もこたんのヒーローアカデミア   作:ウォールナッツ

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これにて体育祭編、完結です。

次回は幕話で掲示板ネタを入れたいと思います。
掲示板ネタが苦手な方は読み飛ばしでお願いします。


もこたんと雄英体育祭 表彰式

『それではこれより!表彰式に移ります!』

 

 雄英スタジアムの上空に色とりどりの花火が幾つも打ち上げられる中、巨大な表彰台の前に立ったミッドナイトがそう宣言した。

 

 三位、常闇踏影。同じく三位、轟焦凍。

 準優勝、爆豪勝己。

 優勝、藤原妹紅。

 

 それぞれの表彰台に4人の選手が順に上がると、その都度に大きな拍手が起きる。マスコミや観客のカメラのフラッシュもあちこちで輝きを放っていた。

 決勝戦から30分程しか経っていないのだが、表彰台には爆豪の姿もある。体力を消耗しすぎている為に『治癒』も出来ず、両手はガーゼと包帯で分厚く巻かれている状態だ。

 決勝戦の後、保健室に緊急搬送された彼は、すぐさま点滴を打つことになった。常人ならとっくに失神していてもおかしくない脱水量だったというのに、彼はすぐに目覚めると点滴針を口で無理矢理引き抜いてベッドから降りた。それを見たリカバリーガールが『この点滴液が全て体内に入るまで絶対安静だよ!』と結構本気で怒っていたのだが、爆豪は点滴パックに噛み付き破り、それを全て飲み干した。呆れるリカバリーガールをよそに『これで文句ねぇだろ』と彼は言い残し、表彰式に出向いていた。

 表彰されたい訳では決して無い。むしろ、無様に負けてしまった事に悔しさしかない。それでも爆豪にとって“表彰式に出ない”と言うことは“逃げる”事と同義なのである。たとえ敗北しようとも、逃げ隠れるような真似だけは許容出来なかった。

 

『メダル授与よ!今年、一年生にメダルを贈呈する人はもちろんこの人!!』

 

「私が!メダルを持って『我らがヒーロー、オールマイトォ!!』き…た…のに……」

 

 メダル授与のため、格好良く登場するオールマイトだったが、不幸な事に台詞が被ってしまい、彼の登場シーンはグダグダになってしまった。悲しさに身を震わせるオールマイトに、ミッドナイトは手を合わせて謝る。しかし、すぐに気を取り直したオールマイトは早速、メダルの授与に取りかかった。

 

「常闇少年、おめでとう!強いな君は!」

 

「もったいないお言葉。しかし、最後は何も出来ずに敗れてしまいました…」

 

 常闇の声に覇気は無かった。三位に入賞出来た事は喜ばしい事ではある。しかし、準決勝で妹紅に完封され、何も出来ずに負けてしまったという事実が彼の中で重くのしかかっていた。

 

「個性には相性差がある。これを覆すには個性に頼りっきりじゃ駄目だ。もっと地力を鍛えれば取れる択も増えるだろう。しかし、時には圧倒的に相性が悪い相手と戦う事もある。今回のようにな」

 

 常闇や生徒たち以上に、観客席のプロヒーローたちがオールマイトの言葉に大きく頷いた。弱点の無い個性などそうそう有りはしない。プロとして活躍する彼等は、その事を良く知っている。

 

「だが、あまり気に病む事は無い。確かに今回は完封されてしまったが、それは試合という形式であった為だ。実戦形式であれば、結果はまた変わっていただろう!弱点をカバーするコスチュームやアイテム、相手の裏をかく戦術。地力と個性に加え、それらの要素を上手く組み合わせれば、圧倒的に相性が悪い個性だろうが勝てる可能性は十分に出て来る。それが実戦というものだ!常闇少年、落ち込んでいる暇は無いぞ!更に向こうへ(プルスウルトラ)だ!」

 

「…!御意!」

 

「逆を言えば、圧倒的有利な個性だったとしても負ける可能性はあるから、絶対に油断しちゃ駄目だぞって事なんだけどね」

 

 オールマイトの励ましとハグを受けた常闇は、肝に銘じたように恭しく頭を下げた。そんな彼に忠告も付け加えたオールマイトは、常闇の隣に立つ轟の前に移動する。

 

「さて、轟少年。おめでとう。準決勝で左側を収めてしまったのには、ワケがあるのかな」

 

 轟は無言で頭を下げてメダルを受け取る。そんな彼にオールマイトが優しく声をかけると、僅かな逡巡の後に轟は口を開いた。

 

「緑谷たちからキッカケをもらって……分からなくなってしまいました」

 

 昼休憩の際に聞いた妹紅の将来(ヴィジョン)。そして、緑谷の身を削った無茶苦茶な説得。それは父を見返すためだけにNo.1ヒーローを目指していた轟を大いに悩ませた。準決勝での精細を欠いた戦闘はそれが原因だった。

 

「俺もあなたのようなヒーローになりたかった。ただ…俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ駄目だと思った。清算しなきゃならないモノがまだ有る」

 

「顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算出来る」

 

 憑き物が落ちたような、それでいて未だに心憂げな表情を残す轟をオールマイトは抱きしめ、背をポンポンと軽く叩いて励ました。小声で礼を述べる轟の様子を、オールマイトはウンウンと何度も頷いて見届けると、今度は二位の表彰台へと向かう。

 

「爆豪少年。伏線の回収、残念だったな。しかし準優勝だ。見事な成績じゃないか!」

 

「…ッ!2番なんて意味ねぇんだよ、オールマイトォ…!1番以外に…ッ!何の…何の価値もねぇ…!」

 

 オールマイトがニカリと笑いかけたが、爆豪は歯を食いしばり、震えるほど悔しがっていた。選手宣誓で大口を叩いたというのに最終結果はおろか、どの競技でも一位は取れなかった。彼にとって、これほど悔しい結果は無いだろう。

 

「む。爆豪少年、そんなことは無いぞ。皆、理解してくれているはずだ。2番だって立派な――」

 

「世間が認めても、俺が認めなきゃゴミなんだよ!」

 

 爆豪が吼えた。慰めは逆効果だったようで、彼の怒りは全く治まらない。爆豪は妹紅に負けた事をどうしようもなく理解していた。つまり、これは負けてしまった自分自身へ向けた怒りなのだ。その姿を衆目に晒すことで己への戒めとしていた。

 

「うむ、君の信念は分かった。相対評価に晒され続けるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。なればこそ受け取っておけよ!“傷”として!忘れぬように!」

 

「止めろッ!要らねェッ!」

 

 2人は “受け取りなよ!”“要らねェッ!”の押し問答を繰り返した後に、オールマイトが爆豪の首にメダルを無理矢理かけた。しかし、このままでは頭を大きく振るうだけで簡単に外されてしまう。なので、オールマイトは彼の首が絞まらない程度に首掛けのヒモの部分を優しく結んであげた。爆豪は両手を動かせないほどの怪我をしているので、自分ではもう外せない。

 

「畜生!何でよりにもよって蝶ネクタイ風に結ぶンだよ!解けェッ!」

 

「藤原少女、優勝おめでとう!」

 

 頭をブンブンと振って嫌がる爆豪。首元の蝶ネクタイとキラキラ光る銀メダルが実にチャーミングだ。

 そんな彼を尻目に、オールマイトは妹紅の前に立った。やはり優勝者への表彰とあってか、観客の歓声やカメラのフラッシュも凄い。まるで白く輝く花火に囲まれているようだった。

 

「…ありがとう御座います」

 

「おや、嬉しくはないのかい?優勝なんだ。大いに笑っても良いのだよ?……あ…!」

 

 妹紅は表情を崩さずに金メダルを受け取った。しかし、オールマイトとしては、せっかくの優勝なのだからいつもの無表情ではなく笑顔を見せて欲しかった。負けてしまった生徒たちの気持ちを酌んで、粛々と受け取っているのだろうか?気配りも大事だが、今は気にせずに笑って欲しい…と考えた所で、彼は1つの理由に思い至った。

 

(もしや、藤原少女は過去の虐待で笑う事が出来なくなってしまったのでは…!そんな少女に笑えなんて……私はなんて酷い事を言ってしまったんだ…!)

 

 辛いことをしてしまった、とオールマイトは心の内で嘆き悲しむ。だが、妹紅はチラチラと辺りに視線を動かした後に、その理由を話した。

 

「……少し緊張してしまいまして…」

 

「え!?」

 

 なんて事は無い、妹紅は単純に緊張しているだけだった。そういえば、戦闘訓練の授業の際には葉隠少女に向けて僅かだが笑みを浮かべていたな、とオールマイトは思い出していた。つまり、全て彼の勘違いだ。

 

「そ、そうだね、初めての晴れ舞台だもの!するよね、緊張!」

 

 オールマイトはそう言うと、笑って誤魔化す。マイトスマイルというやつだ。大抵これで何とかなる。自身の個性を追求された時もこれで何とかなってきた。万能である。

 一方、妹紅は“そうですね…”と言って、軽く頷くだけだ。注目されることに慣れていない妹紅としては、こんなにカメラに囲まれているのに何故平然としていられるのか、全く分からない。今にも足が震えだしそうなくらい緊張していた。

 

「でも、せっかくの優勝なんだから笑ってみたらどうだい?さぁ、カメラに向かって君の笑顔を!」

 

 オールマイトが妹紅の隣に立ち、マイトスマイルをテレビカメラに向けた。今まで多くの国民を安心させてきた実績を持つ伝説な笑顔だ。それだけで周りから歓声が上がった。

 当然、妹紅も助けた人々や子どもたちを安心させる様なヒーローに成りたいという思いがある。ならば、妹紅も彼のような笑顔を持つべきであろうと、頬にグッと力を入れた。だが、意識して笑うというのは意外と難しい。緊張しているとなれば尚更だ。結果、妹紅の顔は作り笑いとも呼べない程、非常に不自然な表情になってしまった。右頬がヒクヒクと引き攣ってしまっているのが自分でも分かる。

 

「い、意外と不器用なんだな、君は…。ふむ、そんな時は…こうだ!」

 

 オールマイトが苦笑いを浮かべるも、彼は自身の両頬を人差し指で押し上げてみせた。確かに両頬が押し上げられたことで口角が上がり、笑っている様に見える。

 

「ヒーローになってから…いや、ヒーローになるまでにも様々な重圧が付きまとうだろう。辛い事も苦しい事も怖い事もきっとある。でも、そんな時こそ笑うんだ!世の中、笑ってる奴が一番強いんだぜ!」

 

 これはオールマイトの師であり、7代目『ワン・フォー・オール』の継承者でもあった志村菜奈の受け売りだった。亡き彼女の教えは、今もなお彼の中に息づいていた。

 さぁ、とオールマイトに促されて、妹紅も同じように両頬を押し上げた。口角が良い具合に上がり、妹紅は笑った。

 元々、妹紅は非常に整った顔立ちをしており、アルビノである事も相まって幻想的な秀麗さを持っている。それは無表情であっても色褪せる事が無い程だ。

 故に妹紅が見せたこの笑顔は―――どんな表情よりも愛らしく、そして美しかった。

 

「ウンウン。笑顔、似合っているじゃないか!HAHAHA!」

 

 2人が並んで笑顔を見せると、今まで以上にカメラのフラッシュが光った。構図は並んで同じポーズを見せる少女と大人というモノなのだが、それが平和の象徴オールマイトと雄英体育祭優勝者となると話は変わってくる。絶好のシャッターチャンスだろう。

 あちこちでフラッシュが光り輝く中、妹紅は隣に立つオールマイトをチラリと見た。2メートルを超える巨体と、筋骨隆々の肉体。近くで見ると山のように雄大な存在感がある。であるというのに威圧感は全く感じず、むしろ温かみを感じた。慧音や寺子屋の職員たちから感じる、同じ“温かみ”だ。それはあの日、USJで脳無という名のヴィランから救ってもらった時にも、妹紅は強く感じていた。

 

「オールマイト先生」

 

「ん?なんだい?」

 

 妹紅は笑顔で前を見据えたまま、隣に立つオールマイトに対して静かに語りかけた。彼もまた、前を見据えたまま応える。その声は柔らかく、実に優しげだ。

 

「貴方のような人を、父に持ちたかった」

 

「…!」

 

 儚く、掠れるほど小さな声で妹紅が言うと、オールマイトの瞳にジワリと哀憫の情が滲んだ。それでも笑顔を崩すことはしなかった。苦しみを背負って生きてきた目の前の少女が笑顔を見せ続けているのだ。平和の象徴である彼が笑顔を崩す訳にはいかなかった。

 

「…笑顔は強い。でもね、笑えなくなってしまった時は遠慮せずに言うんだよ。私だけじゃない。相澤くんや校長先生、他の先生方。そして周りの友達たちも。皆、きっと君を助けてくれる。いいね?」

 

「…ありがとう御座います、オールマイト先生」

 

 頬から手を下ろした妹紅が深々と頭を下げる。オールマイトは慈愛の目でそれを見届けた。そして表彰台から降りて両手を大きく広げると、観客席に向けて全生徒たちを示す。

 

「さァ!今回は彼等だった!しかし、皆さん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!ご覧頂いた通り、競い!高め合い!更に先へと昇っていくその姿!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!てな感じで最後に一言!皆さん、ご唱和下さい!せーの!」

 

「「「「プルス『お疲れ様でした!』ウル…えっ!?」」」」

 

「そこはプルスウルトラでしょ!?オールマイト!」

 

「ああいや…疲れただろうなと思って……」

 

 最後の最後で再びグダってしまったものの、雄英体育祭はこうして幕を閉じた。

 教室では担任の相澤から、明日と明後日が休校になる事、そして休み明けに職場体験の指名事務所の発表を行うと伝えられて下校となったのだった。

 

 

 

「ただい――うわっ」

 

 妹紅が寺子屋の玄関の扉を開けた瞬間、クラッカーが幾つも鳴って、カラフルな紙テープと紙吹雪が舞う。驚く妹紅に小さな女の子が抱き付いた。

 

「もこねーちゃん!おかえり!ゆーしょー、おめでとう!」

 

「妹紅、おめでとう」

 

「うん、ありがとう。それに兄さん、姉さんたちも。帰って来てたの?」

 

 キャッキャッと喜ぶ女の子(いもうと)を抱きかかえていると、寺子屋の子どもたちだけでなく卒業した兄や姉たちも出迎えに来て居ることに気付く。妹紅は彼等が来るとは聞いていなかったのだが、どうやらサプライズで帰って来ていたらしい。

 

「もちろん。妹紅が出場するってのは前から分かっていたからな。そりゃもう寺子屋(ここ)で観戦するしかないだろう?でも、まさか優勝するとはなぁ。マジすげぇぜ!あ、妹紅。ちょっと写真撮らせてくれ。会社の同僚に自慢する。アイツら俺の妹が雄英のヒーロー科だって言っても信じてくれないんだぜ?酷くね?」

 

「アンタね…。そんなことより妹紅、他の兄さんや姉さんたちも帰って来てるよ。今日は皆揃うね」

 

 兄に呆れる姉だったが、すぐに表情を変えてニンマリと笑って他の兄姉の動向を語った。彼等の中には既に働き出した者たちもいる。日曜日といえども、余程の事が無い限り全国各地に居る彼等全員が集まるというのは難しい。

 しかし、雄英体育祭という日本のビッグイベントの一つに可愛い妹が出場すると言うのだから仕事なんかしている場合ではない。何が何でも帰ってやる、という気概で里帰りに来ていた。

 

「メダル!メダル!もこたん金メダルは!?」

 

 女の子を下ろし、靴を脱いで玄関に上がると、小学生の男児(おとうと)がメダルをねだった。それを聞いて妹紅はバッグの中を漁る。

 

「ちょっと待って。ええと、何処に入れたかな…?ああ、そうだ、体操着のポケットに突っ込んでいたんだった」

 

「扱い雑かよ!?」

 

 バッグから体操服を引きずり出すと、そのポケットから金メダルを取り出した。余りに酷い扱いに兄が驚いている。妹紅は基本的に物持ちが良いのだが、自分の所持品に対してはこういう所がでる。物に頓着しない性格なのだ。

 

「あったあった。はい、あげる」

 

「やった!もらった!おれ優勝!」

 

「だから扱いが雑なんだって!待てって!それマジでスゲぇメダルなんだって!ええと首掛けのヒモを真っ直ぐにシワ無く伸ばして、メダルを磨いて…メダル用の額縁が必要か。誰か持っていないかな。先生たちに聞いてみるか…」

 

 先程の弟の首に金メダルをかけてあげると、大喜びで庭に駆け出した。兄が慌てて後を追う。飛び出して行った2人を見送りつつ、妹紅たちはリビングへと向かった。リビングには慧音たち職員が慌ただしくパーティーの飾り付けや料理を作ったりしている。

 

「妹紅、おかえり!」

 

「ただいま、慧音先生」

 

 キッチンから慧音が出て来ると、入れ替わりで姉がキッチンへと入っていった。妹紅が優勝していなくとも、元からパーティーは行う予定だったらしいのだが、体育祭の応援に熱中しすぎて準備が遅れたらしい。表彰式が終わって一息ついたところでようやく思い出し、今は急ピッチで準備しているとの事だった。

 

「雄英体育祭優勝おめでとう。本当に凄いな、私なんて3年間で一度も優勝出来なかったんだぞ。もう私を超えちゃったかな?」

 

「ありがとうございます、慧音先生。でも運が良かっただけですよ。競技は全部相性が良かったですし、トーナメントでは相性の悪い個性と当たらなかったので」

 

 慧音が笑いかけながら言うと、妹紅が謙遜の言葉を口にした。そんな妹紅の頭を慧音は優しく撫でてやる。

 

「様々な状況や個性に対応出来たって事は間違いないんだから、贔屓目無しで見ても妹紅本人の実力だよ。それに運も実力の内って言うからね」

 

「そうそう、私たちは最初から妹紅ちゃんが優勝出来る可能性は高いと思っていたし。トーナメント表が出た時は職員の皆で『勝ったな』『ああ』って言い合っていたよ」

 

 慧音の言葉に女性職員の1人がキッチンから頭だけを出して同意した。彼女等は元プロヒーローという事もあり観察眼は鋭い。トーナメント表を見た瞬間、個性の相性的に2位以上は確実だと盛り上がっていた程だ。故に、飯田に速攻を受けた時は悲鳴を上げるくらい焦っていたのだが。

 

「そうなんですか?」

 

「ははは、まあね。飯田君との試合を見ていた時は冷汗が…っと、今日はそんな事は言いっこ無しにして妹紅の優勝を祝おう。準備がまだ少しかかりそうだからゆっくりして体育祭の疲れを癒やしてくれ。さぁ、主役はこちらへどうぞ」

 

 慧音はテーブル中央の椅子を引くと、まるで執事のように仰々しく一礼した。妹紅がクスクス笑いながら席につく。周りの皆も笑っていた。

 その日は妹紅が雄英に合格した時のお祝い会よりも盛大で、最も賑やかなパーティーとなるのだった。

 


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