fate/grand order 花の魔術師の義弟   作:all

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6話

彼女は、あんな結末を迎えて何か思うことはなかったのだろうか?いつかの召喚されたときに共に戦った英霊にたいして、私はそんなことを思った。元はただの村娘だったか?まあ、そういう生い立ちならば、私と通ずるものがあるかもしれないと感じた。しかし、彼女も英霊。彼女と私では精神の出来が違う。

彼女はきっとあの結末でも、恨みなどの感情は沸かなかっただろう。それに、彼女は自分は聖女などではないと言っていた。まあ、私からすればそんなことをいってのけるからこそ彼女が聖女とよばれるのではないかと思うが…。

それはともかくだ。私は彼女と共に戦って、私たちの仲はかなり、というかすごくよくなったとは思うが、それはあの世界、聖杯大戦があったときの記憶であり、記録なのだからこうして再開した今、思い出せなかったりする場合もあるし、今回の召喚は特殊だったからか記憶が混乱してるのかは知らないけど、忘れられたり、初対面で気がついてもらえなかったのは割りとショックだったりする…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、なんなんだい?このドラゴンと骸骨達は?」

 

「どこからどう見ても敵です!行きますよ、ジャスパー!」

 

「了解した、王よ。マイマスター、指示を」

 

「わかった!行くよ、キャスター、ジャンヌ!」

 

立花達と合流した後、私はジャンヌと仮契約を結んだ。理由としてはただ立花と数を合わせるという単純な理由だが。

そしてその後すぐ、私たちの前に敵が現れた。

その数は多く、ドラゴンは10体程、骸骨兵に関しては20を優に越している。

 

「私たちはドラゴンを!立花達は骸骨を片付けて!」

 

「わかった!」

 

全員に指示を飛ばして私達はドラゴンと相対する。

キャスターは今まで見たことのない笑みを浮かべ、戦闘の準備をする。ジャンヌの方は旗を槍のように使うのか、旗を構えている。

 

「準備、完了しました!いつでも行けます!ご指示を!」

 

「ドラゴン、ねえ…。どうもアイツを思い出すから、君らには氷の柱にでもなってもらおうかな?」

 

キャスターの言うアイツとは、休憩している時にいっていた炎を操る魔術師のことだろう。何故ドラゴンと結び付くのかはわからないが、キャスターのやる気は十分のようだ。

 

「ジャンヌ、少し時間を稼いでくれないかい?準備をする」

 

「…?よくわかりませんが、わかりました!」

 

「それどっちなの?」

 

ジャンヌは単身ドラゴンに突っ込む。飛んでいるドラゴンに近づくために跳躍して槍を振るう。

だが、立花が言っていたようにステータスが下がっているためか、ドラゴンはあまり堪えた様子はない。

 

私は準備をすると言ったキャスターを見てみる。

 

「!?キャスター、それ…」

 

「ああ、準備完了だよ」

 

キャスターの体の半分は黒い何かに侵食されたようになっていた。それに、今までとは違う異質な魔力を帯びていた。

これがキャスターの言っていた準備なのだろう。

 

「さて…ジャンヌ!下がってくれ!」

 

「‼️了解しました!」

 

キャスターの声に反応して、ジャンヌが下がる。少し目を離した隙に、ジャンヌは苦戦していたのか、所々に傷が見える。

今度はまた、キャスターの方を見る。キャスターの手には先程までは持っていなかった氷のピストルが握られていた。

キャスターはピストルをドラゴン達に向けると、魔力を込める。そして…

 

「【氷魔零ノ弾丸】!」

 

五度、引き金を引く。放たれた5つの弾丸はドラゴン達を的確にとらえ、着弾する。すると弾に当たったドラゴンは断末魔をあげる暇もなく、氷に包まれて、氷柱になってしまった。

 

「す、凄いですね…」

 

この光景を見てジャンヌがポツリと呟く。誰かに向けたわけでもない独り言だったのか、私がその言葉を聞いていたことに気づくと、羞恥からか、頬をほんのり赤く染める。

大丈夫、私もジャンヌとおんなじこと思ってるから。

 

「さあ、後6匹…ッ!?」

 

「なッ!?」

 

「炎!?」

 

キャスターが残った6匹を仕留めようと再度銃を構え直す。

しかし、突如その残ったドラゴンを炎が通過し、包む。

状況をつかめていない私とジャンヌをよそに、キャスターは一人納得したように炎が飛んできた方向を睨む。

 

「君もいたんだ…久しぶりだね、ハル」

 

キャスターがそう話しかけたのでそちらを見ると、そこには一人の男がたっていた。

 

「ア?んだよ、ジャスパーもいたのか!?まあ、ここであったが百年目ってやつだ。決着つけるぞゴラア!」

 

そう言ってハルと呼ばれた男は指先に炎を出して、COME ON とという文字をつくり、獰猛な笑みを浮かべる。

私は確信した。あ、こいつがキャスターの言ってた炎を操る魔術師だ…、と。

 


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