 

「………見損なったぞ、テメェ…!!」

「…なんだと?」

 

グレイの言葉を聞き、ルーシィ達を気にせず殺気を放ったエルザだが、グレイはそれに怖気付くこと無く立ち向かう。

 

 

「見損なったのはこちらの方だ。現に貴様は掟を破ってここにいる」

 

確かにギルドのルールを破ったナツやルーシィ、グレイに非があるのは変わらぬ事実だ。グレイもそんなことは百も承知だ。

 

「ただではすまさんぞ」

 

そう言いきり、エルザはグレイの首元に剣先を向ける。

 

「ちょ!エルザっ!!」

「システィ!!」

 

二人のやりとりを見ていたルーシィとシェリルはエルザの行動に慌てる。しかし、システィはただじっと二人を見守っていた。

 

剣を向けられたグレイは引くどころかエルザの剣を握りしめ、押し返す。

 

「勝手にしやがれ!!これは、俺が選んだ道なんだよ!!やらなきゃならねぇ事があるんだ」

 

そう言い、グレイは剣を握る手を強める。その手からは血が滴り始め、テントの床を赤い斑点が出来る。

エルザはグレイの引き下がらないと言った決意の見える瞳を暫く見つめ、一時の沈黙の後エルザははぁと一つため息をついた。

そして、グレイに剣を離させるとルーシィとハッピーを縛っていた縄を切った。

 

 

「「…え?」」

「エルザ…?」

 

こればかりはグレイも驚いたのか、グレイは気の抜けた声を出す。エルザはグレイを振り返り、呆れた顔で言う。

 

「これでは話にならん。…まずは仕事を片付けてからだ」

「え…で、でも他のギルドがこの依頼を受けてたら問題になっちゃうんじゃ…?」

 

先ほどの他のギルドに任せろと言ったエルザの言葉を覚えていたルーシィは恐る恐ると言った様子でエルザに問う。しかし、答えたのは今まで黙っていたシスティだった。

 

「この依頼、もう私が受けてるから他のギルドが受けるなんてことは絶対にないよ」

 

まるで今までの雰囲気をぶち壊すようなヘラリとした口調でシスティは言い切った。

 

「「「…えぇ!?」」」

「エル姉も意地悪だよねぇ。ま、私もみんなに手伝って貰うつもりだったけど」

 

システィのからかうような視線を受けたエルザはフッと笑い、システィを見返すエルザ。

 

「初めから許可しては反省せんだろう。それに、私はこいつの想いを聞きたかったのでな…。少々試させてもらったんだ」

 

二人の会話を聞き、ルーシィ達は呆然とその光景を見つめる。

 

「え…じ、じゃあ最初から連れ戻す気はなかった…ってこと…?」

 

確認のため問いかけてくるルーシィにエルザは呆れた顔をする。

 

「バカなことを言うな。私は初めからお前達を連れ戻す気だった。だが、お前達の成長を見るいい機会だと思って仕方なくだ」

 

そう言いながらエルザはチラリとシスティに視線を送る。それはシスティにしっかり見定めろとでもいうような瞳だった。

恐らくエルザはこの依頼を通して、ナツ達は心配するほど弱くないことを示したいのだろう。

 

 

「ホント、エル姉は変なところでお人好しなんだから…」

 

クスクスと笑いながら、システィは誰にも聞こえないくらいの大きさで呟いた。

 

 

 

「さてと、…グレイ?手出して」

「ん?あ、あぁ…」

 

グレイはすぐにシスティの意図を察し、傷ついた手を差し出す。システィはその手を優しく握り、回復魔法でその傷を治す。傷はすぐに塞がり、グレイはギュッ、ギュッと感触を確かめるように手を握る。

 

「……うし!サンキュー、システィ」

「グレイ、分かってると思うけど、あんまり無茶するとすぐ傷が開いちゃうから無理はしないように。

……あと、これだけは覚えておいて。貴方が今何を思い、何に悩んで、何に苦しんでいるのか私は知らない。けど、あなたにはみんなが…仲間がいる。それだけは、忘れないで」

 

そう言うシスティの顔は何故か悲しげだった。

グレイはじっとその顔を見つめ、「…分かった」とだけ返した。

 

その答えを聞くと、システィは優しく微笑んでエルザの方へ向き直った。

 

 

「それじゃあエル姉、…そろそろあのバカを探しに行きますか…!」

「あぁ…そうだな…」

 

システィの笑みに釣られてエルザも笑みを浮かべる。

 

「よし、……行くぞ!」

「「「「「おおーー!!」」」」」

 

エルザの掛け声と共にテントを飛び出し、システィ達は問題の遺跡へと足を進めた。




最後までお付き合いありがとうございます!!

次回は予告通りバトルシーンを入れるつもりです。

週七投稿目指してこのまま突っ走ります!!
次回もよろしくお願いします!!

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