もこたんのヒーローアカデミア   作:ウォールナッツ

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もこたんとAB組合同戦闘訓練 1

 

 雄英高校・運動場γ(ガンマ)

 その日のヒーロー基礎学の授業は全体演習。1年A組B組らヒーロー科および普通科の心操は工場地帯を模した訓練場に集められていた。

 今回は初めてのAB組合同戦闘訓練であることに加えて、ヒーロー科への編入を希望している普通科の心操が参加するという特別授業である。まずは心操の自己紹介から始まったが、彼はヒーロー科生徒と比べると半年以上出遅れていることを強く自覚していた。自己紹介の場では目の前にいるヒーロー科の生徒全員が乗り越えるべき壁であることを明言し、その覚悟を皆の前で露わにしたのだった。

 心操の言葉を受けたAB組の面々も改めて気を引き締める。その様子を見て教員の相澤とブラドキングは今日の本題に入った。

 

「じゃ、ヒーロー基礎学を始める。今回は見ての通り合同の戦闘訓練だ。そこでA組とB組の対抗戦を行う。双方4人組をつくり1チームずつ戦ってもらうぞ」

 

 戦闘の状況設定は『敵グループを包囲して確保に動くヒーロー』である。お互いのチームがお互いをヴィランと認識して戦うことになり、4人捕まえた方の勝ちとなる。双方の陣営には牢屋である『激カワ据置プリズン』が設置されており、相手を投獄した時点で捕まえた判定となるというルールだ。

 なお、制限時間は20分。タイムアップの場合は投獄された人数によって勝利が決まる。投獄人数が同じ場合は引き分け(ドロー)になるとのことだった。

 

「しかし、心操を加えると我々は41名。この半端はどう解決するのでしょうか?」

 

「いえ、心操さんを含めて40名ですわ。妹紅さんはまだインターンから帰ってきておりませんので」

 

 B組の宍田が尋ねると、それに八百万が反応した。

 あの福岡の大事件から三日が経ったが、妹紅はまだ雄英に戻ってきていないのだ。相澤とブラドキングはそのことについての説明を始めた。

 

「皆も知っているだろうが福岡で発生したヴィラン連合による黒脳無襲撃事件。エンデヴァーはリカバリーガールの『治癒』が必要なほどのダメージを負い、ホークスは羽が生え揃うまでヒーロー活動を休止した」

 

「幸いながら今回の事件で死傷者は出なかったものの福岡の人々の不安は未だに大きく、トップヒーローの活動休止によりヴィラン犯罪の活発化も予想された。そのため福岡県知事はエンデヴァー事務所所属のサイドキックヒーロー『もこたん』による治安維持を公安に要請。これを公安は受理し、ホークスが活動を再開するまで藤原は福岡でヒーロー活動を行うことになったという経緯だ」

 

 そのような理由で妹紅は福岡に留まることになった。そしてホークス事務所のサイドキックたちのサポートを受けてヒーロー活動を開始。事件日からホークスが復帰する本日までの間、妹紅は福岡の地でヒーロー活動を行っていた。

 

「分かるな?既に『不死鳥』は人々の精神的な支柱となった。そしてその間、福岡で大きな事件は発生していない。藤原はエンデヴァーやホークスの代わりを見事に務め上げたということだ。無論、連合探しで福岡中を跳び回っていたミルコの存在もヴィラン犯罪の抑止力になっていたのは間違いないだろうがな」

 

 相澤は溜め息を小さく吐きつつ最後にそう言い放った。正直な話、福岡にはNo.5ヒーローのミルコが来ていたのだから代役は彼女が担当すればいいだけの話なのだ。しかし、ミルコは鉄砲玉のような気性であり、自由にさせた方が効果的なのは相澤も分かっている。

 故に、妹紅に伸し掛かる負担さえ目を瞑れば今回の人選は最適解だった。せめて雄英から教員ヒーローを送って彼女の負担を軽減させたかったが、連合が動いた以上は雄英としても厳戒態勢を敷かねばならない。出来たことと言えば、なんとか怪我人の治療を名目にリカバリーガールは派遣したぐらいだった。

 

(まぁ、藤原は婆さん(リカバリーガール)が来たことを殊の外に喜んでいたようだったがな)

 

 一方で、妹紅にとってはリカバリーガールの派遣は非常にありがたい話だった。怪我をしたエンデヴァーや市民の治療はもちろんのこと、彼女は妹紅の事情も詳しく知っているため精神面的な相談も担当できる人物なのだ。

 更にリカバリーガールは古くから雄英で看護教諭をやっており、慧音の学生時代もよく知っている人物でもある。そのため妹紅は彼女から若かりし頃の慧音の話を聞くのが好きだった。リカバリーガールおススメの菓子を摘まみながら、まるで母の話を祖母にせがむ孫のように語り合う。そんな関係だった。

 

「うむ、3日間だけとはいえ簡単に出来ることではない。実に見事なことだ。ヒーローは戦うだけが仕事ではないのだが、残念ながらこのご時世。やはり戦闘力は重要になってくる。そこで今回の合同戦闘訓練という訳だ!」

 

「よし。じゃあクジ引け。心操はA組の3人チームになったところに入れ」

 

 ブラドキングの喝を受けて生徒たちも気を引き締めなおした。彼らも妹紅に置いて行かれるだけの存在になるつもりはない。身近な相手だからこそ追いつけ追い越せの精神でいるのだ。

 生徒たちの力強い表情を確認して相澤はクジの入った箱を差し出す。そうしてA組 対 B組の模擬戦が始まるのであった。

 

 

第一試合

A:蛙吹、上鳴、切島、心操

 対

B:塩崎、宍田、円場、鱗

 心操が早速参加することになったこの試合。まずはB組の速攻によって戦いの火ぶたが切られた。宍田と円場の奇襲により場を荒らされ、塩崎の『ツル』によって切島を失ったA組チーム。しかし、なんとか蛙吹が円場を投獄。3対3となり鎬を削る戦いが続くかと思いきや、その後は心操の『洗脳』が猛威を振るった。声色を変える心操のアイテム『ペルソナコード』と蛙吹の作戦によりB組チームは大混乱に陥り、その隙をついてA組は勝利したのだった。

 結果 3-0 A組勝利

 

 

第二試合

A:口田、常闇、葉隠、八百万

 対

B:黒色、拳藤、小森、吹出

 知恵者の八百万と拳藤がぶつかり合う第二試合。

 最初は常闇の『ダークシャドウ』に対して優位を取れる黒色の個性『黒』と、人間の表皮すらも侵食してくる小森の『キノコ』に圧倒され、更には吹出の『コミック』のオノマトペで分断されたA組チームだったが、八百万が滅菌スプレーによる『キノコ』の攻略を発見。己は撃破されつつも残メンバーにそれらを託し、葉隠たちは反撃を開始した。

 気配を消した葉隠は背後からの一撃(バックスタブ)によって吹出と黒色の頭部を殴打し、2人を気絶させて投獄。一方で口田は拳藤に倒されてしまったものの、その間に常闇が小森を捕縛。状況はA組チーム優勢へと傾いた。

 最後に残った拳藤を連携して倒そうとした常闇と葉隠だったが、まだ投獄されていなかった小森がここで切り札を放った。肺にキノコを生やすという『肺攻めスエヒロダケちゃん』というエゲツない必殺技で常闇と葉隠を戦闘不能に追い込み、これによって勝負は決したのだった。

 結果 0-2 B組勝利

 

 

第三試合

A:飯田、尾白、轟、障子

 対

B:回原、鉄哲、角取、骨抜

 今回のA組チームは攻撃的な個性を持った者が揃っており、序盤から轟の氷結攻撃で攻め立てた。しかし、B組チームは鉄哲や骨抜など氷結攻撃に対処できる者が多く、轟たちの目論見は失敗。乱戦となり轟と鉄哲、飯田と骨抜が相打ちでダウン。更に尾白と回原が投獄。

 最後は障子と角取の一騎打ちとなったが、障子に勝てないと察した角取は逃げに徹して敗北を回避。そしてタイムアップを迎える形となった。

 結果 3-3 引き分け

 

 

第四試合

A:砂藤、耳郎、瀬呂、爆豪

 対

B:泡瀬、鎌切、取蔭、凡戸

 序盤は取蔭の個性『トカゲのしっぽ切り』によって翻弄され、動きを全て逆手に取られてしまったA組チーム。しかし、爆豪のリーダシップによって徐々に連携が精密になっていき、ついには隙を一切見せない完璧なチームとなった。

 爆豪の暴君的な独断専行の隙を突く作戦だったB組チームは次々に倒されていき、なんと5分足らずで全員投獄という結果で試合は終了した。

 結果 4-0 A組勝利

 

 

第五試合

A:芦戸、麗日、緑谷、峰田

 対

B:小大、庄田、物間、柳

 サポート型の個性持ちが片寄ったこの試合。特に注目されたのは機動力と戦闘力に秀でた緑谷だった。B組チームは緑谷を倒さなければ勝機は得られないが、彼らの個性では緑谷を撃破するほどのスピードも火力もない。そんなジレンマを抱えつつB組チームは徐々に追い詰められていった。

 そこで物間はお得意の挑発を開始。緑谷の『超パワー』を『コピー』することで逆転を狙おうとしたのだが、その際に彼の個性が暴走してしまった。黒い紐状のナニカが緑谷の身体から溢れ、敵にも味方にも襲い掛かる。それはOFA(ワンフォーオール)に眠っていた力の目覚めだ。暴走の中、苦痛によって意識を失った緑谷は己の魂の中で歴代継承者の声を聴いたのだった。

 緑谷が目を覚ました時、彼は麗日の腕の中に居た。緑谷の異変を感じた彼女は身を挺して彼を止めたのである。

 しかし、魂の中での時間とは反して現実世界では一瞬の出来事だったようで、対抗試合はまだ続いていた。そんな回復直後の緑谷の隙を突いた物間が彼に触れて個性をコピーするも、残念ながら結果はコピー失敗の『スカ』。直後に物間は麗日に確保されてしまい、ギリギリで保っていたB組チームの戦線は崩壊。残りのメンバーも緑谷、峰田、芦戸の攻勢に次々に倒されてしまったのであった。

 結果 4-0 A組勝利

 

 

「これにて5セット全て終了です。全セットみんな敵を知り、己を知り、よく健闘しました!」

 

「みんな、お疲れ様」

 

 対抗戦はA組の勝利で終わった。戦績は3勝1敗1分である。

 試合の途中から見に来ていたミッドナイトとオールマイトが生徒たちに労いの言葉をかけるとA組は歓声を上げる一方で、負けたB組は落ち込んだり悔しがったりという反応を見せていた。

 

「A組に負けたかー」

 

「そこまで対抗心メラメラだったわけじゃないけど…」

 

「ね。なんだかんだ悔しいノコ。むー」

 

 今回は負けてしまったB組ではあるが、試合の内容そのものは決してA組に劣るものではなかった。実力はほぼ互角。あえて敗因を挙げればクジ運が悪かったことくらいだろう。B組はサポート型の個性持ちが多いので、組み合わせによっては第五試合のような劣勢状況がどうしても発生してしまうのだ。

 しかし、そんな劣勢状態で始まった試合でも可能な限り奮戦し続けたB組生徒たちは実に見事といえた。

 

「全員ご苦労。そして…丁度、藤原が戻ってきたな」

 

 皆の労を簡潔な言葉でねぎらっていた相澤が空を見上げて言った。その視線につられて全員が同じ方向を見る。

 直後、集団から少し離れた位置に大きな炎の翼が柔らかくフワリと舞い、その場に妹紅が着陸した。大きな炎翼はその場で背中に吸い込まれるように回収され、炎を収めた妹紅は足早に皆の方へ歩く。その顔は『ようやく雄英に帰ってこられた』という安堵の表情で満たされていた。

 

「遅くなってすみません先生」

 

「ご苦労だった。校長に報告はしたか?」

 

「はい、先ほど。やはり根津校長も危惧されていました」

 

「…だろうな」

 

 雄英に戻り、妹紅は最初に校長室へと立ち寄っていた。今回の件を根津に報告するためだ。黒脳無や荼毘らヴィラン連合の動きや戦闘力。それに伴う泥水の『ワープ』個性の使用とその危険性。盗聴などの危険性を考えて電話などでは話せなかった事柄を彼に直接伝えていた。

 そして根津への報告を終えた妹紅は、残り少ない時間ながらも授業に出席するべくこの運動場γにやってきていたのだった。

 

「もこー!おかえりー!」

 

「妹紅さん、おかえりなさい」

 

「藤原!無事に戻ったんだな!よかったぜ!」

 

「もこたんおかえり!お疲れさまノコ!」

 

「テレビ見たよー。大変だったね」

 

「うん、ただいま。みんな、ありがとう」

 

 葉隠や芦戸に抱きしめられながら、妹紅は皆との再会を喜んだ。たった3日間離れていただけなのに何とも懐かしい気さえする。A組だけでなくB組の生徒たちも気遣ってくれ、妹紅も心休まる思いで皆に感謝の気持ちを伝えていた。

 それから常闇の姿が視界に入った時、妹紅はホークスから言われていたことをふと思い出した。

 

「ああ、そうだ常闇」

 

「む…?」

 

「ホークスから伝言だ。『再開したインターンでまた福岡に来てほしい。色々あって俺自身はあまり構ってやれないけど、事務所の即戦力としてツクヨミ君の力を借りたい』とのことだ。正式な手続きは後で送るから、とりあえず考えておいてほしいと言っていた」

 

「ふ、師よ…。ああ、分かった。伝言感謝する。無論、行くつもりだ」

 

 常闇はニヒルに笑いながらそう答えた。彼にはホークスの弟子だという自負がある。だからこそ、彼の指導を受けたと思われる妹紅に僅かな嫉妬心があった。しかし、そのホークスが己の力を必要としてくれていると知ると、そんな暗い思いは消え去り福岡へのインターン行きを決心したのであった。

 

 

 

「さて、それでどうするイレイザー。あと一戦程度ならやりあう時間もまだギリギリあるが…」

 

「ああ。藤原、今から模擬戦やれるか?インターンの疲労が残っているなら無理にとは言わんが」

 

 ブラドキングが顎に手をやりながら言うと相澤も同意見だったようだ。今回はB組だけでなく編入希望の心操まで揃っているのだから、妹紅と模擬戦すれば彼らにとって大きな経験値になることは間違いない。

 そうやって相澤が尋ねると、妹紅は迷いなく頷いた。

 

「やれます。ルールも理解しました」

 

「よし。他の者たちはどうだ?特によく分からんことになってた緑谷」

 

 相澤が振り返り、緑谷の方を見る。『OFA』に眠っていた『黒鞭』の暴走。しかし、周囲には個性を『超パワー』と伝えているため、その枠からかなり逸脱しているように見えていただろう。“力が溢れて自分でも分からなかった”という本心でもある答えで緑谷は何とか誤魔化したが、誰もが不審に思うと同時に彼を心配していた。

 

「だ、大丈夫です!まだ戦えます!」

 

「…そうか。俺も常に『抹消』が発動できる位置に居るわけじゃない。気をつけろよ」

 

 相澤は釘を刺すだけに留めた。幸いにしてこの場には相澤の『抹消』やミッドナイトの『眠り香』、心操の『洗脳』などの鎮静化に秀でた個性が揃っている。むしろ、教員の目が届かない自主練時や本番のインターン時などで暴走されるよりも、今の状況でやらせた方が安全とも言えた。

 

「もう一戦!?ハハハハ!そうさ、A組最強の藤原さんが参加してこその真の対抗戦じゃないか!つまり、この戦いで僕らが勝てばB組の完全勝利!命運尽きたねA組!」

 

「そうはなんねーだろ…。たとえ藤原のチームが負けたとしても3勝2敗1分けでA組勝利のままじゃねぇか…」

 

「そうは言っても、次だってA組は負ける気ないよー!」

 

 他の生徒たちの反応も悪くない。B組は次で逆転してやると(主に物間が)息巻いているし、A組は更に差をつけてやるといった様子でいる。やる気は十分だった。

 しかし、教師たちの思惑は違う。次の試合は対抗戦から遥かに飛躍しているものだった。

 

「先生、チームメンバーはまたクジ引きですかー?」

 

「いや、違う。ブラド」

 

「ああ。今回のセットは藤原 対 AB組全員プラス心操で行うことにした!」

 

 ブラドキングが力強く言い放つ。最早チーム戦ですらない。1人VS全員だ。その決定に生徒たちは様々な反応を見せた。

 

「ハハハハ!そう、僕らAB組全員と心操君で…AB組ィ!?」

 

「マジすか!?1対40!?」

 

「確かにメチャクチャ強ェってのは知ってるけど…」

 

「戦力差40倍かぁ…。ちょっと悔しいなぁ」

 

 B組の面々は思わずそう零した。困惑や驚愕。そして、それだけの力の差があると突きつけられたことに対する悔しさ。そういった感情が彼らの心の中に渦巻いてしまうのは仕方のないことだろう。

 一方で肝心のA組の反応はというと、B組とは大きく違うものだった。

 

「マズイですわね…」

 

「チッ!難易度上げてきやがった」

 

「ヤバいヤバいヤバい!今回のルールで妹紅相手にソレは絶対ヤバいって!」

 

「な、何とか藤原さんを無力化する手段を見つけないと…!」

 

 A組の生徒たちは顔を顰めたり、慌てたり、頭を抱えて考え込んだりという有様だった。それは即ち、既にVS妹紅を意識して戦略を練り始めているということ。勝利に至るための思考に嫉妬や悔しさなどが介入する余地は無かったのである。

 

「…ッ!()()()()、ということなんですねイレイザーヘッド…!」

 

「いや、()()以上だ」

 

 40人で1人に挑むというのに、このA組の反応。その脅威の大きさに心操が息を吞みながら言うが、相澤は当然のように首を横に振った。その心構えが出来てようやくスタートラインにつけるのだ。妹紅に勝利するためにはそこから更に奮闘しなければならない。故に相澤は『それ以上』なのだと言い切ったのである。

 そのまま彼とブラドキングは心操やB組の生徒たちの前に立つ。それだけで彼らの間に漂っていた空気がピシっと張った。

 

「心操およびB組諸君、君たちも一度味わっておくことを推奨する。災害級の敵を相手にしなければならない状況というものを、な。A組の連中は…あの様子を見れば分かると思うが模擬戦の度に味わっている」

 

「迫りくる炎の大災害。しかし、人々を守るためにはそれに抗わねばならん時もある。それがヒーローだ!心を折らずに最後まで立ち向かい続けろ!俺は…!俺はお前たちのことを信じているぞ!さぁ、行ってこい!」

 

「「「ブラドキング先生…!!!」」」

 

 相澤に続いてブラドキングが語る。拳を力強く握りしめて教え子たちに熱い激励を送ると、彼らはその期待に応えるために戦意を滾らせていた。

 一方で、相澤も担当のA組に向き直る。しかし、その表情は相変わらずの眠そうな半目だった。

 

「んじゃ、試合は10分後に開始するからお前らさっさと配置につけ」

 

「B組との温度差ァ!」

 

「私たちにも応援の言葉くださいよ、相澤先生!」

 

 ブラドキングとは正反対のテンションでA組を送り出そうとする相澤。これには流石の彼らもツッコミを入れざるを得ない。そんな感じで文句を言うと、相澤も思うところがあったのか僅かに思案した後に頷いた。

 

「確かにそうだな。しっかり頑張ってこい、心操」

 

「私たちは!?」

 

「お前らは藤原との模擬戦慣れてるだろ。はよ行け」

 

「ひでぇ」

 

 ブーブーと文句を言うA組の面々。それを相澤は蠅でも追い払うかのようにシッシッと手を振る。ぞんざいな扱いだが、お互いが理解している関係だからこその対応だ。心操からすればその関係が少し羨ましくも思えた。

 

「みんな、頑張りなさい!」

 

「応援しているよ。もちろん、藤原少女もね」

 

 そんな成り行きを見守っていたミッドナイトとオールマイトが皆に声をかける。1人で戦うことになる妹紅に対してもエールを送り、にこやかな笑みを浮かべていた。

 声援を受け取った妹紅は2人に頭をペコリと下げる。そして炎翼を広げると開始位置に向けて飛び立つのであった。

 

 

 

 

「これヤベェな…」

 

「だよなぁ、下手すると初手の『火の鳥』で俺ら終わるぞ…」

 

 こちらは合同チームの40人。彼らは開始位置に向かいつつ妹紅攻略を考えていた。

 しかし、A組の者たちは表情が暗い。“ヤベェ”と切島が呟くと、瀬呂が苦虫を嚙み潰したような表情で同意した。

 妹紅の必殺技である『火の鳥-鳳翼天翔-』。炎翼で飛行しながらこれを放たれるだけで切島や瀬呂を始めとする多くの者が妹紅に対抗できなくなるのだ。これを攻略しなければならない訳だが、脅威は他にもあった。

 

「それに加えて『フェニックスの羽』もよ。恐らくエリア全域に羽が降ってくるわ。逃げ場はなくなると思っていいでしょうね」

 

「絶対やってくるよ。妹紅からすればやらない理由がないし」

 

 蛙吹が言うと耳郎が肯定しながら頷いた。

 体育祭の決勝戦、爆豪との試合で妹紅が使用した『フェニックスの羽』は非殺傷ながらも広範囲の制圧に長けた必殺技である。これによって全ての戦闘エリアは高温と低酸素に包まれるだろう。これらが妹紅の初手だと思われた。

 

「試合開始の直後に私が40人分の酸素呼吸器と耐熱マントを創りますわ。それでなんとか耐えてくださいまし」

 

「俺は出来るだけ広範囲に氷塊を作り続ける。周囲を冷やし続けねぇと全員熱中症ですぐにダウンするからな。吹出、お前もオノマトペで周囲の冷却を頼む。間違いなく藤原に狙われるだろうが、俺らがやられたらチーム全体が壊滅するぞ。気をつけろよ」

 

「ひえぇ…りょ、了解…」

 

 八百万、轟、吹出。低酸素と高温の対策を取れる者が40人中の3名しかいない。全国からエリートが集まる雄英高校でもたった3人だけなのだ。

 轟から注意を受けた吹出も小さな悲鳴を上げており、他のB組の生徒たちもA組が頭を抱えている理由を理解した。

 

「うわ、確かにヤバいね、これ…。酸素対策と熱対策ができていなかったら、その時点で即終了(しゅーりょー)じゃん…」

 

「うん、そう。そして妹紅にとってはそこまでが準備段階なんだよね。炎で場が整ったら今度は妹紅本人が出てくる。基本は『炎翼』で空飛びながら火炎放射や追加の『火の鳥』で遠距離攻撃。近距離戦しなきゃいけない時は炎爪の『デスパレートクロウ』で武装したり、身体を発火させて牽制したりしてくるよ」

 

「妹紅さんの必殺技は一つ一つが非常に強力…。しかし、本当に手強いのはそれらの同時発動が可能だという点です。十分にお気を付けください」

 

 『炎翼』で制空権を取られる脅威。『フェニックスの羽』でフィールドを制圧される脅威。『火の鳥』で遠距離攻撃される脅威。『デスパレートクロウ』で近距離攻撃される脅威。妹紅はそれら全てを同時に仕掛けてくる。

 更に、妹紅には他の脅威もあるのだ。

 

「なんなら『ワーハクタク流格闘術』もかなりヤバい。通形先輩と正面から殴り合えるレベルだし。しかも、『リザレクション』があるからどんなに攻撃を当てても一撃で意識を飛ばさない限り、妹紅は絶対に倒れないからね」

 

「個性のキャパオーバーも期待できひんよ。インターンから帰ってきたばかりでメッチャ疲れていたとしても20分程度の個性連続使用なんて妹紅にとってはストレッチみたいなものだし」

 

 芦戸と麗日が続けざまに言う。

 妹紅は再生・蘇生能力に『リザレクション』という技名をつけているが、この『リザレクション』も厄介だった。自動でダメージの蓄積を無効にするため、相手は一撃で妹紅を仕留めなければならないのである。慧音直伝の格闘術を完全に身に着けた彼女相手にこれはかなり厳しい話だ。

 だからといって体力(キャパシティー)切れを狙おうにも妹紅は凄まじいほどの許容量を誇る。これを削り切るには数時間~数十時間の継続した激戦が必要だろう。USJや神野区の際の脳無のように妹紅を何十回と殺し続ければ体力消費の極めて大きい『蘇生(リザレクション)』によって底も見えてくるだろうが、当然それは不可能。怪我を治す程度の『再生(リザレクション)』では体力の消費も少ないため、妹紅を倒すヴィジョンは見えてこないのである。

 

「え…?いや、え…?」

 

「マジかよ…」

 

「1対40…。とんでもないハンデ戦のように見えて、つまりコレってさぁ…」

 

 ここに至りB組の者たちも気づき始めた。ブラドキングたち教員が妹紅VS全員を提案してきた理由。その強さを大災害と評した理由。それらを言語化するように爆豪が吐き捨てた。

 

「味方が居ない分だけ全範囲殲滅攻撃ができる白髪女の方が明らかに有利ってことだ。しかも、こっちは足手まといが39人居て、1人でも牢に入れられたら負け確定。マジでクソだな」

 

「爆豪くん!そういった言葉は慎みたまえ!」

 

 飯田が窘めるが、爆豪が悪びれる様子はなかった。実際、投獄が撃破判定となる今回のルールでは人数が多いことが不利にもなり得る。たとえば妹紅は相手を1人でも投獄すれば、その後は炎翼で空を逃げ続ければいい。逃げに徹する『不死鳥』に勝てる個性があるはずもなく、それだけでタイムアップ後の判定で妹紅の勝利がほぼ確定するのだ。

 先の第四試合ではチームメイトの3人を守りながら圧勝した爆豪だが、この40人チームでは流石の彼も手が回らない。それ故の暴言だった。

 

「テメェ、なにナチュラルに自分以外の全員を足手まといにしてんだコラァ!轟の炎すら耐えた俺の『スティール』とかがあるだろうが!」

 

「止めとけ。本気を出した藤原の最大火力は俺の何倍もあるから普通に溶けるぞ」

 

「妹紅さんは鉄くらいなら溶かすどころか簡単に蒸発させることができますから…。というよりも、妹紅さんの全力に耐えうる物質は最早地球上に存在しないのではというレベルでして…」

 

 爆豪の言い方にB組の鉄哲がキレるが、轟と八百万が難しい表情を浮かべながら苦言を呈した。

 純粋な鉄の融点は1538℃で、沸点は2862℃である。また、非常に硬く熱に強いことでも知られる耐火金属のタングステンの融点は3422℃で、沸点は5555℃だ。しかし、妹紅の炎はこのタングステンですら焼き溶かし、蒸発させることも可能だった。

 

「テメェそもそも飛べねぇし遠距離攻撃もねぇだろ、ザコ」

 

「グギギ…!」

 

 最後に爆豪から反論できないダメ出しを食らい、鉄哲は金属が擦れる様な歯ぎしりをしながら悔しがる。そんな中、拳藤がA組の生徒たちに問いかけた。

 

「じゃあ、どうする?空中に飛べる個性持ちで囲んで攻撃するとかは?もしくは戦力になるメンバーを麗日の『無重力』で浮かせるか、角取の『角砲(ホーンホウ)』で持ち上げるとか」

 

「否、上空での包囲は悪手だろう。大量の火の鳥が舞う中での空中戦は圧倒的に不利だ。加えて『炎翼』での機動力も脅威となる。お前たち、先ほど飛んできた藤原の炎翼の形を見たか?」

 

 空中での包囲戦を否定する常闇。理由の一つは放たれる火の鳥の多さだ。体育祭決勝戦の爆豪のように火の鳥に叩き落されてしまうのは目に見えていた。

 そして二つ目は妹紅自身の機動力だ。常闇は彼女の炎翼に更なる驚きが隠されていることに気づいていたのである。

 

「チッ…!」

 

「うん、多分そういうことだと僕も思う」

 

「だねー」

 

「え、なに?」

 

「翼の形…?」

 

「やべ、俺も分かんね…」

 

 爆豪や緑谷、葉隠などA組の数人はそのことを察していたようだが、他の者たちは分からなかったようだ。そんな彼らに教示するように常闇は腕を組みながら答えた。

 

「炎翼の形がホークスの翼と酷似していた。恐らく今回の福岡遠征で新しく学んできたのだろうな」

 

「うっそ!?ホークスの機動力も兼ね備えているってことノコ…!?」

 

 現No.2ヒーロー、ホークスの翼の形に妹紅の炎翼は寄せられていたと常闇は語る。ホークスの大ファンでもある小森はそれを聞いて跳び上がるように驚いた。彼は最速の男とも呼ばれるヒーローだ。そのトップスピードは目で追うことすらも叶わないと言われているほど。妹紅の火力にその速さが加わったら鬼に金棒どころではない話になる。

 動揺する生徒たちだったが、それに対してホークスをよく知る常闇は首を横に振っていた。

 

「着地降下する一瞬しか見えなかったがホークスほどの動きではないように思えた。しかし、藤原が翼の形をわざわざ変えたということは、以前よりも優れた飛行能力を会得してきたと考えるべきだろうな」

 

「いや、ていうか速かろうが遅かろうが空を自由に飛行できる時点で…。どうすんのさ、これ…。A組は普段から訓練で藤原とやりあってんでしょ?何か手はないの?」

 

 取蔭が天を仰ぎながらA組の面々に問いかけた。理解すればするほど妹紅の強さだけが際立って倒す手段が全く見えてこない。お手上げ状態で彼らに尋ねると、まずは葉隠が答えてくれた。

 

「模擬戦で妹紅に勝ったことあるけど、その時は屋内での遭遇戦って設定だったから気配消しながら妹紅の背後とって頭部打撃の一撃で昏倒させたよ」

 

「ひえっ…」

 

「もしかしてさっきの試合、僕らそれで殴られた?頭に突然ズシンときて、気がついたら牢屋の中だったぜ…!」

 

 葉隠がサポートアイテムである透明な特殊警棒で自分の掌をペシペシ叩きながら説明すると、第二試合で彼女の奇襲を受けた黒色と吹出が恐れおののいた。この特殊な警棒は程よい重量があり、頭部を殴られると酷く脳が揺れるのだ。

 黒色と吹出はこれで頭部を殴られて見事に気絶した。同じように無敵に見える妹紅とて激しい脳震盪を受ければ気絶するのである。

 

「まぁ、それから背後にもメチャクチャ警戒するようになってバックアタックはほとんど通用しなくなったんだけどね。あとは響香とヤオモモも妹紅に勝ってるよ」

 

「同じく屋内戦だけど。音聞いて索敵しながら壁越しに爆音を叩き込んだよ。それで脳を揺らして昏倒させた」

 

 耳郎は音で攻撃する。つまり、音速かつ不可視の貫通攻撃という訳だ。しかも、サポートアイテムの音響増幅装置(アンプリファー)により威力は上がり指向性も持たせることができる。その攻撃力は堅い地面すら激しく抉るほど。それを人体に対して行えば、脳を大きく揺らすことくらい簡単だった。

 

「私は部屋の中に無臭のガスを充満させて、妹紅さんをその中に誘い込みました。その時は吸い続けると気分が悪くなる程度のガスでしたが、毒ガスや麻酔ガスの中には無色無臭ながらも僅かな呼吸で人間を意識不明にさせるものもあるので、それで撃破判定となり勝利でしたわ」

 

 今度はそう言って八百万が例を挙げる。たとえば一酸化炭素。無色無臭であるが空気中に0.01%でも含まれていると頭痛などが発生し、1%程度の濃度ともなると数回の呼吸で意識不明となり数分以内に死に至るという危険な気体である。

 それ以外にも手術などで使用されることがある吸入型の麻酔薬も妹紅には効果がある。『不死鳥』の再生は細胞を破壊するタイプの毒には強いが、こういった生理的作用に対しては働かないのである。

 

「いや、エグイって!?」

 

「でも怖いよなぁ、毒ガスは…」

 

「実際、私たちもやられたし…」

 

 それらを聞いて拳藤らB組はドン引きしている。しかし、林間合宿襲撃時の毒ガス個性のヴィラン、マスタードの被害が特に大きかった彼らには耳が痛い話だった。後遺症が無かったことを考えるに、あの時マスタードが使用していたガスは吸入型の麻酔剤だったのだろう。恐らく爆豪を生きたまま拉致するためであり、しかも仲間との連携のためか霧状に視認できる分かりやすいガスを使用していた。

 これが万が一、拉致目標が不死の妹紅だけだった場合、ヴィラン連合はもっと恐ろしいものを使用していたはずだ。ごく少量で人間を死に至らしめる毒ガスなんて幾らでもある。そうして皆殺しにした後は死体の山から妹紅を探し出して帰ればいいだけなのだから。

 つまり、彼らが今こうやって無事でいるのは連合の気まぐれと襲撃計画の詰めの甘さでしかなかった。

 

「しかし…、3名とも見事に屋内戦の奇襲でありますな」

 

「たしかに。今回みたいな屋外戦だと空を飛んでくるだろうから奇襲をかけるのはムズイ。空飛んでガチってくる藤原に勝てたヤツはA組いないの?」

 

 気を取り直して対妹紅の作戦を考える面々。奇襲攻撃以外で何とか勝てないかと骨抜が尋ねるが、A組の反応は悪かった。

 

「…誰もいない。そもそも完全本気の藤原は超遠距離戦に徹するから近づけねぇ。アイツその気になれば数百メートル先から火の鳥を撃つことも可能だからな。近中距離個性ばかりのA組(俺たち)じゃ、どう足掻いても攻撃が届かねぇ」

 

「ある程度近づいてきてくれれば響香の爆音攻撃とか上鳴の放電ブッパからの打撃とかでワンチャンあるかもだけど…、私らA組の手札は妹紅も理解しているからコッチの射程に入って来ないんだよねぇ」

 

 轟と葉隠はそう語った。A組は近中距離の個性は多いのだが、純粋な遠距離個性は妹紅以外にいない。だからこそ空を飛んで遠距離攻撃を放ってくる妹紅には誰も勝てなかった。距離を詰めようとすると妹紅は後退しながら火の鳥を放つ『引き撃ち』に徹するので近づけないのである。

 

「つまり、こちらの射程に入らざるを得ない状況に持っていくことが妹紅さんと戦う上での前提となりますわ。今回の試合のルールでは『相手を捕まえて』から檻に『投獄』しなければなりませんから、その二つの接近タイミングが攻撃できるチャンスになるでしょう」

 

「でも、間違いなく妹紅もそこが狙われるって分かっているだろうからかなり警戒するはずだよ。少なくとも私たちA組の攻撃じゃあ妹紅の意表は突けないと思う」

 

 八百万と耳郎が続けて言った。妹紅を射程に収めてしまえば万事解決、ではない。それでようやく僅かな可能性が生まれるだけなのだ。ここから警戒心マックスの妹紅を一撃で昏倒させなければならないのだが、そんなことが出来る者が居れば雄英体育祭の優勝者は妹紅ではなくその者だったことだろう。非常に難しいことに変わりはなかった。

 

「情報をまとめると…藤原相手に正面戦闘は非現実的。倒すには近中距離からの奇襲しかないけどチャンスはたったの2回。しかも、A組の持つ手段は大抵試しているからもう通用しない、という感じかー…」

 

「無茶苦茶すぎるだろ…!?」

 

「なんということなのでしょう…」

 

 拳藤が情報をまとめて形にするとB組の生徒たちから悲痛な声が上がる。塩崎に至っては神に祈りを捧げ始めるほどだった。

 しかし、そんな彼らの中で唯一表情を変えない男子がいた。B組随一の変人策士、物間寧人である。今まで口を挟まず異様に静かにしていた彼が、ここになってようやく口を開いた。

 

「ふーん、じゃあ作戦の主軸は決まったようなものじゃないか。ねぇ、心操君」

 

「…責任重大だな」

 

 物間が不敵な笑みを浮かべて語りかけると、思案顔の心操はサポートアイテムの『ペルソナコード』を触りながら小さく呟いた。

 当然ながら心操の『洗脳』は体育祭で妹紅にバレている。しかし、今日の授業に途中参加している彼女は心操がボイスチェンジャーを所持していることを知らないのである。単独で戦う妹紅に対して、これが最も大きな武器になることは間違いなかった。

 

「もちろん僕も()()()さ。他のみんなはサポートを頼むよ。も~ちろん爆豪君もサポートくらいできるよねぇ~?あれだけ大口叩いていたんだから頼んだよぉ~?」

 

「クソがッ!」

 

「わざわざ煽るな」

 

 物間の『コピー』によって『洗脳』の脅威が二つに増える。この試合、合同チームは心操と物間の個性を活かしながらの戦いとなるだろう。脇役の力だと自虐的に捉えていた個性がこの試合では『不死鳥』をも喰らわんとする力になるのだから、物間も気合を入れて爆豪を揶揄っていた。

 それから彼らの作戦会議は続く。とはいっても残り時間は僅かだったために大まかな流れを決めることぐらいしか出来ず、あとは各々の判断に任されることになった。

 そして多くの生徒が不安と緊張を抱く中、ついに試合時間となりブラドキングの声がフィールドに響いた。

 

「それでは第六戦、試合開始!」

 

 直後にピーッ!という笛の音が鳴る。

 こうして妹紅 対 合同チームの模擬戦が始まったのであった。

 






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