√シルバー【完結】   作:ノイラーテム

68 / 70
炎の宿命:中編

●二つの剣

 エリカの腕は相当な物でレオの遥か上を行っている。

 それでも相性差を越えるのは難しいのか、レオが呂・剛虎(リュウ・カンフウ)を足止めして居るのに対し、同ランクである千葉・修次に押し負けて居た。

 

「体術を組み合わせた分身?」

「次兄上が教えて下さったことを、ここで全てお見せします!」

 エリカの剣は感覚の剣だ。

 どんなに僅かな間合いや、凄まじい高速であろうともタイミングを捉まえてモノにする。渡した新型CADは補助強度が高い代わりにピークタイムがシビアだが、何度も訓練を繰り返して使いこなして居た。

「まずはその動きを封じさせていただきます!」

「これほどの魔法を覚えて居るとは、何時の間にというやつかな。だけれど……」

 エリカが感覚の剣であるならば、千葉・修次は意脈の剣だ。

 相手の意図を読み取って、表向きの技だけでなく隠された技までも見切る。それを支えるのは腕の左右、立ち位置の上下を問わぬほどに磨き抜いた剣裁き。

 

 撃ち込んだ剣圧と同時に飛び込むエリカの分身突撃。

 これに対して僅か一瞬の旋風がケリを付けた。小さな波が剣圧を無力化し、分身の中に隠れている筈の本体へ向けて刃が迫る。

 

「どんなに凄くとも分身には違和感があるものだよ」

「次兄上に分身効かぬは承知の上!」

 振り抜いた小太刀が捕えたのは、思ったよりも鈍い音だ。

 エリカの体が小刻みに震え、魔法で拡大された衝撃波が刃を流す。だが二手・三手を先に読むのはお互い様。千葉・修次はその半歩先を征く。

「まさか変わり身!?」

「よくぞここまで成長したね、エリカ」

 跳ね上げられた小太刀が宙を舞う。

 エリカが捨て身で動きを捉えたと思った時、既に必殺は必殺で無くなって居たのだ。流される小太刀から手を離し、懐から脇差サイズの柄へ……圧斬りを応用したブレードが素早く伸びる。

 

 武具にこだわらずより弱い刃に持ち替え、それを必殺レベルの剣に置き換える。

 まさかと思う心にこそ付け込み、最小の円運動を持って台風の如き大円を打ち砕く。もし勝負が一対一であれば、ここで勝負が決まって居ただろう。

 

「……驚いた、こんなに早く『恩返し』をされるとは思わなかったよ」

「いえ、自力では……勝て、ません……でした。無念です」

 千葉・修次の剣がエリカの胴を半ばまで切り裂いた。

 だが隠れていた鈴音さんの魔法が彼を捉え、それ以上剣を振るうこともできなくなった。あえていうならばエリカにすらタイミングを伝えて居なかったことが、功を奏したと言うべきだろうか。

「一対一に割り込んですまんな。直ぐに治す」

「……元からそういう作戦だったしね。勝ちに行けなかったあたしが悪いだけよ」

 出来る限り鈴音さんの存在を隠す為に、あえて俺の方が謝っておく。

 この場に魔法師が居れば一目瞭然だが、監視カメラで探る程度なら誤魔化す事が出来るかもしれない。どんな手札があるかは可能な限り伏せておくべきだろう。

 

「ところでよ、恩返しってなんだ?」

「弟子が自分を鍛えてくれた師匠を倒す事だ。武術用語みたいなものだと思えばいい」

「今回はそれに当てはまらないけどね。むしろ格好悪いったらありゃしない」

 呂・剛虎の貫手を喰らったまま、レオが平然と声を掛けてきた。

 硬化魔法を応用した不壊魔法のおかげだが……、このレベルの相手と戦う時に限り、レオの調子はエリカを上回るのかもしれない。お互いに必殺を持つならば、死なない方が有利だとも言える。

 

「まあオレの方も自分じゃ勝てなかったけどな。時間稼ぎしかしてないのは同じさ」

「あんたの場合は最初からそのつもりでしょ。なんとか勝とうと隠し技まで使ったあたしと、隠し通したあんたじゃ……あーやだやだ。さっさと終わらせるためにも、頭を切り替えたい所ね」

「今回は最初から連戦前提だからな。不本意な結果になるのは勘弁してくれ」

 一枚も二枚も格上な相手に対し、しかも生け捕りにしなければならない。

 この不利な状況を克服したのは、最初から時間と注意を引きつけることが目的だからだ。第三者の奇襲……今回は鈴音さんが本命だが、場合によっては雲散霧消で俺が劇痛を与えることになる。

 

 そういう意味では無事に作戦の初動が成功したと言えなくもない。

 鈴音さんも姿を隠したまま亜夜子の魔法で気配を平均化させているし、隠れたことを察っせられたとしても、人数の把握は難しいはずだ。

 

「こちらの人数が読めて無い以上は、今頃は脱出するか迎え討つかを慎重に判断して居る事だろう。悩んでいる内にケリを付ける」

 連中は大亜連合の兵士を洗脳して取り込もうとしたばかりに、相応しい場所は限られてしまった。この屋敷以外にも候補はあるが、他の十師族に可能性の低い場所は任せてある。さっさと攻略してしまい、違うならば移動すべきだろう。

 

●機功方術師

 九島が所有する別邸の中でも、この屋敷はとりわけ広い。

 後ろ暗い目的に利用して居るからなのか、それとも軍で公然と権勢を振るっていた時代の物だからかは判らないが。

 いずれにせよ、この屋敷に大漢に居た紅世関係者が潜んでいるのは間違いが無い。

 

(関係者……。あくまで現段階では関係者止まりだ。ブラックに近いグレーだが、『紅世の徒』であるとしたらかなり即物的な相手だな)

 もっともSBに近いエネルギー生命体である紅世の徒が、即物的であってはならない理屈は無い。前大戦に前後して連中のコミュニティは表も裏も壊滅している。

 しかも表だって捕食をすればフレイムヘイズに追われるとあって、隠れ潜むには何処かの組織を利用する方がてっとり早いからだ。

(だとしたら行動に制限があるかもしれない。物理的ではなく精神的に……これほど上手く行っている流れを捨てることが出来るだろうか?)

 九島老師にとって今の魔法師社会が理想的な状況である様に、連中にとってもその権勢を利用できる現状は理想的だ。

 次代を担う九島・真言は俗物的な人間だし、裏の戦力として手放すまい。仮に人喰いの疑いを持ったとしても、自分に向かなければ必要な犠牲だと割り切るだろう。

 

 だから自分に危険が及ぶと考えない限りは、ギリギリまで此処に居る筈。

 そう考えた俺の思考を止めたのは小さな魔法の反応と、続いて訪れた鋭い痛みだった。

 

「レオ、前に出てくれ。だが注意が必要なのはレオだけじゃない」

「あん? 別に問題はねえが……って。そいつは物騒なご挨拶じゃねえか。でもなんでオレ以外も注意が居るんだ?」

 俺が手をかざすと長針がそこに突き刺さって居る。

 更に麻酔を使って眠らせに掛った様で、意識が一瞬朦朧し、再生を使って肉体の情報を元に戻した。

「俺には薬を使っているようだが、他の者にまでそうとは限らん。そしてこれだけあからさまと言うことは……」

(「西城くんが硬化魔法を使うのは既に知られて居るでしょう。むしろ盾として動きを固定し、後ろにルートを固定することでこちらの全容を把握しようとしているのだと思います」)

「あー最適解を強要してるって事ね」

 俺の言葉を補足して、鈴音さん小声で相手の行動を予測する。

 そしてこちらの判断を途絶させようと明かりが落ちたことが、敵の作戦を決定的にした。暗闇の中で奇襲にあっては『普通ならば』固まらずを得ないからだ。

 

(「亜夜子、薬物を弱体化させろ。どうしても無理ならば俺の方で事後対策する」)

(「了解。薬効の一部を遍在させておきますね」)

 攻撃は喰らっても良いが薬物で足が止まるのは困る。

 一定の範囲から薬効を取り除き、外側へと偏る様な魔法を指示しておく。もちろん針の中に仕込む様な薬には作用しないが、散布剤や塗るタイプの薬であれば十分だろう。

(「これで薬は何とかなるとして、後はどうやってレオの守りを突破して来るか見ものだな」)

 知られているであろう傾向の中でも、硬化魔法はシンプルで応用性の高い物だ。

 だからこそどこの現場でも使用されているし、特務兵を務める兵士たちの多くも利用して居る。その中でも適性の高いレオの力をどう攻略するかに興味をそそられた。

 

 きっと相手は(ウオン)(チュー)を足止めに使って来る。

 そう思っていたからこその余裕だったが、結果は意外なモノだった。ブラックスーツに身を包んだ長髪の男が屋敷のエントランスで俺たちを出迎えたのだ。

 

「ようこそ。お招きするのが遅れてしまいました。屋敷を預かっております、執事の周・公僅(チョウ・ゴンジン)と申します」

「……招待された覚えは無いが、大亜連合の兵士を囲って内乱を企んだ罪と言えば理解はできるか?」

 まさか首魁がいきなり現れるとは思ってもみなかった。

 気配が無いくらいで驚きはしないが、てっきり黄あたりだと思っていたので以外ではある。それともこの男もまた近くに隠れている(チュー)と同じ様に、手駒の一人でしかないのかもしれない。

「招かれざる客とはいえ、もてなしもせぬとあっては主人に叱られてしまいます。暫しお戯れください」

「っこの音!? みんな、注意して!」

 周が仰々しい一礼をしたと同時にエリカが声を上げる。

 最初はなんのことか判らなかったが『跳ねる音』がしてからは違った。

 

 暗闇の中をバウンドする音が聞こえた後、周囲からナニカが飛来する。

 後方に直撃するコースへ咄嗟にレオが動いて喰い止めるのだか……。

 

「うおっ!? なんだコリャ? 小せえ球なのに腹へズシンと来やがる」

「暴徒鎮圧用のゴム弾よ。……でも中に変なのが混ざってるわね」

「おや……お判りになりますか。流石は千葉のお嬢様」

 体格の良いレオの体が膝をついて軽く沈む。

 それで倒れはしないが、小さな塊を喰らっただけなのに大したものだ。

 エリカはレオが喰い止め切れなかった物を打ち落とすが、その反応よりも気が付いた耳と知識にこそ周は感心して居た。

「機功方術師としての最新作。宝具五光石(ウー・グアン・シー)と申します。お気をつけください」

「それがレオに一撃を食らわせたって訳ね……厄介な魔法じゃない」

「……?」

 奇妙な話が耳を掠める。

 今起きている現象に魔法は使用されて居ない。レオが沈んだのは純粋に威力か、他の現象の筈だ。

 

「エリカ、それは魔法じゃない。ただの化学現象だ」

「その通り。本番はこれからですよ。(チィ)!」

 周が掴んだナニカを無造作に投るのが見える。

 投擲術ですらなくその辺に放り投げたように見えるのだが……。

「レオ! 後に余力を残さなくて良いわ、必ず喰い留めなさい!」

「わーってるって! しっかし、人使いの荒い女だよまったく!」

 一つの球が二つに、三、四……。

 それがゴム球と混ざることで五つにも十にも増える。幻影などではないただの物量攻撃だ。だがそれに僅かな魔法が加わることで対処を難しくしていた。

 

 発生した魔法は三つ、全て小さな魔法式だ。

 衝撃強化、加速、ベクトル反射。全て初歩的な魔法だが、クラウドボールで使用される時の様にマルチキャストで上手く組み合わせている。

 

(「達也さん。五光石といえば封神演技において那侘三太子すら押し留めた品です。当たれば西城くんとはいえ、ただでは済みませんよ」)

(「それでも干渉はギリギリまで控えてください。敵にも隠れている奴が居ます」)

 鈴音さんの提案に俺は否定の言葉を返すしかない。

 伏兵が居る以上は迂闊に手の内を見せられない。それに重要なのは魔法の方ではない事が、それに拍車を掛けていると言える。

「術はクラウドボールの亜流だ。途中から幻影も混ぜて来るぞ」

「良くご存じで。しかし五光という言葉は目眩しという意味だけではありませんよ?」

 やはり重要なのはソレだろう。

 硬化魔法を使用し、体格も優れるレオがアッサリと膝をついているのだ。球本体に攻撃力があるからこそ、クラウドボールで使用する様な初歩的な魔法こそが効果的なのである。

 

 こう言っては何だが鈴音さんが姿を現し積極的に防御や攻撃を担当したとしても、こちらの人数が増える程度の意味しかない。

 あちらの伏兵を怯ませ、また援軍をこちらに送るか逃げる主人とやらに向かわせるか悩んでもらった方が良いだろう。

 

「少々本気で行かせてもらいましょうか。先ほどの様に機械任せの射出ではありません」

 言うが早いか強烈な弾道で球が投げつけられる。

 先ほどは放っただけだったが、今度は間違いなく投擲術だ。最初に見せびらかせるように一球、続いて魔法を伴い二球が投げつけられた。

「ん……この音って? まさか……」

「知ってるのかエリカ?」

 エリカがまとった衝撃圧で球が弾かれ明後日の方向に飛び抜ける。

 それは壁を簡単に貫通し、奥へめり込んでしまった。

「見せてくれた人は鉄貫動作とか鉄甲とか言ってたけど……。使ってるのはあいつじゃなくて後ろの男よ」

「はははっ。そこまで見抜くとは素晴らしい。朱、姿を見せてあげなさい。それとこれからは全力で構いません」

「……」

 隠れていた男が姿隠しを解除してブラックスーツ姿を現した。

 こちらは短く髪を切り込んでおり、ゴルフボールよりも小さな球を指の間に挟み込んで居る。だがそれだけではなく、いつか見た首だけの化生体が幾つも浮かび上がった。

 

 投擲術で投げられたボールは恐るべき勢いで迫り、あるいは壁で反射して後方に居る俺たちを狙う。その制御には周の術だけではなく、朱の操弾射撃の魔法が上乗せされており恐るべき威力を見せていた。

 

「五光石と飛頭民、同時に対処出来ますか? 無理ならば私は手出しを止めておきますが」

「大丈夫だからあんたも参加しなさいな。既にそのボールのネタはあがってんのよ」

 周の表情は笑顔のままだが面白そうに口元が歪んだ。

 こちらを格下とみなしているのだろうが、小さな魔法で最大限の効果を発揮して居る辺りは流石だろう。手の内も見せているとは言い難い。

「何が五光石よ。それって単にスタンボールの一種でしょ? 本命は一瞬の電撃で、命中を補助して居るのはランダム性の高い反動」

「素晴らしい。初見でそこまで見抜かれるとは思ってもみませんでした」

 スタンボールというのは暴徒鎮圧用のゴム球を大きくしたようなもので、中にテイザー放電を起こす機械を組み込んで居る。

 弱いスタンガンとして機能を発揮するが、ゴム弾として撃ち込む事も出来るので十分な効果が期待できるというものだ。あれほど小型にすると威力が怪しくなってくるが、そこは投擲術と魔法を組み合わせるのだろう。

 

 これに対しエリカは動きをシンプルに変えて、二つの魔法を使い分けた。

 一つは先ほどと同じで衝撃系の魔法を剣に帯び、威力の高いボールを弾く為だ。もう一つはサイオンを纏った物心同時斬りで化生体を切り裂く為に使用して居る。

 

「暗闇に慣れる為とはいえ目を閉じて……。なるほどアレンジも予想されているのですね」

「ネタは知ってるって言ったでしょ。幻覚の光の中に催眠光を混ぜるなんて古い手よ」

 エリカが黄にやられた後、特訓として幹比古に手伝わせた。

 様々な幻覚トラップを使用したらしいが、その中の一つに在ったのだろう。あるいは単純にスタンボールの使い方として、千葉家で開発して居る武器にもあるのかもしれない。

 

 静かな変化は千葉・修次を参考にしたのだろうか?

 現在進行形でエリカもまた強くなっていた。暗闇の中で迫るゴム弾を確実に弾き、化生体を次々に切り割いて行く。

 

「……ふむ。これだけの技量と感覚は惜しいですね。本人の意志に由来する千葉・修次よりもよほど良い燐子になりそうです」

「っ!!」

「落ち付けエリカ。安い挑発だ。……しかし無視できる言葉では無いな」

 明らかに怒りを誘った言葉だが、それは同時に俺の関心を強烈に惹きつけた。

 燐子……。それは駒という意味で使ったのだろうが、紅世の関係者にとって大きな意味を持つ。

「貴様、やはり紅世の徒か! 技術者を喰らい、闇に潜む者を次々と自らの駒にしていったのだな?」

「……私としたことがとんだ不調法を。やはり短時間で済ませようと手間暇を惜しむといけませんね、どこかでボロが出る」

 おそらくは自分を探って居たフレイムヘイズが消えて気が抜けていたのだろう。

 言葉を取り繕うおうとして、いささか意味の通らない言葉を並べている。それだけ余計な一言を口にした自覚があるのだろう。

 

「……改めて自己紹介を。”徒督”周・公僅と申します。短い付き合いに成ると思いますが、お見知りおき下さい」

「エリカ、化生体潰しに専念しろ。鈴音さん、申し訳ありませんが亜夜子と共に電磁シールドをお願いします」

 ここからは遠慮をして居るような余裕は無い。

 全員の力を使って相手の余力を潰しながら叩き潰す必要があるだろう。

 

「できたらやって見てください。ここ五百年ほど苦戦したこともありませんで」

 その言葉を発した僅か後、屋敷が焼失したのではないかと思うほど、強烈な炎が周囲に出現する。

 ただしこの間の襲撃と違い、無数の炎が化生体として次々に現出したのである。




 と言う訳で最終戦の中編をお届します。
周さんを追い詰めようとした矢先、思わぬ状態になってしまった感じです。
朱さんは一足先に燐子になってしまったので、何気に初登場でしょうか。黄さん? 彼には重要な役目がありますので。

●呂さんと次兄上
 レオはジークフリートがあるのでフルボッコになっても死にません。
対してエリカは善戦してるのですが、一撃食らったら重傷なので苦戦している様に見えます。
まあ呂さんが洗脳されておらず、硬化魔法の上から押し通すような魔法を使えれば、どっちも苦戦している。その間に鈴音さんが何とかする展開だったと思います。

・アレンジペルソナの『呂蒙』
 三国志に出て来る武将をモデルに、呂・剛虎を洗脳しつつバランス良く強化する為に用いられた。
コミュニケイション・知識・体術など全てに渡って行った強化もあって、他に軽身功などの魔法も得意になっている。
反面やり過ぎた洗脳のお陰で、呂・剛虎本来の剛拳や、幾つかの奥義的な物が失われた。レオが安定して足止め出来たのはその為とも言える。

疑似宝具『五光石(ウーグアンシー)
 ゴムで出来たボール自体が歪みのある反動を持ち、更に中に放電装置や発光装置が付いている。
催眠光で意識と注意力の二つを奪い、衝撃で体力を奪い、放電で神経伝達を奪い、まぶした毒の粉末で触感を奪う(今回、散布毒は無効化されていたが)。
五個も六個も同時に使用する為、これその物が陽動であり必殺になり得る。更に暴徒鎮圧用のゴム弾を併用するので室内では見切るのが難しい。
レオを沈めたのは作中に有る通り、電気ショックを一瞬とはいえ数回受けた為。
 これを朱さんは投擲術で威力を増した状態で投げ、更に衝撃強化や加速を併用していた。
これらはクラウドボールでの成果を関係者として確認して、兵器として取り入れた結果である。

モデルはTRPGメタルヘッドに登場する、暗殺者が使う武器の電磁ボール
鉄貫動作とか鉄甲の方は、月姫の出て来る黒鍵という武器の資料集にしか乗って無い特殊な使用法から。

●”徒督”周・公僅
 劣等生風に簡略化すると古参のパラサイトで、洗脳や憑依が得意。
ただしエネルギー生命体なのに憑依・合体ではなく実体化を行っているので、サイオン・生命力を膨大に消費し続けている。
本気を出すと更に消費量が増す事と、パラサイトとしての能力を使わなくても舐めプ状態で一般的な十師族よりも強いので、たいがいは人間レベルの戦闘力で収めている。
全力を出せない事への反動かそれとも本人の性格か、むしろ実力よりも他者を操る方を好む。

 シャナ風に言うと紅世の王の一人で、他者を洗脳・教育し、人を燐子に替える人形遣い。
その能力はランクの低い者であれば同じ紅世の徒にすら通用し、教育係・訓練係を担当したこともある。当然ながらグージーさんも紅世の王になります。

強化モデルはトリニティ・ブラッドに登場する、機械仕掛けの魔道士ことイザーク・フェルナンドと人形遣いことディートリッヒ・ローエングリューン。
普通の科学技術でその辺の化け物どもに圧倒する悪の科学者たち。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。