FAIRY TAIL 妖精の戦姫   作:春葵

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今回から悪魔の島編に入っていきます。

ちょくちょく展開は変えていくので、最後までお付き合いお願いします!!


悪魔の島編
10.火竜VS妖精の女王


いつの間にこんな話になっていたのか、ギルドに帰って早々エルザ対ナツの決闘が行われようとしていた。

 

「ねぇ、ホントにやるの~?」

「あったりめぇだぁ!!エルザ、全力でやれよ!!」

「無論だ。まだまだ負ける理由にはいかんのでな」

 

そう言うと、エルザは“炎帝の鎧”に換装する。

 

「うっわ、火属性耐性の炎帝の鎧ってエル姉ガチだね…」

「全力でかかってこい!!」

 

遂にナツとエルザの決闘が幕を開ける。

 

先に動いたのはもちろんナツ。体に炎を纏い蹴りやパンチを放つがエルザには当たらない。しかし、エルザの攻撃もナツには当たらない。

二人の攻防を通して、エルザはナツの成長を身を以て感じていた。

 

「やるな、ナツ」

「へっ、まだまだこれからだぜ!!」

 

二人の拳と刀が何度もぶつかり合う。本気の二人の戦いを目の前にして、観戦するみんなのテンションもドンドン上がっていく。

誰もが興奮する二人の戦いは永遠にも続くように思えたが、その終わりは誰もが予期しない形で訪れた。

 

 

パアァァァンッ!!

 

 

「そこまで」

 

大きな音とともに現れた一人の(一匹の?)カエル。それはナツとエルザの前に進み出る。

 

「全員その場を動くな。私は評議会の使者である」

「評議会!?」

「なんでそんな奴がここに?」

 

その場が段々とざわつき始める。

評議会からの使者はその様子を気に止めることはなく、持っていた文書を読み上げ始める。

 

「先日の鉄の森(アイゼンヴァルト)テロ事件において、器物損害罪他十一件の罪において、エルザ・スカーレット、並びにシスティ・トワイライトの両名を逮捕する」

「ちょっと、何よそれ!?定例会の会場を壊したのは私なんだから私だけでいいじゃない!!」

「騒ぐな。この件は既に評議会で決定済みだ。大人しく投降しろ」

「くっ……」

 

結局、システィの抵抗は聞き入れられず二人とも逮捕され、評議会に連れていかれた。

 

 

 

評議会に連れてこられた時は、一体どんな罪を受けるのか内心心配だった。懲役刑はいやだなぁだとか、面倒な仕事が押し付けられるだけですめばいいなぁとか考えていた。

しかし、エルザは分からないが、システィに関しては牢屋にぶち込まれることも無かった。

 

「さて、システィ・トワイライト。ここに呼んだのは他でもない。貴殿の各地での活躍は我々の耳にも届いておる」

「は、はぁ…」

 

評議会の議長直々の言葉にシスティは戸惑いを覚える。

 

「今回の件についても尽力してくれたと聞いておる。そこでじゃ、我々はそれを評価し、貴殿に“聖十大魔道”の称号を授けたい」

「いや、受け取れません!!私にはそこまでの実力はありませんから」

「そうか…。なら、貴殿が本当の強さを手に入れた時に渡すとしよう」

 

議長はシスティの心を見透かしたように言うと、すぐに引き下がってくれた。だけど、それが逆に不気味だった。

 

その後、ナツが評議会に乱入してくるというハプニングがあったものの、元々形式だけだったエルザの裁判も終わり、翌日には三人揃ってギルドに戻ってきた。

 

 

 

 

ギルドに戻ってきて早々エルザとシスティはメンバーから質問攻めにあったがシスティはあまり語らず、聖十大魔道に関しては隠しておくことにした。幸い、知っているのはあそこにいた評議会の人とシスティだけだ。

ただ、マカロフにだけは打ち明けて置くことにした。

 

「マスター、少しいいですか?」

「ん?…ああ、構わんぞ」

「どうかしたんですか?」

「いや……、眠い」

 

マカロフがそう呟くと、入口に近い者から順にバタバタと倒れていく。システィにも眠気が襲ってくるが、魔力を高めて意識を保つ。

 

「久しぶりだね、ミストガン」

「ああ。久しいな、システィ」

 

ミストガンはシスティの頭を軽く撫でるとクエストボードから一つを手にしてマカロフに手渡す。

 

「この仕事を受ける」

「次はどのくらいかかるの?」

「分からない。最近アニマの出現周期が短くなっている」

「そう…。あまり無理しないでね」

「お互いな」

 

ミストガンは少しからかうように言うと、すぐに扉の方へ歩き始めた。

 

「これ!眠りの魔法を解かんか!!」

 

 

伍………四………参………弐………壱………零

 

 

ミストガンがギルドを出た瞬間、ナツ以外のメンバーが目を覚ます。

 

「今の魔法…ミストガンか!?」

「相変わらずすげぇ眠りの魔法だな…」

「んぅー…なにぃ?今の…」

「ミストガンだよ」

「…ミストガン?」

 

眠そうに目を擦るルーシィの疑問にシスティは答える。

 

「このギルドの最強格の一人だよ」

「え、そうなの!?」

 

システィの言葉に驚き、ルーシィは眠気を忘れて声をあげる。

 

「でも誰も顔を見たことがないのよね…」

 

ミラは苦笑を浮かべながら残念そうに言う。

 

 

「いんや、俺は見たことあるぜ」

 

しかし、突然ギルドの2階から男の声が響く。

 

全員が驚き、声のした方に顔を向けると、そこには金髪でヘッドフォンをした男が立っていた。

 

「「ラクサス!?」」

「…帰ってきてたんだ」

「俺やジジィだけじゃねぇ…。システィもミストガンを知っているぞ。なぁ?システィ…」

 

ラクサスはそう言い、システィに向けて不敵な笑みを向ける。

 

「前から甘ぇとは思ってたが甘すぎだ。俺はな、俺より強ぇテメェが腑抜けてやがるのが一番気に食わねぇんだよ」

「そろそろウザいよ、ラクサス」

「……不味いな」

「な、何が?」

「システィがイラつき始めた。アイツが怒る前に止めないと後が厄介だ」

 

システィとラクサスの両者は魔力を徐々に高め合い、一触即発の空気が漂う。

 

「これ、よさんか全く。お主らは…ギルドを壊す気か?」

「流石にそこまではしないよ。ただ、少し身の程を知ってもらおうと思ってるだけ」

 

マカロフの言葉に笑みを浮かべるシスティの耳に、突然「ラクサスーーー!!」と、叫ぶナツの声が届く。

今まで眠りこけてたはずのナツはラクサスに向けて全力で叫ぶ。

 

「ラクサスー!俺と勝負しろ!!」

「ナツ………」

 

ナツの言葉に呆れを見せるシスティ。

 

「はっ…やりたきゃここまで上がってこいよ。なぁナツ?」

「上等だァァ!!行ってやらァ!!」

 

ラクサスの挑発を受けて階段をかけ上がろうとするが、マカロフの巨大な拳が一段すら上らせなかった。

 

「二階に行ってはいかん、まだな」

「ははっ!止められてやんの!!」

「ラクサス!お主も挑発は止めんか!!」

「はっ!いいか、これだけは言っておくぜ。妖精の尻尾最強はこの俺だ。システィ、いつか必ずテメェを倒す」

 

ラクサスはそう言って高笑いを響かせながら二階の奥へと姿を消した。

 

 

 

ラクサスとの一悶着でざわついていたギルドだが徐々にいつもの様子を取り戻し始めていた。

 

ふと、先ほどのマカロフの言葉が気になったルーシィはミラに声をかける。

 

「あの…ミラさん…さっきマスターが二階に行ってはダメだって…」

「あぁ、あれね?二階には一階に貼られてある依頼とは比べものにならないくらい難しいS級クエストが貼られているの。その依頼に行けるのはギルドの中でもマスターに認められた実力のあるS級魔導士だけ。その中にはエルザ、ミストガン、ラクサスそれにシスティも入ってるわ」

「え!そーなんですか!?」

 

ルーシィは驚いた表情でシスティに視線を送る。

話を聞いていたシスティはルーシィの視線に苦笑いする。

 

「まぁ…確かに私も二階に行けるよ。そういや最近行ってないし、覗いてみようかな~」

 

いつの間にか一悶着あったギルドの雰囲気はいつもの感じに戻っていた。しかし、そのせいで一人と一匹の悪巧みに誰も気づかなかった。




最後までお付き合いありがとうございます!!

今週は少し控えめにしてきましたけど、そろそろペースアップしていきます。(願望)

有言実行目指してやっていくので、次回もよろしくお願いします!!

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