スピード重視なので誤字脱字等は勘弁ください…。
最後までお付き合いお願いします!!
ハルジオンに着いた二人は、早速ガルナ島行の船を探すが、捜索は難航していた。
「う~ん…まさかガルナ島までの船が無いなんてねぇ…」
船乗りたちはガルナ島の呪いを恐れ、今ではその付近の航路さえ通る船はないらしい。
「どうしようエル姉……ってあれ?」
気づけばさっきまで隣にいたエルザの姿が消えていた。
辺りを見渡してみると、エルザの特徴的な緋色の髪は港町から浮いていて、すぐに見つけることが出来た。しかし、エルザの後ろに広がる光景に思わず絶句した。
「……え…」
エルザは密かに港に停泊していた海賊船に乗り込み、船員たちを殲滅していた。
「えっと…何やってるの…?」
「あぁ、心優しい奴らがいてな、交渉をしたら乗せてくれるそうだ」
エルザは近寄ってきたシスティに笑みを見せるが、エルザの手には涙を流すボロボロの船長の姿があった。
「へ、へぇ…それは良かった…ね?」
結局、エルザの
「あ、あんたら一体あの島に何の用なんだ?あの島は、みんな怖がって誰も近づかねぇってのに!?」
舵を切っていた船長は震える声でシスティ達に問いかけるが、返ってきたのは言葉ではなく殺気だった。
「つべこべ言わず、貴様は黙って船を操縦していろ」
「ヒィ!!わ、分かりましたっ…!」
首筋に剣先を突き付けられ、船長は震えながら舵を握る。
誰もこの状況を止めることはできない。船員は元より話にならず、システィの場合は乗り物酔いでダウンしている。
「う、うぷっ……死にそう…」
方や殺気を放つ恐ろしい少女、方や乗り物酔いでグロッキーな少女。そんなシュールな光景が海賊船上で繰り広げられていた。
暫く船を進め、ようやくガルナ島に到着した。
「ここが呪いの島か」
「うん…」
乗り物酔いから回復したシスティは頷くとガルナ島を照らす月を見上げた。
「紫色の月…か」
辺りを照らす紫色の月光は島の不気味さを増幅させている。それに、月から確かに魔力を感じる。恐らくあの紫色は何らかの魔法の影響なのだろう。
「あの月、島の呪いと関係ありそうだね」
「同感だ」
とりあえず二人は島の海岸線にそって歩き始めた。
しばらく歩くと、悲鳴とともに何か大きな物が落ちたような音が聞こえた。
「っ!エル姉!!」
「ああ!!」
二人は一気に足を早めると、大きなネズミと、今にもネズミに潰されてしまいそうなルーシィが目に入った。
「天竜の咆哮っ!!」
システィは威力より距離を優先して咆哮を放ったが、風はネズミの大きな体を軽々と吹き飛ばした。
「シ、システィ!?」
ルーシィは予期せぬ援軍に驚いたがすぐに表情に笑みが浮かぶ。
「システィ、来てくれたんだ…!!」
「来たのは私だけじゃないけどね…」
「え……?」
システィはそう言うと、吹き飛ばしたネズミに目線を向ける。ネズミは今にも起き上がろうとしているが、それが許されるはずが無い。
ズサササッ!!!!
いつの間にか天輪の鎧に換装したエルザの攻撃によってネズミは戦闘不能となった。
「エルザ!!!!」
システィに加えてエルザの登場に笑みを浮かべるルーシィだったが、すぐに二人が来た理由を悟り、顔を青くしていく。
「ルーシィも来てたんだ…。ねぇ、ナツは?一緒じゃないの?」
「ナツは分からない。グレイは怪我しちゃって…」
「見かけないと思ったらグレイもかぁ……」
ルーシィの言葉にシスティは頭を抱える。
今は静かだが、エルザも相当怒っているだろう。いつの間にかルーシィを追ってきていたハッピーもこの場におり、既にエルザの手に捕まっていた。
「とにかく状況を確認したい。とりあえずグレイのところへ連れて行って…」
「わ…分かった………」
ルーシィに連れられてシスティ達が着いたところは、大きく森が開けたところだった。ルーシィの話では、少し前にさっきのネズミの落とした謎のゼリーに村を溶かされてしまったらしい。
システィ達は負傷して眠っているグレイがいるテントの中に入った。
システィは眠るグレイの傍に腰を下ろすと巻かれた包帯を外して怪我の具合をみる。
「…これならちょっと深いけどすぐ治せるよ」
「そうか……頼めるか?」
システィは無言で頷くとグレイの傷口に両手を当てた。
「え、治すって?」
「ルーシィはまだ見たことなかったよね。システィは回復魔法が使えるんだよ」
「へぇ~」
ルーシィはじっとシスティの手を見つめる。
グレイに触れるシスティの手から淡い銀色の光が輝き、次第にその輝きはグレイの傷口を塞いでいく。そして、銀色の輝きが消える頃には苦しげだったグレイの呼吸や表情は幾分か穏やかになり、傷口も完全に塞がっていた。
「よし。とりあえずはこれで大丈夫。流石に流れた血は回復できないけど、傷はもう大丈夫だよ。後は目覚めるのを待つだけ」
そう言い、システィはエルザたちの方を振り返る。
「わぁ!良かった…」
「あい!」
「流石だな…システィ」
エルザたちはシスティの言葉に安堵し笑顔を浮かべた。
「ねぇルーシィ、この島で何が起こってるの?」
村の人曰く、どうやらナツは一人で島の中心部にある遺跡に向かったらしいが、すぐに追いかけようとするエルザを引き止め、システィは状況確認のためルーシィに問い掛けた。
「この島の異変…それは全部、月のせいなの」
そう言ってルーシィは厄災の悪魔デリオラ、
ルーシィの話を聞き、システィは空の月を見上げる。ルーシィの話を聞いても疑問は解消されない。
「おかしいよ」
「え…?」
「月が紫色になるなんて、有り得ない」
「でも、現に月は…」
「もし!月が紫色になってるなら他の場所からでも紫色に見えるはずだよ。でも、ここからしかそう見えないってことは…」
「この島に原因がある、ということか。だが、今日はもう遅い。明日にはナツを見つけて、グレイが目を覚まし次第ギルドに連れて帰る」
エルザの言葉に一同は一度解散し、村人が用意してくれたテントに入って一夜を過ごすことになった。
その夜、システィは隣で眠るシェリルを起こさないようにテントを出ると、散歩がてら海岸に向かった。
海を眺めると、海面に紫色に光る月が映っている。システィは近くの岩の上に座ると、空に浮かぶ月を見上げた。
「眠れないのか、システィ?」
「…エル姉」
システィはチラリと後ろを振り返ると、再び空に目線を向けた。
「なんか気になっちゃってね…」
「あの月のことか…」
エルザの言葉に小さく頷く。
「…あのさ、エル姉。お願いがあるんだけど聞いてくれる?」
突然話し始めたシスティにエルザは視線を向けるが、何も言わずに先を促す。
「私の代わりにナツ達を見守ってくれないかな?」
「……!?まさかシスティ、ギルドを…」
「辞めないよ。ただ、そろそろ探しに行こうと思ってる」
「あぁ、確かウェンディだったか?」
「うん。私にとっては妹みたいな女の子だよ。大体目星は付いてきてるんだ」
エルザはシスティの瞳に強い想いを感じ取った。決して曲がらない信念のような思いを。
エルザはため息をつくと、苦笑を浮かべてシスティを見た。
「分かった。……だが、ちゃんと無事に帰ってくるのだぞ」
「うん、わかってる。エル姉、ナツ達を頼むね」
「お前の頼みだからな…。さて、そろそろ休もう。明日に響くぞ」
「あ、うん………」
先を行くエルザの後に続いてシスティも立ち上がる。
最後に紫に光る月を眺め、海岸を後にした。
最後までお付き合いありがとうございます!!
バトルシーンを入れるつもりだったけど、入れられませんでした…すみません…。
あと、次回もバトルシーンは無理そうです…ホントにすみません…。
次々回こそは、バトルシーンを入れます!!
次回も何卒よろしくお願いします!!!!