ドラゴンボールNEXUS 時空を越えた英雄   作:GT(EW版)

6 / 26
ツフル人最後の新生児

 

 ――その爆炎が、何もかもを吹き飛ばした。

 

 

 首謀者は地球の地に降り立った、二人のサイヤ人だ。

 突如として起こった異星人の来訪に驚き慌てふためく東の都の人々を嘲け笑いながら、サイヤ人の一人であるナッパが二本の指を立て、その町の全てを消滅させたのである。

 

 そしてその東の都に、幼き日のネオンが居た。

 

 それはエイジ762、11月3日――ベビーがネオンと初めて出会ってから、約一年が過ぎた頃の出来事だった。

 

 

 

 

「……ッ!?」

 

 その時のベビーは既に孫悟空との戦いの傷が癒え、来るべき日の為に森の中で地道な修行に明け暮れていた。

 修行を行い、自身の能力を高めている彼の元へは今でも頻繁に地球人の少女が遊びに来る。彼女の住処である東の都に誘われたことも、いずれも断りこそしたが何度かあった。

 彼女の中ではベビーのことはすっかり友達のような関係で、ベビーの中でもその頃には既に彼女のことは唯一気を許せる存在になっていたのだ。彼の中にある無自覚な寂しさを癒し続け、傍らに立つことを何の違和感も無くなるほどに、ネオンという存在はベビーにとって日常だったのだ。

 

 事件が起こったのは、そんなある日のことだった。

 いつもなら彼女がやって来る時刻に、突如として空の彼方から飛来してきた二つの気配にベビーは気づいた。

 

「この戦闘力……! この感覚は……っ」

 

 マシンミュータントであるベビーの体内には、相手の気配や戦闘力と言ったものが読み取れるパワーレーダーが内臓されている。

 そのレーダーが、これまでの地球では考えられないほどの圧倒的な力を感知したのである。

 そしてベビーの頭脳には、復讐を完遂させるべく本能的に彼らの存在を察知することが出来る超感覚が宿っていた。

 

 気配は二つ、その感覚がベビーの頭脳にアラートのように執拗に訴え掛けてくる。

 

 それはかつて彼が、本能的に孫悟空に挑んだ時に催したものと同じ感覚であった。

 

「サイヤ人だと!?」

 

 その本能はベビーの頭脳に、同胞達をこの世から絶滅させた憎き怨敵――サイヤ人の来訪を訴えていた。

 

「くそがっ!」

 

 修行を中止したベビーは全速力で飛び上がり、気配の元へと向かっていく。

 しかしその時のベビーの心の大部分を支配していたのは、現れたサイヤ人への憎しみではなく、一人の少女の安否を気遣う「焦り」だった。

 二人のサイヤ人が降り立った場所――そこは少女の……ネオンの住んでいる東の都だったのだ。

 

「やめろおおおおお!!」

 

 大急ぎで飛翔するベビーは、あらん限りの声量で叫んでいた。

 時間よ、止まってくれと――彼らサイヤ人の獰猛さと極悪さを誰よりも知っているからこそ、ベビーには彼女の町がどうなってしまうのかわかってしまったのだ。

 

 しかし無情にも時は流れ、彼の恐れていたことは轟音と共に現実となった。

 

 

 ――ベビーが森を抜けて町へたどり着いた時、彼の視界に飛び込んできたのはおびただしい爆炎と、あまりにも呆気なく砕け散っていく東の都の光景であった。

 

 

「…………」

 

 誰がやったのか――決まっている。宇宙から来た、二人のサイヤ人だ。

 

「あ……」

 

 自身の体内に内蔵されたパワーレーダーが、ベビーの思考にその事実を理解させる。

 町に住んでいた多くの人間達の存在がたった今、あの爆炎によって消え去ったことが。

 

「ああ……」

 

 自分は間に合わなかったのだという現実だけが、この一年で少しずつ温かくなっていたベビーの心を深く、冷たく突き刺していった。

 

 彼はまたしても奪われたのだ。

 

 他ならぬ、サイヤ人の手によって。

 

「……っ」

 

 声にならない叫びを上げながら、ベビーは拳を地面に叩き付ける。

 何度も、滅茶苦茶に。震える腕を叩きつける彼の脳裏には、この一年間心を通わせた少女の姿が映っていた。

 

 そしてその時になって初めて、ベビーはようやく理解したのだ。

 

 彼女が自分にとって、大切な存在だったことを。

 彼女が自分にとって、生まれて初めて得た守るべき存在だったことを。

 

 

「……べっちゃん……」

 

 

 そんなベビーの優れた聴力が、ほんの微かに漏らされた少女の声を拾い上げる。

 一瞬幻聴を疑ったベビーだが、彼の反応は早かった。

 即座に声が聴こえた方向へ振り向くとベビーは急いで駆け出し、瓦礫と瓦礫の間でうつ伏せに倒れている唯一の存在を見つけた。

 

 あまりにも生命力が小さくなりすぎていた為に、ベビーのパワーレーダーは彼女の存在を読み取れなかったのだ。

 

 しかしこの時のベビーは自身の目と心で、彼女の存在をはっきりと認識していた。

 

「ネオン!」

 

 それは彼が初めて、彼女の名前を呼んだ瞬間だった。

 彼の中にある復讐鬼としての本能は何処かへ飛び去って行く二人のサイヤ人を追って殺せと訴え続けているが、この時のベビーはそれを無視して一目散に彼女の元へと向かっていた。

 

 復讐鬼としての本能に、彼自身の「人間としての心」が打ち勝ったのである。

 

 そんなベビーはなりふり構わず周囲の瓦礫を吹き飛ばしながら、彼女の元へとたどり着く。

 

「ネオン……! しっかりしろ!」

 

 彼女は――ネオンは生きていた。

 おそらく町を離れて、ベビーの居る森へ移動しようとしていたのが功を奏したのであろう。ほとんどが一瞬で消滅していった町の住民達の中で、ただ一人だけ彼女の肉体は生き残っていたのである。

 しかしそれでも、宇宙の中でも指折りであるサイヤ人の並外れた力は、彼女のような普通の人間にとって掠っただけでも致命傷になるような威力だ。

 地面を赤く染める血塗れの右腕は肩から下に掛けて無くなっており、僅かながらも爆炎の煽りを受けたネオンの命は既に風前の灯火だった。

 その姿は痛そうで、苦しそうで。

 だがそれでも、微かに見開いた彼女の瞳はベビーの姿を認めるなり、嬉しそうに笑っていた。

 

 ――きみはぶじだったんだね、と安心した……地球人の少女が呟いた、最期の言葉だった。

 

 

 

「クソッ! クソッ! クソッ!!」

 

 ベビーが吠え、彼女を懸命に揺り起こそうとする。

 息は無い。脈も無い。

 誰が見ても手遅れな状態の彼女を抱き抱えるベビーは、彼女の死を認めなかった。

 諦めなかったのだ。彼女に笑顔を、もう一度取り戻させることを。

 

「死なせるものか! お前だけは……!」

 

 瞬間、ベビーの身体から白色のオーラが迸り、身に宿す力が一気に上昇していく。

 愛や友情などと言うものは、マシンミュータントであるベビーにはわからない。

 だが彼はこの時、初めて自分以外の者のことを守りたいと思ったのだ。

 

 その思いの強さが、彼に得体の知れない力を与えた。

 

「俺と生きろ! ネオン!!」

 

 それは、ベビー本来の力の一欠片。

 彼が身に宿す筈だった力の一部が唸りを上げ、覚醒した瞬間だった。

 一瞬にしてベビーの身体が泥状に溶けていくと、ネオンの身体中の傷を優しく覆っていくように彼女の肉体へと入り込んでいく。

 

 寄生能力――ベビーはその力で彼女と一体化することによって、自分自身の生命力を彼女の体内に分け与えたのである。

 

 

 それはエイジ777の現在に至るまで続いてきた二人の共生関係の始まりであり、ネオンという地球人の少女が「ツフル人」として生まれ変わった出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廃墟の町に立つたった一人の人間は、見た目は十代と二十代の中間に見える年頃の若い女性の姿だった。

 しかしその年代の者に多い浮ついた雰囲気は整った顔立ちには微塵も無く、女性自身のきめ細やかな白い肌と艶やかな黒髪のロングヘアーも相まって、可愛らしさよりも凛々しさという言葉が似合う姿だった。

 かと言って冷たいという雰囲気があるわけではなく、それでいて触れれば掠れてしまいそうな儚さも混在していることもあってか、美しくもどこかアンバランスな雰囲気を纏った女性であった。

 

「あの時の君は……本当にカッコ良かったよ」

 

 幼い頃に訪れた過ぎ去った過去を思いながら、女性――ネオンがおもむろにそう呟く。

 唐突に語り出した彼女に対して、彼女の脳内にのみ聴こえる声でベビーが聞き返した。

 

『何のことだ?』

「君が、私を助けてくれた日のことさ」

『ふん……古い話だな』

 

 あの日、二人のサイヤ人が起こした一瞬の惨劇によって幼いネオンは致命傷を負い、死を待つだけだった。

 そんなネオンを救ってくれたのが、今彼女の中に居るベビーという存在だった。彼がネオンの体内に寄生することによって生命維持装置のような役割を果たし、彼女は今もこうして生き永らえているのだ。

 身体の傷もまた失った右腕以外は彼のおかげで綺麗に完治することが出来、おまけに人知を超えるパワーまでも手に入れることが出来た。

 これだけでも彼には、一生分の感謝を尽くしてもしきれない大恩であろう。

 

「……ありがとう、ベビー」

 

 思い出を振り返るなり感傷的になったネオンが、改めてベビーに礼を言う。

 二十歳の年齢までこうして生きていられたのも、元々は普通の地球人であった自分が人造人間やブロリーのような怪物を相手に戦ってこれたのも、全てはベビーのおかげである。

 感謝の気持ちは一度として、忘れたことはなかった。

 

「君のおかげで、私は生き返った。君の力で、私は化け物と戦うことが出来るんだから」

『今更、そんなことを言うな。気色が悪い』

 

 本心から感謝の意を述べるネオンに、ベビーが素っ気なく応じる。

 言葉は冷たかったが、それが照れ隠しのようなものであることをネオンは長い付き合いから察している。

 今やネオンとベビーは一心同体の身で、互いにもう一人の自分自身とも言える関係であった。

 

「はは、そうだね。確かに今改まってお礼を言うのは、映画で死んでしまうおじさんみたいで縁起悪いか」

 

 思えば彼とは、長い共生関係を続けてきたものである。

 当時はこの世に悪意なんて無いんだと思っていたほど幼かったネオンも、十年以上も経てばそれなりに世界のことを知る大人の仲間入りをしてしまった。

 そんな彼女はブロリーとパラガスという二人のサイヤ人が現れるまで、身に宿るベビーの力を隠しながら生きてきたものだ。

 家族も友達も故郷諸共に失った彼女はベビーと共に協力し合いながら、今よりは静かに平穏な時を過ごしていた。辛いこともやり直したい過去も無数にあったものだが、それでも今までの時間は嫌いではなかったと思っている。

 ただ、ベビーの存在をサイヤ人への復讐鬼として生み出した者達からしてみれば、今の状況は全くもって不本意なのだろうともネオンは思う。

 

「……もしもの時は、遠慮なく私から離れて良いからね?」

『馬鹿かお前は……俺が離れたら、お前は死ぬんだぞ』

「でも、そうすれば君は自由だ。私のことなんか気にせずに、好きに復讐出来るだろう?」

『ならば、尚更だ。お前と共に、憎きサイヤ人をこの手で殺せる機会が訪れたのだからな』

「……そうかい」

 

 あの日、ネオンという地球人から全てを奪った者達のことを、彼女は今でも許していない。

 サイヤ人は家族や町のみんなの仇だと、幼子の透き通った濁り無き心に初めて憎しみという負の感情を抱かせたことを、ネオンは忘れていない。

 

 この時のネオンは、ブロリーやパラガスという純粋サイヤ人の存在や孫悟飯という混血サイヤ人と対峙したことによって、自身の中で長年押さえつけてきた感情が蘇りそうになっていることを感じていた。

 それはもはや、いつこの理性が壊れてもわからないほどだ。

 

(……復讐は否定しない。だけどそれしか出来ないのは、悲しいことだってわかってる)

 

 ベビーと一つになったことで彼がどういう存在なのかを理解したその日から、ネオンはこれまで彼に色々なことを教えてきたつもりだ。

 彼のことを、とても悲しい存在だと思った。

 そんな彼の心に生まれた「優しさ」を、ネオンは誰よりも知っている。

 だから自身の持つ憎しみ以外の感情を彼にも共有させることで、彼の中から少しずつ復讐心を取り除こうとしていたのだ。

 復讐鬼として生まれた彼に、無責任な言葉で復讐を否定するつもりは無い。ただ、彼には他のこともたくさん知ってほしいと思い、長い間平穏な暮らしを過ごそうとしていた。

 しかしそんな自分が理性を失い、自分から復讐に燃えていたら、本末転倒もいいところである。故に彼女は今、事情も聞かずに孫悟飯へと襲い掛かった先の行動を深く反省していた。

 

 ――私がこんな憎しみを抱いていたら、中に居るベビーにも悪影響だ。

 

 ネオンが時々振り切れそうになる感情を抑える時は、決まってそんなことを考えている。

 それはまるで子供の前では良い恰好をしたがる大人のような、せめてもの強がりのようだった。

 

 

『上から来るぞ、構えろ』

「お客さんか……後をつけられていたのかな」

 

 そんなネオンの元へ気配も無く四つの影が降り立ったのは、その時だった。 

 一人は、子供程度の背丈の男だ。目元には黒いサングラスを掛けており、頭には緑色のベレー帽を被っている。もう一人は黒い長髪をおさげにした巨漢の男だった。露出している上半身は、人間では及びつかないほどの逞しい筋肉が覆っている。肌の色は濃い紫と、石のような灰色。いずれも地球の人間には見えない姿である。

 三人目は容姿に関しては美形ではあるものの人間のそれと変わりなく、他二人と比べて目立った特徴と言えばオールバックにした長い銀髪ぐらいである。しかしその風貌からは、ただならぬ強者の風格を漂わせていた。

 

 そしてその三人を従えるように彼らの前に立っている四人目の男は、ネオンとベビーにとって顔見知りの老人であった。

 

「何か用かな人造人間? いや、ドクター・ゲロ」

 

 ドクター・ゲロ――それはこの地球で人を超えた戦闘力を持つ人造人間を作り出した、狂気の科学者の名前である。

 彼は自分自身をも人造人間20号として改造し、かつては今は亡き孫悟空への復讐の為に暗躍していた元レッドリボン軍所属の身でもある。

 

 ――そして今はパラガスと手を組み、彼らの帝国の一員として地球人を裏切った裏切り者の男だった。

 

 そんな彼、ドクター・ゲロは不機嫌さを隠しもせず睨みつけるネオンの視線を物ともせず、背後の人造人間と思わしき三人の配下を制しながら、一歩前に出て問い掛けてきた。

 

「ベビーよ、お前をツフル人の王と見込んで聞くが……私と手を組む気は無いか?」

『ほう……』

 

 ベビーさえも感心する、単刀直入の申し出だった。

 どうにも彼は自分を――ベビーのことを知っている様子であったが、ネオンもベビーも彼に対してそのことを教えた過去は無い。

 ふと後方に漂っていた昆虫型の小型ロボットの存在に気づいたネオンが、それを指先から放った気攻波で撃ち落としながら眉をひそめて言い返す。

 

「自慢の盗撮カメラで知ったのかい? お前がそんなことを知っているとは思わなかったよ」

 

 地球の裏切り者である彼が手を組めと言う目的がどこにあるのかは、ある程度察しはつく。ネオンの中に居るベビーには、ツフル人の王の遺伝子や記憶が刻まれているのだ。早すぎた覚醒によって大部分が破損しているとは言え、彼が持っているツフルの知恵は尚も膨大であり、ネオン自身も度々その恩恵を受けて生きていた。

 例えば、ネオンが普段身に着けているバイザー型の「スカウター」は人造人間以外の者のあらゆる生物の反応をキャッチし、ハイテクな通信機器にもなる。身に纏う服にしたって身軽ではあるものの、構造にはかつてフリーザ軍兵士が身に着けていた戦闘服と同様の素材が使われており、いずれも高い防御力を誇っている。そして服の上から失った右腕を隠すように纏っている灰色のマントは特殊な性質によってネオンの纏う気配を隠し、数年もの間悟飯達やパラガス達に気づかれないまま活動を続けることが出来た。

 

 こうして列挙したほんの一部の発明品でも、ツフルの科学力は地球のそれとは比べ物にならないほど高い水準にあることがわかるだろう。その技術に対して同じ科学者であるドクター・ゲロが興味を持ったとすれば、至極当然のことだった。

 

 尤も、護衛にしては贅沢すぎる三人の人造人間を伴って現れた彼が申し出たそれは「頼み」などという生易しいものではなく、「脅迫」であることは指摘するまでもない。

 従わなければ無理矢理にでも服従させるというのがこの老人の魂胆であり、それを眉一つ動かさずに行える人間だということをネオンは改造された二人の「恩人」の存在から知っていた。

 何よりもネオンは、地球の裏切り者である以前に自身の「恩人」を奪っていったこの男のことを吐き気を催すほどに嫌悪していた。

 

「無論、報酬は出そう」

「なら、ラズリさんとラピスさんを解放しろ」

「それは出来ん。特に17号は、あのブロリーさえ凌駕する資質があるのだ。私とツフルの科学力が合わされば、奴をベースにした究極の人造人間が完成する」

「知るかそんなもん。二人はお前のおもちゃじゃないんだよ」

 

 素行が良いとは言えなかったが、気さくで優しかった黒髪の少年と金髪の少女の姿が脳裏に過り、ネオンがギリッと奥歯を噛み締める。

 彼らが今どこで何をしているのかを知ったのは、つい最近のことだ。しかし間違いなく彼らのことに関しては、ネオンとドクター・ゲロの間に確かな因縁があった。

 

『ブロリーを超える究極の人造人間を作る為に、ツフルの科学力を利用するつもりか……面白いことを考える』

「君の知恵は、こんな奴の為に使われるもんじゃないだろう」

『ふん、違いない』

 

 一方でゲロの申し出にそう呟くベビーの声にもまた、彼女と同じような不快感が込められている。尤もこちらはツフルの王である自分を利用しようなどという彼の傲慢さに嫌悪感を表している様子であったが、ドクター・ゲロを受け入れる意志が一ミリも無い点については二人とも同じだった。

 

「交渉は決裂か……やれ、人造人間達よ」

 

 そんな二人の反応は予め想定していたのだろう。ゲロの対応は早く、それまで彼の背後で沈黙していた三人の人造人間達が勢い良く飛び出し、ネオンに対して襲い掛かってきた。

 

『三対一か……交渉が聞いて呆れる」

「まったくだね。人を見ていきなり襲い掛かるとか最低だよ」

『お前が言うな』

「君もね」

 

 これならばナイフを突きつけながら脅された方がまだ常識的だと思いながら、ネオンは内に宿るベビーの力を引き出し、白色のオーラを解き放つ。

 

「気づいてくれよ、ヒーロー!」

 

 そして一旦自身の気配を隠す灰色のマントを外した後、遠くに居る誰かに対して、あえて自分の位置を知らしめるように彼女はその「気」を解放した。

 

「13号、14号、15号よ。そいつには聞きたいことがある。生け捕りにして、私の元へ連れてくるのだ!」

「了解しました、ドクター・ゲロ」

 

 それぞれ人造人間13号から15号までのナンバリングが施された三人を代表して、白銀の髪の13号がゲロの命令に返事を返す。

 戦闘態勢に入ったネオンはスカウターとマントを付け直し、上空へ飛び上がりながら彼らを迎え撃った。

 

 

 

 





 ~かんたんな人物紹介その3~

【ネオン】

 本作のヒロインの一人。二十歳。
 オリキャラであり、私の前前作「僕たちは天使になれなかった」ではラスボス兼オリ主ポジションを務めていたキャラ。名前の由来は「怨念」→「オンネン」→「ネンオン」→「ネオン」といった具合。
 前前作とは別の次元である為、本作との直接的なつながりはない。よって別に前前作を読まなくても特に問題はないかと思われます。
 ピーピーうるさいヒヨコ共へのナッパの挨拶によって滅ぼされた、東の都唯一の生き残り。その際に右腕を失っている。直近の地球のドラゴンボールへの願い事が、フリーザ戦で界王様が提案した「フリーザ一味に殺された人々を生き返らせてくれ」に使われている為、サイヤ人のナッパに殺された町の住民達は残念ながら誰も生き返れなかったものとして本作では扱っていきます。
 ベビーが持つツフルの科学力によって頑丈な服とスカウター、気配を隠すマントなどを装備している。ブルマほどではない科学力チートと、サイヤ人ほどではない戦闘力チートの二つを併せ持った奇妙な存在。
 自分を救ってくれたベビーに対して感謝しており、パラガス達が現れるまではベビーが幸せになれるように復讐以外のことを教えようと懸命に奔走していた。しかし状況は変わり、サイヤ人によって再び地球が危機に瀕した今、ベビーと共に表舞台に姿を現すことになる。そんなこんなでビーデルさん勝利に終わった前前作とは違った一生を歩むことになると思います。

 しかし何故だろうか、意識しているつもりはないのですが私のオリキャラというかオリ主はみんな心の中にもう一人の自分を飼っている気がが……(星菜星園、フィア勇者、ミノシアベジータ、メタフィクス名もなき界王神etc)。まだ地味すぎるぜ☆ もっとシルバー……同一作者でも全く違う個性のオリ主を書ける人って、素敵だと思います(唐突)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。